星よりひそかに

  • 幻冬舎 (2014年4月8日発売)
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本 ・本 (212ページ) / ISBN・EAN: 9784344025646

感想・レビュー・書評

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  • 全部で7編からなる短編集。
    献本でいただいた一冊となります。

    主人公は、10代、20代、そして30代と、様々な年代の女性たち。

    それぞれの心のひだを浮びあがらせているような、
    そんな印象を受ける物語が綴られていきます。

    一見するとバラバラに独立しているかのような感じですが、
    所々でちょっとづつつながっているのが、個人的には好みです。

    作者の方はちょうど同世代のかた、それもあるのでしょうか、
    初めての方でしたが、なんとなく世界観などがスルッと入ってきました。

    恋をしていた人、恋をしている人、
    そしてこれから、恋をする人、、

    人はいくつまで“恋”にときめくことができるのかな、なんて。
    今クールのドラマ「続・最後から二番目の恋」を思い出しながらつれづれに。

    個人的には、“かなえ”ちゃんたちのその後と、
    万里子ちゃんたちの“家族”のその後が、気になりました。。

    どことなく古びたフランス映画のような香りも感じました、
    単館系のオムニバス形式でかかってそうな、そんな一冊です。

  • OL、女子高生、モデル、バーテンダー、ワーキングママ…様々な世代の「片思い」をテーマにした連作短編集。
    何気ない会話と情景描写の積み重ねから、微妙な心の揺れ動きが伝わってくる。今回も柴崎さんの巧さが光っている。甘さも苦さも酸っぱさもほどよい加減で、想いは真っ直ぐなようでどこかが歪んでいて。その「歪み」具合が今回はものすごくツボでした。
    柴崎作品は相性がはっきりしていて、のめり込めない時は文章が頭を素通りしてしまうのだけど、その点今回はするすると読めたかも。それぞれの登場人物の持つ屈折した感情は、誰にでもあり得るリアルさを孕んでいて、印象的だった。同級生を冷めた目で見つめる女子高生の「ほんの、ちいさな場所で」「この夏も終わる」がなかなかよかったけど、一番共感できたのは、自分と同世代のアラフォー子持ち女性が主人公の「九月の近況をお知らせします」かな。日々に忙殺されて子供に当たり気味な気持ちもわかるし、元彼の妻のブログを見るのを止められない気持ちもわかるし、夫の人気女優に対する行き過ぎたファン感情もわかるし…。「わたしは今、望み通り、なんかじゃなくて、予想もしなかった生活を送っているけれど、少なくとも、やりたくないことはやっていない。(中略)夫はよくわからない人ではあるがこの小さな家族を支えてくれている。たぶんそれは、けっこう難しいことだ。ささやかだけど、得難いものだ。」というくだりに、胸のつかえが取れた気がした。アップダウンの繰り返しな自分の日々も、肯定できそうだなと何となく思えた。
    ジャケ惚れしたくらもちふさこさんの装画もものすごく素敵です!今作はくらもちワールドに通ずるものがあるような。何度でも読み返して余韻を味わいたくなる一冊です。

  • とっても読みやすかった。しかし、1週間もしたら内容忘れた。。でもわたしの、サクサク読みたい欲を満たしてくれた。内容が残るばかりがいいとも限らない。また柴崎さんの本読みたい。

  • ひとつひとつの短編は面白いんだけど、いくつかずつ、微妙に絡んでるので、その関連性で戸惑った。
    タイトルの付け方や目次のレイアウトでグルーピングしてくれたら良かったのに。

  • 同棲している彼の本からラブレターを発見した女性の話から始まる連作小説集。
    写真展帰りに知り合ったノブナガやミニ子の好きな俳優の彼女や、彼にラブレターを渡した「かなみ」等色んな人物の恋愛模様がみんな愛おしい

  • ラヴの話。ドライだ。気持ちがいい。
    もっとこう、ふんわり生きてたって別にいいんじゃないか、と思えるね。

  • 恋人がひそかにもらっていたラブレターを見てしまったこと。

    片思いの人に書いたラブレター。
    友人は早々に新しい彼氏を見つけたというのに、いつまでも気持ちを引きずっているわたし。

    女子高生の憂鬱。
    合唱祭のこと、幼馴染に失恋した友達、幼馴染が本当に好きな相手。
    恋やら会いに関心のない自分。

    たまたま結婚したものの妙な女性で何もわからないまま離婚したバーテンダーの謎。

    自分で生活費を稼ぐ芸能人の若い女の子が
    お金でも才能でもなく一番欲しいものは、たった1人の男の子からの愛だった。

    ヘアメイクの仕事が好きで、夫は少し変わっているけれど育児や家事をやってくれて
    それなのに元彼の妻のブログを見てしまう私の気持ち。

    みんな色々。
    バーテンダーのは謎だった。もっと知りたいのだけど。
    最後のは、目の前の幸せを再認識するための大事な儀式、なのかな。

  • 短編集。登場人物が遠いところで少しずつ繋がっている。、が遠すぎて少し物足りなさ。。ちょうどいい距離感かもしれないけれど、もう少し輪のような感じが好みかなあ。
    後半の人たちより、前半の方が面白かった。モデルとか撮影とかは、あんまり好みのネタではないかな。

  • ぼんやりと繋がった短篇集かな?
    繋がるというか、同じ世界に
    生きてる別々の人たちのお話?

    うん、恋の話なのかな?
    なんだか、わかるのかわからないのか
    よくわからないけど
    いいなぁと思いながら読んでた。

    「あの子は、あの人に触られてるんやなあ」
    胸がキュってなる。
    すきな人には、触るより触られたい。

  • 恋愛小説を読みたい衝動に駆られることが、年に二、三回あります。多分、一辺倒な自分の読書傾向(推理小説)に対する一種の防衛反応かなあ、と…いえ、そんなに深く考えたことはないですごめんなさい←

    この本を読んだのは秋口だったと思うのですが、秋に恋愛小説を読んでる自分を自覚すると、毎回何故か失笑してしまうんですよねー(謎)。でも、今作に関しては特にそれがなかったな。恋してたからかな←

    恋人の部屋でラブレターを見つけてしまった女、
    好きな人にだけ好きになってもらえないOL、
    恋?めんどくさ…なJK、
    たった数ヶ月で離婚したけど原因がよく分かってないバーテンダー、
    恋人に会えず終始モヤモヤしてるモデル、
    元彼の奥さんのブログチェックを欠かさない母親。

    Happily ever afterで少女たちを魅了するのがおとぎ話なら、After thatを共感と反発を覚えながら楽しめるのが恋愛小説。

    ウンウンそうよね分かる分かる、が大好きな女性の為のフェアリーテイルです。もっと絞ると、20オーバー、アラウンド30かなぁ。

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著者プロフィール

柴崎 友香(しばさき・ともか):1973年大阪生まれ。2000年に第一作『きょうのできごと』を上梓(2004年に映画化)。2007年に『その街の今は』で藝術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、2010年に『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞(2018年に映画化)、2014年『春の庭』で芥川賞を受賞。他の小説作品に『続きと始まり』『待ち遠しい』『千の扉』『パノララ』『わたしがいなかった街で』『ビリジアン』『虹色と幸運』、エッセイに『大阪』(岸政彦との共著)『よう知らんけど日記』など著書多数。

「2024年 『百年と一日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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