明日の子供たち

著者 :
  • 幻冬舎
4.12
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026148

感想・レビュー・書評

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  • *三田村慎平・やる気は人一倍の新任職員。和泉和恵・愛想はないが涙もろい3年目。猪俣吉行・理論派の熱血ベテラン。谷村奏子・聞き分けのよい“問題のない子供”16歳。平田久志・大人より大人びている17歳。想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている!児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇*

    児童養護施設が舞台なだけに、もっと重めの読後感を覚悟していましたが…不幸でも「かわいそう」でもない、もっとリアルで淡々とした内情に触れて、胸を突かれる思いでした。これは広く読まれるべき一冊かと。

  • いつもの有川節です。
    大規模児童養護施設の新任職員を主人公に描かれる作品。
    読みながら思ったのは「結構取材したんだろうな」ということ。どうも実際に女子高校生の入所者からの手紙をもらい、ちゃんと調査したうえで書かれた物語のようです。Netで感想を見ても、実際の養護施設職員が良く調べてると書いてますし。
    テーマの割に重くなりすぎず、ハッピーエンドで、しかもチラチラ現れる、「ベタ甘」な恋愛ストーリー。まあ「きれい事」で終始するのは有川さんの作風ですから。
    しかし、色々と考えさせられる作品でもありました。

  • 人の事情に貴賤をつけるべきではないというのは理想です。しかし、やはりハンデはハンデで、引け目はどうしたって引け目です。彼は引け目をあなたにさらしたくなかったんだと思います。

    もし、「気にしない」じゃなくて、「分かったって言ってたら、私を振り向いてくれたでしょうか」優しさをひけらかすように寄り添うのではなく、ただ率直に「分かった」と言っていたら。分かった。でも好き。

    猪俣の子供たちへの寄り添い方は、常に冷静さを失わないのに同時に優しさが感じられた。
    これは生徒や先生が困ってるときに助けてあげる術を知ってるからなのではないか。そしてそれを提供できるほどの強さと頼りがいを感じさせるのが猪俣先生。
    施設に求められるニーズ
    厳しいけど、ぶれない人ですからね。男としては、ぶれないっていうのは結構好感度高いんです。
    このままだと騙しちゃうことになるよって心配したんじゃないかな。←これは大正解
    私は猪俣先生の代わりにいいとこどりをしただけですよ。←ウィット利いてるな~。
    私が落ち着いて子供たちにあたれるのは、梨田先生がいるからですよ。誰かは厳しくしてくださらなくちゃ。甘やかすだけではねえ。私は厳しくするのが苦手だから、いつも助かってますよ。
    頑なになっているのだとしたら、理屈では突き崩せない。
    ヒサはこれだから施設の子はって言われるんだぞ。
    猪俣に謝らせないあたりに屈折した優しさがにじんでいることは、若い職員には分からない機微である。
    子供を育てる能力がない親の元に生まれてしまったことがかわいそう、というならそれは確かにそのとおりなんですけど・・・私的には、育てる能力がなかった親のほうをみじめだと思います。親としての能力がないって烙印を押されたわけなので。むしろ、捨ててほしいのに捨ててくれなくてトラブルになったりすることもあります。

    ところで、みなさんは施設にどんなイメージを持っていらっしゃるでしょうか。←この質問から入るプレゼンは一気に聴衆を引き込む。

    児童養護施設に対する認識が変わった。何となくかわいそうだとしか思っていなかったが、それは浅い認識だった。小説として楽しませようというより、児童養護施設に対する認識をストーリーにしたという意図がより強く感じられた。でもところどころに人間の心の機微を言語化してくれていて、勉強になった。感謝。

  • 久々の有川さん。
    読んですぐの懐かしい有川節に、久々に会った友人かのように嬉しい気持ちになる。
    児童養護施設、存在は理解しているものの、実態は理解不足だったなと感じる。
    難しい境遇に生まれてしまった子供達に胸が痛くなるが、その子供達を見る自分の目はどうだったかと反省。

  • 三田村慎平が成長して行く様が手に取るよう解ってどんどん読めた
    皆んなが頑固で、笑っちゃいけない風で、教えちゃいけない風で
    もっとリラックスしても良い様な気がします

  • 新人の児童養護施設の指導職員として着任した三田村慎平とそこに暮らしている子どもたちを軸に描かれている。
    始めは頼り無さそうな三田村(愛称・慎平ちゃん)が以外に鋭かったり、施設内ではいい子で通っている奏子(カナちゃん)の反乱があったり、一見冷めていて、子どもたちと一定の距離を保っているようで実は熱い人である猪俣(いのっち)、総てを包み込む温かさのある施設長・福原。いろんな大人、いろんな子どもたちが出てくる中で、私もまた、狭い世界しか知らないということを思い知った。

  • 最近調子が悪いなあと思っていた著者だが、やっと本作で調子を戻してくれたことに安堵した。著者は本作を書くにあたり随分勉強したなあというのが良く分る、最近読んだ同じ児童養護施設をテーマにした朝井リョウの作品と比べると天と地の差があった(朝井リョウは二度と読まない)。この本は福祉関係者、特に児童福祉に関わる者の必読書としてもらいたい、それぐらい素晴らしかった。それに著者らしい自衛隊愛もちょこっと入っているのはご愛嬌というとこかな。

  • 児童養護施設が舞台。
    馴染みがないから想像もしにくいけれど……。
    妙にやる気のある新任職員の慎平くん。希望やヤル気が溢れている感じが憎めない。
    ちょっととっつきにくそうなんだけど、実は熱い先輩たちも素敵。人物に特徴があってそこは想像が膨らむ。
    そんな世界もあると考えるきっかけに。
    その場しのぎではなく、先々のことも考えられるようになりたいな。

  • 児童養護施設のお話。興味深い。やっぱり有川さん好きや!最後もうちょっと恋が進展してくれたらもっとよかったな

  • 最近続いているお仕事小説な感じという印象
    図書館戦争のあの感じをいまだに期待してたから最初はあれっ?ってなった
    でも施設について知りたいとか考えたいと思うきっかけになったと思う

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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