はぶらし

著者 :
  • 幻冬舎
3.33
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本棚登録 : 509
レビュー : 108
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344022416

作品紹介・あらすじ

脚本家の鈴音は高校時代の友達・水絵と突然再会した。子連れの水絵は離婚して、リストラに遭ったことを打ち明け、1週間だけ泊めて欲しいと泣きつく。鈴音は戸惑いながらも受け入れた。だが、一緒に暮らし始めると、生活習慣の違いもあり、鈴音と水絵の関係が段々とギクシャクしてくる。マンションの鍵が壊されたり、鈴音が原因不明の体調不良を起こしたり、不審な出来事も次々と起こる。水絵の就職先はなかなか決まらない。約束の1週間を迎えようとしたとき、水絵の子供が高熱を出した。水絵は鈴音に居候を続けさせて欲しいと訴えるのだが……。人は人にどれほど優しくなれるのか。救いの手を差し伸べるのは善意からか、それとも偽善か。揺れる心が生む傑作ミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • 今年に入ってからツイてない事が続けざまにあった鈴音。
    仕事の企画が中止になったり、2年つき合っていた恋人と別れたり・・・。
    そんなツイてない彼女のトドメとなる出来事が起きる。
    10年間疎遠だった同級生の女性から突然電話があり、一週間だけ同居させてほしいと言う。
    彼女は夫と別れ、子供を連れて家を出た。
    しかし、仕事もないし、行き場もないと言う。
    嫌な予感がしつつも一週間だけならと承知した鈴音だったが-。

    タイトルとなっているハブラシが象徴的な話です。
    同居を決め込んだ初日、同級生の女性は主人公にハブラシが無いと訴える。
    そこで鈴音は新しいハブラシを貸す・・・というか、あげると、彼女は翌日買ってきた新しいハブラシでなく、使った方のハブラシを返す。
    この女性はどこか感覚的にズレいている所があり、一事が万事そんな感じで同居生活は進行する。

    だから主人公は彼女と同居してイライラする。
    それでなくても自分の家に他人がいると気をつかうものだし、自分の家なのにリラックスしきれないというストレスがたまっていく。
    ・・・と言っても思ったほどは同級生の女性が傍若無人に振る舞っていないという印象も受けました。

    彼女は子供・・・男の子を一人連れて主人公のもとを訪れるけれど、その子供というのがおとなしくて聞き分けのいい子だし、彼女も最初の約束通り、一応ちゃんと仕事を探すし、家事もしてくれる。
    そういう彼女の様子が使い古しであれハブラシを返すという行為に表れていると思います。

    これが子供がどうしようもない暴れん坊だったり、女性が仕事を一向に探さない、男を家に連れ込むとかいう状況なら分かりやすい。
    主人公の女性も良心の痛みなど感じず、彼らを追い出す事が出来たでしょう。
    そうでない、ビミョーなラインにいるというのが正に困った、という感じです。

    これを見ていると、お金を借りる人の事をパッとイメージしました。
    借りる時はペコペコしてお金が借りられると感謝する。
    でもいざ、そのお金を返せと言われるとまるで自分のモノを返せと言われたようなふてぶてしい態度をとるようになる。
    この物語の同級生の女性も最初は一週間だけ・・・と言いつつ、同居する内にそれが当たり前だと思うようになり、主人公の女性を責めるようになる。

    主人公の女性はお人よしだと自分で自分の事を言っていますが、確かにそうだと思います。
    住む所を提供しているだけでなく、仕事も紹介したりして・・・。
    そこには早く出て行ってほしいという気持ちがあるにしても十分親切だと言えます。
    相手はそれほど親しかった訳でなく、困ったからと言って10年ぶりに頼ってきた人なんだし。
    そんな彼女はイライラしつつも言い合いになると後で相手女性の気持ちを分かってなかった、と自分を責めたりする。

    親切というのはどこまでしたらいいものなのか?
    自分自身が満足するまで?
    それだと、主人公はどこまでもイライラしつつそれと同じだけ罪悪感を抱えてしまい、それがさらに相手に対するいらだちになるという悪循環になっていたでしょう。

    ラスト付近の文章を読むと、同級生の女性が主人公に信頼を寄せていて、迷惑をかけながらも一応それまで世話になった所とは線引きしていた様子が見えて、少し切ない気持ちになりました。
    彼女は彼女でショックを受けて傷ついて、だからああいう行動に出たのだと・・・少し理解できました。

    これは読んでいる間中、私がこの二人の女性だったら・・・と想像しながら読む本でした。
    私が主人公ならどうするか。
    この場面、そしてこの状況で-。
    反対に自分が同級生の女性なら-。
    ・・・というか、私には10年も会ってない同級生を頼ろうという発想は最初からないけど・・・。
    ラストはあっさりした印象ですが、この話どう落ち着くの?とハラハラ、イライラしつつ読める本でした。
    面白かった!

  • 水絵みたいな女、無理!
    弱さを売りにして、助けないあなたが悪いと、じわじわとほのめかす。
    気が利くようで、デリカシーなし。
    関われば、自分が馬鹿を見ると直感できる。
    最後に成長した耕太が訪ねてきてくれて、やっと安堵のため息をつくことができた。
    スカイエマさんの表紙の画が、じわっとした違和感をうまく表している。

    なんでこんな嫌な話を読むんだろう。好きな本を読んでいるほうが幸せなのに。でも現実で好きでないものに出会い、戸惑い説明のつかない感情がわきおこったときにこういった話を読んでみると、こういうことなの!って、理解者ができたみたいな気持ちになるから、読むのをやめることができないのね。

  • 私にとって二作めの近藤史恵作品。相変わらずひたひたと漂う不快感と不気味さ。でもなぜかそれが癖になってページをめくる手を止められない。

    それほど仲が良かった訳でもない高校時代の友人が、突然息子を連れて転がり込んでくる。どこまで優しくするべきか、突き放していいのか悩み続ける主人公。
    この友人の不快さが、絶妙の「我慢できるくらいの不快さ」、しかも無理を言ったあとの引き方、間合いの取り方も絶妙すぎて怖い。
    色んな登場人物や細かい出来事が複合的に繋がって何かの事件や最後への伏線になればもっと怖かったかも。
    でもラストにはいい溜め息つけました。

  • 36歳、恋人と別れたばかりで、売れっ子ではないけれど食べていけるだけの稼ぎはある脚本家の鈴音。
    仕事も住むところもないという高校時代の友人水絵が息子を連れて鈴音のマンションに転がり込んでくる。

    微妙な年代である鈴音自身の、結婚や子供を持つことへの漠然とした願望や不安、特別に見える仕事を持つゆえの周囲との距離感などリアルに描かれていて、共感を覚えるところも多い。

    水絵親子に飲み込まれそうになるサスペンス的部分と、
    30半ばの女性の葛藤という二軸で進行し、ざくざく読みやすい文章に続きが気になる筆力はさすが。

    ただ、人間ホラーにしてはちょっと物足りない。
    物語の趣旨が違うのだろうが、水絵が決定的に悪人でないから想像していたような崩壊や悲劇は訪れず、なんか肩透かしだった。

    物語としての質は高く、確かに面白かったものの、期待とはズレていたかなあというのが正直な感想である。
    今一歩のカタルシスが不足。

    http://www.horizon-t.net/2013/09/18/%E8%BF%91%E8%97%A4%E5%8F%B2%E6%81%B5%E3%80%8E%E3%81%AF%E3%81%B6%E3%82%89%E3%81%97%E3%80%8F/

  • 10年も会っていなかった友だちから夜中に電話。
    うーん、よくない予感。
    案の定、頼られることに。
    住む所がない。職探し中。子連れで悪いけど1週間住まわせてくれって頼むほうも頼む方だけど、それを受け入れるほうも受け入れる方よね。
    会ってしまったら断れないわなぁ。それでも、できないことはできないと言える勇気が欲しい。
    強いて言うなら、図々しく頼るほうの立場になれるほどの度胸が欲しい。
    『はぶらし』ってタイトルが雰囲気出してるね〜。急な泊まり客=はぶらしのイメージ。

  • 使ったはぶらしを返されるのは、どうにも消化できないにゃ。。。

  • 同情はするけれども、関わりたくない。
    人の良心を利用して自分の都合の良いように解釈する。
    悪気がないようで、悪意を持って行動している。
    子供を出汁にとって、子供じみた振る舞いをする。
    関わらないのが一番。
    読了感は良くないが、すいすいと読んでしまった。

  • NHKのドラマを見ていたので、手に取ってみた。
    池脇千鶴がやってたのもあって、こにくらし度が高かったんだけど(笑)
    小説で読んでもやっぱりにくらしく思ってしまうのは
    私が子なしだからだろうか。
    大変なのはわかる、同情もするし、助けてあげたいと思う、
    でもそれ、どこまでやってあげればいいんだろう
    私のところにこんな友人が来たら
    私はどこまでしてあげればいいんだろう・・・
    どこまでしてあげたら許してもらえるんだろう

  • 水絵みたいな、自分勝手な女性いるのかな、いやいるんだろうなぁ。嫌な感じだか、先が早く知りたくなる展開の仕方がうまい。面白い。

  • 水絵がうざすぎて途中は飛ばし読みした。
    作品として面白いのがすごい。

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プロフィール

近藤 史恵(こんどう ふみえ)
1969年大阪生まれの推理作家、小説家。
大阪芸術大学文芸学科卒業後、1993年『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。
2008年、『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞受賞、2008年度本屋大賞部門惜しくも2位、第61回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門候補作になる。これがシリーズ化もされた代表作となった。ほかの代表作に、ドラマ化された『天使はモップを持って』シリーズ。
2006年から、母校の大阪芸術大学文芸学科客員准教授に就任している。

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