歓喜の仔 上巻

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 888
感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344022874

作品紹介・あらすじ

愛も夢も奪われた。残されたものは、生きのびる意志だけだった。『永遠の仔』『悼む人』を経て、天童文学はここまで進化を遂げた。日本の現実を抉り、混迷する世界と繋がり、私たちの魂を源から震憾させる金字塔、ここに。

感想・レビュー・書評

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  • 読後感が人によってまちまちだと思うので、諸手を挙げてのおすすめは出来ない。闇の中でしか光のまぶしさはわからないように、極寒の中でしかぬくもりの有り難さはわからないように、「尊さ」を絶望を描くことで描写すること。それを社会問題を通して描写していく筆者の著作は、私は、これからも読み続けていきたいと思っている。

  • 苦しくても母親の介護を続ける正二を取り巻く家族の物語。終始物悲しさが漂っていたたまれなくなるがページを繰る手が止まらない。下巻で救いはあるのだろうか。

  • 成熟社会の中で取り残され、内戦状態を生きる兄弟妹たちの物語だ。日本は宗教が未発達のため、親から見捨てられたら、社会保障しかセイフティネットがなく、犯罪に足を入れた子供は救いがない。ピエール瀧容疑者も、こういう子供たちが包装した麻薬を買っていたのかな。

  • ひさしぶりに上下巻の大作にとりかかり始めました。すでに天童マジックにのめりこみつつあります。人の弱さの中の強さを描かせたらかなわない。

  • 信じがたいけど、多分地獄はある。それもこっち側にある。毎日ニュースを見てれば、結構身近にもある。間違って地獄に落とされた人がいる。だから地獄って地獄なんだと思う。地獄が悪人ばかりだったら、それは自業自得、胸がスッとするというか、まあ当然だよねっていう。だけど、何であなたがっていう子が、とんでもない目にあってるから、地獄絵図なんだろうなあ。想像力が貧困だから想像できないんじゃなくて、想像することが悍ましくて身震いしてしまいそうになるかは、逃げてるだけ。道端の動物の死骸を直視出来ないのとちょっと似てる。少しずつ、光が見えてきた上巻。報われて欲しいし救われて欲しい。 三人の子どもの行く末が気になる。

  • 人間の死と向き合い、不幸の中の人間像を描く

  • 重いですね。のっけから救いのない状況が展開されていきます。
    感心するのはこれだけの救いのない話を書いている著者の精神力です。
    書きたいことに対する強い信念を感じます。
    このような話に常に向き合っている著者には、よく精神を病まないなと
    いつも心から驚きを感じます。

    歓喜の仔というタイトル、うっすらわかりかけていますが、その本当の意味がわかってくるのは後半でしょうね。
    この物語がどこへ向かうのか、見届けたいと思います。

  • 相変わらず、深い作品。
    すごく切なすぎて・・・どこかに明るい兆しみたいなものが見えてくるのだろうか、と。

  • 圧倒的どん底な環境の3人の兄弟妹と親の絶望的文学作品。

    天道さんの作品にしては読みにくいような気がします。
    病床の現在の寝たきりに近い母親、一番まともに思える次男、空想世界とがごっちゃになっている長男、死人が見える妹、過去の両親という六つの視点で、文体が異なるのはともかく、長男と妹の話が現実社会の物語に異世界的な話が挿入されるのでややこしいのだと思います。
    とはいえ、そこはさすがに天童さん、各視点が一回りしたら物語の中にグッと引きこまれてしまいました。

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著者プロフィール

天童 荒太(てんどう・あらた):1960(昭和35)年、愛媛県生まれ。1986年「白の家族」で野性時代新人文学賞受賞。1996年『家族狩り』で山本周五郎賞受賞。2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞受賞。2009年『悼む人』で直木賞を受賞。2013年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『あふれた愛』『包帯クラブ』『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』『静人日記』『ムーンナイト・ダイバー』『ペインレス』『巡礼の家』などがある。

「2022年 『君たちが生き延びるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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