アイネクライネナハトムジーク

  • 幻冬舎 (2014年9月26日発売)
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本 ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784344026292

感想・レビュー・書評

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  • 伊坂幸太郎さんいえば、殺し屋やギャングなど悪い奴らが出てくるお話しが中心ですがこの作品はどうなるのかなぁとドキドキせずに安心して(笑?)読めました!あとがきにも同じことが書いてありました。
    逆を言えば違うドキドキもありました(^^)♡ いろんな場面で出てくる人物がここで出てくるのか!という楽しみもあってすごく良い一冊でした。

  • あとがきで「この本の中に入っている最初の二編については、ミュージシャン、斉藤和義さんから『恋愛をテーマにしたアルバムをつくるので、『出会い』にあたる曲の歌詞を書いてくれないか』と依頼をもらったのが始まりです。『作詞はできないので小説を書くことならば』というお返事をし、そうしてできあがったのがこの短編なのですが、正直なことを言えば僕は『恋愛もの』と分類されるものにはあまり興味がないため、普通であれば、引き受けるのにも相当、悩んだと思います。……結果、この短編の文章を使う形で、斉藤和義さんが『ベリーベリーストロング〜アイネクライネ〜』なる曲を使ってくれました。」と、音楽とこの短編小説の繋がりを説明されていた。

    「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」ドイツ語で「ある、小さな、夜の曲」という意味だと作品中に説明がある。読みはじめた時に横に座っていた主人が、それって、「小さな夜の曲?」とか、真顔で聞いてくる。「どうして、知ってるの?」と尋ねると、「聞いたことあるかなぁ」と…恐れ入りました。

    本作は、各短編の登場人物らが、「出会い」と「再会」をキーワードとして、19年の歳月の中で何度か繋がる。読み進めていくうちにこの人とあの人、あの人とこの人と関係がわかっていくパズルのようなストーリーであった。

    「アイネクライネ」は、マーケットリサーチの会社に勤める主人公・佐藤が、インターネットが主流の今の時代に街頭アンケートをしているところから物語が始まる。会社先輩の藤間は妻・藤間から娘・亜美子を連れて家を出ると言われ、作業中の机を蹴飛ばし、隣の棚が倒れてサーバーのバードディスクが破損した。横で作業をしていた当時27歳の後輩・佐藤がたまたま手に持っていた缶コーヒーが溢れ、直前にとっていたバックアップのテープにかかりデータがなくなった。そのため、課長がこの失態の罰ゲームのため、佐藤に該当アンケートをさせる。この時、アンケートに答えてくれた女性がいた。またこの時、駅の中のモニターに『世界ヘビー級タイトルマッチ』がうつされていた。そして、この編においては、佐藤と女性とが「出会い」後に恋へた進展することを匂わす物語となっている。
    この「出会い」を佐藤に意識させるのが、大学時代の同級生の織田一真の妻・由美であった。織田夫妻には当時6歳の娘・美緒と1歳3ヶ月の息子がいる。由美の高校時代の友人が、次の章の主人公・美奈子である。

    「ライトヘビー」は、美容師・美奈子がこの美容院に通う客の板橋香澄から弟を紹介される物語である。唐突に香澄から弟を紹介したい言われ断ったのだが、香澄の策略で弟から電話がくる。それからしばらく、美奈子と香澄の弟との電話友達の関係が始まる。
    実は、この弟こそ、前章の駅のモニターに映っていた「世界ヘビー級タイトルマッチ」でチャンピオンと戦っていたウィンストン小野(小野学)であり、この後、ふたりは付き合い、結婚する。

    また、美奈子には、日高亮一と山田寛子という飲み友達がいる。

    ここで、1回百円で、その時の気持ちをパソコンで曲を再生してくれる『斉藤さん』という男性が出てくるのだが、この『斉藤さん』が、斉藤和義だったと、あとがきを読んだ後、気がつく。

    「ドクメンタ」は、佐藤の先輩で、妻に逃げられた藤間の物語。免許更新センターで、メガネの縁で知り合った女性と5年毎の「再会」の物語。

    この免許更新センターでの3回目の「再会」で通帳記帳で逃げられた夫と復縁した話を聞く。藤間も、逃げられた妻からの通帳記帳をするようにと言われていだのだが、藤間の場合の通帳記帳に意味があったのか、展開が気になる。

    また、後輩の佐藤は、藤間のために世界ヘビー級チャンピオンとなったウィンストン小野のサインをもらってきて、藤間を励ますのだが、サイン入手の経路も後の章でわかる。

    また、「ドクメンタ」とは、ドイツで開催される5年に1度の現代美術の展覧会のことで、免許更新を「ドクメンタ」にかけているようである。そして、藤間とこの女性の間が恋愛に繋がることはなく、自分の性格を反省するための「出会い」となっている。

    「ルックスライク」は、『高校生』と『若い男女』の2つの物語が並行し最後に繋がる話し。
    『高校生』は、主人公の高校生・久留米和人で、冒頭で英語教師・深堀先生が登場する。また、同級生・織田美緒は男子学生たちのあこがれとして、織田一真と由美の長女で高校生に成長して!登場していた。最初の物語「アイネクライネ」から10年後の物語であることがわかる。
    『若い男女』は、ファミリーレストランでアルバイトをしていた笹塚朱美が、年配男性の執拗なクレームで困っていた時に、男性・邦彦に助けられ、付き合うようになる物語。しかしふたりはしばらくして別れる。この時、朱美は、高校で教育実習をしており、邦夫は社会人であった。

    実は邦夫の姓は、久留米。つまり、久留米和人の父で、久留米邦夫と塚原朱美が深堀先生として「再会する」というオチ。もちろん、深堀先生は、久留米和人が自分の昔の恋人の息子であることは予想していたようだ。

    「メイクアップ」の主人公・窪田由依は、化粧品製造の会社で働く。上司は、あの美奈子の読み友達の山田寛子である。由依は、高校時代に同級生の川久保亜季にいじめられていた。由依の会社の製品宣伝の請負コンペにアシスタントとしてやってきたのが川久保亜季であった。

    過去に自分をいじめた同級生と立場を逆転しての「再会」で会った。

    「ナハトムジーク」は、現在と19年前、9年前の別々の短編小説が一つに繋がり、登場人物らの繋がりがわかる。

    19年前に小野学が世界チャンピオンになった時、奈美子は小野と付き合いはじめる。そして学を連れ、仙台に観光に行った時に、織田由美の家をふたりで訪問する。学たちが由美子の家に行く時に道を聞いた中学生がいたが、無視をされた。
    ウィンストン小野が織田の家にくることを聞き、佐藤が藤間のためにサインをもらおうと由美の家に向かっている時、途中の公園で中学生がいじめられている所に遭遇する。佐藤が到着が遅れている状況を説明するとその公園に織田一真と小野がやってくる。その中学生が、道を尋ねた時に無視をした中学生で、10年後に小野の試合のラウンドボーイとして、「再会する」。

    9年前の描写で分かったのだが、藤間の娘・藤間亜美子と織田の娘・織田美緒は同級生であることがわかる。そして、美緒の彼が久留米和人と、繋がっている。

    斉藤和義が著書に依頼した短編を読んで作った歌が『ベリーベリーストロング~アイネクライネ~』で、この『アイネクライネナハトムジーク』と最後に繋がった気がした。

  • 面白かったので映画になったやつも見てみたら...
    本だけにすれば良かったなぁʕʘ‿ʘʔ

    斉藤さんは斉藤和義さんなのですか?

  • 逆ソクラテスから、この作者を知って、ゴールデンスランバー、グラスホッパーを経て4冊目。

    出会いをテーマにいくつかの話しが収録されている。

    どのお話しも、読みやすく楽しませてもらった。

    伊坂幸太郎にはまりそう。

  • ほっこり、そして、最後におおそうなるのかぁって話が多くて面白かった。
    途中、あれここはどうつながっているんだって何回も読み直したけどそれもまたよし。
    ああ、この出来事は今のここにつながっているんだぁってことは、自分の中にもあって面白いなぁって思った。

  • #読了 #アイネクライネナハトムジーク #伊坂幸太郎
    妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…。
    伊坂幸太郎ワールド全開の連作短編集。

    出会いと別れめぐりめぐる。
    人生良い事ばかりじゃないけれど一日一日を大切に生きていこう。

  • 街頭アンケートから始まる出会いのドラマ。「ナハトムジーク」ボクシング試合で、ラウンドボーイが、元チャンピオンの不甲斐なさに切れてボードを破壊し、試合の流れを変えてしまうのが良かった。

  • 著者の作品は、いくつか読んでいます。この作品は今まで読んだ著者の作品と趣が違います。奇抜な設定などなく。読みやすい恋愛作品と言ってもいいのかなあ。でも、いつもの通り絶妙な伏線が張られていて、ふんふん、なるほどと思いながら読み進めることができました。さすがだなあと感心しきりです。ご本人は恋愛作品は、余りお好きではないのかなあと推察しますが、また書いていただけたらなあと思いました。

  • 何気ない日常が数年経って振り返った時、人生の分かれ道だった、みたいな物語が書かれてて、人生って素敵だなと思う。

    映画化されてて主役は三浦春馬。
    ストーリーが子どもの頃苦労してても前向きに生きていく話だから、より生きてて欲しかったなって強く思ってしまう。

  • 殺し屋シリーズからの死神からのこの一冊
    伊坂幸太郎さんこんな穏やかで誰も死なない話書けるんだ(*´ω`*)
    色々全部が繋がっていて、途中整理しないとこれ誰だっけ(・∀・)ってなるから、前に戻りつつゆっくり読むことをオススメします♪

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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