- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344026292
作品紹介・あらすじ
ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。
奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、
他力本願で恋をしようとする青年、
元いじめっこへの復讐を企てるOL……。
情けないけど、愛おしい。
そんな登場人物たちが紡ぎ出す、数々のサプライズ! !
伊坂作品ならではの、伏線と驚きに満ちたエンタテイメント小説!
感想・レビュー・書評
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面白かったので映画になったやつも見てみたら...
本だけにすれば良かったなぁʕʘ‿ʘʔ
斉藤さんは斉藤和義さんなのですか? -
著者の作品は、いくつか読んでいます。この作品は今まで読んだ著者の作品と趣が違います。奇抜な設定などなく。読みやすい恋愛作品と言ってもいいのかなあ。でも、いつもの通り絶妙な伏線が張られていて、ふんふん、なるほどと思いながら読み進めることができました。さすがだなあと感心しきりです。ご本人は恋愛作品は、余りお好きではないのかなあと推察しますが、また書いていただけたらなあと思いました。
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街頭アンケートから始まる出会いのドラマ。
「ナハトムジーク」ボクシングの試合で、ラウンドボーイが、元チャンピオンの不甲斐なさに切れてボードを破壊し、試合の流れを変えてしまうのが良かった。 -
個人的に連作短編集が大好きでよく読むのだけれど、本作は連作の面白さが存分に表現された、読み応えのある一冊でした。細かいところまで伏線が張り巡らされていて、頭の整理がこまめに必要ですが(笑)小さな奇跡の積み重ねが、人との「出会い」の大切さを輝かせてくれる。恋愛にまつわる話が多いので、スケールの大きい作品が多い伊坂氏の著作にしては地味かもしれないけど、これは褒め言葉です!微妙な心の動きを丁寧に掬い取って、ユーモアを交えながら物語を紡いでいく。話がうまくいき過ぎじゃないか?と思うところもあるのだが、そんな展開が陳腐に感じないほどの緻密な構成。さすがです。どの短編も好きだけど、一番印象に残ったのは「メイクアップ」。憚っちゃう憎まれっ子の描写がうますぎる!女性のめんどくささをよく理解してるなと唸りました。
この本を語る上で欠かせないのが、神出鬼没の「斉藤さん」。一回百円で、そのときの心情に合わせた斉藤和義の曲の一部を流してくれるという、占い師チックな謎の男性の登場が毎度効果的で、無性に斉藤和義が聴きたくなります。実際に、路上で会ってみたいわ!
そして、仙台在住の人間としては、表紙イラストにもニンマリでした。仙台駅前をシュールに描いたこの装丁、大好きです! -
それぞれのストーリーが時間を超えて繋がって行くのが面白かった。が、登場人物を全て覚えられてなくてこれ誰だったかなーと見返して、あーと思い出して読み進めました。最後の最後にこのひとがーとサプライズでした。
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伊坂さんらしい軽妙さが光る連作短編集。
伊坂さんのもう一つの特徴である犯罪などのダークなものはほとんど登場しない~安全な?作品です。
「アイネクライネ」
データがふっとんだミスの後始末に、罰ゲームのような街頭アンケートをする青年。
仕事を探している女性に出会い、何気ない会話が生まれる。
日常的なシーンの親しみやすさ、大体はぱっとしなくて情けないけど、ちょっとだけ一生懸命な部分もあったり。
「ライトヘビー」
美容師の美奈子は客といつしか友達になり、弟と付き合うよう薦められる。電話で喋るようになったが‥?
ボクシングの試合を見ていると‥
大人のおとぎ話のような楽しさ。
「ドクメンタ」
妻に出て行かれた藤間。
自動車運転免許の更新のために出かけた場所で、ふと話した相手。
通帳の記帳でしか繋がっていない元妻に思いを伝える方法とは。
5年後にもまた会うことになるか‥?
「ルックスライク」
学校の先生・深堀朱美。
生徒の一人は、織田一真の娘の美緒。
登場人物がちょっとこんがらかってきますが~え、これって‥という驚きが面白いところ。
「メイクアップ」
昔いじめられた相手と職場で再会した女子。
相手は覚えているのか、性格は変わったのか? 復讐する機会はあるのか‥さて?
「ナハトムジーク」
ちょっとした不思議な縁が繋がっていきます。
日常に起きてもおかしくないような小さな奇跡。
100円でそのときに一番合うフレーズを流してくれる斎藤さんという人物が所々に出てきます。
斉藤和義に作詞を頼まれ、小説なら書けると書いたのが始まりだったそう。
曲を聴きながら読むとまたいいのかな。
絡まれたときに「この方が誰の娘か知っているんですか?」と言ってはったりをかます織田一真のやり方が受け継がれていったり。
どうということのない男なのに美人と結婚した幸運な男・織田は、口が達者で、時にはそれなりの存在価値を発揮する。このゆるさがいかにも、ですね~。
笑える日常のささやかな出来事の奥底には、ごく普通のまともさが流れている気がします。
余裕のある洒脱な雰囲気がよかったです☆ -
元々、短編として描かれた作品『アイネクライネ』から派生した数々の短編を連作にした作品。
あとがきにも書いているように、作者にとっては珍しく強盗や泥棒、殺し屋が出てこない作品で、なおかつちょっとした恋愛要素も入った作品たち。
全ての短編がきちんと独立した面白さで、最後の一話で全てをつなげる感じが期待通りで楽しめました。
出てくる登場人物も変わっているようで身の回りにいそうな人たち。
普通にありそうな世界観が読んでいてとても心地いい作品でした。
誰にでもオススメできる作品です。 -
つながりのある6編の短編集です。
最後の短編「ナハトムジーク」は
書き下ろしですが、
他の5編の初出は媒体も、書かれた年も
バラバラ。
なのに
さり気なくつながっていて、
読みながらそのつながりに気づけたときは
気持ちがふわっとします。
「年齢を重ねても人生は変わらない。
経験を重ねるからこそ人は変わる」
(202ページ)
という文にドキッとしました。
わたしはまさに、
経験ではなく年齢だけ
重ねてきてしまったなあ…と
しみじみ思いました。
伊坂幸太郎さんの著書を読むのは
アンソロジーをのぞけば2作目ですが、
あとがきで著者自身も言及しているように
本作は
伊坂幸太郎さんの作品にしては珍しく、
恐ろしさや奇妙さのある設定が
ほとんどない作品だそうです。
伊坂幸太郎さんのお話は
まだ読んだことがないけれど
怖い展開はニガテ…という方にも、
胸をはってオススメできる短編集です。
「フーガはユーガ」と違い、
こちらはうつ療養中でも
安心して読めますので大丈夫です。
ちなみに
アイネクライネナハトムジークの
意味は作中でちゃんと説明されています。
有名なモーツァルトの曲でもありますが、
今回あらためて曲を聞いてみたところ、
明るいワルツな感じで
全然「アイネクライネナハトムジーク「」
という感じがなかったので
びっくりしました。
でも
曲自体があたたかく
上品に明るい感じだったので、
BGMに流しながら本作を読んでみると、
本からも曲からも
あったかい気持ちをもらえると思います。