頼むから、ほっといてくれ

著者 :
  • 幻冬舎
3.51
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本棚登録 : 190
レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344022263

作品紹介・あらすじ

トランポリンでオリンピックを目指す五人がいた。天才肌の遼、愚直な順也、おっちょこちょいな慎司、目立ちたがり屋の洋充、怖いもの知らずの卓志。少年の頃から切磋琢磨してきた彼らに、安易な仲間意識などなかった。「オリンピック出場枠」という現実が、それぞれの青春を息苦しいものに変えていく。夢舞台に立てるのは、二人だけ。選ばれるのは誰なのか?選ばれなかった者は敗残者なのか?オリンピックは、すべてを賭けるに値する舞台だったのか?懸命に今を生きる者だけに許された至福、喪失、そして再生を、祈りにも似た筆致で描いた傑作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • トランポリンというあまりメジャーでない競技を中心に、オリンピック代表を目指す現役選手、その家族、コーチ、審判……と様々な人物の人生が描かれている小説です。
    群像劇、というといいのかもしれないけれど、あまりにもめまぐるしく入れ替わる語り手、すぎるほど淡々と進むストーリーに、いまいち入り込むことができなかった。
    ただ、オリンピック代表に決まった選手が、あちこちの人に「頑張れ」と声をかけられ、自分の意志などお構いなしにたくさんの人に期待を背負わされ、その応援に感謝の気持ちを表さないと陰口をたたかれる、その状況に「頼むから、ほっといてくれ」と心のなかで呟くシーンはすごく印象に残った。

  • とても苦くて、胸が痛くなるんだけど、不思議と勇気が湧いてくる物語である。

    トランポリン競技は、かつて2000年前後に、中田大輔という選手が注目されて、テレビの番組などでちらほら見かけるようになっていた。
    遊園地にある子供向けのトランポリンをやったことがあって、あの奇妙な跳躍感が忘れらないでいる。
    そこで何十メートルもとびあがって回転し、着地し、体を捻り、次々に技を繰り出すのだ。想像するだけでも胸がドキドキする。
    中田選手のあと、もう少しトランポリン競技がメジャーになるかと思っていたが、相変わらずマイナーな扱いで、ほとんど話題にならない。
    マイナーで話題にならなくても、関わっている人たちにはその人達の数だけ人生や運命がある。嬉しさや楽しさ、辛さや苦しさがあるのだ。
    それを5人の青年の人生で丁寧に描いている。
    よくあるスポーツ物のように、「奇跡の逆転」が起こるわけではなく、むしろ失敗と挫折の連続ばかり。
    それでも、人生は続いていくのだ、という、当たり前と言えば当たり前のことが、淡々と綴られていることが、かえって胸を打つ。
    ラストは胸に染みた。

  • ちょうど平昌オリンピックの時期に、ピッタリな本!トランポリンの選手の話なので、夏と冬で季節は違うけど、オリンピックがらみということで、なんてタイムリー!わたしも、オリンピック開会式の選手の入場のシーンは大好きでいつも感動します。ここにたどり着くまでに彼らがどれだけ苦労して頑張ってきっと我慢したこともいっぱいあって。でも夢がかなってよかったねっていつも思います。裏にはこんなにも一筋縄でいかないことがいっぱいあるんだね。そりゃあ、そうだよね。スポーツ選手だって人間だもの。平昌でも、みんな自分らしく活躍してくれますように!

  • 採点される個人競技なら他でもよかったんじゃなかろうか。トランポリンらしさは特に内容に関係なかった。

  •  私にとってスポーツは自分で行うものではなく、見るもの、読むものであり、マイナースポーツを扱っているものはそれだけで興味深い。
     トランポリンというとオリンピック競技でありながら日本ではマイナースポーツ、競技の仕組みもルールもわからないのですが、話の中で自然に必要な情報が出てくるので苦労なく読み進む事ができました。
     話としては5人のトランポリン選手を軸にして、それぞれの立場から選手の悩みや葛藤、迷いなどリアルに感じられましたが、スポーツ物にしては淡々と進む印象で好き嫌いが分かれそう。

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    トランポリンでオリンピックを目指す五人がいた。天才肌の遼、愚直な順也、おっちょこちょいな慎司、目立ちたがり屋の洋充、怖いもの知らずの卓志。少年の頃から切磋琢磨してきた彼らに、安易な仲間意識などなかった。「オリンピック出場枠」という現実が、それぞれの青春を息苦しいものに変えていく。夢舞台に立てるのは、二人だけ。選ばれるのは誰なのか?選ばれなかった者は敗残者なのか?オリンピックは、すべてを賭けるに値する舞台だったのか?懸命に今を生きる者だけに許された至福、喪失、そして再生を、祈りにも似た筆致で描いた傑作長編小説。
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    トランポリン競技に関わる五人の、少年時代から大人になるまでが描かれた物語である。家庭環境も性格も違う五人の少年たちは、それぞれの思いでトランポリンを始め、それぞれ違った個性で練習を積み、技術を体得していく。その過程で、ぐんと伸びたり、躓いたり、厭になったり、トランポリンに対する熱量も折々に変化する様も興味深い。成長するにしたがって悩みも変化し、さまざまなことを考え始める様もまた若者らしくて胸が熱くなる。良い演技をして注目されたいという思いも当然持ちながら、上位になって始終人の目を感じるようになると、そっとしておいてほしいという思いも芽生えてくる。愉しんで跳んでいるという自分の気持ちとは別の思惑に、無理やりはめ込まれる理不尽さも、仕方がないとはいえ、どうしようもなく応えたりもする。トップを争う現役時代を過ぎたとき、五人がやっとそれぞれ自分にとってのトランポリンを見つけられたように思えて、もどかしいようなほっとするような複雑な思いにとらわれたりもする。五人それぞれのキャラクタがとても清々しい一冊である。

  • トランポリンというマイナーな競技に取り組む選手達の心情が切々と伝わってくる。
    個人の技だけが全ての競技で自分との戦いになる。
    この競技に見切りをつけるのも自分自身。
    納得のいく終着点ならいいのだが。
    頼むからほっといてくれとタイトル通りなのだろう。

  •  すごいタイトルに惹かれ、読む。トランポリンという渋い、なじみのないスポーツ選手の各模様をオムニバスで記述する。時間軸もばらばらで範囲も広い。TVドラマ風で面白かった。タイトルのセリフは1度だけ出てきた。運動の場面ではないが、たまーにこう叫びたくなる時があるな、と思いつつ一気に読む。

  • タイトルのセリフを作中で口にしたのは大阪弁の人だけか。そのほかの人たちも感じていたのかもしれない。
    良きにつけ悪しきにつけ、周囲の人間は彼らに自分の思いを仮託する。それが相手にどう伝わるかも考えずに自分勝手に。
    装丁に散りばめられた「もっと頑張れ」が気持ち悪い。周りの人が悪気なく伝えた言葉なのだろう。こんなことが続くと嫌にもなる。
    周囲の言葉に惑わされることなく、勇気をもって前に一歩進むことが大事なのだと思った。

  • 2015.10.14

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