禁城の虜 ラストエンペラー私生活秘聞

  • 幻冬舎 (2014年1月7日発売)
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本 ・本 (392ページ) / ISBN・EAN: 9784344025134

感想・レビュー・書評

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  • ラストエンペラー・溥儀。
    宦官とか纏足とか、恐ろしい慣習も
    当時は当たり前だったんだよね。
    生活っぷりが、いちいち、え!マジ?なのだ。
    だから、歴史って、おもしろいのかも。

  • 清朝末期から共産党が政権を取るまでの近代中国には数奇な運命を地で行くような人物がたくさんいるわけですが、その中の代表的な1人、ラストエンペラー溥儀について。蒼穹の昴シリーズが好きな人、あるいは塩野七生の文体が好きな人には読みやすいのではないかしら。なかなかに生々しいシーンもありますが…。様々な証言や文献にあたれるのはまだ遠くない、まだ歴史になってないぐらいの昔のことだからこそ。

  • 今まで知らなかった視点から歴史を見ることができた。

  • 三度即位して三度退位し、五度の結婚、二度の離婚を経た男の、知られざる生涯の記録。
    もちろん彼は超VIPであるからして、その生涯は「知られざる」どころか大いに有名だ。だが本書は、皇帝だった彼に長く仕えた宦官に直接取材した中国人歴史家(この分野の第一人者として名高い)からの直話を多く収録し、また著者自身も自伝の異稿を照合するなど、かの国の言語や事情に詳しい。最新の歴史学の見解も多く取り入れ、歴史の闇に半ば呑み込まれかけていた元皇帝の「秘史」を明らかにすることに成功している。貴人の「秘史をあばく」系の本には結局隔靴掻痒の感が強いものも多いが、それらとは明確に一線を画していると言っていいだろう。
    さて溥儀なる人物であるが、つとに言われているように、まあとにかく「我」ばかり強いくせに、「自分」のない人物である。恥を知らないその生きざまに対しては、一度どころか三度も一国の皇帝であった人物に対して畏れ多いことながら、嘲笑・憫笑しか浮かばない…というのが、一般的な反応だろう。
    だが本書の新証言を読んで、やや印象が変わった。擁護色など微塵もない、むしろ多分に批判的な書きかたなのに、その人生と運命の正味のところを知るにつけ、彼がああなったのもやむなしというか、彼自身にその点の罪はなかったのだと思えたのだ。「お前を笑わない」ではないが、少なくとも私には彼を嗤えない。むしろ、天と他人にあれだけ翻弄されながら正気を失わず、かつ生命も失わず、まがりなりにも畳の上で大往生を遂げた彼は、出色の人だったのではあるまいか。
    かの国の諺に「鶏かごに入れば鶏になり、狗小屋に入れば狗になる」というのがあるらしいが、まさしくそれを全うした。それもまた紛れもなく、あるひとつの成就ではあるのだろう。

    2014/5/31読了

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著者プロフィール

加藤 康男(かとう・やすお)
1941年、東京生まれ。編集者、ノンフィクション作家。早稲田大学政治経済学部中退ののち出版社勤務。退職後はおもに近現代史をテーマに執筆活動に携わる。『謎解き「張作霖爆殺事件」』(PHP新書)で山本七平賞奨励賞を受賞。そのほかの著書に『通州事件の真実』(草思社文庫)、『昭和天皇 七つの謎』(ワック)、『靖国の軍馬』(祥伝社新書)、『三笠宮と東條英機暗殺計画』(PHP新書)、『八月十五日からの戦争「通化事件」』(扶桑社)、『ラストエンペラーの私生活』(幻冬舎新書)など多数。

「2020年 『双葉山の邪宗門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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