キャロリング

著者 :
  • 幻冬舎
3.62
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本棚登録 : 4418
感想 : 544
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026599

作品紹介・あらすじ

倒産が決まった会社で働く、元恋人たち。両親が離婚しそうな小学生男子。心優しい、チンピラたち。クリスマスにもたらされる、ささやかな奇跡の連鎖。NHK BSプレミアム連続ドラマの原作。『別册文藝春秋』掲載を書籍化。

感想・レビュー・書評

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  • 有川浩さんの作品は読み始めるとすぐに引き込まれて夢中になってしまう。
    この作品もどんどんページをめくってあっという間に読み終えてしまいました。
    辛い子ども時代を送った大和、現在進行形で辛い子ども時代を送っている航平。
    辛い思いをするとどうしても、誰も私の気持ちなんてわかるわけがない!こんなに私を傷付けたアイツがなぜ私よりも幸せなんだ!と思ってしまう。
    そこから抜け出せるか抜け出せないかの違いは「不幸の比べっこしても仕方ないでしょって言ってくれる人がいたかいなかったかだけだ」
    悪役も登場するけれど、その人たちも憎めないキャラでスイスイ読めてしまうし、一見軽いお話に思えてしまうのだけど、最後はやっぱりホロリと泣かされてしまう。
    有川浩ってホントずるいなぁ、って思っちゃいます。

    • りまのさん
      こっとんさん
      こんばんは!はじめまして。
      フォローに答えて頂き、ありがとうございます!
      私も、有川浩さんが好きで、この作品も、読んでいた筈な...
      こっとんさん
      こんばんは!はじめまして。
      フォローに答えて頂き、ありがとうございます!
      私も、有川浩さんが好きで、この作品も、読んでいた筈なのですが、こっとんさんのレビューを読むまで内容を、忘れていました。もう一度、読み返したくなりました。
      それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
      2021/01/14
    • こっとんさん
      りまのさん
      はじめまして。
      こちらこそありがとうございます♪
      りまのさんの本棚の本は私が読んだことのない本が多いので参考にさせていただきます...
      りまのさん
      はじめまして。
      こちらこそありがとうございます♪
      りまのさんの本棚の本は私が読んだことのない本が多いので参考にさせていただきます!
      これからもよろしくお願いします。
      2021/01/14
  • お正月前の年内最後のイベント、クリスマス。仏教が主の日本においては、海外ほどではないにしても、最近では一大イベントとなっている。神道の我が家でもクリスマスには、多少なりとも感化されている。

    イギリスでホームステイをしていた時に(イブではなかった気がするが)、子供たちが戸口で賛美歌を歌っていた。ホストに説明を受けたが、今となってはどんな説明であったのか、思い出せず、ただ残像で『あのことね』という感じの記憶のみだ。読み終えても私の残像と本作の意味繋がっていないような気がして、『ひょっとして、キャロリングって別の意味があるの?』と、不安になり意味を調べてみた。

    「キャロリング」とは、クリスマス・イブにキリストの生誕を賛美歌を歌って知らせること。のようだ。

    意味は間違っていなかった。と、なると作者が本作のタイトルを「キャロリング」とした意味が難しいく感じた。キーワードは、クリスマスなのか、子供なのか、新しい人生の誕生という意味なのであろうかと、思い巡らせる。

    本作は「クリスマスに倒産が決まった子供服メーカーの社員・大和俊介。同僚で元恋人の折原柊子に秘かな思いを残していた。そんな二人を頼ってきたのは、会社に併設された学童に通う小学生の航平。両親の離婚を止めたいという航平の願いを叶えるため、彼らは別居中の航平の父親を訪ねることに――。逆境でもたらされる、ささやかな奇跡の連鎖を描く感動の物語。(Amazon 内容紹介文より)」である。

    主人公・大和俊介は、両親からの愛情を受けることなく、不幸な人生を送っていた。そんな彼の一番の恩人であり理解者は、子供服会社「エンジェル・メーカー」の社長である西山英代だった。父親からの身体的な虐待、母親からの精神的な虐待…不幸の比較はできないが、母親のためにと思って行った行為が、母親から非難される。その時の大和の受けた切なさ、虚しさは想像するだけで、胸が締め付けられる思いがする。そのためか本作での彼には陰(かげ)があり、世の中を悲観的に捉えいるように感じられる。
    それでも、彼が発する言葉の真意、行動には優しさや配慮が感じられ、不幸な過去を経験したにもかかわらず、周りの人間から信頼される言動にはたいしたものだと思った。

    大和の身に起こったDV、倒産に加えて暴力団、誘拐と次々に起こる不幸の連鎖。

    一人の人の人生にこんなにたくさんの不幸が起こること自体が衝撃的であるが、本作においては、それほど深刻な問題には感じなかった。
    それはこんなに不幸が重なるわけはないと思っているからか、小説なのでそれほど深刻にはならないと思っているせいか、はたまた誘拐犯が人間味あるからか、いずれにしてもそれほど威圧感や切迫感を感じないところがいい。
    特にヤクザの赤木守とその子分の糸山光太、石田猛がいい味を出しているためであろう。

    クリスマスまで会社倒産のカウンドダウンで起こる事件。大和の受けたDVも何か意味があるのかもあしれないが、ひとまず、クリスマスを機に新しい人生がスタートするという意味でこのタイトルが付いたとしたい。また、時間をおいて再読した時…わかることがあると思う(ことにした)。

  • クリスマスの夜に倒産する会社もあれば、離婚に揺れる夫婦もある。

    過去に家庭崩壊を経験した大和俊介は、エンジェル・メーカーという子供服メーカーに勤める。幼少の頃から家庭内暴力に悩む大和を、オーナーの英代は影ながら見守り続けてきた。

    経営がうまくいかなくてクリスマス倒産となってしまったので、メーカー兼、託児所も畳むことになった。
    託児所を変わっていく子供が多い中、1人ずっと通ってきている子供、田所航平がいた。

    航平の家は母がバリバリのキャリアウーマンで、今度ハワイに引っ越すことになっていた。しかし父と母が喧嘩になったっきり、離れ離れになろうとしていた。

    航平は父も母もどちらも好きなので、離婚しないでほしいと願っている。
    しかし母と険悪になったきり、簡単には父とは会えなくてなってしまった。
    その思いを聞いたエンジェルメーカーの職員、そして大和はこっそり航平を父親の元へ連れていくのに付き添い、膝を交えて話をすることになったのだ。


    ————-


    途中で出てくるヤクザも悪いやつなんだけど、いいやつ感がにじみ出ていてなんとも嫌いになれない。

    最後はハッピーエンドとはいえなかったけど、後に尾を引かない結果になっただけでも良かったのかなと思う。

  • いろんな人物が、それぞれの生い立ちを持って、それぞれの人生を懸命に生き抜こうとしている。それらの、ある意味相容れない筈の人達が巡り合い、絡み合って、お互いの人生に影響しあって暮らしている。みんな決して強くなく、弱いんだけど、そうして絡み合って強くなっていく。
    大和もトーコも、良いやつだなぁ。

  • クリスマスにもたらされるささやかな奇跡の連鎖―。有川浩が贈るハートフル・クリスマス。
    「BOOKデータベース」より

    ドラマ化もされているようだが、こちらは見てない.
    のっけから、何!?と思う不穏な状況描写から始まる.家庭内暴力、離婚、倒産、、心に傷を負いながらも周囲に支えられて立ちあがれる者、そうでなかった者、両方が出てくるが、一連の事件で誰も死なないところや、最後は「情」によって解決されるところが有川さんの小説のよいところだなぁと思う.
    悪いことをする人も、パンドラの箱のように底には希望のかけらが残っていてほしいと思っているのだが、まさしくそんな感じかな.

    • koshoujiさん
      どこにコメントしようか迷いましたが、
      直近に書かれて私も読んだこの作品のレビュー欄にコメントさせて頂きます。
      初めまして。ですよね?
      ...
      どこにコメントしようか迷いましたが、
      直近に書かれて私も読んだこの作品のレビュー欄にコメントさせて頂きます。
      初めまして。ですよね?
      突然、花丸が大量に付けられて驚いていらっしゃるかもしれません。
      「朝方書いた『ぼくの大好きな青髭』」のレビューに花丸が付いていたので、どなただろうと思って興味を持ち、
      レビューをざっとですが、350件ほど、全て拝見しました。
      それらの中で、私が読んで共感できたものに花丸を付けさせて頂きました。
      簡単なコメントもいくつか入れました。

      以前からフォロー頂いていたようで失礼しました。
      こちらからも早速フォローさせて頂きました。

      さて『青髭』は、ブログに書いたものを、
      最近きちんとしたレビューを書いてないので、ブクログにも載せちゃおう
      と思い、レビュー投稿したものです。
      ブログには、敢えて当時購入した初版本を撮影して画像もアップしました。
      http://blogs.yahoo.co.jp/koshouji
      遥か遠くなってしまった青春時代の一コマを綴ったものです。
      最近、仕事とブログが忙しく(笑)ブクログのレビューがおろそかになっています。
      ecottさんのレビューはなかなか興味深いので、これからも注目しています。

      庄司薫作品は新潮社から文庫で最近復刊されたようなので、
      お暇があれば、是非読んでみてください。
      半世紀近くの経た今でも、色褪せない青春小説の傑作だと思います。

      では、突然でしたが、今後ともよろしくお願いいたします。<(_ _)>
      2015/08/23
    • ecottさん
      たぶん、はじめまして、です.いつフォローさせていただいたかは覚えていないのですが、koshoujiさんのレビューは読んでみたいなと思うものが...
      たぶん、はじめまして、です.いつフォローさせていただいたかは覚えていないのですが、koshoujiさんのレビューは読んでみたいなと思うものが多く、本選びの参考にさせていただいています.
      350件のレビュー全部読まれたのですか!?すごい…ありがとうございます.興味深いと言っていただけると書きがいがあります.最近読む時間がなかなかとれなくて停滞気味ですが…
      オススメの『青髭』、今後是非読ませていただきたいと思います.
      こちらこそ、今後もどうぞよろしくお願いします!
      2015/08/23
  • クリスマスを前に、何処かあきらめ顔の人々。その中にどうにかなるかも!と少年がひとり行動をおこします。
    彼の行動が周りの大人たちの心を少しずつ動かし…
    さて、クリスマスにはどんな奇跡がおきるのでしょうか?

    自分の境遇を恨んだり、他人の幸せを妬んだり、そんな暇があったら、少しでも顔を上げて前を向かないと、小さな幸せ見過ごしちゃいますよ。

  • 図書館のクリスマスのコーナーで手に取った。クリスマスらしさはなかったけど、これからのみんなの春を楽しみに読み終えた感じ。

  • 大号泣。読んでる端から泣き続けて読み終わったかんじ。
    大和はいいひとにめぐりあった。航平もいいひとにめぐりあった。みんな恩返ししてた。
    その輪に加われないひともいた。来た道を戻って遠く世界の果てに。
    思いやることは知ったかぶることでなくて、察することで、でも後ろにいるからね、って伝えることなのかなあ。
    かわいそう、を利用するのは卑怯者のすることなんだ
    でもかわいそうを使わないと生きていけない人はどうしたらよかったの?
    愛していると伝えて、愛していると言ってもらえたならよかった
    誰かのせいにしても楽にならないんだ、自分がよどんでいくだけなんだ
    わたしから始まることなんだ
    変わることがあって、取り返しのつかないこともたくさんあって、でも踏み出せるなにかがあるから、きっと、どこにも希望があるんだろう

  • ① この本を選んだ理由
    筆者のファンなので選びました。


    ②あらすじ 
    虐待を受けて育った主人公の大和。
    大和と同じように親の問題で悩む小学生の航平。
    生まれた時から決められた道を歩んでいる赤木。
    それぞれの人生が重なる一瞬を抜き取った作品。


    ③感想
    有川浩作品っぽくない感じだった。
    いつもより少し暗く重めな話し。
    いろんなことが浅い感じで終わっていく感じで、心に残るような作品ではないのかなと。


    ④心に残ったこと
    不幸を比べても仕方ないってこと。


    ⑤登場人物  

    大和俊介

    (エンジェルメーカー)
    西山英代 社長
    佐々木勉 デザイナー
    折原柊子 デザイナー
    朝倉恵那 営業


    菊池航平
    菊池圭子
    田所祐二

    (赤木ファイナンス)
    赤木守
    糸山光太
    石田健

  • エンタメ小説に強い有川さんだからこそ書けたであろう、感動的でもあり、考えさせられる部分もある、奥深い長編小説です。
    主人公と自分の生い立ちが酷似していて、初めの方は重苦しい気持ちを抱えながら読んでいました。途中で出てくる他の登場人物たちも過去や現在進行形で同じような状況を心に抱えていて、三者三様に苦しみながら、それでも前を向いて生きていいかなければならないという事実を、最後に有川さんが伝えてくれたような気がしてなりません。

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

有川浩の作品

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