アイネクライネナハトムジーク

著者 :
  • 幻冬舎
3.91
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本棚登録 : 5935
レビュー : 809
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026292

感想・レビュー・書評

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  • 個人的には、「オー!ファーザー」以降の伊坂作品でベスト。同時に、連作短編形式を得意とする伊坂幸太郎は、特殊な設定とかミステリーとか殺し屋とかが出てこない、「日常系」でも十分に勝負できることを証明する作品。

    冒頭2作は斉藤和義とのコラボをきっかけに生まれ、それ以外の作品は、そこから派生的に生まれたという。できれば、斉藤和義の「ベリーベリーストロング」を聴いてから読むことをオススメする。歌詞の中にいた人物が、立ち上がって、息をして、歩きまわっているという、なんとも稀有な感覚を楽しむことができる。読み終わってから聴き直すと、また違う景色が見えるのではないだろうか。

  • 小気味よくテンポよく繋がっていく伊坂らしさ全開で、わくわくしながらさらっと読めた。
    あっけないくらいの軽さが物足りなくかんじなくもないけど、それがイイ、ともいえる。

  • この本を読んだとき、「読み終わった」という感じがしませんでした。なんかこう、「始まった」という感じです。

  • 登場人物たちの関係性を考えながら読むのが楽しい。
    結末がわかってから、もう一度、この人とこの人は・・・と確かめながらもう一度、読みたい。

  • 読了後、すっきりとした、ちょっとした幸せな気分を感じた。
    著者は、恋愛モノを書くイメージがなかったので、初めての作風だと感じたが、違和感なくすんなりと読むことができて良かった。
    短編集であるが、どの話もはずれがなく楽しんで読むことができた。甲乙つけがたいが、ライトヘビーの話に感動してしまった。
    一つ一つの話が少しであるが、繋がりがあって、過去のことが分かると、それが今につながっているだなと読んでいて納得。
    人間関係が意外な所で繋がっているのだが、いじめっこの関連はもう少し含みが欲しかったと感じる。世界チャンピオンの小野と元美容師の美奈子を繋げてくれた、香澄がキューピットだと感じてしまった。
    織田夫婦で破天荒ぶりを見せる夫を宥める妻、それで関係がこじれずに良好さを保っているのは、互いにないものを補い、ダメなことはダメと言い正せる存在が大きいのだと感じる。
    最後に斉藤さんの謎が解けて、良かった。

  • 伊坂幸太郎作品、久々のヒット!!
    ここ数年は個人的にイマイチなものが続いていたので、正直今回も恐々手に取ったのですが、本当にこれは可愛らしい短編集。まさかの恋愛モノ。
    作家本人が言っているように、作品の中にもくすぐったいような感覚が滲み出ているし、愛しい人物ばかりが色んなところで繫がっている伊坂作品らしさも存分に備えた一冊。
    作品同士の繋がりがポコンと出てくる度に、喉の奥でくすくすと笑いが込み上げるような、ずっと見つからなかった宝物が見つかったような、何とも言えない嬉しい感覚が湧き上がって来ます。
    次回作も期待!!!

  • 「ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。」
    伊坂作品ならではの、本当に普通な生活の中に
    ちりばめられた伏線とサプライズの連作短編集。

    このお嬢さんが誰の娘さんかわかってて
    言ってるんですよね作戦、言ってみたい…
    実はこの人がこの人と繋がっていて、は
    伊坂作品の醍醐味ですが、そろそろ慣れているせいか
    うっすら気づいてしまうものの
    やはり楽しいですね~

    斉藤さん、の曲は斉藤和義の曲だったのか…
    斉藤和義を全然聞いたことなかったので
    気づかなかった…ファンにはたまらないかもですね。

    個人的には美容師の美奈子が客で友人の
    板橋香澄の弟を紹介され、電話で話すだけの
    会ったことのない心地よい距離感になって…
    な「ライトヘビー」が好きでした。
    後は最後の風呂敷畳み「ナハトムジーク」も
    ラウンドボーイはわかったものの胸アツ…

    世界観だけで楽しくてのんびり味わって読みたいと
    思える唯一の作家さんなので
    普通の会話だけでも読んでたい感じです。

  • ええええ!伊坂幸太郎さんが、民放夜のテレビドラマみたいな恋愛ものを書いている!?

    2014年10月現在での、伊坂幸太郎さんの恐らく最新刊でしょう。
    「何だか次々、この人も凄い仕事量だなあ」と、何気なく買ってしまいました。
    「首折り男のための協奏曲」を読んだばかりだったんですが、読んでみたらこの「アイネクライネナハトムジーク」も、「首折り男」と同様、「連作短編集」と言える本でした。
    数年前とかに、雑誌に不定期に?掲載された短編を併せて、終章を書き下ろしたもの。

    伊坂幸太郎さんは、平均値的に言うと僕にとっては好みからほぼ外れない小説家さんなので、内容を全く吟味せずに買ったんですが。
    読み始めてから、「あれ?これホントに伊坂幸太郎さん?ひょっとして良く似た名前の別の人の本を買っちゃった?」と思わず表紙を見直してしまいました。
    (過去にそういう失敗もあったので…)


    恋愛モノだったんです。この本。



    小説の工夫としては、読んでいくと、伊坂幸太郎さんらしいんです。

    「今」=まあ、2010年代くらいの設定なんだと思います。
    「10年くらい前」=2000年前後なのかな。
    「20年くらい前」=1990年前後なのかな。

    という、大まか三つの時間的な舞台があって、
    恐らく地理的にはいつも通り仙台市周辺があって、そしてどうやら東京圏もあります。

    時間と空間で考えたら6種類の舞台があって。
    そこで複数のカップル、人物たちの出会いや離別やいわゆる人生模様ってヤツが、親子2世代に渡って描かれます。
    それなりにいつも通り工夫があって気が利いていて、ホロっとしたりはしますけど。
    正直に言うと、6篇の内、4編目までは、「まあ、面白いけど…こういうのだったら伊坂さんじゃなくってもなあ」とちょっと思ってしまいました。

    うーん。
    マイルド風味の、O・ヘンリー風の、男女の出会い、恋愛、別れについて。
    基本、幸福感、幸福な予感に満ちて終わります。

    毒が無い(笑)。


    5編目で、伊坂さんが最近(ずっと?)触れ続けている、「人間の悪意」というか、「いじめ」と言うか、「他人を踏みつけにしないといられない人」というか、
    そういうお話が、「女子高生時代にいじめていた人、苛められていた人、が、大人になって再会する」という仕掛けで語られていて、これはナカナカ、面白かったです。
    ただ、終わり方は、あまり釈然とはしませんが。

    ラスト、書下ろしの6篇目。
    これは面白かったんですね。
    ここまでの5編を総まくり的に受けている愉しさもあるんですけど、
    じっくり考えると、まあ、それは後付けのオプション、ケーキの上のトッピングでしかなくて。

    この短編独立としての、伊坂さんらしい、勇気と感動の「ちょっといい話」なんですね。
    見下されて負ける者たち。でもまあ、世の中の仕組みで言うと、それが現実。
    だけど、そこでもって、夢物語というか奇跡っていうのを、信じたいよね。でもそんな甘くないよね。でも信じたいねえ。
    と、まあ、そういうような素敵な小説でした。
    ボクシングの試合場面、それが勝つか負けるか、というのが最後は注目の的になるんですが、
    そこのところ、純粋に文章技術的にも、何ていうか、食べ物で言うと、「この小鉢、実はスゴイ職人の仕事がされてるよねえ」という感じの美味しさでした。

    という訳で、悪く言う必要もないですが、
    まあスナック菓子、スウィーツ…のような感じ。と、伊坂さんファンとしては思ってしまうんですが。
    (甘いものは大好きなんですけどね、個人的には)
    でも、実はそれはそれで、そういうことも出来ちゃうって凄いなあ、というのもありますし、
    実はこういう本を、女性の読者はどうなんだろう。
    殺し屋が殺しまくる「グラスホッパー」なんかより、女性としては愉しめる本なんではなかろうか、と想像したり、でした。

    ※ちなみに、あとがきを最後に読んだら。
    伊坂幸太郎さんは斉藤和義さんのファンで、その付き合いからまず冒頭の2編が生まれ。まあ言ってみればそういう"企画もの"で、ある、と。
    伊坂さん本人も、「というわけで恋愛小説になってしまって、僕の範疇じゃ無いような気がして恥ずかしい」と述べられていました。

    まあ、なんですけど、ラストの書下ろし短編は、ぜんぜん恋愛小説じゃない、伊坂さんらしい好篇でしたけど。












    ########以下、備忘録########



    ①アイネクライネ
    平凡な感じの会社員の20代の男性が、同年代の女性と、ささやかながら偶然の出会いをする。幸せな予感に満ちて終わる短編。
    街頭アンケートで出会い、道路工事渋滞で再会。
    周辺を彩るのが、
    ●会社の先輩男性・藤間。奥さんが娘を連れて去ってしまった。
    ●大学時代の友人・織田。わがままでロックなチェーン居酒屋店長。奔放で自由で、大学時代にマドンナだった女性とできちゃった結婚。
    ●日本人で初めて、ヘビー級チャンピオンに挑戦するボクサー、ウィンストン小野。
    という、キャラクター。

    ②ライトヘビー
    美容師の独身女性がいる。馴染み客の女性がいる。
    これが仲良くなる。客が、美容師に弟を紹介する。
    美容師と、その弟が、「電話でおしゃべりするだけのお友達」になる。
    なんだか良い感じになる。
    実はその弟さんは、ボクシングのチャンピオン、ウィンストン小野という人だった。
    ふたりは結ばれるだろう、という予感で終わる。
    彩るのが、
    ●街頭で占い師のように、100円で相手の気分に合った斉藤和義の歌をパソコンから再生する謎の男性「斉藤さん」

    ③ドクメンタ
    30代の会社員男性、藤間。もともと奥さんと折り合いが悪かった。自分がずぼらなのが原因らしい。
    ある日、妻が娘を連れて出て行ってしまった。がっくりする藤間さん。
    もうだめかなあ、と暗い日々。
    ちょうど免許の更新がある。免許の更新のたびに、つまり5年に一度、必ず免許センターで会う子持ちの女性がいる。
    その人にまた、再会する。身の上を話す内に、妻ともう一度連絡を取り合うきっかけを得る。
    (銀行通帳の振込記入で電報のように連絡を取る、というオチ)

    ④ルックスアライク
    過去と現在が錯綜する話。

    ●過去=若い男女が知り合う。恋愛する。上手く行かず別れる。

    ●現在=前述のチェーン居酒屋店長・織田の娘が女子高生になっている。
    同級生の男子と、「自転車駐輪場で不正をするオジサンを注意する作戦」を実行する。
    揉めそうになったところを、助け舟を出した担任の女教師。この人が、過去話の若い女性。
    通りがかった、同級生男子の父親が、過去話の若い男性。
    再会がちょっと幸せな感じ。

    ⑤メイクアップ
    前述の「ライトヘビー」という短編に出てきた脇役の女性、山田さんという人が働いている化粧品会社のお話。でもその人はこの短編でも脇役。
    主役は、「高校生のころに太っていて苛められていた。今は痩せていてそこそこ普通に魅力的?」な既婚女性。
    その主役女性も、化粧品会社勤務。
    仕事の関係で、「かつて自分を苛めていた、高校生の頃は女王のように君臨していた人」とばったり再会する、というオハナシ。
    しかも、立場は、ビジネス上、自分の方が上。
    その上、相手は、自分の事に気が付いていない。
    復讐するのか、どうするのか。
    結局しないのだけれど。

    ⑥ナハトムジーク
    ここまでの色んな登場人物が脇役として彩るオハナシ。
    この短編の幹は、ボクサー・ウィンストン小野さん。
    10年前に世界チャンピオンになったけど、すぐに滑り落ちちゃったボクサーさんが、30過ぎて、再び世界王座に挑戦するオハナシ。
    それまえの挫折や苦労、苦い思いなんかがあったりしますが、
    白眉なのは、「10年前に偶然に知り合って励ました、難聴で苛められてグレかかっていた少年」との関係のお話ですね。

  • 待ちに待った伊坂さんの新刊!相変わらず登場人物達のセリフや言い回しが面白く、にやにやしながら読了。
    それぞれのお話がちょっとずつ繋がっていて、あ!この人!ってのが多いのも魅力的。
    伊坂さんのあとがきにあるように、珍しく全員まともな生活を送る人たちの出会いのお話で、恋愛ものが苦手というわりに、ロマンチックというかさすがだな~という出会い方や繋がりが書かれてた。
    織田真人は『チルドレン』の陣内や『砂漠』の西嶋のような適当でなのになぜかかっこいい!という不思議な人物なんだけど、彼らが大好きだから今回もすーっごい好きだなぁと思った。あと女の子たちもいいしね。
    いつもさすがだなと思うのだけれど、厄介な難癖をつけられてる人を助けるときは、悪者に同情するというのが得策というのが勉強になったというかなんというか。面白い。あと、記帳するとメッセージになってるとか。さすがです。

  • 後半に向けて登場人物がどんどん繋がってくる、伊坂幸太郎の得意技が遺憾無く発揮されていて、心地よい。斉藤和義の楽曲「ベリーベリーストロング」が好きだったのでより楽しめた。読んでいると勇気が湧いてくる。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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