明日の子供たち

著者 :
  • 幻冬舎
4.08
  • (532)
  • (710)
  • (318)
  • (35)
  • (3)
本棚登録 : 4584
レビュー : 651
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026148

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 大好きな有川作品、そして福祉関連作品ということで珍しくハードカバーで購入!
    結論から言えば、買って良かった!
    児童養護施設を舞台にし、その中でも特にいわゆる「良い子ども」と職員、そして環境(施設内、外)に視点を当てた物語。もちろんこのような子どもばっかりではなく、もっと事件性溢れるホームもあるだろう。しかし、その中でも今回はここに視点を当てた、という割り切り前提で読むと、そこに当てたスポットライトに照らされて子どもたちの内面や、先生方の葛藤などが大変読みやすく描き出されたいる。
    「かわいそう」という言葉は悪気なく使ってしまっていても、相手の立場で考えると残酷な言葉だと感じる。
    「大変だね」とかだと少しは違うのかな…?
    児童養護施設という大枠で考えてしまうとそこに暮らす1人1人の人間が見えなくなってしまうこともあるだろう。そこをあえて数人の個人(ミクロ)の描写から、最終的に施設全体のあり方(マクロ)を描いてしまうのがすごい。

  • 児童養護施設を舞台にした5つの連作短編。登場人物のキャラ設定がいいから物語に入り込みやすいし説得力がある。重いテーマなのに読後感は爽やか、甘さ控え目も良かった。最終章が秀逸ですね。

  • 自分が5年間児童養護施設と密に関わっていたので、この作品が世に出た意味の大きさを感じた。
    かなり詳細に取材したことがうかがえるリアルさで、多くの人に児童養護施設の現状を知ってもらうきっかけとなるには十分な作品。人気作家の有川浩がこのような作品を描いてたくれたことに感謝。
    この作品を通して、児童福祉にスポットが当たったり何か支援をするきっかけになれば嬉しい。そうは言っても何かするのは難しいと思うので、「知る」というスタートラインに読者を立たせてくれることに意義がある。

  • 共感できる部分がたくさんありました。
    施設であろうが何であろうが、子どもたちはそこで普通に暮らしてるわけでそれを可哀想と感じることは見当違いだと思います。自分自身も児童養護について学んでいなければ同じように感じていたかもしれないし、この本をきっかけに児童養護について興味を持つ人が増えたら良いと感じました。

  • 児童養護施設の子供から作者へと届いた手紙がきっかけで創作されたという背景に惹かれ手に取った。
    有川浩ならではの軽快さのなかにはっとする一言や現実が突き刺さる。
    施設を出た後の生活を支える手だてのなさ。その中で、些細なことから困りごとは発生する。当たり前に囲まれている中で当たり前に埋もれずに想像することの大切さ。

    児童養護が政策のエアポケットになってしまっているという現実。
    わたしたちだって大人になるのに。ー価値観の転倒はその一言から始まっている。
    今の子供たちはあしたの大人。
    必要なのは同情ではなく、正しい理解と明日への投資という視点。選挙権を持つ一人一人に根付くことで、今目先の自分自身のことだけでなく社会全体として捉えていく事が大切だと感じる。さらに、目先の票集めだけでなくそういった視点で物事を進めていくことのできる考えを持ち国政に携わる人が一人でも増えてくれることを願う。

  • 内容についての情報なく、先入観なしに読みました。
    児童施設の生徒と職員の話で、やはりお約束のように、自衛隊が出て来ます。
    施設の子の進路として多いのかもしれないですが、働きながら学校に通えるのは少数でしょうね。
    後半はかなり、うまく行きすぎな感じですが、、、

    湊かなえにも児童施設が出て来る本があります。
    施設長の言う通り、色々本を読むと得るものが多いです。

    最近、有川さんは、設定ありきの本が増えているかも?

  • 児童養護施設が舞台のお話。
    新米職員・先輩・ベテラン・子供たち、それぞれの視点で語られていく。重いテーマだけど、読みやすくすんなり入ってくる。
    少し偶然が過ぎると感じるところもあったけど、晴れやかな気持ちで読み終えた。色々な形の優しさに触れられる物語でした。

  • 内容など予備知識の無いまま読み進めた。
    体当たりでベタで、読みやすい内容だと思う。

    特にタイトルと章タイトルが直球ながらにぐっとくる。
    明日の大人たち。今大人である人と、これから大人になる人たちが
    共に夢見る明日が、今よりより良いものであることを祈りたい。



    有川さんの本は阪急電車と図書館戦争から入ったが
    正直読めば読むほど、文学というよりラノベかなと感じる。
    言葉遣いや展開が甘く感じるところも多く
    基本的に直球勝負で、だからこそ感動することもあるが
    捻りが無く浅いとも言える。

    この作品も、取り扱っているテーマが重めな割には
    軽いタッチと文章と展開であり
    「内容が薄い」というレビューも多いことも頷ける。



    ネタバレあり。



    何がきっかけでも構わないが
    初日から当事者である子供に「テレビで見て可哀想だと思ったから」
    と言ってしまう三田村は大人としてかなり酷い。
    思っていても言ってはいけないことぐらい区別がつかないのか。


    和泉や奏子もいまいち好きになり切れないキャラ。
    久志と猪俣と真山は比較的好きだった。
    だがそれでも、それぞれに言葉が足りな過ぎ、
    酷いなと思うところが結構あった。
    全体的に女性キャラが可愛くなさすぎる。
    有川作品全体に言えることかもしれないが。

    久志が防衛大を目指すのは、学費や生活費のことを考えても
    無理ではないが、ここまで自衛隊ががっつり出てきてしまい
    更にアッコも自衛隊にいて偶然猪俣と再会する、
    人相の悪い男は自衛官だった、というあたり
    また自衛隊か、またベタ展開かと正直思ってしまった。
    作家の持ち味と言ってしまえばそれまでなのだが
    いかにも自分の得意分野に持って行ってしまった感じがしてしまった。


    久志が好きな本は2冊買って、1冊は送るようにする
    と福原に宣言するのはとてもほっとした。

    自分も本を読むことは好きだし、それで救われてきた部分もあるが
    単に勉強になる、というだけではなくて
    確かに想像力が培われ、全部自分の糧になっていく。

    児童福祉が義務であり負担であるように思われているが
    実は投資であるというのは確かに、と頷かされた。

  • 『施設の子供たちはかわいそうではない』というメッセージは他の本やドキュメンタリーでも触れられていて分かった様な気持ちになり記憶にも残っていた。本書の展開も(私が児童擁護施設の内情を本当に分かっているかどうかは別として)ある程度予想範囲内で進んでいた。だからこそ、当事者に選挙権がなく発言力が弱い、保護者にその自覚がないものが多いのでなおさらである、という訴えはまさしくエアポケットであり、数(民主主義)の暴力とすら感じられてしまうほどであった。

  • 有川浩さんらしい展開。

    施設の子どもたちの現状と誤解を若い職員2人と指導者、そして子どもたちの言葉を通じて読ませてくれる。

    深刻な面もある。こそばゆい感じの恋愛話もある。

    印象に残ったのは、2つ。
    ・目標を置いた段階で制限が生まれてしまう
    ・本に出会ったから社会の狭間に落ちなかったかもしれない

    有川浩さんの小説は好きだなーと改めてかみしめた。

全651件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

有川 浩(ありかわ ひろ)
1972年高知県生まれ。PN由来として、「有川」は書店に本が並んだ時に「あ」から始まる名前として、著者五十音順で棚の最初のほうにくるから。「浩」は本名から。
2003年『塩の街 wish on my precious』で第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞。2006年『図書館戦争』で「本の雑誌」が選ぶ2006年上半期エンターテインメントで第1位を獲得し、さらに2008年には同シリーズで第39回星雲賞日本長編作品部門を受賞。映画化もされた代表作となる。
『植物図鑑』で第1回ブクログ大賞小説部門大賞、『キケン』で第2回ブクログ大賞小説部門大賞を2年連続で受賞。2011年には『県庁おもてなし課』で「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2011」で総合1位と恋愛小説1位、第3回ブクログ大賞小説部門大賞を3年連続で受賞。2012年『空飛ぶ広報室』が「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2012」で小説部門第1位。
その他、ドラマ化作『フリーター、家を買う。』、映画化された『阪急電車』『県庁おもてなし課』『植物図鑑』などが代表作。

有川浩の作品

ツイートする