凪の司祭

  • 幻冬舎 (2015年10月22日発売)
3.11
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784344028418

感想・レビュー・書評

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  • ゲリラ豪雨の被害で恋人を失った女性が、テロで2,000人以上の命を奪う話が延々と描かれる。次々と人を殺していく様子は、あまりにも残酷で、読んでいて、心が折れそうになった。ゲリラ豪雨が天災ではなく、人災だという考え方も理解出来ない訳ではないが、その復讐のためにここまでしなくても・・・と言うのが率直な感想。

  • カフェ店員のモモちゃんが,都合よくスペシャリスト揃いの常連客の支援を受けてテロ行為を行う,ロジカル大量虐殺劇。
    理には適っているのかもしれないが,「ただし床の摩擦は考えないものとする」的な違和感がある都合の良さ。

  • 先が気になって、一気に読んだ自分が言うのも何だが、この小説の加害者、及びその協力者には動機も行動も一切共感できない。だからやり遂げたカタルシスはない。加害者はまるで機械のようで、途中ずっとさっさと捕まればいいのにと思っていた。
    協力者も利己的な理由ばかり。その中のひとりは本気で恋人を助けたかったのか。現場から遠ざけたいなら、いくらでも方法はあるのに、死んでもいいかと考えていたとしか思えない。
    むしろ被害者側に感情移入して、胸が痛くなる。描かれているのは、普通の人たちでこんな理不尽な死に方をすべきではない。最後にふられた青年にも同情する。あの場合、自分も鍵をかけるかもしれないと思うからだ。それはエリート意識ではなく、恐怖だ。それを青年の独白で悪い印象にされている。
    最後もなんかいい話に、無理やり持って行こうとしているように感じる。2000人以上の犠牲者の影に、その何倍もの被害者遺族の存在がいることが消されている。つまり、全てが中途半端なのだと思う。
    結局、巨大ショッピングモールで大量殺戮する話が書きたくて、動機をこじつけたような印象は否めなかった。
    座間味くんシリーズ好きなのに…

  • 周到に練られたテロ計画を淡々とこなしていく様と、阿鼻叫喚の地獄絵図にただただ戦慄。動機に納得できないと感じる人が多そうですが、狂気の演出に一役買っているのと、題材が題材だけに共感しづらいように気をつかっているのだろうなと邪推してみる。

  •  著者自身がひどい話と言っているが、ひどいなんてものではない。クズのような話だ。ゴミクズだ。以下、ネタバレ等には一切配慮しない。

     一言で言うと、頭おかしい女が、巨大ショッピングモールで無差別に殺しまくる、それだけの内容だ。背後で糸を引いていたのは、5人のこれまた頭おかしい人間ども。計画立案や武器の手配等で、専門的立場から協力していた。

     この人の作品の登場人物に共感できないのはいつものことだし、その思考回路に突っ込むのが、この人の作品の楽しみ方だと思っていた。今回は、もはや共感どうこうではない。自分の目的のためなら大量の犠牲者を屁とも思わない、クズたちなのだ。

     おい、実行者の女。気の毒ではあるし、そういう説があるのは聞いたことがある。だからといって、結論が大量虐殺テロなのか? おい、5人委員会とかいうクズども。たしなめるどころか、後押しするのか? 決行当日まで、何の疑問も持たずに?

     決行はこども休憩室から。自分が親になって以降、何の罪もない幼子をあっさり殺すような描写は受け付けなくなった。序盤で早くも、本作は駄作に認定だ。いや、駄作ならまだましか。本作は駄作を超越したクズなのだから。

     たった1人の女がそんなにうまくやれるのかとか、クズどもがまんまと容疑から逃れられるのかとか、そんなことは些細な問題でしかない。2000人以上死んでも、自分の恋人は助けたい? ついでに金品を奪おう? 保険金をせしめよう? はあ???

     挙句の果てには、モモちゃんとかいう女は、テロリストではなく儀式の司祭だった? 2162人は生贄だった? 祈るしかない? お前らバカか? クズか? 一切良心の呵責も感じずに、のうのうと生きていくのか? 爽やかにまとめてんじゃねえよ。

     最初から最後までクズ本だった。シュレッダーにかけてやりたい。

  • タイトルから宗教ものか?なんて思ってたけど全く違った(笑)スピード感が凄いっ!なかなかにグロテスクな方法をとるけど、動機が…。人は何をどう思考するんだろうな。人って理解するのが本当に難しいな。と思えばなんとなく頷ける…のか??実際にこういう「こと」を起こすとして、どこまで起こせるものなんだろう。

  • 2023.12.07読了

    動機が分けわからんとか、カビ毒がそんな簡単に抽出できないやろとか、諸々は無視してこういう突拍子も無い内容は面白い。

    然も武器が刷毛っていう 笑

  • 主要登場人物の誰にも共感できない小説も珍しい。
    推理小説的な要素も含んでいるが、本作は社会派というよりテロリズム小説、とでも言うべきだろうか。視点が、徹底してテロリストのそれなのだ。
    汐留の商業施設を狙った、化学物質によるテロ計画が実行に移される。さて、その顛末とは。
    容赦のない展開、目を覆いたくなるような描写、映画さながらのスケールと読み物としては一級品である。ただし、前述したように主要登場人物の誰にも共感はできない。

  • 一人で二千人を殺すという殺戮マシンの女と、それを作り出した「五人委員会」。
    本当に虫けらのようにバタバタと人が死んでいく。そこにときどき被害者の視点が入ってきて、個人として認識させられちゃうものだから、読者のダメージも相当で、本当にしんどかった。
    私には苦手ジャンルだけど、パニック系が好きな人には楽しめるのだろうか。

  • ただこういうのを書きたかったんだろうな〜
    という動機のくだらなさ。
    でもあったら怖いこういうテロ。
    能率は悪いけど、効率的な方法が
    逆に見つかっちゃったら…
    とりあえずショッピングモールでは
    周りの人に注意しよう。

  • 2019.10.27

  • 最後まで興味を持ち、登場人物に全く共感が持てない小説も珍しい。動機もあり得ないが、5人委員会のメンバーが協力する理由が分からん。もしかしたら、自分の身内や知り合いが巻き添えになるかもと、計画段階で想像つくだろうに。あり得ない設定ということで、読めば楽しめるかも。

  • すげー胸糞悪かった…。

  • 石持浅見による、テロリズム小説。
    どの小説もあまりに雰囲気や骨格が似ていて最近マンネリ気味で、要は期待せず読んだが、インパクトが強くてかなりよかった。
    著者には秘密テロ組織を描くシリーズがあるが、テロの規模が大きく、またアクション的にも映える今作は興奮できる。
    実行犯-協力者-被害者-制圧部隊と語り手をコロコロ変えていくが、このリズムやバランス、時系列わちょっと前後させる構成が上手くて、引き込まれる。
    背景にある動機等の経緯、またリアリティといわれると甘いが、そのあたりに目をつむれば、スリリングなパニックホラーとして完成度は高い。
    4

  • 10/05/2016 読了。

    図書館から。
    石持作品…何冊か読んでいるけれど、
    個人的に相性がいい気がする。

    全編通して、まぁバイオテロ、悲劇が繰り返される訳ですが…。

    視点が各々からあるので、事件を多面的に眺めている
    感覚で、ぐいぐい読めました。

    個人的にはとてもツボな作品でした!!

  • 石持さんは時々倫理観や常識というものが働かない世界で話を展開されますが、この設定は驚きました。

  • 石持作品らしく、後味が悪いし、全く共感できない主人公たちでしたが、一気読みしてしまいました。

    これの前に、世に警鐘を!みたいな謳い文句の寓話読んだんですけど、こっち読んだ方が、テロやばいと危機感を感じました。テロやばい。

  • ゲリラ豪雨で恋人を失った女性が同じ目に遭う人を無くすために2000人を殺害するテロを起こす話。
    長く、読んでるだけで痛くなる。

  • うーん、ちょっとやりすぎな感じだったな~

    動機がな~百代にしてみれば「あり」なんだろうけどちょっとな~
    石持さんの犯人像って確信犯が多いけど、今回はいただけない感じでした(+o+)。

    5人委員会の面々は、それぞれ思惑ありで協力したのは納得できなくはないけれど、コーヒー店の夫妻はなんなんだ。あの人たち感情ないのかしら??

    ちょっと全体的にすっきりしない話だったかな。

  • このリアリティーの無さは故意なのか?こんな動機で、計画で、ここまでの事が出来る可能性がある事が恐ろしい、という小説なのか?
    何かを期待して最後まで読んだし、途中で放り出させない面白さがあるはずなんだけど、これでおしまい?

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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