鍵の掛かった男

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 152
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  • Amazon.co.jp ・本 (540ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344028333

感想・レビュー・書評

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  • アリス大活躍!
    火村シリーズとしては、ちと異色の展開だけれど
    おもしろかった。

  • 一人の男の死を巡る物語。彼は自殺だったのか、それとも他殺か。そして彼はいったい何者だったのか、という謎を探るミステリだけど。……謎部分ってそれだけ? 他に事件は起こらないの? という印象でした。正直地味なんじゃないの、と思ったけど。
    いやいや、それだけでも充分に楽しんで読めました。徐々に浮かび上がる彼の半生と、彼を巡る人たちの物語。舞台となった大阪の数々の歴史とともにぐいぐい読まされます。いつになく行動するアリスも読みどころ。
    動機は思いもよらないところから出てきて驚きでしたが。全体的な印象としては、なんだかしみじみとしてしまいました。

  • 有栖川さんの本初めて読んだ。

  • 火村シリーズ9年ぶりの長編。いわゆる「新本格」ってジャンルは「トリックのためのトリック」的なトリックに感心できないことが多いんですけど、本作は「フーダニット」ならぬ「フーイジット」でミステリとしてとても楽しめました。有栖の大活躍という展開も新鮮。

  • 2015年10月刊。◆【引用メモ】火村は熱い正義感から完全犯罪を阻止したがっているというより、それを企てる者をただ憎んでいるのである。詳細を語ろうとはしないが、その邪悪さがかつて自分の中に宿っていたからだと思われる。ああ、ここにも鍵の掛かった男がいる、と思わずにいられなかった。(loc.2651)◆どうでもいいが、このスマホと略される機械と言葉はいつまで現役でいてくれるのだろうか? たちまち過去の遺物になりそうに思えて小説で書きにくいのだが、他に言い換える名称がないので使うしかない。(loc.3160)

  • アリスの地道な調査で少しずつ被害者の扉が開かれていき、火村の切れ味抜群の論理展開で犯人特定に至る流れが最高。いつにもまして名コンビ振りが発揮されていたと思う。その勢いでもうひとりの鍵の掛かった男の扉も開いていってもらいたいものだ。

  • 良かった、とても良かった。
    図書館待たずに買ってよかったと思える本でした。

    5年ホテルに住み続けて、ホテルで死んだ男の人生をアリスが追う話。
    果たして自殺なのか他殺なのか。
    あ、火村シリーズ。

    少しずつ少しずつ、謎だった男のことがわかっていく過程が面白かった。
    最後の真相も良かった。
    うん、いい本読んだー。

  • 全体の8割は被害者の過去をアリスが洗い出す話でハードボイルド色が強く、シリーズの中ではやや異色な印象。派手さはありませんが、中之島の地理や歴史、近年の時事ネタを挿みながら少しずつ明らかになり、同時に事件の謎が深まっていく展開で飽きさせません。
    また、火村英生が参戦してから展開されるフーダニットのロジックはシンプルながらも良く出来ていますし、伏線の張り方も綺麗。読み応えのある良作だと思います。

  • 凄く精力的に、丁寧に書かれていた。久しぶりの長編で、読み応え抜群。序盤アリスが頑張って頑張って頑張りまくるのがとても新鮮だった。火村が出てきてからはテンポが良く、さすがだなあと思った。火村だけでも、アリスだけでも解けなかった。有栖川先生の書く話は、いつも鋭くて優しい。

  • ちまちま積読を崩したり買ったり読んだりはしているもののなかなか書評を書く時間がなく、読んだけど書評書いてないのは片付けることもできず、そんな本だらけで身動きがとれなくなってきたので、とりあえず手近にあったものから書きます…ので比較的新刊。

    最近の刊行はソラシリーズの方だったりで、久しぶりに火村の長編だ!と思ったら書き下ろしは13年ぶりとか…13年て…えええ…。

    近年のアリス作品の短編や中編は、どちらかと言うと「こんなトリック思いついた!」「こんな書き方はどうだろう?」というような、新しく思いついた何か1つを並べているような感覚のものが多く、軽く読めるのは良いのだけど、読後に何か残るようなものはあまり無かった。
    長編となればそうもいかないとはいえ、今回の「いつもは殺人ありきのものが、今回は殺人なのかどうかを探るため、かつてないほどに被害者を掘り下げる」というのは、確かに今までのアリス作品の中では目新しい。それだけにやはり物語の厚みは増す。人物を掘り下げれば掘り下げるほど、感情移入はしやすくなり、奥行きも感じやすくはなるけれど、この作品の面白いところは、一番掘り下げて掘り下げているはずの被害者が、いつまでも謎に包まれ、本文中でも少し比喩で出るけれど、玉ねぎの皮を剥いても剥いても白くならないような感覚が続くのが面白い。これが被害者だけでなく、他の登場人物たちも、キャラクターがはっきりしているようでいて、なんとなくとらえどころがない感じがするのも、キャラクター小説っぽさとは一線を画していて面白い。(個人的にはキャラクター小説っぽい方が好きな傾向はあるのだけど、最近それが蔓延しすぎて食傷気味だったので。かといってぼんやりと話だけが進むものも楽しめず、これはちょうど良かった)
    あとは、火村の登場がかなり後半で、大半はアリスが(混ぜっ返しているだけでなく!)頑張って進めているというのもまた新鮮。アリスやれば出来る子なんじゃないか。

    最初帯を見た時に「密室よりも冷たく堅く閉じた、孤独な男の壮絶な過去とは?」とか書いてあるから、遂に火村の過去に触れるのかと思ってドキドキヒヤヒヤしてしまったんですが、被害者のことでした(苦笑)。とはいえ「堅く閉じた過去」となればやっぱり火村についてもちょっとだけ触れられる。けれどやっぱりそこから進むことはなく。今後語られることはあるんだろうか。語られたら終わる気がするけど、何もほのめかさないのも、せっかく何度も出てくるネタなのにもったいない気も…というジレンマ。

    良い意味で「ミステリ」という根本概念ははずさない作家として有栖川氏・綾辻氏あたりを認識しているんですが、その1つの定義として、最近めっきり遭遇することも少なくなってきた「読後の暖かくも切ない感覚」があると思っている。それが今回は少し感じられたのが良かった。
    この作品は火村シリーズの中でも、少し異色ではあれど、代表的な1冊となるかもしれない。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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