啼かない鳥は空に溺れる

  • 幻冬舎 (2015年8月6日発売)
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感想 : 97
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  • 本 ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344027954

感想・レビュー・書評

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  • 恋愛ものはあまり得意ではないけれど、
    唯川恵さんは大好きでよく読みました。
    この本もてっきり恋愛ものと思って手に取りましたが、
    違ってましたね…。

    これは”母と娘”の呪縛と依存の物語。
    終始、心がひりひりしました。

    親、それは子供にとって一番近くにある権威。

    幼い頃から母の辛辣な言葉に傷つけられてきた千遥。
    過干渉な母の愛情を重たく感じている亜沙子。

    一見反対のように見える二人。
    でもどちらも母親の呪縛から解き放たれたい思いは同じ。

    好条件の結婚相手を見つけ、初めて母に褒められ「勝った」と喜ぶ千遥。
    そもそも勝ち負けではないはずなのに。
    そう思わずにいられない千遥が痛々しくて…。

    最後は背筋がぞくっとするくらい怖かったです。

    そして親孝行は親のためばかりではなく、
    ある意味、自分の心のためにする。
    それくらいの気持ちでいたほうがいいのかもと…。

    娘として思うところの多い一冊でした。

  • 3.0
    どっちのお話も最後の終わり方が不吉でぞわぞわする

  • 「王様のブランチ」で紹介され、読みたいと思っていた本。
    母娘関係がテーマ。

    母娘の関係を指す言葉ですぐに頭に浮かぶものは、「友達母娘」、「一卵性母娘」でしょうか。
    この言葉を頻繁に聞いていたころは、友達のような、姉妹のような母娘の関係が絶賛されていたような気がする。
    それがいつしか、母と娘の関係には危険性がはらんでいるという認識に。
    でも、母と娘の関係は家庭内のことで、なかなか表に出ず、声を出す人もいなかったのでは…
    それが最近、小島慶子さんが母との確執を語ったり、NHKの「あさイチ」で特集されたり。
    少し前に、篠田節子さんの「長女たち」を読んだ時にも、長女って生きにくい面を持っているんだなぁ…と感じた。
    かくいう私も実は長女。それも兄弟は弟だけという。
    とっても興味深く、読み切りました。

    千遥は官公庁の外郭団体の契約社員。
    母から逃れたくて、大学から実家を離れてくらしている。
    亜沙子は父を病気で亡くして以来、母と二人暮らし。
    まったく違うタイプの二人だが、母との関係に縛られている。
    結婚を機に、母との関係を変えたい二人だったが…

    • azu-azumyさん
      まっき~♪さん、こんにちは!
      コメントありがとうございます!
      こちらこそ、いつもいいね!をありがとうございます。

      ほんとに、最近、...
      まっき~♪さん、こんにちは!
      コメントありがとうございます!
      こちらこそ、いつもいいね!をありがとうございます。

      ほんとに、最近、母娘関係がテーマのものが多くなっていますよね!

      私もまっき~♪さんの本棚に遊びに行かせていただいて、素敵な本に出会っています。
      これからもよろしくお願いします(^^♪


      2016/01/24
  • 一筋縄ではいかないんですよね、母と娘。血が繋がっていてもうまくいかないものはいかないし、血が繋がっているからなぜ? どうして? が止まらないこともある。表面上うまく関係を紡げているように見えても実際は違うのかもしれない、それが母娘。

    唯川恵さんの作品久しぶりに手に取りました。さすがですね。あらわすことが難しいどろどろな嫌悪をじつにうまく描写されている。途中吐き気までした。巧いなぁ。

    プロローグはひとりの女性のブログからはじまる。毎週末のランチを娘と過ごす日々を書き綴ったブログであり、ちょっと贅沢をし、早くに夫をなくした母一人子一人の女のブログだ。
    それを読んで鼻白む母と不仲な【千遥】と、そのブログの筆者の娘である【亜沙子】のふたりの目線で物語は並行し、進む。
    単に母娘の関係の難しさを描いているだけではないのが素晴らしいと思った。ここにあるのはもはや狂気。ラストにかけて恐ろしすぎて鳥肌立った。うわー、唯川さん意地悪いなぁ、腹黒いなーと、思わず苦笑い。でもそれがこの小説を際立てて良くしているし、そう簡単にはうまくまとまらない、それが母娘よねとも。

    以下ネタばれあり。

    わたしは二人の女性どちらにも肩入れすることなく物語を読み進めました。言葉という虐待で幼いころから苦しめ娘をトラウマに追い込んだ千遥の母親よりも、娘にべったり依存、ブログを使い第三者へやんわりと屈折した愛情を見せつけ、次男とのお見合いを無理やり設定し、やがてその男が小児性愛者であることがわかり婚約を破棄した娘を慰めるのではなく、なんとかしてその男との結婚をさせようとすること、ブログに書いちゃったしなんとかして、、、と手首まで切っちゃうこと、それから仮病を使って娘の気を引こうとすること、そしてそれに気づいた娘が海外へいってしまった、しょ気てるのだろうけどそこに最後のエピローグでのブログ内容はぞっとしました。

    脳梗塞で母が倒れたことで大嫌いな母を介護することになった千遥。排便した母に臆することなく献身的な世話をするたび母に「ありがとう」とつたない言葉で感謝され、しだいに過去のトラウマと向き合った千遥。婚約も破棄し、大嫌いだった母と毎日向き合い、ブランド服も脱ぎ捨て地元の友達とつるみ、ようやく幸せだなって、愛があふれかえってた瞬間に、幼いころから母に言われ続けた「泣けば許されると思うな」と後遺症が残る現在の母から言われたところで千遥の話は終わった。
    ほんと意地悪いなぁ、唯川さん笑。ぞっとするよ。読者に想像させるのは構わないけど、もう破滅だよね。せっかくいい感じにまとまったのに、それ言われたら千遥はどうするんだろ。殺しちゃうんじゃないだろうか、母親を。

    いろいろ考えさせられる小説でした。これはもうホラーそのもの。久々にぞっとするいい小説が読めたなと個人的には大満足です。

  • ホラー
    (重たいので感想は後日)

  • すごく面白かった。
    母と関係が悪い女性と、一見母と関係が良好な女性の物語。
    自分と母の関係性を重ね合わせて読んでしまった。
    自分も母と、学生の頃は共依存関係みたいな感じだったので、どちらかというと亜沙子に共感する部分が多かった。ある時から、母は私のやることを尊重してくれるようになり、縛りつけるような生き方を辞めてくれたので、とても関係が良くなった。この本を読んで「人はなかなか変わらないんだなぁ」と、千遥の母を見て感じたが、そんな中でも私のためにも自分のためにも変わってくれた母を、改めて誇りに思うとともに感謝の気持ちでいっぱいになった。

  • 二組の母娘の物語.母と友達のように仲良しな上手くいってるはずの亜沙子と子供の頃から虐待されてきたと恨んでいる千遥.どちらも結婚問題を機に今までの心の中に溜まっていたモヤモヤ感が噴出する.他人ですら人間関係は難しい,ましてや母親との関係となると何が正解か全くの闇だ.読みながらとても恐かったです.

  • 「啼かない鳥は空に溺れる」というタイトル。

    母親と娘という関係。新聞でもよく取り上げられている。いわゆる毒親と呼ばれる母を持った千遥。かたや娘が生きがいのような母を持つ亜沙子。
    読みすすめて行くと怖くて苦しくなる。
    男女の考え方の差がリアル。

  • やっぱこの人の本好きだー。もっともっと新しいの出して欲しい。
    2人の女の人の交互に語られる話。
    母親と娘。その関係に正解はないような気がする。
    大事なのは自分の本当の気持ちを伝えること。親子だもの。
    ちょっと怖く、ちょっとハラハラするお話でした。

  • 千遥 救われて欲しかった

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