僕らのごはんは明日で待ってる

  • 幻冬舎 (2012年4月23日発売)
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本 ・本 (220ページ) / ISBN・EAN: 9784344021709

感想・レビュー・書評

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  • きょうだい児だったなぁ。
    親の立場の人には自助グループがあったりするのに、子供のきょうだいさんにはケアする制度がないのはなんでだろう?
    子供だからわからないとか、必要ないとか思われてしまうのかな?
    子供だって分かっているし、親の関心が病気のきょうだいに向いているのにも気付いているし、だからといって我儘を言うでもなくいい子に、本当に恐ろしい程いい子にしているのに。
    マイナスな感情も自分で自分の心に傷を付ける術にしかならず、ずっと自分を苦しめることになる。
    辛いよなぁ。
    きょうだいさんにはどんな気持ちでも間違っていないと知っていてほしい。
    それは同じ道を辿ってきた私の願い。
    子供の頃に培った生きづらさってそんな簡単に手放せるものではないからさ。
    でもこの主人公は彼女に出会えて良かったよね。
    きっとお互いにね。
    あんな風に見てくれる人ってなかなかいないと思うから。

  • 瀬尾まいこファンなら、この微妙な距離感が堪らないのだろう。久しぶりに目頭が熱い。この女性登場人物・上村小春はいい意味で面倒くさい。もう少し自分に関わって欲しいし関わりたい。熱い思いを聞いてほしいし聞いてあげたい。喧嘩したいし、癒してあげたい。そんな気分になる小春の性格。両親がいない小春の生い立ちが小春を自立・自律へと導いた。以上もう一人の登場人物・葉山君目線で書いたが、葉山も色々と強者。小春と葉山の結婚でお互いの距離感がとてもいい。お互いがお互いに対する愛情を不器用にも注ぐ方法が瀬尾まいこ独特でした。

    • ポプラ並木さん
      ゆうママさんとの共読本、楽しみです。最近、事故開拓よりも、読み友さとの推薦本の方が面白い本に出会えることが分かりました。でも合う合わないがあ...
      ゆうママさんとの共読本、楽しみです。最近、事故開拓よりも、読み友さとの推薦本の方が面白い本に出会えることが分かりました。でも合う合わないがあるので、それはそれで面白い発見です。昨日ワクチン接種したので腕が痛いですが読書には関係ないからね。筋肉注射はとても痛いよ。
      2021/06/12
    • アールグレイさん
      えっ?ヽ(゚ロ゚;)ノ
      ポプラさんはお歳を重ねているということ?
      若い世代が、先何でしょ?私の世代は最後だよ
      えっ?ヽ(゚ロ゚;)ノ
      ポプラさんはお歳を重ねているということ?
      若い世代が、先何でしょ?私の世代は最後だよ
      2021/06/12
    • ポプラ並木さん
      えへっ、医療従事者に分類されました!
      えへっ、医療従事者に分類されました!
      2021/06/12
  • 今まで読んだ瀬尾まいこさんは、ふわふわ周りを漂い、ゆっくり沁みる感じでした。
    しかし、この作品は直球で胸に飛び込んできました。葉山君の思いが刺さりすぎて、読みが止まらない。上村さんもとても良い。
    最後の章に入った途端、幸せとやるせなさが一変に訪れる空気に胸が一杯になった。
    葉山と上村、出会いからのそれぞれの情景が目に浮かぶ。米袋ジャンプ、すれ違い、二人の食事。
    ここに来たからこそ掴めたこと、一つ一つに意味があり、何を幸せと捉えるかが描かれている気がしました。
    何気に取った本。成長、再生物語かなと読み始めましたが、とてもメッセージ性がありました。
    笑いあり感動あり、しばらく余韻が残り、良い読書でした。

  • タイトルの僕ら
    上村と葉山くん
    なんともうらやましい関係だ

    こんな好きとか愛とか
    そんな陳腐な言葉で表す関係じゃなくて
    相手のことが分かり合える

    「なんでも大丈夫にしてくれるのはイエス
    (葉山くん)だけだよ。そう思ったら十分一緒
    にいる意味がある。」

    ミラクルリレーの米袋ジャンプから始まった
    二人。あー、うらやましい。

  • 「僕らのごはんは明日で待ってる」というタイトル
    この日本語、おかしいよなと引っかかっていたが、最後まで読んだら、 このタイトルの意図するところが分かった

    思ったようにいかないことも多い人生だけど、ごはん食べよ、しっかり足踏ん張って生きていこうという瀬尾さんのエールを込めたメッセージのような気がする

    各章のタイトルも、首をかしげたくなるものばかり
    「米袋が明日を開く」
    「水をためれば何かがわかる」
    「ぼくが破れるいくつかのこと」
    「僕らのごはんは明日で待ってる」

    大切な家族を亡くし、人との交流を拒み、いつも黄昏ていた葉山亮太と両親の顔も知らない上村小春、重い背景を背負っている二人。
    米袋ジャンプがきっかけで付き合い始めた二人の軽妙なちょっとトンチンカンな会話がまさに瀬尾ワールドでおもしろい。
    いつも強気で男前、高ビーな上村、しばらく人との交流を絶っていたので付き合い方が分からない葉山が、オタオタとついていく名コンビ
    葉山は、いつの間にか、人の意見に反対することなく、自分を主張することなく、すべてを受け入れるので、イエス・キリストのようだと、イエスのニックネームまでついた

    言わば、各章のタイトルは、二人が相手を理解し、自分にとってなくてはならない存在だと確認していく過程のように思う

    甘酸っぱい初恋を成就させ、ゴールイン

    両親の愛に恵まれなかった上村は、絵に描いたような幸せな家庭を築きたいと願う。生まれてもいない子供の名前を夏生と育生とゆり子と決め、その日を待つ二人なのに、神様は何て残酷なんだろう

    4章の婦人科の病室の描写、次々と転移を繰り返す山崎さんが薄味で量ばかり多い白飯にふりかけをドサっとかけてくれるシーン
    上村が手術室に入っていくのを葉山が見送るシーンなど、胸が締め付けられた

    退院して二人で帰る道すがらの小春の言葉
    もう小春は、自分の子どもを抱くこともできない
    「とりあえず、誰かの子どもを育てるのも誰かに子どもを産んでもらうのもしない。猫も犬も飼わないし、金魚もインコも世話しない。本来三人の子どもに注ぐはずの愛情を、イエス一人に向けるんだから、イエスは重くてうんざりするだろうし、そのせいで何回もどろどろするだろうし。・・・そのうちはげるし太るしだらしなくなるし大変。だけど、それでも、イエスだけに気持ちを注いだっていいんじゃないかって思う。そんなことを手術中ひたすら考えていたんだ」

    「入院して思ったんだ。会いたい人とか一緒にいて楽しい人って何人かいるけど、でも、いろんなことを平気にしてくれるのはイエスだけだって。イエスがいたから点滴なんて朝飯前になったし、あんなに恐ろしいって思っていた手術も余裕だった。なんでも大丈夫にしてくれるのは、イエスだけだよ。そう思ったら十分一緒にいる意味がある」

    わあ、読んでいて、恥ずかしくて頰が赤くなりそう
    北川悦吏子さんのドラマのセリフみたい
    でも、おばちゃんはこんなのに弱いんだなあ
    何歳になっても、こんな言葉を信じたい乙女でございます

    ☆とりあえず俺は、道頓堀川みたいになろう。見たこともない川だけど、濁っていてもよどんでいてもかまわない。どんなややこしいことでも飲みこめる水をたたえられるようになりたい
    この言葉も沁みる

  • 何回でも読める。恋愛系だけど、いい意味で深刻にならず、でも面白い。

  • 淡々とさっぱり進むんだけど、お互い思い合っているのがとってもいい。こんな夫婦でありたいなぁと、優しい気持ちになれました(o^^o)辛い時に寄り添ってくれる人がいるだけで救われる。
    最後の章は、小春ちゃんに感情移入して泣いた。

  • 待ち焦がれてた、瀬尾さんらしい世界だった!

    それでいて、どこか新しい感じがしたのは
    このまま舞台や映画にしてしまえるくらい
    会話に特化した作品だからかも。。。

    自分ががんばることが救いにつながると信じて
    何に対しても全力を尽くしていたにも関わらず、兄を亡くして
    「死んだ人の出てくる小説」ばかり読んで
    たそがれている葉山(イエス)。

    そんな事情を知りながら、無遠慮と言ってもいいくらいのストレートさで
    体育祭での「米袋ジャンプ」をきっかけに
    閉ざし続けていた彼のテリトリーに踏み込んでくる小春。

    瀬尾さんの名作『幸福な食卓』での、
    トラウマを抱えて、平気な顔をしつつも梅雨を怖がっていた佐和子と
    率直すぎるほど率直で、おばかだけど憎めない大浦くんを
    ちょうど男女逆転させたような二人なのだけれど

    思ったことを遠慮会釈なしに言ってのける小春の暴言(?)と
    それに対して心の中で秘密裏に呟かれる葉山のツッコミが
    絶妙のバランスで、とにかく楽しい。

    そしてその楽しさの向こうから、折に触れてふっと顔を出す
    小春の生い立ちや、頑なさの理由が、切ない。

    「家族を作る2回のチャンス」のうち、
    子ども時代のチャンスを家庭の事情で逃してしまって
    大人になった時に訪れるはずの
    「2回目のチャンス」に賭けていた小春に下される
    あまりに残酷な宣告に胸が痛くなるけれど。。。

    長引くであろう入院を見越し、
    特大の瓶入りふりかけを常備している山崎さんに
    近所のありとあらゆるスーパーを回って買い集めた
    80種類ものふりかけをプレゼントした小春とイエスには、

    未来を諦めて、とりあえず今日を生き延びるのではなく
    「明日はどのふりかけにしようかな♪」と
    大切な人と囲む、ささやかだけど楽しい
    明日の食卓をはっきりと思い描いて
    せつない今日を手を取り合って生きる、揺るぎない意志がある。

    そう、「僕らのごはんは明日で待ってる」と信じて。

    • まろんさん
      kasumi-souさん、コメントありがとうございます!

      この作品、小春とイエスの会話がすばらしくて
      いろんなことがあっても、あの二人なら...
      kasumi-souさん、コメントありがとうございます!

      この作品、小春とイエスの会話がすばらしくて
      いろんなことがあっても、あの二人なら、
      小気味よい会話で思いやりを伝え合って、明日をつくっていくんだろうなぁ、
      と信じられる、大好きな作品になりました。

      私こそkasumi-souさんの本棚、楽しみにしています♪
      瀬尾さんの新作も早く読みたいですね!
      2012/08/14
    • マリモさん
      まろんさん♪

      昨日読了しましたー!瀬尾さんの本も、ようやく半分くらいです。
      この本、表題作もですが、各章のタイトルがどれも独特でしたね。
      ...
      まろんさん♪

      昨日読了しましたー!瀬尾さんの本も、ようやく半分くらいです。
      この本、表題作もですが、各章のタイトルがどれも独特でしたね。
      読む前はわけわかんないけど、読んだ後に「なるほどー」というタイトルのつけ方でいいですね。
      表題作は、直感的には、「明日も生きよう!」という未来志向の気持ちが「ご飯は明日で待ってる」、というふうにあらわれてるんだろうなぁと思ってたのですが、まろんさんのコメント欄の解釈読んで、ほへーなるほどな~と。
      作者もきっとびっくりの深い解釈で、受験に出たらこのまま書いちゃうぞと思いました。(とっくにお受験の年齢は過ぎてるのが残念~☆)
      2013/02/04
    • まろんさん
      マリモさん☆

      読む前はわけわかんないけど、読んだ後に「なるほどー」というタイトルのつけ方!
      うんうん、そうそう♪ とマリモさんらしい表現に...
      マリモさん☆

      読む前はわけわかんないけど、読んだ後に「なるほどー」というタイトルのつけ方!
      うんうん、そうそう♪ とマリモさんらしい表現に、うれしくてコクコクと頷いている私です。

      私の瀬尾さんへの偏愛に満ちた解釈を、万が一受験で書いたりしたら
      「コイツあぶなすぎる!」と、他の教科がどんなに成績優秀でも、
      現国だけで落とされることでしょう(>_<)
      それでは続きは、マリモさんのレビューへのコメントで♪
      2013/02/04
  • 勝手に短編集かと思ってたら、長編小説でした。

    中学生の時に兄との別れを経験した亮太は、高校時代をたそがれたり、人が死ぬ小説を過ごす。
    クラスで浮きまくってるし、友達もいない。

    そんな彼が高校最後の体育祭をきっかけに小春と出会い、少しずつ自分の人生を取り戻していく。

    空に浮かぶ風船だった彼を小春が糸を手繰り寄せ着地させてくれたような話でした。

     亮太の大学時代のあだ名はイエス。高校3年間ほぼ友達もいなかったのに。小春ちゃんもクセ強めなので、ぎこちない2人を応援したくなります。

  • 2人の会話のやり取りが、特に上村さんの返しがいつも斜め上を行っててすごく面白い。
    読んでいくうちに色々な事が分かってくるんだけど、サバサバしたやり取りや素敵な登場人物たちで重苦しくならずに読みやすい。
    お互いがお互いに、こんなふうに思い合える関係があったらいいのになと思えた。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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