明日の子供たち

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 4583
レビュー : 651
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026148

感想・レビュー・書評

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  • 新人の児童養護施設の指導職員として着任した三田村慎平とそこに暮らしている子どもたちを軸に描かれている。
    始めは頼り無さそうな三田村(愛称・慎平ちゃん)が以外に鋭かったり、施設内ではいい子で通っている奏子(カナちゃん)の反乱があったり、一見冷めていて、子どもたちと一定の距離を保っているようで実は熱い人である猪俣(いのっち)、総てを包み込む温かさのある施設長・福原。いろんな大人、いろんな子どもたちが出てくる中で、私もまた、狭い世界しか知らないということを思い知った。

  • 最近調子が悪いなあと思っていた著者だが、やっと本作で調子を戻してくれたことに安堵した。著者は本作を書くにあたり随分勉強したなあというのが良く分る、最近読んだ同じ児童養護施設をテーマにした朝井リョウの作品と比べると天と地の差があった(朝井リョウは二度と読まない)。この本は福祉関係者、特に児童福祉に関わる者の必読書としてもらいたい、それぐらい素晴らしかった。それに著者らしい自衛隊愛もちょこっと入っているのはご愛嬌というとこかな。

  • 児童養護施設が舞台。
    馴染みがないから想像もしにくいけれど……。
    妙にやる気のある新任職員の慎平くん。希望やヤル気が溢れている感じが憎めない。
    ちょっととっつきにくそうなんだけど、実は熱い先輩たちも素敵。人物に特徴があってそこは想像が膨らむ。
    そんな世界もあると考えるきっかけに。
    その場しのぎではなく、先々のことも考えられるようになりたいな。

  • 児童養護施設のお話。興味深い。やっぱり有川さん好きや!最後もうちょっと恋が進展してくれたらもっとよかったな

  • 最近続いているお仕事小説な感じという印象
    図書館戦争のあの感じをいまだに期待してたから最初はあれっ?ってなった
    でも施設について知りたいとか考えたいと思うきっかけになったと思う

  • 児童養護施設。
    私たちはそこにどんなイメージを持っているか?
    「アニー」「あしながおじさん」などに出てくる「孤児院」のイメージが強いのではないか。
    意地悪な院長や職員がいて、けなげな子供たち........。
    でもそれって随分古くて、固定観念をさらにセメントで固めたようなイメージでは?
    物議を醸したドラマ、「明日、ママがいない」は現代の話なのに未だにそのイメージを踏襲していた。
    あれはあくまでフィクションなのだが、それにしたってあんまりだ。
    当事者の意見も二つに割れていたようで、新聞の投書欄では入所している子供たちや職員の異なる二つの意見が掲載されていた。
    それを読み、どのような意見であれ、当事者の意見は尊重されるべきであり、私はその意見に十分耳を傾けなければいけないと痛感した。

    さて、本書では何度も奏子の「私たちはかわいそうじゃない」という声が登場する。
    それはもっともなことだ。
    私も親の離婚で「かわいそう」と言われ、母に対する批判に対し怒りすら覚えたことがあるのでその気持ちは理解できる。
    「普通」から外れているからかわいそう、というのは自分の意見が絶対、という気持ちが透けるようで、そのために言われた側は不快になるのだと思う。
    しかし、進学か就職か、公立か私立か、そういった選択肢が限られてしまうのは「かわいそう」と思ってしまう自分がいる。
    だからその選択肢が与えられるように尽力したい、そう思うのだが、これも親切の押し売りになってしまうのだろうか。

    本を読むことを勧める福原施設長の言葉は我が意を得たり。
    「人生は一人に一つずつだけど、本を読んだら自分以外の人の人生が疑似体験できるでしょう。
    (中略)
    そうやって他人の人生を読んで経験することが、自分の人生の訓練になってることがあるんじゃないかって、先生は思うのよ。
    踏み外しそうなときに、本で読んだ言葉が助けてくれたりとか......」(327頁)

    本書をきっかけに施設について少し調べてみた。少しでもいいから子供達の健やかな成長と、教育の機会の提供、自立への手伝いができたら、と切に願う。

  • フィクションであっても、児童養護施設の子供たちを知る事のきっかけとなりうる「本」って、やっぱ素晴らしい。切り取りの中で語られる事に、ひきつけられ読み終えた。

  • 児童養護施設を舞台にした小説。
    「あしたの家」に新任職員としてやってきた三田村は、入所している子どもたちを「可哀想」と発言し、“問題のない子”である奏子から嫌われてしまう。
    そして、「可哀想」というイメージが、入所している子たちの心を傷つける全くの誤解であることを知る。

    私もこの本を読むまで、児童養護施設のことをよく知らなかった。
    今までのイメージをひっくり返してくれた、この小説に出会えて良かった。

  • これぞ有川節!最後泣かせていただきました。手紙の文面協力したという女の子は実際に施設で暮らしてるのかな、心打たれた。数年前のあしママドラマ、見てるころは「脚色しすぎやろ~」程度にしか思ってなかったけど、当事者にとってはいろんな意味でインパクトあったんだろうね。

  • さすがに超人気作家で、取材の充実さが窺われる。経済力、影響力、その他諸々取材を充分にする条件は申し分ないだろう。

    題材は有川浩らしからぬシリアスさではあるが、だからこそ心理描写の秀逸さが際立っていたように思う。
    題材はシリアスだが、笑いあり、涙ありは変わらずで、総合すると有川浩にしか書けない作品と感じさせられる良書だと思う。

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著者プロフィール

有川 浩(ありかわ ひろ)
1972年高知県生まれ。PN由来として、「有川」は書店に本が並んだ時に「あ」から始まる名前として、著者五十音順で棚の最初のほうにくるから。「浩」は本名から。
2003年『塩の街 wish on my precious』で第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞。2006年『図書館戦争』で「本の雑誌」が選ぶ2006年上半期エンターテインメントで第1位を獲得し、さらに2008年には同シリーズで第39回星雲賞日本長編作品部門を受賞。映画化もされた代表作となる。
『植物図鑑』で第1回ブクログ大賞小説部門大賞、『キケン』で第2回ブクログ大賞小説部門大賞を2年連続で受賞。2011年には『県庁おもてなし課』で「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2011」で総合1位と恋愛小説1位、第3回ブクログ大賞小説部門大賞を3年連続で受賞。2012年『空飛ぶ広報室』が「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2012」で小説部門第1位。
その他、ドラマ化作『フリーター、家を買う。』、映画化された『阪急電車』『県庁おもてなし課』『植物図鑑』などが代表作。

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