カミカゼ

著者 :
  • 幻冬舎
4.02
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本棚登録 : 154
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344022027

作品紹介・あらすじ

ある晩、酔った慎太がもらした話から、武一は日本に新たな危機が迫っていることに気付く。時代を超え、世代を超えて、沈みゆく国を救うために究極の凸凹コンビが立ち上がった。ページをめくるたびに、涙が止まらない。全国民に捧げる、鮮烈なラストメッセージ。

感想・レビュー・書評

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  • この感動をどう表現したらいいのかわかりません。
    泣きました。
    身体の中が、清々しくも熱い何かで満たされる一冊でした。
    数多く読んできた著者の作品の中で、一番好きです。

    舞台は鹿児島・大隅半島・海軍航空基地。
    太平洋戦争最後の戦いの地・沖縄へ向け、命がけの攻撃をする陣内武一、刀根剛介ら特攻隊員たち。
    ところが、武一が空母に突撃する瞬間、タイムスリップしてしまいます。
    なぜ今の日本へやってきたのか、そこにはどんな使命があるのか───。

    胡坐をかけと言われても、このほうが楽だと正座をし、背筋をピシッと伸ばして牛丼を食べる武一。
    東京タワーで、宮城や増上寺、芝公園を見つけて感激する武一。

    刀根との再会の場面は、胸が熱くなりました。
    「杏子はきさまと一緒になって幸せだった」
    そう笑って走り去った武一。

    真実を教えてあげたかったとも思いました。
    でも、それでよかったのかもしれませんね。
    自分の手で幸せにしてあげられなかった人が、最期に呼んだ名前は…切ない…。

    ある日突然現れ、風のように通り過ぎて行った陣内武一。
    日本男子、あっぱれ。

  • 神風特攻隊の話しはどう転んでも泣けるに決まってる。映画で観たいストーリーかな。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    ある晩、酔った慎太がもらした話から、武一は日本に新たな危機が迫っていることに気付く。時代を超え、世代を超えて、沈みゆく国を救うために究極の凸凹コンビが立ち上がった。ページをめくるたびに、涙が止まらない。全国民に捧げる、鮮烈なラストメッセージ。

    特攻隊の武一が戦艦に突撃する直前に現代にタイムスリップするという、料理人の腕次第では作家としての誤解を招きかねない題材だと思いました。名手永瀬隼介氏なので骨のある展開になるであると期待していました。特攻隊員という特殊な状況に置かれ、国の為に大事な人々の為にと命を投げ出してきた若者たち。そして図らずもそこから辛くも命を拾い現代まで生き残った者。そして現代を憂い、日本に新たな諍い火種を落そうとする者たち。過分に美化されていると思うものの、心に響いてくる話であり、素直に読むべき本であると思いました。そして何よりエンターテインメントとしての出来が素晴らしいです。武一が現代にたやすく馴染んでいるあたりに違和感ありますが、そんな事では揺るがない土台の堅牢さがあります。
    タイムスリップし途方に暮れている武一を助けた(逆に助けられていますが)慎太はフリーターで頼りなく、ラーメン屋のバイトも首になるような男ですが、心優しく、芯では誰かの役に立ちたい、世の中を変えたいと思っている若者。選挙もいかない若者たちに比べるとなんとしっかり物事を考えている事か。彼と武一の心の交流がこの武張った話の中でじんわりと心を温めます。
    ラストもとてもよかった。予想もしていなかったつながりが有って最後の大団円。すばらしい。

  • みんな誰かを何かを守るために戦っていたということ
    ひどく理不尽でやるせない現実をそうして保っていた
    特攻で生きる男たちの覚悟がひしひしと伝わって
    自然に涙が出てきた
    権利を主張する前に義務を果たすこと
    清々しい読後感。

  • 出撃中の特攻隊員が、タイムスリップして
    現代に現れる。。。
    小説でも、TVドラマでも特に目新しいストーリーではないのですが
    やはりこの手の話は何度目にしても胸を打つものがあります。

    たった17や18歳の男の子が
    お国のために、家族のためにと自らの命を投げ打って死んで行く。
    そんな彼らが今の日本を目にしたら
    何を思うのか。。。

    現代にタイムスリップしてきた陣内武一が目にしたのは
    命の危険もない、飢え死にする事もないはずの安心安全な世の中なのに
    幸せになれない、満たされない思いを抱える現代の日本人の姿でした。

    再び自らの命で、日本を救おうとした武一、
    その最後のメッセージは
    『生きろ』でした。
    重い重い一言です。

  • #読了。特攻隊の一員として出撃した陣内武一は、米軍空母に突撃。体当たり寸前に時空を超え、終戦から67年後の東京に舞い降りる。そこで出会ったフリーターの槙太と共に平成の世でテトリストに対峙する。戦争時ではありえない状況に、武一が少し軽く溶け込んでしまった感は否めないが、アメリカ人副長官の生い立ちは意外だった。

  • 20230411

  • 現在の日本に零戦特攻隊員が現れたとしたら、今の日本をどのように見るだろうか。不甲斐ない政治家。経済の退潮。中国の進出。日米関係の不調。そんな風景に現れた特攻隊員。それは最後まで一本の筋が通っていた男だった。

  • 2016_04_09-0036

  • 予約していたこの本が8月上旬に手元に来て、8月中旬にかけて読めたこと。
    テレビでは戦後70年の番組を多く見た。
    日本人として知っておかなければならないことをまた少し知れた夏だった。
    当たり前と思っていることのありがたさ、忘れてはいけない。

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著者プロフィール

永瀬隼介

1960年鹿児島県生まれ。國學院大學卒。週刊誌記者を経てフリージャーナリストとなり、祝康成名義で『真相はこれだ! 「昭和」8大事件を撃つ』を刊行するなど事件ノンフィクションを中心に活躍。2000年『サイレントボーダー』で小説デビュー。事件現場で培った取材力を活かし、現代の深部を抉る骨太のサスペンスや犯罪小説を発表している。近著に『帝の毒薬』『カミカゼ』『三日間の相棒』『白い疵 英雄の死』『12月の向日葵』など。ノンフィクションに『19歳 一家四人惨殺犯の告白』などがある。

「2022年 『殺し屋の息子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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