人魚の眠る家

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 3947
レビュー : 613
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344028500

感想・レビュー・書評

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  • 正直に言えば、今まで読んだ作品のように面白いものではありませんでした
    しかし、作者がこのテーマを選んだことはよく理解できます

    現在、日本における死の定義と、移植医療における判定基準のうむ矛盾、それによって生み出される脳死を受け入れる親の苦しみと、国内で移植を受けられない親の苦しみ

    個人的には脳死は人の死として受け入れられるべきであろうと思います、しかし日本の法律では未だに決着をつけられないでいるというのです

    脳科学での解明が進めば、今よりはっきりとした線引きができるようになるのでしょうが、脳死に対する認識の国民的な議論が随時行われなければならないことを作者は主張したいのではないでしょうか

    心臓死よりむしろ脳死の方が人にとっては重要な死といえるのではないかとも思えます
    極端な例では、機械の身体で人の脳もつ個体は生きた人なのか、逆に人の身体をAIによって操る個体は生きた人と言えるのかと問われれば、前者は人であるが後者は違うように思えます

    医学が進めば脳の機能の一部を器械で補完することも可能になるかもしれません
    そうすればますます脳死の判断基準、その境界線は難しいものとなっていくようにも思います

    などと、いろんな事を考えさせてくれる作品でした

  • 一気読み。
    久々の東野圭吾一気読みしました。

    これは。子供を持つ母親にはとてつもなく考えさせられる一冊で、特に6歳というナナカと近い歳の子供が脳死状態という子供の存在、はたまた、心臓移植が必要な子供。など。

    自分だったら。

    と、思うとなぜ東野圭吾がここまで母親の描写を的確に再現できるのかと不思議なほどに、きっとわたしもそうなるであろう狂い方でした。

    そして、側から見たらそんな狂気がどのくらい頭のおかしい人間に映るのか。というのも同じく理解できる。

    ここに東野圭吾が成せる技に恐ろしさすら感じる一冊でした。

    この人、母親の経験があるのではなかろうか。。。。

  • 脳死した小学校入学前の子供。それを生かし続ける家族と医師や技術者などの関わる人々に関する小説。脳死とは何か、最終的に誰が人の死を決めるのか、臓器移植・提供に関する日本の現状などなどが語られる。東野圭吾らしい理系的な内容も絡めたり、プロローグとエピローグでちょっとした伏線が張られたりしている面白さもあるが、自分にちょうど同年齢の子供がいることもあってともて考えさせられ、かつ勉強になる内容だった。東野圭吾の最近の作品の中ではこの作品はなかなか良かったと思う。いかにもテレビドラマ化とか映画化を狙った様な最近の作品は読みやすくて面白いけど大した内容が無いものも多かった。東野圭吾にやはり期待されるのはサスペンスとかミステリーものだと思うけど、そうではない作品の中ではピカイチなんじゃないだろうか。

  • みんなが善人でお金持ちで 全てが都合よく..娘の死を受け入れる理由はあまりにも陳腐で使い古されてて びっくりした。一体 この本で何を伝えたかったのだろう。母としての狂気?家族の絆?それなら物足りなさ過ぎるしこれで脳死、延命処置、臓器移植についての問題提起をしようというのなら それも中途半端。東野さんの本はあらすじなどで面白そうと思って読むと内容が薄く ああ これ誰か他の人が書いてみて欲しいなぁと思わされる事が多くてせつない。なんだか本当に読後 残念な気分になってしまった。

  • 2016 8 2

  • 久々の東野作品。

    ミステリーかと思っていましたが、違いました。

    脳死と人の死について考えさせられる1冊です。

    読んでいるときは、ただただ母親の薫子に同調してしまい考えるというより、その時その時での気持ちに揺さぶられるしかなかったのですが。

    ラストは、いささか出来過ぎ作り過ぎと感じましたが、移植というのはそれほどのことなのかもしれません。

    それぞれの思いや考え方がある難しいテーマだと思いますが、作中でもどっちよりにもしていないので押し付けられた感じもなく、物語としての感動もあり、読んで良かったです。

  • 脳死状態になった娘に最新の技術を使い自発呼吸をさせ、筋肉を電気刺激で動かし、果たしてそれで生きているといえるのかを問う。

  • 脳死や臓器移植の話が中心ですが、むしろそのことよりも、嘘とか真実とは何か、どの判断によるものなのか、すごく考えさせられる作品でした。我が娘の命に対して「母親しか子どもの為に狂えない」って言う点では、自分が信じていることが真実としか言えないもので、わかりあえたり共有するものでもないのかもしれない(そんなぎりぎりの真実を見つめる場になりたくないけど(^^;)。そんな中、江藤が「ドナーが現れるのを心待ちにすることだけはやめよう」って言葉に救われるような気分。そこにも一つの自ら信じる真実があるのだろう。

  • 相変わらずの安定感。

    脳死状態になった少女と父母の話。

    ドラマチックではないですが、脳死について勉強になったし、母親の狂気がググッときます。

    この人の話は、相変わらず人に薦めるほどでもなく、時間のムダと思うほどつまらなくもない75点の面白さです。

    それはそれで凄いんだけど、白夜行みたいな力作を読みたいな~

    それなりに満足いくと思いますよ。

  • 脳死がテーマのお話。小さなお子さんをお持ちの方、特にお母さんにはあまりおすすめできないかも。自分の子供が脳死になったら。冗談でもそんなことは考えたくもない。私にも小さなムスメがいますから、この作品を読んでいる間は結構息苦しい思いでした。でも読後は読んでよかったと思えました。なんとなく脳死って怖い。まさに「知らないことへの恐怖」ですが、それに対抗するには「知ろうとする勇気」だなと本作品を通して感じました。
    東野圭吾さんはストーリー構成が巧みなミステリ作家というのは言わずもがなですが、人の感情の深い部分を描くことにも長けていると思います。本作品ら断然後者、つまり人の感情の深い部分が痛いほど濃密に描かれていました。親の視点で感情移入してしまい、終始息の詰まる思いで読んでいましたが、最後の締めくくり方が希望の持てるもので、少しほっとしました。着地のさせ方は絶妙でした。

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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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