- Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344027275
感想・レビュー・書評
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読む前に面白さが伝わってくる。
狸の兄弟、再登場!
二代目が帰ってくるというが、英国からだなんて、「有頂天家族」にあまり似つかわしくないような気がする。中国や香港、韓国などの方が狸っぽいのでは、と思ってしまう。
兄さんの矢一郞は、マッコトめでたい!矢三郎は・・・・もう少しどうにかならないかな、と思ってしまう。
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「有頂天家族」の2作目、快調!
3部作なんだそうです。
京都で暮らす狸の下鴨一家。
三男の矢三郎が主人公で、口が軽く身も軽い。
ほぼ引退して飲んだくれている老天狗の赤玉先生のことを気遣うのは、天狗と狸がそういう関係だかららしい。
界隈に英国製の貴重品が落ちてきて、天狗のものとわかる。
じつは英国留学から戻った赤玉先生の息子、通称「二代目」のものだった。
英国紳士風の白皙の美男「二代目」と赤玉先生の跡継ぎを自認する美しい「弁天」は、一騎打ちになるが‥?
矢三郎の長兄は、亡き父もつとめていた京都狸界の頭領「偽右衛門」を継ぐことに。
井戸の底で蛙となっていた次兄もまた、井戸を出て旅立つことに。
矢三郎の前には決して姿を見せることのなかった夷川家の末娘・海星。
婚約者なのだがこれでは付き合いようもないと思っていた矢三郎。ところが?それには可愛い理由が♪
それぞれの恋の花咲く2作目。
化けられるとはいえ狸の身で、人というかほとんど天狗になった美女・弁天に寄せるかなわぬ憧れ。
矢三郎にとっては父の仇の夷川早雲との因縁は。
やる時にゃやる!のが、矢三郎。
大文字納涼船合戦、幻術師・天満屋の登場やら、思わぬ僧侶の登場やら、有馬地獄やら。
勢いよく迸る筆に乗せられて、不思議で面白いことが起きる京都の夜へ飛ぶ心地になれます。
3作目も楽しみ! -
毛玉ファンタジー再び。馴染んだ地名、路線が山盛り。想像するだけで楽しかったです。前作から森見さん作品を幾つか読んできて文章のリズムにもすんなり馴染めたのも良かった気がします。化かし化かされ、狸の世界も大変そう。弁天さまの艶やかさと赤玉先生のダメっぷり。二代目のクールさに、夷川家の狡猾さ。仇は討てたけど最後の最後はちょっと切ない。狸には狸の恋愛があるのだと私も思います。だって人間だもの、だって狸だもの。長兄の結婚、次兄の旅立ち。どたばた劇はきっとまだまだ続くのでしょう。糺の森あたり、探してみたくなりました。
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面白きことは良きこと哉
面白かった!
下鴨一家、海星、玉瀾、夷川家の阿呆たちの狸。
赤玉、弁天、二代目の天狗。
それぞれの戦いが面白い。
それぞれの哀しみが沁み入る。
それぞれの慈しみが温かい。
三部作の完結を心待ちにして歳を重ねよう。
待つことも楽しみ哉 -
京都を舞台に、狸と天狗と人間が入り乱れる群像小説。
英国紳士は、赤玉先生の二代目となるのか。
父の仇である早雲との対決の行方は。
そして、ぐるぐる巻きの運命の赤い毛。
あぁ、三巻が待ち遠しい!!
洛中を越えてピイピイと活躍する毛玉たちに、読んでいてほっこりします。
生きるか死ぬかにも関わらず、なんだか癒されてしまうのは阿呆の血のしからしむるところ。
優しい気持ちになって読んでいるから、矢一郎が狸鍋に落ちそうな弟を助けにいくシーンでは涙が出る始末。
デトックス効果あります。
下鴨家の四兄弟がステキで、ほんとうに、もう、食べちゃいたいくらいです。 -
有頂天家族三部作の第二部。狸の下鴨矢三郎が師事する天狗の赤玉先生の二代目が京都に戻ってきたところから始まる波乱の物語。狸と天狗と人間の化かしあいともいえるドタバタ、どんでん返しのオチに驚いた。加えて矢三郎とその兄矢一郎のそれぞれの不器用な恋が可愛らしい。人間も狸も天狗も似たり寄ったり。
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相変わらず毛深い話。
弁天様が魅力的だった。
この人は怖いだけじゃなくて、食べられる狸を前にはらはらと泣く弱さもあるんだよなあと、今回の敗北を見て思った。
そして海星との純愛!
可愛いよ、海星。いい女だよ、海星。
姿を見せないのに、そんな理由があったなんて。
森見さんの作品で一番好きな話。
狸が愛おしい。 -
1巻目よりもばかばかしさが減り、その代わり切ないシーンや恋愛話が増えた印象。愛すべき毛玉たち!もがもが、ふがふが。擬音語がかわいすぎる!まさかのぽんぽこ仮面の登場にもニヤニヤしてしまった。そして私の好きな次兄(蛙)が活躍して嬉しい!「天狗には天狗の誇りがあり、狸には狸の矜持がある。それゆえに、天狗の血と阿呆の血は響き合う。」もはや名言!第三部もあるみたいで楽しみ。
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前作読了から待つこと実に7年、ようやく続編が刊行された。
つまらないわけがない、という確信めいた思いは持っていたが、予想にまったく違わず、これも森見登美彦氏らしさが如何なく発揮された名作であった。
下鴨一家、夷川一家、金曜倶楽部、赤玉先生に弁天といった前作でおなじみのキャラクターたちの魅力はそのままに、二代目、玉瀾、天満屋など新しい顔ぶれがこれまたちょうどいい塩梅の描き具合とタイミングで物語に加えられており、正統強化の方向に進んでさえいる。
そしてこれは私個人にとってという限定的ポイントではあるが、学生時代に居を構えていた下鴨神社近辺や、京都界隈のよく知った町が舞台となっている点も、前作及び他の森見作品同様、大きなアドヴァンテージである。
森見氏は本当に日本語の使い方が巧みで、紙幅の多くを占める阿呆らしい文章群に交じって時折トラップの如く挟み込まれる、物事の本質をズバンと突いた表現や台詞に不意打ちのようにハッとさせられることがある。
例えば、南禅寺正二郎の「自分の父親があんなに洛中に名高い狸だったら、始終父親に見張られてるみたいで、間違えないでいいことを間違えたりするもんですよ。ころころ気楽にやって流れにまかせていれば大きく間違ったことはしないものだけど、肩肘張って何かをやろうとしたら、僕らは決まって物事をこじらせてしまう」という言葉であったり、淀川教授の台詞「なぜなら愛とは押しつけるものだからですよ。どこに理路整然と説明できる愛がありますか。(中略)僕は諸君を説得しようとは思わない。ただ感化するのみです!」であったり。
登場人物が狸やら天狗やら怪人やらで、彼らが懲りもせず荒唐無稽な騒ぎを巻き起こす、というハチャメチャな設定がほとんどの小話のアウトラインであるにも拘わらず、その醸し出すリアリティーが他のどの小説をも凌駕しており、各々の場面が鮮明なヴィジュアルとなって読者の脳内に再生される、という森見氏の筆力は、少なくとも今シリーズにおいては圧倒的だ。 -
一作目を読んだ翌日に続けて二作目を読んだがなかなか面白い。執筆時期でいうとそろそろ三作目が読めるのか、そう言う期待感もあるが今回は前回を上回った面白さだった。
著者プロフィール
森見登美彦の作品





