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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784344028265
感想・レビュー・書評
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‘自分という人間が、誰かにとってかけがえのない存在であると意識することで、人は自分の「生」を大切に思うことができる。ホスピスは「死ぬ」ための場所ではなく、最期まで「生きる」ための場所なのだ。’p154
大阪にある淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院で「リクエスト食」というものがある。週一回患者さん自身が食べたいメニューを作ってくれるのだ。
正直、読んでいて羨ましいと思ってしまって、そんな自分に後ろめたさを感じています。余命数ヶ月と宣告された、末期のがん患者さんばかりなのですが、自身の食の思い出やライフヒストリーを語る姿は文字通り、‘生き生き’とされていて、お幸せそうなのです。最期を迎える場所で大切にされている実感があると、後悔や間違いもあった自分の人生そのものまで肯定できるのかもしれない、と感じました。
わたしも家族もこの病院に入ることはできないだろうが、自分は確かに‘生ききった’と言える人生にできるだろうか。
家族が死を間近に感じたとき‘生ききった’と思えるように、あなたが大切だとメッセージを送っているだろうか。
いろいろ改めて考えることができました。ありがとうございました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院は完全独立型ホスピスで、患者の食事のリクエストに出来るだけ細やかに応えようとするのが特色らしい。
本書はリクエストにあった食事の写真と、患者の想い出話、及び病院関係者の、患者やケアに対する思いを掲載している。
病院は、大人15床のうち8床は個室料が無料。それぞれに食事代などはかかるが医療保険が適用されるので一般の病棟と同様の自己負担で済む。つまり、この病院の「リクエスト食は高額の入院費を払った人が受ける特別なサービスの類いではなく、ホスピスを必要とする私たち誰もが受けられるケアのひとつのようだ。
ホスピスでは患者の痛みを少しでもやわらげるために、医師は薬の処方をかなり細かく調整している。結果、苦痛が軽減されることで、食欲が戻ることも多いし、辛い闘病生活で失いかけた希望を、看護師たちによる手厚いケアで再び持つようになると、表情は明るさを取り戻し血色が良くなる場合もある。気持ちが前向きになると食べることが楽しくなり、結果患者の心や体の痛みを少しでも軽減できるようになる。
また、第三者に対して自分のことを話すことも「自伝史セラピー」と言って、精神面で効果があるようだ。
私はあなたを大切に思っている。
「死」を前にした末期の患者さんに対してホスピスで行われているケアは、このメッセージを伝えるための表現方法。
自分という人間が、誰かにとってかけがえのない存在であると意識することで、人は自分の「生」を大切に思うことができる。ホスピスは「死ぬ」ための場所ではなく、最期まで「生きる」ための場所だと言うことを教えてくれた。
それにしても食事は大切だ。
患者の想い出の大きな部分を占めている。
命の終わりに3日ください
母とひなかざり。
貴男と観覧車に。
子供達に茶碗蒸しを。
それにこんなのも
病院の外に
健康な日を三日下さい
一日目
私は
故郷に飛んで帰りましょう
そして
おじいちゃんの肩を叩いて
それから
母と台所に立ちましょう
おいしいサラダを作って
父に
アツカンを一本つけて
妹たちと
楽しい食卓を囲みましょう
二日目
私は
貴方の所へ飛んで行きたい
貴方と遊びたいなんていいません
お部屋を
お掃除してあげて
ワイシャツに
アイロンをかけてあげて
おいしいお料理を作ってあげたいの
そのかわり
お別れの時 やさしくキスしてね
三日目
私は
一人ぼっちで思い出と遊びます
そして
静かに一日が過ぎたら
三日間の健康
ありがとうと笑って
永遠の眠りにつくでしょう
やはり食事が入っている。
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ホスピスでの食の取り組み。食べたいものをリクエストできるリクエスト食によって、最期を迎えるのが近いのに、いきいきと今幸せだと語る方々。食によって自分の人生を懐かしく思い返して、穏やかに大事な時間を過ごすことの大切さ。毎日の食生活が人を育むのがよくわかった。
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「海をあげる」で知って読んだ。
1番心に残っているのは「好きなものを食べて医学的に病状が良くなることはあるか」の問いに医師が心外そうな表情したところ。
リクエスト食を通じて思い出を振り返る明るいさま、食欲が回復する様子が描かれていたので私もその疑問を持っていた。
この医師へのインタビューでホスピスがどういう場所なのか思い出させられたし、尚更現場で働く人々の心情に思いを馳せられた。 -
元気な時「お鮨は別腹」と茶目っ気たっぷりに話していた母。
試行錯誤の介護生活だったけど
食の楽しみを介護の中心に置いたことは自慢してもいいのかも?
読みながら晩年の母との暮らしを懐かしく思い出しました。
写真も文章もとてもやさしく美しい本。
さて、私だったらなにをリクエストするかな。 -
ホスピスで有名な淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院が取り組むリクエスト食についての物語。
実際に入院された患者さんへの聞き取り、出された食事、メニュー、また患者さんたちをケアする看護師、管理栄養士、調理する方、病院副院長へのインタビュー等を通してこの病院の病気や患者さんたちへの姿勢等を浮き彫りにする。
14名の患者さんたちはそれぞれに自分が食べたいリクエスト食を述べながら、なぜそのメニューに至ったかを自身が歩んできた人生や家族等の思い出と共に著者に語っている。たった一食の食べたい料理ではあるが、そこから紡ぎ出される物語に感動する。
人は「死」が近くなると自分の来し方を振り返り、これほどの「物語」を語れるのかという驚きと登場する患者さんたちの穏やかな語り口、時に冗談さえ交えながら語り限られた命の日々を前向きに過ごそうとする強い意志にも感動する。
そして誰もが「今」この状態が本当に幸せだと述べている。これは患者さんたちを支えるスタッフのすばらしさに起因するのだろう。
15床のホスピスなのでなかなか入院は出来そうにないようだが、このようなすばらしいホスピスで希望する誰もが最期を迎えられたらよいのにと感じた。 -
学校の先生からおすすめされて読んだ本。
「あなたの最後の晩餐にはなにを選びますか?」という問いかけとともに。
この本を読んでいて思ったのは、やはり人は食と、食にまつわる記憶で培われてきているのだということ。
だからこそ、普通の病院で、美味しくない・栄養管理に偏りすぎていて見た目などの”食べる楽しみ”の面での工夫がされてない食をたべると、次第に生きる楽しさ・気力がすり減っていくのではと。
この本の中では主に筆者が患者15名に対してインタビューして見聞きしたことをベースに綴られている。あと、ホスピスのスタッフ側の人のインタビューも。
このホスピスにとって「リクエスト食」とは、「あなたのことを大事に思っていますよ。」という心の表れなのだそう。金曜日に栄養士が何を食べたいかの聞き取りをおこなって、土曜日に家族などを交えてみんなで「リクエスト食」を食べる。その食に関する想い出を語りあったりしながら。
「体にいい食」と「食べるのが楽しい食」のバランスが重要な気がする。自分のこれからの生き方を改めて考えさせられる本。 -
ずいぶん前に、母親が入院していたので、淀キリにはよくお世話になっていました。新しいホスピスができたのは知っていましたが、こんなによいものとは知りませんでした。
しかし、自分がああなったときに、人生を振り返って、こんなに想いがあるかというと今のところ自信がありません。
なので、ここに登場された皆様がちょっと羨ましくもありました。 -
とても良い本を読みました。
淀川キリスト教病院ホスピスの、食の取り組み。
以前より、所謂病院食というものに違和感がありました。
美味しそうじゃない。美味しくない。
栄養のこと「しか」考えていないのかしら、それでいいのかしら?と思っていたら、
ある人からは栄養のこと「すら」充分ではない、という見解をもらって、さらにがっかりしました。(ここでいう「栄養すら」というのは、ある特殊な状況;例えば身体に大きな傷を負い、その修復には特定の栄養素をより多く採った方が良い、といった意味の栄養です。おそらく、一般的な意味での栄養は一通り考えられているのかなとは思いますが。)
美味しいものを食べて、嬉しくなる、気持ちが明るくなる、前向きになる。
そういった副次的な効能は、果たして見過ごされていて良いのか。
ごく平和な日常生活の中ですら、食が力を与えてくれる場面は少なくないのに、弱っている人間に対するその力を軽視するのは、納得がいかない。
そう思っていました。
本書は、ホスピスに入っている患者さんへの食の想い出に関するインタビューを中心に構成されていますが、
合間に挟まれる「リクエスト食を支える人たち」というコラムがとても良い。
調理師さん、看護師さん、お医者さん…それぞれの立場での、患者支援に対する思い。
食事が病状を劇的に改善することはない。けれども、「あなたを大切に思っている」というメッセージを軸に、食を含む全てのケアがつながれば、患者さんの痛みや苦しみを、少しでも和らげることができるのではないか。最後までその人らしく「生きる」支えとなることができるのではないか。
「リクエスト食」という週1回の、謂わばイベント的な取り組みを紹介してはいるのですが、単に余命の短い人に好きなもん食べてもらおう、という主旨ではないところが良い。生命力への信頼であり、応援であり、その人の人生の肯定であるということが肝なのだと感じます。
「料理は愛情」という表現は、どうにも自分中心な感じがして好きではないのですが、
一料理好きとして、家族や身近な人への食事を担当する人間として、食事の力やその責任は忘れたくないし、食事でもってその人を応援できる力が多少でもあることには誇りを持っていたい、そして、私個人の力が限られているにしても、精進していきたいと思いました。 -
食は記憶と結びつきが強い。おいしいものをたくさん食べ、幸せな思い出をつくっておきたい。
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一気読みした。
徹頭徹尾暖かさに溢れてた。
読んでてこちらも暖かい気分になった。
「人は自分宛てのメッセージを聞き逃さない」の最たる例のような気がした。
あなたのために治療をしています。
あなたのために看病しています。
あなたのためにご飯を作っています。
そういう『あなた宛のメッセージ』が食を通して語られた。そんなお話でした。
食にフォーカスしたお話やけど、食を媒介にして様々な人の暖かさに触れた気がする。
いい本読んだなー。 -
先進的な看護で名高い淀キリ。その終末期医療のホスピスのなかで提供されるリクエスト食に着目した一冊。
人生の最後に何を食べたいか、その人の語りに丁寧に耳を傾け、紐解いていくと、彼らの人生の断片が見えてくる。その断片は心に強く残ったものであり、またそれまで強く意識していなかったのに、どうしても現れてくるものでもある。
ぜいたくなご馳走を望むだけでなく、日常の味、親しんできた味を望む人もいる。
そのリクエストに真摯に答えていく調理師や栄養士もまた、料理人や食の専門家以上の「ケア」を行っているケアスタッフの一員として、大きな役割を得ている。
一般的な病院食がまずいことを批判するわけではないが、病院のなかでおいしいごはんが食べられる、こうしたぜいたくな環境下での終末期は決して不幸なものではないだろう。
決して全てのひとに与えることのできる環境ではなく、ここに入ることができた人は非常に幸運な人たちだ。
そして、ここに入ることができたとしても、すべてのひとが望み通り食べられるわけでもない。病状の変化で一口も食べずに料理が返されることもある。
人生の最後に好きなものが食べられるのは、本当に幸運なことなのだ。
そして、それをリクエストすることはこれまでの人生を振り返ることから始まる。
最後にどんなご馳走が食べられたらうれしいだろうか。 -
ちょっと、ホスピスについて調べる機会があった知った本。この淀川キリスト病院て元々生まれ育ったところから歩いてすぐのところにある病院で聞き知ってたので買ってみた。
人生最後を迎える前に、人生を振り替えって何が食べたいかを思い起こす作業は、人生を振り替える作業なわけです。
いろいろな、ご馳走を通した人生がこの本には書かれています。いい本でした -
最期まで、食べたい。
食べれなくなったら、生きてる半分も楽しめないだろう。
こんな穏やかな最期の日々を送れたらいいなぁ。
そのためには良い人生を歩まねば。
私たちより上の世代の方は苦労も多いのに明るく、前向きで、頭が下がる。
食の記憶、家族の記憶。
私のご飯も家族の記憶に残るかな。 -
末期がん患者が再び食を取り戻した時、決められた献立ではなく、自分で選んだメニュが食べられるとしたら?
よくテレビなどで人生最後に何が食べたいか?といった企画を目にするがホスピスの入院患者にはその時が文字通り最後の食事になるかもしれない。
取材はそのメニューを選んだ理由から始まった。すると料理名だけではなく、食にまつわるエピソードが患者さんの口からあふれ出した。
そこから浮かび上がるのは、それまで過ごしてきた日常の風景の断片でもあり、その風景にはご本人だけではなく食を共にした誰かっが含まれる場合も多くあった。
そうした風景の奥には皆さんの生きてきた時間が広がっていて、自分がこれまで何を食べてきたかには、私たちが思っているよりもずっと様々な思い出がついているようだった。 -
2022/8/14 10:31 箱根本箱
はじめにだけ読んだ。
いまの自分にマッチしてた。
これから、「食」をテーマに生きていこう。 -
<閲覧スタッフより>
末期がん患者の、人生最後に何を食べたいかのリクエスト食を取り上げたホスピスの物語。病院食と言えばあまり美味しくないイメージですが、このホスピスの料理はどれも美味しく、器もお店で出てくるような器を使ったり、食べやすいように隠し包丁を入れたりと細かな気配りがされています。リクエスト食は、管理栄養士が単に食べたいものを聞くのではなく、生い立ちや家族との思い出を細かく聞き取る作業から始まります。食を通じての心のケアの大切さが分かる本です。
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所在記号: 490.14||アオ
資料番号: 20103660
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「美味しいものを食べたい」と思う事は、「良く生きたい」と思うことなんですね。
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著者プロフィール
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