明日の子供たち

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 4583
レビュー : 651
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026148

感想・レビュー・書評

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  • 三田村慎平・やる気は人一倍の新任職員。和泉和恵・愛想はないが涙もろい3年目。猪俣吉行・理論派の熱血ベテラン。谷村奏子・聞き分けのよい“問題のない子供”16歳。平田久志・大人より大人びている17歳。想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている!児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。
    「BOOKデータベース」より

    「かわいそうだと思われたくない」というのは、そうだろうな、と思う.三田村先生のようだけど、自分だったら、やっぱりそう思ってほしくないと思うだろうな.
    この話を読んで思い出したこと.
    海外で支援活動をしていたことがあるけれど、同じような話がある.海外の子どもたちは3食満足に食べられなくてかわいそう、学校にも行けなくてかわいそう.まぁ、できないことが多くて、足りないものが多いので、そうなんだけど…なんでもかわいそう、とくくるのも違う気がするなぁと思っている.実際に関わってみると、足りないからかわいそうかと言われると、そうじゃないことが多い.
    なんでも思い込みで何かを決めつけるのは、自分がその立場だったらイヤだから、世の中はいろんな立場の人がいる、いろんな境遇の人がいる、と登場人物たちが悟っていくのは、すごく共感がもてる.
    子どもたちは、明日の大人たち.日本でも海外でも同じだな.

  • 感動した
    やぁ~
    出来すぎた話しだけど
    こうきたかって
    (ノ_・、)グスン
    としてしまった。

    ドラマとか観たことなかったけど
    この本から児童養護施設って
    どんな物なのかを知る事ができたよ。

    この本を読んで改めて本を読むという事が
    素敵な事だなと感じました。

  • 奏子や久志、そして児童養護施設を出て独り立ちする子供たちの 明るい未来を願わずにはいられない。

    私も「施設に入っている=かわいそう」と、今までどこか思っていたことを否めない。
    そこにいる子供たちは、ちゃんとした親がいればしなくてもよい苦労もするだろうから…。とか、親と一緒に暮らせないのは寂しいし…。とか、勝手な思いこみ、偏見。
    施設に入ることで(親の育児放棄や虐待から)救われ、心が安定し、普通の生活が送れるようになった子供たちのことにまで考えが及ばなかったけれど、言われてみれば確かにそうだ。
    この本が教えてくれた。

    この本は、ある施設で生活している女の子から、有川浩さんにあてた手紙が、執筆のきっかけになったそうだ。
    「施設のことを世間の人に正確に知ってほしい」という彼女の思いが、こうやって有川さんの小説をとおして、複雑な児童養護施設の内実に迫り、当事者に寄り添った支援の在り方をたくさんの人に伝えられるのだから、やっぱり作家ってすごい。

  • 有川浩さんの作品で、児童施設という題材にも興味があり、前々から読んでみたいと思っていた本。しかし、題材的にヘビーかなと思い、なかなか手をつけられずにいたのを、ついに読んだというところです。
    子供たちもそれぞれの考えがあり、向き合う指導員もそれぞれの経験則やポリシーで向き合っていく。
    現実にある問題を取り上げていると思うが、そこにうまく結果を入れていることで、ホッとしながら読みことができる。文中の「楽しく読んだものは、全部自分の糧になる」「どの本も誰かを救う可能性がある」という言葉に本の力も感じたし、この本でもそれぞれの人の気持ちに感情移入し、「心が耕された」感じがした。
    そして、最後の協力の欄を見て、ちょっと泣きそうになった。

  • ”ご本を読むのは素敵なことよ。
    ー幼い日の福原の言葉がふと蘇った。
    みんな自分の人生は一回だけなのに、
    本を読んだら、本の中にいる人の人生も
    たくさん見せてもらえるでしょ。”

    本を読むことで様々な人の視点や考え方に触れることができ、
    自分の考えや経験、感情も豊かになっていける気がします。
    私が本を読むのは、まさにこれが理由です。

  • 親のネグレクトや暴力から保護された子供たちが生活する児童養護施設『あしたの家』。そこへ新人職員として採用された三田村が、先輩職員や子供たちから学び、逆に影響を与えていく。

    テーマがテーマなのでつい重い内容を想像しがちだけれど、いつもの有川浩らしい、笑いと嬉し涙とかわいらしい恋愛模様が織り込まれつつ、児童養護施設の実態と市民が抱くイメージの落差がすんなり理解できる内容だった。
    私は子供を持つことができなかったので、あしなが育英会の募金が街頭に立つと必ず寄付をしているのだけど、この本で語られる一般市民と同じく私も施設で育つ子供たちを心のどこかで「かわいそう」だと思っていた。大勢の子供を少人数の職員で世話をするのだから甘えるわけにもいかないだろうし、不自由も多いのではないかと。でもこの本を読んで自分の勝手な思い込みを恥ずかしく感じた。作中、園長先生が語る「本は知らない世界のことを教えてくれる」という言葉はそのままこの本を示している。読まなかったら知らないままだったし、自分の思い込みを信じて真実を知ろうとも思わなかっただろう。

    ラストに登場する手紙はもしかしたら実際に有川浩に宛てられたものではないかと想像したが、巻末に手紙の文面協力者の名前があったので確信した。調べてみるとやはり、実際に施設で生活する少女からの手紙が執筆のきっかけになったそうだ。

  • ☆☆☆☆4つ

    このような入魂の長編小説を書き下ろしでサラリと書いてしまう有川浩ってどうよ。他にもたぶん小説雑誌への連載とかをいくつか抱えているのだろうなぁ、と思うとやはり凄いのだ。

    相変わらず神戸に住んだまま執筆活動を続けているのだろうか。
    なにも東京でなければ遣っていけないなどという時代は昔の事になっていて、今や地方在住の作家さんの方が多いのでは。
    まあ中には東京生まれの東京育ちであることを暗に自慢するような作家さんもいますが、こういう人はかえって希少価値があったりするのでちょっとおかしな人気があったりです。(A賞のN氏とか)

    それにしても今回の作品のようなテーマはどうやって思いつくのでしょうか。
    本文冒頭に出てくるエピソードと同じくテレビ番組でも観ての事だったりして。
    だってエンタテインメントな小説のテーマとしてはあまりに地味ですよね。
    まあ、作風とはあっているみたいで出来上がりは大変に良いのですが。

    いつも同じ表現しかできない自分が悔しいけど読みやすくて分かりやすいそして面白い。
    これは読んでる最中の現象としてはほぼ間違いなく毎回同じで「どんどん読み進んでしまい、気が付くとかなりの時間が経っている。」なのです。
    そして「眠くならない」ので困ったものなのです。
    時にはそおいう事を覚悟してベッドで読み始める場合もありますが、そんな本に限ってそうでもなくあっさり寝ていたりします。
    「読書徹夜」は思いがけない時に起こってしまうのです。
    翌日がお休みの場合はまあなんとかなるのですけど、普通に仕事日の場合は大変な目に会います。
    カイシャで眠いのです。
    眠いからといって寝て言い訳はなく睡魔とのタタカイ状態が一日続くのです。

    加えてこの作品にはちょっと気になる内容もあします。
    しばしば、誰の視点で物語が書かれているのか分からなくなる事があるのです。
    なので俗に云う「神の視点」なのかと思って読み直してみますが、そうでもないらし
    く、これはいったいにどういうことなのでしょうか。

    一連の場面の中で視点を持つ人物が、或時は男子職員Sであったり、女子高生K
    だったり、男子高校生Hであったりするのです。
    筆者による事前の「ことわり」は一切有りませんので、例えば前後の展開から勝手にHだと思って読んでいると、ふいに○の思考になっていたりするのです。
    ふーむ。
    有川浩の作品はこれまで何冊か読んできましたが、こういうことは一切なくて大変読みやすかった記憶のみ有ります。
    今回は何か作者の「企み」なのでしょうか。
    もし「企み」なのでしたら、わたしはまんまとその企みに嵌ってしまっていることになします。
    いやだからどうした、ってことはひとつもないのですが。なんとなく、そこが読み
    づらかったです。すまぬすまぬ。

    たまにこういうとても長い感想のようなのを発作的に書いてしまう。
    万一もしもこんなところまで読んでいる方が見えた場合は、ほんとにすまぬすまぬ。すごすご。

  • いつもより、甘さ控え目だと思いますが…私は好きです。涙が滲むこと、堪えきれずポロっとする事が、数回ありました。
    有川浩作品の、読んだ後の爽快感と想像させる期待感が、私は大好きです。

  • 児童養護施設が舞台。主人公が周囲(今回は子供たちや真意のわかりにくい同僚の先生たち)とぶつかり合いながら自分の立ち位置を見つけていく、という構図は著者の王道パターン。
    こういった施設の現状、そこで暮らす子供たちの感情の揺れ動きを丁寧に描きつつ、有川作品らしい“ちょいラブコメ”要素も忘れない。そして最終章「明日の大人たち」でガッと盛り上げる王道的手法はさすがである。
    安定感あるなあ、この人の作品は。

  • 旅猫から2年弱を待たされた、有川浩の新作。
    今回は知ってそうで知らない児童養護施設が舞台の物語
    なのだけど・・・。

    相変わらず読みやすく、ほぼ1日でかなりの長編を読破した
    のだが、なんというか・・・。
    これまででいちばんストンと心に落ちてこなかった感が。

    これはおそらく題材の問題であり、僕はそことの関わり方
    を個人的にずっとシミュレートしてきた。考え方は間違って
    いなかった、という事は再確認出来たが、言ってみれば
    ちょっと興味があってちょっと知ってる世界であったということ。

    例えば自衛隊にせよ県庁にせよ、文字通り知ってそうで
    知らない世界であり、有川浩の特殊な営業マン魂で解りやすく
    解説して貰えるが故に楽しめる、というところがあった。
    つまり全く以て自分の所為なんだけど、そのあたりが個人的に
    はちょっと食い足りなかったかも。

    しかし、得意のラブコメ絡めや思わず笑みが溢れる程の清涼
    コメントなどの有川節は健在。このジャンルに詳しく無い人が
    読めば、もちろん目から鱗で唸るんだ、とも思う。
    何にせよ有川浩、2年振りの前線復帰は大歓迎。
    出来れば年内にもう1作読みたい!!

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著者プロフィール

有川 浩(ありかわ ひろ)
1972年高知県生まれ。PN由来として、「有川」は書店に本が並んだ時に「あ」から始まる名前として、著者五十音順で棚の最初のほうにくるから。「浩」は本名から。
2003年『塩の街 wish on my precious』で第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞。2006年『図書館戦争』で「本の雑誌」が選ぶ2006年上半期エンターテインメントで第1位を獲得し、さらに2008年には同シリーズで第39回星雲賞日本長編作品部門を受賞。映画化もされた代表作となる。
『植物図鑑』で第1回ブクログ大賞小説部門大賞、『キケン』で第2回ブクログ大賞小説部門大賞を2年連続で受賞。2011年には『県庁おもてなし課』で「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2011」で総合1位と恋愛小説1位、第3回ブクログ大賞小説部門大賞を3年連続で受賞。2012年『空飛ぶ広報室』が「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2012」で小説部門第1位。
その他、ドラマ化作『フリーター、家を買う。』、映画化された『阪急電車』『県庁おもてなし課』『植物図鑑』などが代表作。

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