女の子は、明日も。

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 937
レビュー : 122
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344025929

作品紹介・あらすじ

妻子のいる男を略奪し結婚した満里子。企画が通らない女性誌編集者の悠希。不妊治療をはじめたマッサージ師の仁美。売れたことで嫉妬をかう翻訳家の理央。経済的安定。仕事での成功。愛する人との結婚、そして、妊娠、出産。どうして私より先に、あなたが"それ"を持っていく?

感想・レビュー・書評

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  • 自分はいくつになっても、こういう女性の生き方模索群像ものが好きなんだなぁとつくづく思う。
    高校時代の同級生4人組の、アラサー既婚女性の連作短編。歯科医の妻・満里子、出版社勤めの悠希、マッサージ師の仁美、翻訳家の理央。それぞれがままならない現実に翻弄され、満たされない心を持て余し、自分が求めるものを手に入れている相手に嫉妬する。
    テーマ的には新鮮味はないのだけれど、それでもページを繰るたびに心がざわざわする。できれば見たくないであろうどす黒い本音。頑張りが虚しく空回りすることに耐えられず、時には醜い嫉妬心をむき出しにして八つ当たりし、夫との関係もぎくしゃくしたものになっていく。いつだって女性は「隣の芝生は青く見える」のだ、「どうして私より先に、あなたが“それ”を持っていく? 」という思いから逃れられない。
    月に一度の4人での食事会を楽しみにしながらも、相手の持っているものをそれぞれに羨む4人。そこに高校時代のエピソードを絡めることで、4人が抱える心の闇が浮かび上がってくる。
    飛鳥井さんは本作で心の葛藤のみならず、女性特有の体の問題も躊躇なく描いている。特に不妊を扱った章は色々と考えさせられた。婦人科系の不調と向き合うことが怖いというのも本音だし、うすうす感じながらも忙しさを理由につい目をそらしてしまうということ、多いのではないだろうか。登場人物らの悩みを通じて、自分の体と向き合うことの大切さも教えられた気がする。それは心と向き合うことにもつながるのだと。
    最終章、翻訳家の理央の夫・真也の言葉が印象的だった。「誰にでも、どれだけ欲しがっても、どうしても手に入らないものって、きっとあってさ。そういうものがあるってことにおいては、誰でも平等だと思うんだけど、俺は。」そうなのだ。そうわかっていても、受け止めきれない時がある。そんな思いを、誰かを攻撃することではなく、もっと違う方向に昇華させることが出来れば。それぞれぶつかりつつも、そのぶつかりの過程で「隣の芝生が青くなかった」ことに気付き、少しでも前向きな方向に歩き出そうとする4人の姿が清々しい。決して泣かせる展開ではないはずなのに、ラストは涙があふれた。「女子」「女の子」を多用する世の中に食傷気味だったけど、(本書を手にした時もタイトルだけはどうよと思っていたのだけれど)読み終えて、「女の子」の意味するところに納得。
    飛鳥井さんはマンガ家の表紙イラストとの相性が抜群だと他のレビューでも書いたのだけど、今回の谷川史子のカバーもまた最高に素敵!芯の強さを感じさせる凛としたまなざしに、ぐっときました。
    私がこれまでに読んだ飛鳥井作品の中で、今のところ一番に好きかも。

  • あのね。良かった。
    こ~ゆ~立ち位置を変えて展開してくの、好きだぁ!
    そして、それぞれの女の子特有の色んな悩みね。
    結婚の形やら、仕事のことやら、子供のことやら…ね。
    自分が思ってる自分の姿と、
    友達から見た姿と、
    そのギャップがリアル…。

  • 4人それぞれに共感できるところがあって、身につまされたり慰められたり。何を選んでも選ばなくてもちょっと大変でちょっと幸せな毎日になるもんだと癒された。

  • 同世代の女子4人の話はとてもリアルに感じた。友達には話せないこと、旦那さんに本音を言えないこと、やっぱりみんな抱えて頑張ってる!

  • 月一で集まる高校時代の同級生、現在32歳既婚の4人の『女の子』の話。
    年の離れた医師と略奪婚をした満里子、年下の夫のいるキャリアウーマン悠希、不妊治療中の仁美、翻訳家として売れっ子となった理央。
    立場の違う4人でも、それぞれに共感したり思い当たるようなところがあり、女としては、身にしみるお話だったと思います。
    各旦那様が良かった。まるで違うタイプだけど、みんな奥さまを心から思っている感じが伝わり、この手の小説にありがちな、うまくいかない夫婦がいなかったところがいいなと思いました。

  • 同じ高校出身で、ひょんなきっかけで再会して友達付き合いをしている4人の30歳代前半の既婚女性たちのお話。
    女同士ってカルテットがしっくりくるね。
    3人だと、2対1になる。
    2人だと、ときどき息苦しくなる。
    5人以上だと、テーブルを囲んで一つの話題でおしゃべりするにはつらい人数になる。

    それぞれ結婚して、好きな仕事を続けている人もいて、みんな一見幸せそうに見えるけど、オンナってのはどうして人と比べちゃうんだろう。妊娠・出産、専業・兼業という選択肢がオトコにはないせいかな。受身になってしまう性だからかな。

    読みながらいろいろと考えさせられましたが、最も思ったのは、人をうらやんで比べていたって幸せにはなれない、ってこと。
    ないものをほしがるよりも、自分が今持っているもの、身近にいてくれる人、そしてこの身体を大事にして、ありたがく思うことが大切なのだ、と。

    それにしてもここに出てくる夫たち、みんなすごく素敵な男性でした。弱い自分、妬んでしまう自分を認めつつ、勝った・負けたではなく自分たちなりの幸せをつかんでいこうとする仁美のだんなさんの言葉が、一番ぐっときました。

  • 女子は4人が一番バランスが良い。SATCだって4人組、柚木麻子の『あまからカルテット』も4人。3人や5人の奇数だと二人組みになると一人余ってしまうし、かといって二人だと少なすぎる。本書も様々な環境にある妙齢の女子4人のお話だ。周りから見て何もかもを手に入れているように見えても、美人でも、仕事が充実していても、結婚していても悩みは尽きないし周りからはその悩みもわからない。女子は微妙に牽制しあいながら生きている。ほんとアラサー世代にガツンとくる、飛鳥井千砂。

  • わかると感じる部分とわからない部分。4人はそれぞれ性格も環境も異なるんだけれど、全般に流れる雰囲気は同じに感じる。時折誰が誰だかわからなくなって読み返したり。これは、この作家さんの文章の持ち味なのかな。

  • 複数の女性がそれぞれ色々抱えて生きているんだよ的な本は今までにもいくつか読んだけれど、本書は小説を読むという形で自分の大事な時間を使う価値が感じられなかった。
    具体的な生理・生理・生理の描写。
    自分が生理が軽いタイプで共感できないのではなく、逆に重いタイプだけれど、医学本ではない小説でそこまでの描写を読みたくもない。

  • 飛鳥井さんの描く、かつて女の子だった、4人の女性それぞれが、自分の何処かに秘めているものだったのでびっくりした。
    いつも飛鳥井さんの描くものにはびっくりさせられる。どうしていつもこんな繊細に、ある一点をついてくるのだろう。
    麻里子なんか悪く言えばビッチそのものなのに、そんな風にまとめず描かれていて。ほぉと声が出てしまったほど。学級院タイプの悠希はイメージした通りのストーリー、けれど泣けたな。いちばん普通な女の子な仁美、不妊治療の話。そして自由人だった理央。彼女の旦那さんの言葉がすとんと落ちてきて憧れた。
    どれも女性のための物語。

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著者プロフィール

飛鳥井 千砂(あすかい ちさ)
1979年生まれの小説家。北海道生まれ、愛知県稲沢市育ち、神奈川県在住。
2005年『はるがいったら』で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2011年刊行の文庫『タイニー・タイニー・ハッピー』が20万部のベストセラーとなる。他の代表作に『アシンメトリー』『君は素知らぬ顔で』『UNTITLED』『鏡よ、鏡』『女の子は、明日も。』『そのバケツでは水がくめない』など。

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