- Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344029057
作品紹介・あらすじ
「100歳まで頑張る」と話していた98歳の母の首に、74歳の息子が手をかけた-。これが自分だったら、一線を越えずにいられただろうか?記者が見つめた法廷の人間ドラマ29編。
感想・レビュー・書評
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2013年5月から2015年12月まで、『朝日新聞デジタル』連載の「きょうも傍聴席にいます。」を書籍化したもの。さまざまな犯罪裁判の様子が、その状況とともに簡潔に記されている。犯行動機は身勝手なものが多いが、「一歩間違えれば、自分も一線を越えてしまうのではないか」と思わせられる事件が、少なくなかった。
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「こんな記者もいます」 つないだのは国立競技場の猫:朝日新聞デジタル(会員記事)
https://www.asahi.com/sp/articles/ASP7863DRP76UPQJ002.html
母さんごめん、もう無理だ|母さんごめん、もう無理だ~きょうも傍聴席にいます~|朝日新聞社会部 - 幻冬舎plus
https://www.gentosha.jp/article/5137/
稲垣えみ子 三橋麻子 伊木緑 -
朝日新聞の記者たちが、裁判を傍聴し、デジタル版に配信したものをまとめたもの。
決して大きな事件ばかりではない。
しかしそこには胸を打ち、痛め、悲しみにくれる人間のドラマがある。
ここで描かれるのは、普通の人々だ。
どこかでほんの少し間違えたことが次第に大きく道を逸らしてしまったけれど、「普通じゃない」「おかしな」人たちではない。
特に心苦しいのは親子、とりわけ幼子に関する裁判だ。
冒頭の「おかあが奪った息子の命」は他人事ではない。
叱った後に同じことを繰り返したからーー。
誰だって腹立たしく思う。
それは一回ではないのだ。
「これだけやってあげているのに」その思いを誰かが汲み取ってくれていれば、どこかでガス抜きができていれば、そう思えてならない。
「悩む母はロープを息子の首に」も似たような事件だ。
違いは既遂か未遂か。
これらの事件を見て思うのは、母親にかどのストレスがかかっているのではないかということ。
もちろん中にはそうでない場合もあるだろう。
しかし、一人で抱え込んだ末の犯行が多いように感じるのは、記者が選別した結果そう見えているだけなのか。
本書はただ、裁判の模様を伝えるだけだ。
もちろん切り取る箇所の違い、というバイアスがかかっていることは忘れてはならないし、読んで何を思うかは人それぞれだ。
ただ、これらの事件を知って、どうして起きたのか、どうすれば防げたのか、今後何をなすべきかに思いを寄せなければ、悲劇は減ることはないし、それをなくして事件を語るべきではないと私は思う。 -
淡々と事実だけを抽出した裁判傍聴記録。
なかなか考えさせられる記事が多かったです。
ここに出てくる被告は私が犯人と聞いて想像するような明らかに社会不適合な人は少なく、どこかで少し間違えてしまえば自分もそちら側になってしまう可能性がある人たちばかりでした。
その共通点として感じたのはどの人も思い込みが強めで考え方に幅がなく、頼る人がいないという点が多くの共通点だと感じます。
私も思い込みは強めの人間なので、様々な人の考え方を知り、友人や気のおけない家族などを今後はいっそう大事にしていきたいと思いました。 -
実際の裁判の傍聴席からの記録
朝日新聞デジタルに連載していたものだそうだ
29の事件がまとめられているが
犯罪、犯す人と犯さずに済む人と紙一重だなあとつくづく思う
その時、誰かの顔が思い浮かべられるかどうかにかかっているのだろうか
≪ 生きにくい 重みを誰かと 分け合えば ≫ -
新聞記事は通常、長くても30行x12文字まで。社会部記者が裁判を傍聴して詳しく書きたくても、書きたいことが書ききれない。それをデジタル化してネットで発表し、記事をまとめて書籍化したもの。
新聞記事よりは詳しいが、法廷で見聞きした事実を中心にしていてそれ以上の掘り下げがないので、もう少し突っ込んだ内容の方が良かった気がする。が、ルポではないので難しいところか。
特別な凶悪事件というよりは、身近に誰にも起こりうるようなことが多く、その立場だったら自分も被告になるかもしれず、考えさせられる。