- 本 ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344022584
感想・レビュー・書評
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2022年6月9日読了
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全体的に薄いな・・・という印象。
どれも読み終えてすぐ忘れるような話ばかりで、記憶に残りにくいという印象を受けました。
「オルフェウスの神話」
冥界に亡くなった妻を迎えに行ったものの、言いつけを破ってしまい、永遠に妻を失った「オルフェウスの神話」を題材にとった話。
神話について別の解釈をし、それを現代の話におきかえている。
「ガラス窓幻想」
主人公の男性は酒場でよく当たる占い師の話を耳にする。
その占いとは、ある家のガラス窓にその人物の三か月後の姿が映るというもの。
実は男性はその占い師の事を知っていた。
以前、職場の先輩がその占い師に占ってもらい、占いが的中して不幸にみまわれた事があったのだ。
彼は好奇心で占い師を見つけて占ってもらう。
そして見えた未来とは-。
「鞄の中」
解体する前の実家に行き、荷物整理をした男性。
そこには昔つきあっていた恋人の持ち物だった鞄があった。
そこに入っていたものとは-。
これはラストにいきつくまでの伏線がきいた話。
特に、暇つぶしで入った古い寺で見た河童のミイラらしきものの描写がきいている。
「海を見る女」
海を見ると機嫌のよくなる妻。
妻のその性質を知っている男性は妻が機嫌をそこねる度に海へ妻を連れて行く。
「死んだ縫いぐるみ」
知り合いの女性に頼まれて、さほど親しくない男性のお見舞いに一緒に行く事になった男性。
病気の男性は馬が好きだからと知人女性は馬のぬいぐるみをお見舞いとして持っていくが、それを見た病気の男性と妻との間に不穏な空気が流れる。
「街の分かれ道」
周辺で憧れの目で見られている、資産家の家の美しい令嬢。
主人公の男性はたまたまその令嬢の父親と一緒に麻雀をする機会があり、その際に自分の娘はどうか、と打診される。
麻雀って、打ち筋で人柄がある程度見えてくるから・・・。
もしかしたらそれで、資産家の男性は一目で主人公の人柄を見抜いたんじゃないか。
そんな事を思って読んでいたら結末は-。
これを読んで、つくづく自分が単純でお人よしだ、と思った。
だから麻雀の時に顔色で牌を読まれたりするんだ・・・。
こんな風な話が13話収録された短編集。
阿刀田高さんの本の中ではイマイチ・・・というのが正直な感想です。 -
短編集。何気ない日常に潜むわずかな毒を描いた作品集。昔の作品にくらべるとあっさりめな印象で、あまり怖いと思えるものはないように思えるけれど、微妙な気味の悪さが読後に残ります。やっぱrり怖い、か。
お気に入りは「黄色い影法師」。なんとも言えない気味の悪さ。これが一番怖いかなあ。同じような路線で「バランスシート」も。考え出すときりのない恐ろしさです。 -
「月刊アレー」他に掲載した13編を集めた短編集。
この人のものを読んだのはかなり久しぶり。
ちょっとウィットの利いた文章で、最後に「なるほど」と
思わせる落ちが付く作品が多い。
ちょうど手頃な軽さのエンタテイメントとでもいえようか。
著者プロフィール
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