誓約

著者 :
  • 幻冬舎
3.55
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本棚登録 : 871
感想 : 160
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344027428

作品紹介・あらすじ

愛する家族と穏やかな日々を過ごしていた男に、一通の手紙が届く。「あの男たちは刑務所から出ています」。便箋には、ただそれだけが書かれていた。

感想・レビュー・書評

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  •  15年前にアルバイト先の客だった落合に誘われ、川越で
     レストランバー『HEATH』の共同経営者となり、マスターとして働く向井聡。
    私生活では、妻と小学三年生の娘と幸せに暮らしていた。
    ある日、聡に「坂本伸子」という女性から手紙が届く。
    すぐには誰だかわからなかったが、名前の主に思い至ると
    鼓動がせわしなくなって、封筒を持つ手が小刻みに震えだした…。
    便箋には、『あの男たちは刑務所から出ています』それだけ書かれていた…。


    顔半分が痣に覆われていた。親に捨てられ、施設で育った。
    全ての原因を顔にあると思い、暴力により身を守り、存在を誇示し、
    粗暴を絵に描いたような男。悪の限りを尽くした…。
    戸籍を変え、整形し別人として16年生きて来た。
    幸せな家庭を築き、仕事にも恵まれ幸せな日々。
    それが、一通の手紙から一気に過去へと引き戻される…。

    「坂本伸子」って誰?その手紙は何?聡に何があったの?
    頁を捲る手が止まらなくなった。
    少しずつ明らかにされる聡の過去…。
    脅迫者は誰なの?途中迄予想も出来ずにいたが、もしかして…。
    でも、まさかって気持ちが大きかった。
    でも、やはりその人が犯人だった。
    ミステリーとして、読み手を引き付け謎が膨らみ先が気になって仕方がない。
    予想も出来ない意外な展開。ドキドキ・ハラハラの連続。
    ラストの衝撃の真実!!
    とっても面白かった~ムード
    希望の光が見えるラストも良かった。

    ただ、帯にある
    ー一度、罪を犯した人間は幸せになってはいけませんかー
    現実には、本当に罪を悔い贖罪の日々を送っている方もいると思いますが、
    聡の家族を愛する気持ちには心を打たれた。
    しかし、彼は過去の罪に真摯に向き合ってもいないし、
    犯した罪に対する贖罪もしていない。
    罪を犯した人は犯した罪を忘れるが
    犯罪被害者の遺族や関係者は悲しみの無間地獄に落ちている…。
    そこがちょっと引っかかった。

  • 中盤で犯人がよめたのはちょっと残念要素。
    坂本さんと小森さんの出会いの都合の良さとか、真壁が指をつめられても高藤を売らなかったというのも説得力ないし。
    物語が進むにつれて、高藤の積み重ねてきた罪が徐々に見えてきて、向井聡としての人物像とあまりにもかけ離れた凶暴性に、同一人物として納得しずらかった。
    とは言え、落合と公平と高藤の、隙間に入り込んでいたホコリが一掃される終盤は一気読みだったので、星3つ⭐️

  • 重たいテーマの作品です。主人公の現在の幸福とは裏腹な過去の出来事。
    誰がどうその過去と繋がるのかが最後まで見えてこない。
    不幸と幸福は本当に紙一重なのだと感じました。

  • どこで誰が繋がっているのかが分からず先が気になる展開。
    ストーリーがしっかりしているからだろうなぁ、一気読み。

  • 一度罪を犯したら、人はやり直すことはできないのだろうかーー。罪とは何か、償いとは何かを問いかける究極の長編ミステリー。

    捨てたはずの過去から届いた一通の手紙が、
    封印した私の記憶を甦らせるーー。十五年前、アルバイト先の客だった落合に誘われ、レストランバーの共同経営者となった向井。信用できる相棒と築き上げた自分の城。愛する妻と娘との、つつましくも穏やかな生活。だが、一通の手紙が、かつて封印した記憶を甦らせようとしていた。「あの男たちは刑務所から出ています」。便箋には、それだけが書かれていた。

    一度罪を犯したら、人はやり直すことはできないのだろうかーー。究極の問いを突きつける長編ミステリー。

  • 筋の通ったサスペンス
    最近この人の本を少しずつ読み始めたけど、ストーリーがしっかりしてて、先も気になる感じだしとてもおもしろい
    日本は加害者守り過ぎなんだよなー
    裁判官の判決もぬるいし。
    自分勝手な犯罪者には死んでもらっても構わない!
    1カ月ありとあらゆる苦痛を受けてからね!
    なんなら被害者に復讐される法律もあるといいんじゃないかな!

  • 面白かった~。最後までわからない脅迫者と動機。誰が脅迫者か3回くらい騙された。登場人物が心が傷ついてる人ばかり。でも情のある人ばかりで救われる。

  • 誰がどこで何がどうつながっているのかグイグイ読みすすめられた
    依頼者の気持ちに共感できる部分はあるが 
    向井の妻の立場になると受け止めきれないことが多する。。

  • 図書館で。結末、エンディングに向けてのハラハラの度合いが半端なかった。最初の方で伏線が張られていてあー、そうだったのか!とわかったときは鳥肌。家族が仲間がバラバラにならなくて結末が救いでした。

  • 信頼感と期待を持って読んで、毎回その信頼を裏切らない薬丸岳さん。
    今回も重いテーマでごんごん心にきました。
    当事者ではない物に復讐を委ねる。そして善悪と罪と罪を全て天秤にかけた時に、道義的な罪と法としての罪。罪を隠したままで幸せを享受している事への罪悪感と、幸福を保つためにどれだけの犠牲を払わなければいけないのか。一方通行ではない思いを整理してテーマ負けせず小説に昇華しています。しかもミステリー要素も含まれています。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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