昭和の犬

  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344024465

感想・レビュー・書評

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  • 姫野さん自身のこれまでの人生が書かれてるのか。読了して、涙が出るでもなく、瞼の中が厚ぼったくなった。この感覚は、リアルシンデレラでも味わった。

  • 始まりは静かに、興味を引かれるほどのきらめきを感じないかと、、、。読み進めるうちに、なんでもない日常の中、小さき声を出せぬ幼子が、大人が思う以上に真実を見つけ、両親の心の弱さを鋭く読みきって、力なき子どもが生きる術をみつける。徐々に時代も変わり、次々と性格の違う犬に出合うなか、幼子が成長する様子を丹念に綴っている、私小説らしいが、痛みを共有するような感覚に襲われてしまった。

  • 具体的な固有名詞が多く自伝的小説と途中から気がつき読みました。いわゆる毒親が出てきて気が滅入る場面も多かったけど、人生に関わってきた様々な犬に絡めて思い出が遠景的に綴られており、当時味わったであろう生々しい感情もマイルドに冷静に分析されていて読みやすかったです。「なにか一つだけ目立つ要素があると、人ってそのほかの要素を見なくなってしまうというか、見えなくなってしまうんだよ、きっと」、なるほどと思いました。

  • 決して幸せとはいえない主人公が、折々に関わった犬達によって彩られていく。
    「よその家の事は他人には分かりようがないんだよ」と彼女が思うとおり、彼女の人生を「気の毒な人」などと決めつけてはいけないのだ。
     でもちょっと子どもに圧力をかけ過ぎる親御さんにこれ読んでもらいたい。そして親に責められているとき、子供が何考えているのか知って欲しい。

  • 父親が怒る様を「割れる」とは言い得て妙。強烈な怒りで激震が走り、鏡やガラスが割れ、怒鳴り声さえも音が割れるような情景が一斉に目に浮かぶ。
    この父親は特に変わっているが、理不尽な事で怒鳴り散らす父親なんて、昔はそれほど珍しくなかった。まさに昭和だ。

    イクはすごく地味だけど、いいヤツで人としておもしろい。
    カワイイを強要する小型犬の飼い主に対するツッコミ。
    犬の行動を自分の都合の良い様に解釈せず、冷静に判断し、犬権を尊重して接してるところ。
    あんな理不尽な両親に育てられたのに、育てられたからこそ、謙虚で思慮深く、誰を責めるわけでもなく、身内を最期まで看取り、ひとりで淡々と前を向いて歩いているところが好きだ。

    イクの傍にいつも犬がいてくれてよかったとしみじみ思う。犬がイクを救ってくれてたんだ。

  • 姫野カオルコさんの本は、初めてでした。
    主人公イクが生涯に渡って、関わった犬や猫を通して
    描かれている。
    犬に馴染みやすいイクを犬を通してリアルに表現を
    している。
    それでいて、イクも犬もそれぞれのスタンツを淡々と
    たもっている距離感が何とも言えない昭和らしさを
    感じさせるのだろう。

    犬ってやっぱりこんなにも家族を見ているのだと
    改めて知らされ、愛犬の目をまた見つめる。

    イクと同じく、私も母の病気が発症した時には
    20代後半だった。
    重なる思いも深い。

  • 姫野さんの本好きなので、直木賞受賞おめでとうございます!と思ったんだけど、何より、選考委員の浅田次郎さんの「直木賞がねじ伏せられた」のコメントに心惹かれて久々の購入。
    問題は、育児に追われ、いつ読めるか…

    読了。すごく良かった。おしつけがましくなく、どこかユーモアさえ交えつつ、イクの人世が語られる。最終章の畳み掛けるような癒し、許し、みたいなものに、ほっとさせられた。しみじみとあたたかい作品だったきがする。

  • 犬や猫がいたから何とか生きてこれた、っていうのは、普通に幸せに育った人にはわかりづらいかもしれない。
    でも自分を否定しないものの存在が人には必要なんだ。
    つまんないなあ、と思いながら読み進めていったけど、結局最後まで一気に読んでしまった。

  • 一世代上の人生、親の介護の現実味を実感していれば、読後感も違うのだろう。小学4年から二十歳まで実家にいた犬、飼って七年目になる犬、せっかく犬と暮らしていても触れ合いは少ないな、反省。

  • 犬を家族としてつきあう今とはずいぶん違った昭和の話。飼ったり関わってきた犬の思い出を綴りながら、父や家族との関係に言及していく。
    飼っていた犬にそっくりの犬に出会い挨拶を交わすところは印象に残った。すこしせつない。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『純喫茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

姫野カオルコの作品

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