骨を彩る

著者 :
  • 幻冬舎
3.79
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344024908

作品紹介・あらすじ

どうしようもない、わからない、取り戻せない、もういない-。なかったことにできない、色とりどりの記憶が降り注ぐ。最大注目新鋭作家、書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『骨』という文字からどんなことを連想しますか?

    改めていうまでもなく私たち人間がこうして生活することができるのは、身体の中心にあって私たちの身体をきちんと支えてくれている『骨』があるからです。私たちが生きていく上で欠かせない存在、それが『骨』です。私たちはそんな『骨』を直接見ることはできません。何かの検査でレントゲン写真を撮って、自分の中にも理科室に不気味に飾られている骨格標本同様に『骨』があることを知ります。しかし、そんな大切な存在にも関わらずどこか『骨』という文字を口にすることには抵抗感もあります。『骨』という文字にはそれだけでホラーの匂いを感じる人もいるかもしれません。

    一方で、私たちは、そんな『骨』という文字を慣用句としてよく使います。“骨が折れる”、”骨を拾う”、そして”骨を埋める”など、『骨』という文字を使った慣用句は多々あります。これらの言葉はいうまでもなくものの例えです。”私は会社に骨を埋めます”と言った人がいても、夜中にスコップで掘って死体を埋めるのだろうかなどと思う人はいないでしょう。それこそ、ホラーの世界になってしまいます。そう、『骨』という文字にはどこか不気味な世界と隣り合わせにさまざまな意味合いが込められています。そして、ここにそんな『骨』という文字を書名に冠した作品があります。「骨を彩る」というその作品。それは、『骨』という文字が内在するさまざまな意味合いを物語の主人公の人生に投影させる物語。何かしらの欠落を意識する主人公たちが、欠落を埋めていくことで人生を前に進めていく様を見る物語です。

    『襖を引くと、和室には妻の朝子がいた』と、『衣替えをしている』妻に『ただいま』と語りかけるのは主人公の津村。『手伝おうか』と、声をかける津村は『妻の右手を取』ります。そんな『妻の手に、小指が欠けてい』るのを見て『彼女は、事故にでも遭ったのだったか』と考え『夫である自分が妻の抱える欠落に気づいてこなかったことを申し訳なく感じ』ます。そして、目を開けた津村は、それが『数年ぶりの妻の夢だ』ったことに気付きます。『母さんの夢、見たぞ』と、朝食の場で告げる津村に『お母さん、パパと相川さんの仲を妬いて出てきたんじゃない?』と返すのは娘の小春。『小さな不動産事務所を営んでいる』『津村の妻・朝子は、十年前に大腸がんで亡くな』りました。『享年は二十九』。そして、『娘の言うことは正しいのかも知れない、と勤務を上がった帰り道、弁当屋』で注文の出来上がりを待ちながら思い返す津村。そして、『お待たせしました』と言う女性から弁当を受け取る津村。その女性・相川光恵は、『二年前に夫と別れ、子供はないまま実家である弁当屋に戻ってき』ました。そんな彼女が来てから提供されるようになったメニューが気に入ったことで足繁く通い始めたのが二人の『縁の始まり』。『土曜日、楽しみにしています』と約束して店を後にした津村。そんな津村は、『同じこたつで妻がビールを飲んでい』るのに気付きました。しかもその場は『妻の実家』です。『朝子、と呼びかけようとして』舌を止めた津村は『妻の右手には、三本しか指がな』いことに気付きます。『俺を恨んでいるのか、と言おうとしても、口が動かない』津村。そして、目を覚ました津村は『しばらく呆然と天井を見つめ』、『妙な夢だ』と感じます。そして、土曜日になり約束通り光恵と出かけた津村は『光恵は素敵な女性だ』と感じます。『きっと彼女と結婚すれば…楽しい時間を過ごすことが出来る』と思う一方で、彼女が『千代紙で作ったブックカバー』を気にします。『押し寄せる色彩の群れからは、うっすらと病の匂いが』し、そのことが『光恵との交際にアクセルを踏みきれない理由』になっていると感じている津村は『数日後、また妻の夢を見』ます。『夢の中で、妻はいつも幸せそうに笑う。揺れのない、安定した幸福感を漂わせている』ものの、その『右手の指は、二本だ』と気付いた津村は目覚めて、『あれはなんなのだろう。指さえ欠けなければ、ただなつかしく幸福な夢として甘受することが出来るのに』と思い、『もしかして本当に妻の霊がなにかを訴えようとしているのだろうか』と考えます。そんな津村は妻が残した手帳に残されていた『だれもわかってくれない』という言葉を思い出します。そんな津村の日常が淡々と描かれていきます…という最初の短編〈指のたより〉。妻を失った一人の男性の複雑な胸中が何が起こるでもない普通の日常生活の中に沁み入るように描かれていきます。

    「骨を彩る」というどこか緊張感の漂う書名を冠したこの作品。『骨』というと私たちの身体を支える大切な存在ですが、理科室に不気味に佇む”骨格標本”の印象からかどうしてもその言葉を聞くだけで恐怖心が沸き上がってしまう存在でもあります。そもそもそんな『骨』という文字を作品の顔でもある書名に使う作品というのも珍しいと思います。私が読んだ作品では、江國香織さん「流しのしたの骨」が思い浮かびます。同作を読む際にも、やはり何が出てくるのかという怖さが先に立ちましたが、『骨』の存在は象徴的なもので、実際にはある家族の日常が淡々と描かれる物語でした。一方でこの作品も決してホラーではありませんが、全編に渡って『骨』という文字が大量に登場します。せっかくなのでいつもの如くその数を数えてみました。

    『骨』の登場回数: 42回

    この数をどう見るかですが、私たちが日常生活を送る中で『骨』という文字を一日の中でどれだけ使うか?と考えればこの数は異常に多いと言えると思います。そんな『骨』について『場面によって意味合いは多少変わっています』と語る彩瀬まるさん。それは、読者も『骨』という文字にこんなに広がりがあるんだと意識できるほどに多彩です。例えば第一章〈指のたより〉で『妻の手には、小指が欠けていた。指の付け根に、皮膚に覆われた骨がほんのわずかな盛り上がりを残す』と登場する『骨』は間違いなく”物理的な”『骨』です。一方で、第三章〈ばらばら〉では、『私の中で、いつも、骨みたいなものが、足りなくて』と玲子が語りますが、これが身体の『骨』が足りないことを意味するはずはなく『人として備わっているべき情緒が足りないという意味合い』にとれます。そして、第五章〈やわらかい骨〉で、『十三歳だった。津村小春が生まれて初めて、自分の骨を蝕んでいる黒いしみに気づいた』と提示される『骨』。一瞬、不治の病を意味するかにも感じますが、『もう変えようのない、自分を形作っている』、その人の生き様のようなものを意味することが物語を読んでいくとはっきりしてきます。そんな『骨』を、『人によっては“骨”=“心”と解釈する人もいるようです。読み手がいちばんしっくりくる捉え方をしてもらえたら』と続けられる彩瀬さん。そんな『骨』、特に第五章〈やわらかい骨〉の冒頭で『自分の骨を蝕んでいる黒いしみ』と暗い雰囲気感の中で提示された『骨』が、『骨にはきっと、同じ黄金色が染みているだろう』と表現されていく物語には、『骨』という文字に彩瀬さんが込められた深い思いを感じることができると思います。「骨を彩る」、非常に深い書名だと改めて感じました。

    そんなこの作品のもう一つの魅力が全編に渡って散りばめられている”比喩表現”の数々です。普段メモする習慣のない方でもメモしたくなるような素敵な言葉に溢れています。二つほどご紹介したいと思います。

    ・『八月の終わりから雨が続いた』ことで『町から夏の熱気を剥ぎ取っていった』という季節の変わり目を、『下校途中に傘を畳んだ小春は制服の袖が長くなった自分たちと同様に、空も装いを変えたことに気付いた』と表現する彩瀬さん。衣替えと空に感じられる季節の変化の対比を一文で見事に表現されていると思います。

    ・『秋の終わりだ。すごいね!私も見たかったな』と妻からメールの返信をもらった津村。そんな津村が撮った写真の光景を、『自分はいま、一つの季節の臨終に立ち会っているのだ。地面は目の眩むような金色に埋めつくされ、どこもかしこも光って見える』と表現する彩瀬さん。『一つの季節の臨終』という表現、そして『目の眩むような金色』という表現、美しい秋の情景が絶妙に表現されていると思います。

    ご紹介したのはいずれも季節にまつわる”比喩表現”ですが、他にも登場人物の感情を表すものなども多数あり、読んでいてハッとするような思いを味わわせてくれる作品だと思いました。

    そして、そんな作品は、構成としては五つの短編が連作短編の形式をとりながら進んでいきます。各短編の主人公は一編目〈指のたより〉が津村視点、二編目・三編目は、前編に脇役として登場した人物が代わる代わる主人公となり、四編目では一捻り効かせた物語が展開した後、最後の短編〈やわらかい骨〉で、津村の娘・小春が主人公となって物語を締めくくります。しかし、印象としてはさまざまな形で登場する津村が全体を通しての主人公だと感じます。『今回の連作短編では、お父さんの津村をいろんな視点で書くことができたのは面白い体験でした』とおっしゃる彩瀬さん。前妻の夢を見る一方で弁当屋の娘と付き合う姿、不動産屋で仕事をする姿、そして小春の父親としての姿と、津村という一人の男が持つ属性をこの作品ではそれぞれの視点から見ることができます。これはとても面白い試みだと思うと共に、結果として物語に自然と奥行きが生まれているようにも感じました。

    そして、そんな津村をはじめとした主人公たちは、何らかの”欠落”を意識しています。その一番の象徴は『妻の手には、小指が欠けていた』と、衝撃的に描かれる津村が見る夢が暗示する物語だと思います。『もしかして本当に妻の霊がなにかを訴えようとしているのだろうか』とも感じる津村。しかし夢に出てくるとはいえ妻はもうこの世の人ではありません。今の津村には娘の小春と過ごす津村の人生があります。『その彼が、自分を守っていた甘い幻を失ったあとに、どう心持ちを立て直していくかを書きたいと思いました』とも語る彩瀬さん。この作品では津村や他の主人公たちが欠けた空白をどんな風に埋めていくのかが丁寧に描かれていました。特に津村については、一編目〈指のたより〉で解決されなかった事ごと、例えば弁当屋の娘である光恵とのその後含めたその先の物語が、続く短編の中で納得感のある決着がされていくなど、丁寧な伏線回収がなされていきます。連作短編としても非常によくできた作品だと思いました。

    「骨を彩る」というこの作品。そこには、五つの短編それぞれに何かしらの欠落を感じながら生きている人々の姿が描かれていました。決して派手ではないこの作品。何か大きなことが起こるでもない普通の日常が淡々と描かれていくこの作品。絶妙な”比喩表現”の数々で魅せながら、それでいて登場人物たちの細やかな感情のあり様をしっとりと描き出したとても味わいのある作品でした。

  • 完璧な人間なんていない。
    だれもがどこか欠落している。
    その喪失感を抱えながら生きている。
    その喪失感を必死に埋めようとするのも人間だし、欠けた部分を受け止めるのも人間だと思う。

    五編からなる連絡短編集に登場する人々は、それぞれがそれぞれの喪失感をもって生きている。
    それぞれの痛みが、美しい情景とともに鮮やかに浮かび上がる。
    降り注ぐ銀杏の葉っぱや、色とりどりの千代紙、降りしきる雪。
    巧みな言葉遣いによって静かに心に迫る。

    とても良かった。
    誰からも好かれるなんて幻想だ。
    でも自分の立ち位置はそう簡単に変えられない。
    与えられた、もしくは自分の作った役を必死に演じるだけ。
    前半はそんな取りとめのない感想を持った。

    そして圧巻の最終話。
    母親の記憶がない小春。
    幼いころから同情されることに反発心を抱いてきた。
    普通とは何なのか。
    自分とは違うものを認める恐怖。
    他人の痛みを分かち合う難しさ。
    大人になっちゃうと、前半に出てくる女性たちのように“関わらない”という選択をする人が多くなると思う。
    それを敢えて一歩踏み込むのが若さだな。
    最後に中学生を主人公にしたことは大正解だと思う。

    連作短編集も良いけれど、つながりとしては無理矢理な感じもしなくもない。
    ちょっと惜しい感じ。
    一歩踏み込んだ長編を是非とも読んでみたい。

  • タイトルと装画に惹かれました。凄く凄くよかったです。何度も読みたいです。 初めて彩瀬まるさんを読みましたが、表現がとても豊かで私の好みでした。

    私は、登場人物の玲子と自分が重なって、凄く苦しかったです。玲子が想う”ばらばらを心の内側に持たない、みずみずしく傷つきやすいものを憎んでいたい気持ちがある”という言葉がとても印象的で、まさに一番苦しかった時の私。

    ブログにて詳しいレビューしています*
    https://happybooks.fun/entry/2021/02/26/170000

  • ようやく読めた。「喪失」をテーマとした連作短編集は、どの話も心にずしりとくるものばかりだった。
    家族、恋愛、友情…いつだって順調な関係を育んでいけるわけではない。心のすれ違いで自然と距離が生まれてくることもあれば、何らかの事情で別れを余儀なくされることもある。わかり合いたいのに、傍に寄り添いたいのに、どうしても壁を越えられない。どうすることがよかったのか、何がいいか悪いなんて簡単にジャッジできるものではない。その「グレー」な部分を静かに掬って描くのが、彩瀬さんはたまらなく上手いと思う。簡単には触れられない、痛みや苦しみや哀しみに向き合いつつも、どこかに作者の視線のあたたかさを感じる描写。そんな彩瀬さんの真摯な姿勢が本作からも感じられた。
    どの話も好きだけれど、一番印象に残ったのは最終話の「やわらかい骨」だ。女子中学生の小春が主人公なだけに、その時期特有のデリケートな空気感が、何ともリアルで息苦しいほどだ。父子家庭に育ったという彼女の事情、そして転校生のクラスメートが背負うハンデがクロスし、クラスメートとの交流を通して、小春が悩みつつも前に踏み出そうとする過程が丁寧に描かれていてとてもよかった。小春は第一話の主人公、妻を亡くした男性・津村の娘だが、ここで物語がぐるっとつながったのもまた見事だった。
    ☆5つ付けてもいいほどですが、惜しむらくは…宮城観光のシーンや小学校生活を語るところで若干首を傾げたくなる部分が…。それ以外は文句なしです。
    イチョウの葉が降るシーンが本当に美しくて、丁度イチョウの季節にこの本を読めてよかったなと。街路樹の傍を歩くたび、その場面を思い出します。
    じっくり噛みしめるように何度も読みたくなる、著者の想いがあたたかく心に沁みる一冊。

  • 骨とは…その人の根幹をなすもの…という意味なのでしょうか。
    骨へと染みる色なんて、今まで出会わなかった表現でした。

    登場人物がつながっている5つの物語。

    誰しもが持っている、他人と比べたときに思うこと。
    自分は足りてないんじゃないか、
    何かが抜け落ちているんじゃないかということ。

    そのスカスカな部分をどうにか隠そうと
    手当たり次第埋め込んでは苦しくなり、
    結果、立っていられない場所に追いやられていたりする。

    でもふとした瞬間、
    こうすればいいんだとわかったり
    あの時はそうだったんだと理解したり
    今までとは違う目線の一歩を踏み出す時
    気持ちが満ちてぱぁっと色が散るように鮮やかな瞬間が下りてくる。

    そんな5人の瞬間に立ち会うことができました。

    またモノクロの日々に戻ったとしても
    こんな瞬間をより鮮やかにしてくれるならば
    それはそれで大切なんだと思います。

    彩瀬まるさん、初めて読みました。
    表現する素敵な言葉をたくさんもっていらっしゃる作家さんですね。
    私にはどれも新鮮で、的確で、好きな表現でした。

    今年の最重要チェック!!作家さんとなった一冊です。

  • 今の季節に読むのも良い。
    秋の終わり、一つの季節の臨終の象徴的なシーンがこの連作集の始めと終わりを満ちてゆく気持ちと共に飾る。
    タイトルの意味するところも的確にはわからない、また深く追うつもりもないけれど、小さな再生と希望を暗示しているように思われる。
    大きなことは出来なくていい。気付けたことが未来を照らす第一歩だから。

  • 皆それぞれの「事情」がある。この本書の登場人物が語るように、そこに踏み込まずに程よく距離を置いてうまくやっていくのが大人なのだろう。だけど、傷つき、傷つけるかも知れないけれど、あえてそこに踏み込むことでしか得られない関係性がある。繋がっているのにどこか寂しい、そんな孤独感がどこかに潜む現代社会に足りないものがこの物語にはある気がする。様々な事情を抱えた私とあなた。理解したくてもその全てを分かち合うことはきっとできない。それでも、その事情も含めて互いを丸ごと受け止めることで得られる人の温もりや信頼。そんな友人を、家族を、増やしていきたいなと思った。

  • 綾瀬まるという作家を初めて知ったのは「王様のブランチ」だった。
    そこで紹介されていたのは「桜の下で待ってる」
    かなり興味をそそられ、手帳の読んでみたい作家欄に ”綾瀬まる”と書き込んだ。
    不思議なもので、手帳に書き込むとほどなくその作家の本と出会うことが多い。
    本屋さんや図書館が充実しているわけではないバンコクでは本を特定してしまうと難しいので、まずはその作家さんが書いた本ならどれでも良いから読んでみよう的なゆるいスタンスでいることが大切。
    で、私がであったのが【骨を彩る】
    何やら不思議なタイトルで、微妙に怖さも感じるけれど、とにかく読んでみることにした。
    その結果は、面白かった!
    タイトルが示すように、ちょっと不思議な感じはあるのだけれど、つい引き込まれて読んでしまった。
    他の作品もぜひ読んでみたい。

  • 彩瀬まるさんの著作は初めて読んだ。
    友人が彩瀬まるさんを勧めていたので気になった。

    小説を読むのは久しぶりで読み切れるか心配だった。まずは短編と思い図書館で探し、装画のイチョウの葉が鮮やかな本にした。

    前の話では中身が見えてこなかった人物が、次の中心人物となり進んでいく。人物の見えていなかった部分が明らかになる。
    こういう小説を連作短編集というと初めて知った。少しずつ読み進めやすいので好みだ。

    小説を読みつつ自分の過去や日々を振り返ると、全く同じではないが似た問題を抱えたことがあった。
    人に相談することがなく自分だけの問題と思っていたから、ここに悩んだ人物がいてなんだか安心した。

    自分の思いも知ることは難しいのに、他人について全て知ることなんてできない。どんなことを抱えているか全て分かることは出来ないけれど、あなたのひと時の幸せを願わせてください。そんな諦めと温かい気持ちになった。

    そして、読了後に本を閉じたとき、目を見張りましたよね。

  • 連作みたいな短編集
    少しずつ心に沁みた。
    自分の人生を生きよう。

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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

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