日輪の賦

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 176
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344023543

感想・レビュー・書評

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  • 初・澤田瞳子さんです。

    題材は面白いのですが。。。
    飛鳥時代末期、持統天皇(讚良:ささら)による大宝律令制定を舞台に描かれた歴所小説です。歴史小説の中でもこの時代の作品は少ないですし、律令制定という題材も面白い。
    しかし、どうも説明的すぎる文体が私に合わないのか、特に前半は遅々として進まず。せっかく地方から登ってきた青年(廣手:ひろて)を主人公にして、脇に男装の麗人(忍裳:おしも)を配し、その他にも結構魅力的な人物が配置されているのに。それが十分に生かしきれて無い様に思えます。何か人物たちの反応が予定調和的と言うか、浅く感じます。
    苦言めいたことばかり書きましたが、力のある作家さんだと思います。評価は他の作品も読んでからにしましょう。

  • 律令国家の確立を巡る歴史小説。「持統」の号の意味するところが掴めるような気がする、「日本」と「天皇」の始まりの物語。

    お話としてはいまひとつ。まず語り口に引っかかった。古代日本を生きる登場人物達があまりにも現代的な言葉で話すものだから、素直に楽しみづらい。地の文は解説込みだから当然としても、台詞はもう少しそれらしく仕立ててほしかった。口調ではなくもっと単純な語彙の問題。
    その他、暗示的な情景描写がしばしば入るわりにどれも似たり寄ったりなのと、女性としての讃良王の苦しみに忍裳という女性のそれを重ねて描くくどさ、過去の歴史を現在から見た時の予定調和を思わせる各登場人物の物わかりの良さがどうも臭い。作品の主題、人物の台詞と併せて、重さと軽さがちぐはぐなようで少し残念。
    ただ核となる「日本」の誕生、これについてはとても熱いものを感じられて楽しかった。自分達自身を指す言葉を自分達自身が決めること、その誇り。新たな体制で始まったこの国を寿ぐ、それ自体がこの上ない美称のような国号だと、当時も思われていたらいいなあ。

  • 2016.02.兄の八束が京で亡くなった後,廣手が京に仕えることとなった.京では大海人の没後,大王の讃良は何とか律令制を整えようとしていた.廣手は兄の恋人だった忍裳と律令編纂している博徳の手伝いをする.兄の敵である丹比嶋と阿倍御主人が弓削王子を担いで無謀を起こそうするも失敗に終わり,そこへ藤原不比等が台頭してくる.そして,律令が完成し大王から天皇に,国名も倭から日本へと移り変わった.そして,廣手は律令制を説きに各地へと奔走する.日本誕生の歴史が分かった!

  • 澤田瞳子さんの、奈良もの第二弾。
    青春率はちょいとばかり下がったけど、なかなかよかですたい。
    葛野王って、こんな人だったのかーー。
    鵜野さんが、優しくも峻烈で、女帝っぷりがさすがです。
    にしても、着眼点がすごいやな。この時代を書いたものは色々あるけども、法令をメインテーマに、ってのはないんじゃないかしらん。
    人名が読めねえ!!てのを除けば、堪能させていただきました。

  • 持統天皇、男前!

  • もう少し文学的なものを期待していたが、大衆小説ぽかった。飛鳥時代の復習にはなったけど。

  • 律令制度を確立させ中央集権国家の完成を目指す持統天皇の時代、藤原京を舞台に人々の権謀術数を描く歴史小説。覚えづらい登場人物の名前と複雑な相関関係には悩まされたが、大きな目標に向けて展開する波乱万丈なストーリーは魅力的である。

著者プロフィール

1977年京都府生まれ。2011年デビュー作『孤鷹の天』で中山義秀文学賞、’13年『満つる月の如し 仏師・定朝』で本屋が選ぶ時代小説大賞、新田次郎文学賞、’16年『若冲』で親鸞賞、歴史時代作家クラブ賞作品賞、’20年『駆け入りの寺』で舟橋聖一文学賞、’21年『星落ちて、なお』で直木賞を受賞。近著に『漆花ひとつ』『恋ふらむ鳥は』『吼えろ道真 大宰府の詩』がある。

澤田瞳子の作品

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