- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344027893
作品紹介・あらすじ
苦肉の策か、狂気の沙汰か。太平洋戦争終戦間際、20歳に満たない若年兵が乗る布張りの練習用飛行機に250キロ爆弾を抱かせ、敵艦に体当たりさせる特攻作戦が行われた。その特攻隊員と思しきM・Kから手紙を受け取った深田隆平は、戦後、その消息を尋ねる旅に出る。自らも空襲で許嫁を亡くすという辛い過去をもつ隆平が、やがて辿り着いたM・Kの素性。その素顔とは…。著者自らの実体験をもとに綴る奇跡の邂逅譚。
感想・レビュー・書評
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調査と若干の脚色によるほぼノンフィクションといえる小説。練習機に爆弾を搭載した特攻隊に乗った若者の話。
読んでいて何度も胸が苦しく、切なくなった。若干20歳程の未来ある若者の気持ちを思うとコトバが無い。
こういった戦争の悲劇は私を含めて知らない人が多いと思う。日本人はこういった悲劇の上に今の豊かな生活があることを再認識すべきだと思うし、是非読んでほしい1冊。 -
題名に反して泣ける話では無い。著書の実体験に基づくノンフィクション風小説だ。あとがきにもそう断っているが。93式中練、通称赤トンボ。名前だけは知っていた。小学生中学生の頃、零戦を始めとする日本海軍陸軍のレシプロ機に夢中になり一式戦から五式戦まで形と愛称を覚えたものたが赤トンボについてはサッパリ。それか終戦直前の沖縄周辺で特攻機として使われた。
信じられない話だ。250キロ爆弾を抱え時速120〜130㎞の速度で敵艦に突っ込んだと言う。
改めて戦争の悲惨さと上層部の無為無策を思う。
ともすればお涙頂戴の話になってしまうところを著者は淡々と描く。特攻しきれずに戻ってくる人が多数いて臆病者扱いされたという話も哀しい。
特攻帰りの人や軍隊体験者も次々に鬼籍に入りもう10〜20年もしたら1人もいなくなるのでしょうね。
今のうちに語り継げる話は活字に残して欲しいです。