いろは匂へど

著者 :
  • 幻冬舎
3.06
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本棚登録 : 338
レビュー : 61
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344025707

作品紹介・あらすじ

京都麩屋町で小さな和食器店を営む30代半ばの紫(ゆかり)に、草木染めの魅力を教えてくれたのは、50歳の草木染め職人・光山(こうざん)だ。彼は、静かな独身生活を楽しんでいた紫に、恋する気持ちも思い出させてくれた。しかし、無邪気で大胆な一方で、強引なことをしない彼に、紫は心を持て余す。実は、光山には想像もつかない過去があった。無邪気に口に出せない30代女子の恋。寺町、西陣、大原、鴨川、麩屋町…京都の街を舞台に、ちょっぴりビターなラブストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 京都で、祖父母から譲り受けた和食器屋を営む三十路の紫。恋からも遠のいているこのところ、とあるパーティーで草木染め職人の湊光山と出会う。50代、マイペースな芸術家は、相当な人たらし。いつの間にか彼のペースにはまってしまい、どんどん惹かれていく。
    同じく京都と恋を描いた「左京区七夕通東入ル」は、ちょっと入り込めなかったので、今回も読み始めはページがどうも進まなかった。でも、自意識こじらせ気味の紫の不器用さに何となく共感できたのと、京都の街並み、紫のアンティーク風な和食器屋やなじみの飲み屋さん(お料理おいしそう!)、草木染めの仕事などディティールがしっかり描かれており、色彩豊かでイメージがしやすかった。特に草木染めの奥深さ!読んでいてワクワクしました。
    グイグイ系…かと思うと放置したり…な、つかみどころのない光山に惹かれる気持ちを素直に認められず戸惑う紫、気持ちは行きつ戻りつじれったい。そんな彼女に片思いしている、日本びいきなアメリカ人のブライアン。光山の工房を手伝う、いわくありげな美女の藤代。いつの間にかなりゆきでこの4人でお出かけする機会が増えて、それなりに楽しそうではあるけれど…テレビドラマみたいな相関図で表したなら、複雑でめんどくさい関係になりそうな(笑)いびつな四角形のこの関係がちょっと面白い。
    この光山、けっこうなクセモノで…複数のガールフレンドがいるというのだ。う~ん、悪気なく好きなものを好きというまっすぐさ、たち悪いわ。好青年のブライアンにしとけよ紫!と思ってしまうけど…わかっていてもどうしようもないのでしょうね。そして、徐々に語られる光山と藤代の過去。ここだけに焦点を当てたのなら、全く違う恋物語になってしまいそう。かつての二人について、読み終えてあれこれと思いを巡らせてしまった。
    映像化してもらいたいな、と思いました。ミニシアター系で観てみたい。光山のキャラはどうにも好きにはなれなかったかけど、色気のある俳優さんに演じてもらったら、ちょっと印象変わるかも…?
    連載時のタイトルの「浮雲ピクニック」の方がかわいらしくていいんじゃないかと初めは思ったけど、読了後、「いろは匂へど」というタイトルの意味を深く深くかみしめております。

  • 30台半ばの独身女性・紫と、50歳の染色家の男性・光山の関係が描かれている。光山は女ったらしで割とダメなオジサン。
    紫は濃い人間関係が苦手で、母親を含めたすべての人とある程度の距離を置いている。そしてそういう生き方がいいと物語の最初では思っている。
    ブライアンという外国人の男性からアプローチを受けているけれど、いまいち踏み込めない。
    そんな彼女の心に、突然踏み込んできたのが光山。
    最初は大してよく思っていなかった紫だが、染色と向き合うときは真摯なことに気付き、次第に惹かれていく。
    しかし光山には何人かのガールフレンドがいた。特に親しくしているのが藤代という女性。
    藤代と光山は、過去に深いかかわりがあったことがしだいに分かっていく。

    多分天然でやってるんだろうけど、光山が紫の心に踏み込んでいく過程が憎いというかなんというか。強引に行かずにしばらく連絡もしなかったり、かと言えば迫る時は迫ったり。
    人間関係に希薄だった紫の心は、しだいに光山からの電話を待ち焦がれてしまうほど揺れ動く。
    紫は、光山の本命は藤代だと結論付けたようだけど、紫にもだいぶ傾いていたように思う。
    というか、光山は本命を作れない人なのではないかと。そういうのを分かってくれない女性とは付き合わなくていいやと思ってるフシがある。
    女同士の揉め事に巻き込まれて刺されて死ぬタイプだな。
    そして結局フラれ続けたブライアン、切ない。
    現実にこんな女ったらしがいたら嫌だけど、ダメなオジサン、いいわ。

  • 30代中頃の女性のキャリアとして描かれる京都の食器の深さ、そして出会う染色家の男性を巡る物語。京都の地名が出てきて歴史というか湿気を感じる。語られる会話のえせ京都弁。それが読みやすい。作者の得意のジャンルの気がする。しかし、登場人物が大学生だった頃(左京区七夕通東入ル)のハッピーさが影を潜め、少し訳のある人物が描かれている。日本人と同化している外国人のキャラが少し分からなかった。そんなに軽い外人なんかいなあ。

  • 読み終わって、結局何だったの!?って感じだった

  • 惹かれて、でも近づけば知らなかった彼の姿が見えてきて…。
    迷い揺れ動く主人公の恋路。

  • 光山は根っからの人たらしなんだなぁ。
    京都の雅な雰囲気と染織の伝統的な部分が相まってとてもよい空気感だった。あと紫と同年代の私としてはケガした時の一人身の大変さが身にしみた…。そんな時にブライアンみたいな人がいたら絶対惚れる。あと名前の影響もあるからだけど、ブライアンは茶色、肥沃な大地のイメージ。

  • ふわふわもやもや。芯がないのに漂うのは心地悪い。

  • 紫が営むお店のことも、紫の恋についても、すべて中途半端な感じがして楽しめなかった。光山さんは何でこんなにモテるの・・・?

  • 京都を舞台にした染色家と和食器店の女店主の大人のラブストーリーというのに惹かれ読み始めたものの、人たらしと言われる染色家の光山の魅力がちっとも分からず、和食器店を営む30代の紫の、年齢より頑なで幼い考え方に反発を覚え、その上、なかなか進展しない二人の仲にイライラし、光山を人たらしと作者はいうもののただの女たらしとしか思えず、心底がっかり。大人の恋物語に酔いしれたかったのに残念至極。

  • 京都、食器屋を営む紫。

    パーティーで出会った、草木染めをやっている光山は
    「ひとたらし」で有名な人だった。

    人懐っこくて、だけど掴みどころのない光山。
    気付いたら、惹かれていた。

    彼の工房に通う、藤代さんとの過去。
    紫に思いを寄せるブライアンと、4人での付き合い。

    誘われた旅行、海外に住む両親
    ブライアンの優しさ、突然の怪我。

    光山に心を奪われてはいけないという気持ちと
    すべてを預けてしまいたいという気持ち。

    完全に染まることはなかったけれど
    いい具合には染まることができた。
    頑固で独りよがりな紫にとってのちょっとした冒険。

    紫は傲慢だと思ったけど
    恋心は自分ではどうにもならないしね。

    若かったらわかることのできない
    オトナの恋愛事情。

    最後の朗らかな様子がほっこりした)^o^(

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著者プロフィール

瀧羽麻子(たきわ あさこ)
1981年兵庫県生まれ。京都大学卒業。2007年『うさぎパン』で第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞。著書に『株式会社ネバーラ北関東支社』『はれのち、ブーケ』『いろは匂へど』『左京区七夕通東入ル』『左京区恋月橋渡ル』『左京区桃栗坂上ル』『ぱりぱり』『松ノ内家の居候』『乗りかかった船』『ありえないほどうるさいオルゴール店』などがある。

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