- Amazon.co.jp ・本 (540ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344028333
感想・レビュー・書評
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火村シリーズ最長編。今回は殺人が起きてからの捜査ではなく、ホテルで自殺したと思われる男性の死の真相を追っていく形で、物語が進んでいく。いつもは鼻につく、アリスの思い込みの激しい推理もほとんどなく、人間の絆の大切さなども盛り込まれていて、読み応えがあった。久しぶりに本格的なミステリーを読んだ気がする。
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晩年がホテル住まいだった男が亡くなる。依頼はその男が自殺ではなく他殺なのを証明すること。ミステリーなのだが、1人の男の人生の話を読んでいる心境になる。ホテルに滞在した男の謎と、ホテルといういろんな人がやってきては去っていく空間の謎。過去の全てに鍵を掛けてしまった男だったのだが、そこはやはり人間だ。ところどころに鍵を掛け忘れた部分が部分が見つかってくる。鍵を掛け忘れた場所にあった必然や偶然を繋ぎ合わせて男の人生を再構築していく。ジェットコースターのような男の人生に、ミステリーを越えた感情がわいてきた。
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昭和の匂いがする推理小説。
自殺なのか他殺なのか、ききこみをもとに
調べていきます。
徐々に死んでいた男の過去が明らかになっていく過程は小説全体で見るととても重要なパートだが、ちょっと長い。 -
作家アリスシリーズ、というよりこの時期には火村英生シリーズと言うべきなのか、な一冊。
大御所作家からとある依頼を受けたアリス。
それは、彼女が愛用していたホテルでの事件の再調査だった。
単なる自殺で片付けられようとしている事件だったが、事件の主役でもあるその男は自殺するような人間ではなく、さらに彼の素性が謎めいているという。
大学准教授、という肩書きが災いして(?)、火村の出動が遅れる中、アリスは一人で事件を調べ始める…。
タイトルでもある「鍵の掛かった男」は、自殺で片付けられようとしていたその男。
身寄りもなく、静かにホテルで暮らしていた彼は、なぜ死んだのか?一体何者なのか?
アリスが一人で調べる過程もワクワクしたけど、火村が出てきてからは、読むスピードも一気に加速。
一番の大きな謎は、彼は誰?なのだろうけど、事件の顛末も回収されて、すっきり。 -
有栖川さんの本初めて読んだ。
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良かった、とても良かった。
図書館待たずに買ってよかったと思える本でした。
5年ホテルに住み続けて、ホテルで死んだ男の人生をアリスが追う話。
果たして自殺なのか他殺なのか。
あ、火村シリーズ。
少しずつ少しずつ、謎だった男のことがわかっていく過程が面白かった。
最後の真相も良かった。
うん、いい本読んだー。 -
全体の8割は被害者の過去をアリスが洗い出す話でハードボイルド色が強く、シリーズの中ではやや異色な印象。派手さはありませんが、中之島の地理や歴史、近年の時事ネタを挿みながら少しずつ明らかになり、同時に事件の謎が深まっていく展開で飽きさせません。
また、火村英生が参戦してから展開されるフーダニットのロジックはシンプルながらも良く出来ていますし、伏線の張り方も綺麗。読み応えのある良作だと思います。