天才

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 1599
レビュー : 245
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344028777

感想・レビュー・書評

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  • 天才

    田中角栄を石原慎太郎が一人称で書き記した自伝的小説。正直なところ自分の世代にとって田中角栄という存在は、名前は聞くもののよくしらぬ存在であったが、今も多くの新書でも取り沙汰される田中角栄という人物に興味をもって読んでみた。土方上がり、学歴も何もない田中が、自分の労働者としての実感、良い意味の反知性主義から通常ではありえない数の議員立法を手掛け、周到な根回しから一大勢力を築き、首相として、闇将軍として日中関係の正常化や日本列島のインフラの構築を行ったというストーリーは極めて痛快だった。石原をして政治の天才と言わしめた田中角栄という人物の、人との距離感の掴み方、バランス感覚、先見性には敬服せざるを得ないし、真似できるものなら真似したい。一貫して自分のプリンシプルに照らし、アメリカからの真の独立というものを望んで独自に外交政策をとった田中が、ロッキード事件によってアメリカの謀略(この辺りは小説として考える)に嵌まり、失脚する結末には、やはり悲しさがあった。アメリカからの独立を図る俺自身が、収監されることで、ついぞ日本がアメリカの属国であることを証明してしまったという一節は、印象に残っている。おこがましいが共感した点が、田中が映画好きであった理由である。人間というものに興味があり、より多くのストーリーを、時間も空間も超えて、2時間少々で知ることが出来る映画は、せっかちな田中にとって格好の趣味であったのだろう。そして、自分もほぼ同じ理由で映画が好きだ。石破茂も言っていたが、防衛大臣にとどまらず国政を担う上で大切なことは想定外を極小化する事(この辺を、シンゴジラはパロっているにだが)であり、石破もそういう観点から多くの映画を見たという。田中は、時代の変化から、闇将軍の地位を次第に失い、病が決定打となり引退を強いられる。そして自分が今まで家族などの身近な人物を軽んじてきたことに気づき、孤独にさいなまれる。天才というタイトルには、田中が最後に味わうことになる孤独や、寂しさと内包しているように思える。個人的には、最後の最後に、自らの孤独に悶々とする田中の姿が非常に印象的であった。

  • 長らく「闇将軍」「キングメーカー」として政界に君臨した希代の政治家・田中角栄。その生涯を、石原慎太郎氏が一人称で語る。

  • 石原慎太郎によって書かれた、田中角栄の回想録形式の小説。
    田中角栄は人情味溢れる政治家だったようですね。

  • 一人称で田中角栄が田中角栄の生きざまを語る。普通に読めば、傲慢で自慢だらけで言い訳だらけの物語にしか読めない。「何が天才だ。だから政治家は…」と読みはじめはそう思った。最後まで読んでみると、確かに現在の日本をデザインしたのは田中角栄かもしれない。高速道路や新幹線、田中角栄のデザインした国土が造られている。「天才」という言葉はすごい人を連想させる。その実体は、ちょっと思いが強い人なだけなのかもしれない。ただし嫌われる。ただし、権力を持っているから周りに人が集まる。人が集まるから思いを実現できる。やっぱり天才なのかな。

  • 20170416

  • ほとんど詐欺に近い大活字!
    すかすか過ぎて読みにくい!
    都知事の頃からデタラメな爺だと思っていたら,小説家としてもいい加減な奴。

    こんな奴に書いてもらっても田中角栄先生は喜ばないと思う。

    2016年の6月にポイントで買ったのだが,ずっと放っておいて2017年の3月末日から読み始め。

  • 年度末忙しすぎて読み終われなかった。。

    イッキ読み出来なかったが、
    一応機会があれば再読しよう。

  • 自伝小説ではなく、散文、詩として読んだ方が良いだろう。文章量が圧倒的に少なく、その時代の背景を知らなければまず分からない。
    妾とその子供と正妻の娘真紀子との確執なんかはちゃんと書けばそれなりに面白くなっただろうに。

  • この本は石原慎太郎氏によって書かれた本ですが、元総理の田中角栄氏が書かれた回想録のような形をとって書かれています。同じ派閥の議員にお金を工面してやった、浮気をした話がポロッと出てくるので驚いて本の表紙を見返して、石原氏による創作であると分かった次第でした。

    私にとっての田中角栄のイメージは、確か小学5年生の時に、現職総理でありながら逮捕されてそのまま死ぬまで裁判を戦ったというものです。本の巻末に時系列で示されていますが、1976年にロッキード事件で逮捕され、1983年に第一審判決(懲役4年、追徴金5億円)、1987年に第二審判決(一審を支持)、1995年に最高裁で田中首相の犯罪が認定されました、彼が死去した2年後です。1987年には田中派から竹下氏が独立(経世会立上げ)1990年に政界引退という内容です。

    逮捕されたのは子供のころでよくわからなかったのですが、庶民の感覚からすれば5億円の授受は問題あるとは思いますが、当時選挙を行うのに数百億かかっていた時代(p160)を考えれば、この本の中で述べられているように、高々5億円のために危ない橋を渡ったのだろうかとの思いもよぎりました。

    裁判で罪を争っていた被告人が、政治活動をしてもいないのに新潟三区から、トップ当選をし続けていたのはよく覚えています。彼は地元(新潟)に貢献した素晴らしい人で尊敬されていたからでしょう、彼のような能力のある政治家の人生の後半の大部分を裁判活動に割かなければならなかったのは残念に思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・金も含めて、この世をすべて仕切っているものは、大なり小なり、お上・役人達がつくっている縦の仕組みである(p13)

    ・ドルショックと、アメリカの日本を無視した頭越しの中国への急接近は、日本(外務省)にとって大屈辱であった(p70)

    ・総裁選において、田中:156、福田:150、大平:101、三木:69、決選投票において大平と三木陣営の大部分が田中に投票した(p81)

    ・あくまでも民間の資金、エネルギーを中心にして行うべき、政府はそれに利子補給をして財政規模を縮小する方がよい。何でもやろうとすると、役人が増えて役人天国になってしまう(p89)

    ・岸、佐藤、福田は、親台湾の立場であった。アメリカの突然の日本の頭越しの中国接近に憤慨していた。田中、大平は中国との国交正常化を行った(p91)

    ・中国がアメリカと急接近したのは、ウスリー川(黒竜江の支流)の中にある珍宝島を中国が占領したのに対して、ソビエト軍が反撃、これは12個の宇宙衛星により監視されていた。その映像を中国はアメリカに見せられて、アメリカに頼ることを決意した(p93)

    ・迷惑という言葉は、中国では小さなことにしか使わない、これは中国人の反感を呼ぶ(p98)

    ・資源外交として、アメリカ以外の供給源たり得る国を歴訪した、カナダ・インドネシア・オーストラリア・ニュージーランド・ビルマ(p123)

    ・田中氏への起訴内容は、ロッキード社の航空機トライスラー購入に関する受託収賄と、外為法違反(p142)

    ・免責証言とは、その証言に関する事実に関しては証言した者の責任は一切問わないとした上での証言である、これを榎本の元妻が行った(p147)

    ・日本にはあり得ない刑事訴訟の手続きを、日本に持ち込み、その証言に対する当事者の反対尋問まで封じる(アメリカ刑法では準拠)という前代未聞の裁判であった。一審判決まで6年半、二審判決まで4年、上告後もあいまいな裁判が進行して生殺しの年月が続いた(p149、207)

    ・俺(田中角栄)が調達した膨大な選挙費用の中では、5億円は「端下金」ともいえるもの、集めた金額は300億ほどであった(p160)

    ・竹下氏の立ち上げた創政会は40人が参集、副会長の一人には橋本龍太郎、事務局長には梶山静六が就任した(p178)

    ・トライスラーよりもはるかに大きな事件の山であった、対潜哨戒機P3Cを無視して、ロッキード裁判は行われた(p203)

    ・南北に長い日本の国土を緻密で機能的なものに仕立てた高速道路の整備、新幹線の延長整備、各県1つずつの空港整備の促進、独自のエネルギー外交を行ったのも田中角栄である(p204)

    ・役人天国を支えている単式簿記という会計制度を、一般企業なみに発生主義複式簿記に直すべき(東京都はそうした)そして税金の無駄遣いをなくすべき(p209)

    ・28歳(1946)進歩党公認で出馬するが落選、1955年自由民主党の結党に参加、2年後郵政大臣、1976年ロッキード事件発覚・逮捕(p221)

    2017年3月26日作成

  • 面白いんだが、なんか腑に落ちない。

    話題の本なのでとりあえず読んでみました。

    一言でいうと、石原慎太郎が自身の考察や他者の文献をもとに、田中角栄になりかわって一人称で語る自叙伝ですね。

    田中角栄の人物評は賛否両論あるが、日本を発展させたことだけは間違いないという感じかな。

    当時もエリートや官僚から政治家になる人が多かったが、小学校卒業で土方経験者の角栄だからこそ出来たこともあったのでしょうね。

    石原が角栄に成り代わって自叙伝を書いてることに違和感がありますが、それなりに面白いことは確かです。

    積極的に薦めはしないけど、読んでも損はしないと思いますよ。

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著者プロフィール

作家、元衆議院議員、元東京都知事

「2017年 『巷の神々 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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