ツバキ文具店

著者 :
  • 幻冬舎
4.15
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本棚登録 : 4301
レビュー : 569
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344029279

作品紹介・あらすじ

ラブレター、絶縁状、天国からの手紙…。鎌倉で代書屋を営む鳩子の元には、今日も風変わりな依頼が舞い込む。伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします。

感想・レビュー・書評

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  • 伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします。鎌倉を舞台にした心温まる物語。
    送る側、貰う側みんなの幸せを心から願って今日も代筆屋ポッポちゃんは手紙を書き〼。

    家族、親友、元恋人、離婚した人からの代筆依頼。貰って嬉しいだろうなと思う依頼内容もあれば、私がもらったらどうしようと思うような依頼内容もあって…ドキドキ。
    ポッポちゃんが書いた手紙はそれぞれ全然違って、だけどどれも優しくて、読んだ後清々しい気持ちになれました。

    手紙って凄いな。便箋選び、筆選び、切手選び素敵だな。誰かに手紙を書きたくなる…だけど、おもじの私には無理。

    登場人物もみんな素敵。豪快な男爵、しっかり者のパンティー。そして、バーバラ婦人。
    「あんまり幸せすぎると、なんだか最近、悲しくなっちゃうのよ」凄くわかります。切ないです。

    食べ物の描写がまた美味しそうで(*≧艸≦) お稲荷さん、バウムクーヘン、おにぎらず…
    「鰻重は別腹だった」と言えるポッポちゃんおそるべし!

  • 鎌倉を舞台に、文具店を継いで代書屋となる若い女性。
    書くことが難しい手紙を、よく話を聞いて代わりに書いて出すという。
    あたたかい気持ちになれる優しい物語です。

    雨宮鳩子は厳しい祖母に育てられ、しつけというより修行のような独特な教育に反発して、家を出ていました。
    祖母が亡くなり、なりゆきで文具店と代書屋を継ぐことに。
    たいてい「ポッポちゃん」とかわいく呼ばれていますが、高校の頃は反抗期でガングロだったという激しいものも秘めています。
    隣の洋館で暮らす女性は皆に「バーバラ婦人」と呼ばれていたり、近所に住む初老の堂々とした男性は「男爵」、ポッポちゃんになつく女の子は「QPちゃん」など、可愛らしいネーミングで柔らかな雰囲気が溢れ、癒やされます。

    依頼される手紙の内容はじつに様々で、お悔やみの手紙や、離婚の報告をする手紙、結ばれなかった初恋の人に元気だということだけを伝えたい手紙、借金を断る手紙、なくなった夫からの手紙を待っている老婦人に送る天国からの手紙など。
    事情を汲み取って、依頼人の心をほぐし、手紙の目的を達成する‥
    そのためには、身を清め、便箋の紙質や筆記具の種類、字体などもよく考えて書くのです。
    ポッポちゃん(この呼び方がおかしくない雰囲気の娘さんだと思われるのですが)、じつは凄腕!
    この凝りようと専門知識も面白く、メールでなくプリンター印刷でもない手書きの手紙というのは良いものだなという素直な感想をいだきました。

    美しい四季の移ろいと古風な暮らし、美味しい食べ物、身近な人との親しさが深まっていく楽しさ。
    心に頑なな屈託を抱えた鳩子自身が少しずつ落ち着いてきたある日、祖母が文通していた異国に住む女性から、手紙が届けられ‥?

    すべてが丁寧で優しく、人の暖かさに包まれるよう。
    うまくいかないこともある、苦しみがないわけではないけれども、必ずその先になんらかの方向性は見える。
    それが自然に現れる感じがとても素敵な物語でした。

    NHKのドラマ化も、上手く行っていましたね。
    続編の「キラキラ共和国」もよかったです☆

  • 本屋さんの次に大好きなのが文房具屋さん。
    小学校のそばにあった、古くて薄暗い文房具屋さんを思い出しました。

    鎌倉の山の手にある「ツバキ文具店」
    そこで祖母から引き継いだ”代書屋”をしている鳩子。

    まず、この代書というお仕事に驚きました。
    ただきれいな文字で書けばいいのではなく、
    聞き取りをして手紙の文章まで考える。
    書く内容に照らし合わせた手紙の形式、紙の質、それにあったペン選び、色使い、文字の形にいたるまで。

    ”権之助さま”のご遺族へ宛てた「お悔やみ状」がツボでした。
    なかでも胸を打たれたのは、「結ばれなかった初恋の人へ宛てた手紙」
    相手の現在の幸福を願いつつ、自分は元気で生きているとだけ伝えたい。せつない…。
    あと、「天国の夫からの恋文」もよかった。
    他にも、借金の断り状や離婚のお知らせだったり、いろいろあって。

    鳩子の周りにいる人たちがみな温かくて、
    人とのつながりの大切さが心にしみます。

    ただね、先代の手紙を読んだときの鳩子が、あまりにそっけなくてつらかったです。
    先代としか呼べなかった祖母との関係性や、鳩子の心の傷はわかるんですが…。
    最後の涙はどうかおばあちゃんに届いていてほしい。

    あまり書かなくなってしまったけど、手紙っていい…。
    そしてやっぱり自筆の手紙がいいなぁ。
    心が伝わる気がするんですよね。

    • 杜のうさこさん
      けいちゃん、こんばんは♪

      コメントありがと~!
      お返事遅くなってごめんね。

      私ね、正直言うと小川糸さんに少し苦手意識があったの...
      けいちゃん、こんばんは♪

      コメントありがと~!
      お返事遅くなってごめんね。

      私ね、正直言うと小川糸さんに少し苦手意識があったの。
      初めて読んだ『食堂かたつむり』が無理で途中下車したり、
      そのあとも何冊か読んだんだけど…。
      これも全部温かいというわけじゃなくて、少しせつなかったりもするんだけどね。
      だから、けいちゃんの「ちょっと違う」って感じよくわかるの。

      この本は、今まで読んだ小川糸さんの中で一番好き。
      鎌倉のしっとりとした風景が素敵だった。
      そういえば大河ドラマの「草燃える」好きだったなぁ。
      大河好きなけいちゃんならきっと知ってるね。
      それに文房具がたくさんでてくるのがうれしくて~。

      いつか読んでくれたらうれしいな♪
      2016/09/10
    • koshoujiさん
      お久しぶりです、うさこさま。
      半年ぶりにレビューを書きました。
      とは言っても、映画「君の名は」が、余りに良い作品だったので、
      その感想...
      お久しぶりです、うさこさま。
      半年ぶりにレビューを書きました。
      とは言っても、映画「君の名は」が、余りに良い作品だったので、
      その感想を小説版のレビューに書いただけですが。
      読んで頂ければありがたく思います。
      さらに、「君の名は」に出てくるシーンの実際の場所の写真などはブログのほうに掲載し、
      コメントもありますのでそちらも結構面白いのではないかと。
      よろしくお願い致します。<(_ _)>
      いやあ、仕事が本当に忙しくてね、大変なのですよ(笑)。
      2016/09/19
    • 杜のうさこさん
      koshoujiさ~ん、お久しぶりです!
      コメントありがとうございます。
      嬉しいです。
      待ってましたよ~!
      お忙しいと聞いてはいても...
      koshoujiさ~ん、お久しぶりです!
      コメントありがとうございます。
      嬉しいです。
      待ってましたよ~!
      お忙しいと聞いてはいても、ブログの更新もしばらくなくて心配してました。
      以前、無理して(お仕事+多趣味アレコレ)体調を崩されたとおっしゃてたし…。
      でも、先日の記事で一安心していたところでした。

      早速、おじゃまします♪
      2016/09/20
  • NHKドラマを先に見て、あまりに優しくて美しい世界観に何回も泣きました。
    絢香さんが歌う主題歌も鳩子の気持ちに寄り添っていて、今でも聞くたびに私のこころはツバキ文具店の世界に舞い戻ります。

    原作も、想像の何倍も美しかった。
    鎌倉で暮らす、夏から始まる一年。
    いくつかの後悔を抱えつつ、代書屋を営む鳩子。

    溝を埋められないまま先代を亡くしてしまった鳩子の心中ははかりしれないけれど、生前の先代が紡いでくれた人との縁が、鳩子に先代の愛を教えてくれた。
    そして鳩子が代書屋を継いで出逢った人たちの存在は、鳩子に居場所と自信を与えてくれた。

    人生の後悔とどう向き合うか、どう乗り越えるか。とても難しいことだと思う。
    でも、後悔の無い人なんていない。
    その後の鳩子の人生が、穏やかで、幸せに溢れてるといいなあ。

    …そう思って本を閉じました。
    早く、キラキラ共和国読まなくてはっ!

  • 雨宮鳩子。ニックネームは「ポッポちゃん」
    ツバキ文具店の店主にして、江戸時代から続くとされる代書屋の十一代目。

    「先代」から引き継いだというより、仕方なく再開した代書屋。
    先代はポッポちゃんの祖母。
    「おばあちゃん」なんて甘えられる環境ではなかった。
    両親の顔を知らない彼女にとって、先代とは絶対的師弟関係が存在したからだ。


    一度はタンカを切って飛び出した。
    だが、先代の訃報を受け代書屋を再開することに。

    嫌で嫌で仕方なかった幼き日からの訓練が、ポッポちゃん自身を助けていく。

    次から次へと現れる、ありとあらゆるお客様たち。
    一つとして同じ悩みはない。

    人生なんて後悔の連続。
    せめて一筆、手紙でもかけたなら。

    そんな悩みに寄り添って、心尽くしの文具を使い、切手1枚にもこだわり抜く。

    手紙は指先一つで消去などできないのだから。

    そんな人生の節目の小さくて大きな力の代筆屋。


    「過去と他人は変えられない。しかし、未来と自分は変えられる」(カナダの心理学者 エリック・バーン)

    助けたつもりが、助けられている。
    人生なんてそんなもの。

    ほんの少しの気遣いと、真心と、決断と。

    今ここにあるものを大切に生きることで、きっと人生を変えていくことができる。

    そう思わせてくれる、優しくて力強い一書。

  • 落ち着いた鎌倉の風景やいろんな人々とのふれあいもよかったが
    私がこの本の中で、一番心に残ったのは、代書屋として書かれた手紙だ

    代書屋というのは、依頼人に代わって、手紙や宛名書きをする仕事だとは知っていたが、ここに出てくるように、依頼人の性別や
    手紙の内容によって、あんな風に書体を替えるとは思わなかった

    少しでも、その人の思いを的確に伝えることができるように、筆記用具や書体や便箋、封筒まで替えるんだと感心してしまった
    いろんな切手を準備しておいて、一番ふさわしいのを選ぶ心遣いにもほのぼのとして、楽しくなった

    あちこちに出てくるいろんな手紙を何度も見て、こんな字が書けたらいいのになと羨ましくなった

    手紙やはがきを書くことももらうこともめっきり少なくなってしまった昨今ではあるが、ぽっぽちゃんのように、何種類かの便箋や封筒を常備しておいて、いつもメールですませるのでなく、手紙を書きたいなと思った

  • 鎌倉の文具店を舞台に、そこで生活するポッポちゃんこと鳩子の日々の丁寧な暮らし。
    穏やかな時間の流れは凄く心地良いのだが、私の事情で疲れてる夜に読むと心地良さが眠気を誘い前半は読むのに苦戦。
    休みの日に一気に読み切った。
    こういう本は休みに読むべしと心に誓った。

    私情はさておき、本当にいいお話だった。
    先代との苦い思いがずっと心の中にあって、鎌倉のいろんな人に出会うたび、そしていろんな人の代筆をするたび思いが変化していく。

    私もバーバラ婦人伝授のキラキラをやっていきたいな。

  • 読みながら少しずつ私の心と身体の中が、何か温かいもので満たされていくのを感じた。
    遠い昔にどこかで失くした小さな宝物のような、そんな大切ななにかで満たされていく。
    そして、最後の最後に、その温かいものたちが私の瞳からあふれだし、声をあげて泣いてしまった。
    あぁ、そうだ。この温かさは懐かしさであり忘れてはいけない人への想いだったんだ。
    もう2度と会えない人に、あのとき伝えられなかった言葉。もしも少しだけ時間がずれていたら、もしも奇跡が起こっていたら、もしも…
    そんなもしもに押しつぶされるように心から押し出して見ないようにしていた想い。
    どうせ伝えることなんてできないのだからと忘れていた想い。
    そんな想いたちを手紙に書きたい。いつか私も歳を取ってここから去る時が来たら、一緒に持って行こう。
    長い長い手紙を書こう。ありったけの思い出を書こう。そして「ありがとう」の言葉を最後に添えて。

  • ドラマ化で知って借りました。
    小川糸さん、読むのは初めてです。
    「食堂かたつむり」は映画を観たことがあり、不思議な世界を描く作家さんなんだなと思っていました。
    なんとなくだるくなりそうな作風かと思って敬遠してましたが、読んでよかったです。
    心が洗われる、とてもいいお話でした。

    鎌倉の古い文具店で祖母に育てられた鳩子(ぽっぽちゃん)。祖母(先代)は文具店を営みながら、人の手紙を代筆する代書も請け負っていました。
    先代の死後、代書屋を継いだぽっぽちゃんの元にさまざまな依頼人が現れる・・・。

    ただ単に代筆するのではなく、依頼人の気持ちに沿った内容を考えたり、紙の質、ペン、インク、書体、切手、全てにおいて最良なものを選択し完璧な手紙を相手に送る…なんて大変な仕事でしょう。
    すごいなーと思ったのは、鏡文字。実際に書かれた手紙が本の中に印刷されているのだけど、あの長文をあんなに丁寧に書けるなんて。

    手紙のことも然ることながら、ぽっぽちゃんの周りにいる人たち、みんな思いやりがあって温かい気持ちになりました。
    この人たちの存在が全体を柔らかい雰囲気に包んでいるんだなと感じました。

    それにしても出てくる食べ物のおいしそうなこと。
    特に男爵に連れて行ってもらったお店、行ってみたい!
    手紙も書いてほしい。
    そして、待っている間、ぽっぽちゃんが淹れてくれる番茶が飲みたいです。

  • 2018.03.05読了
    お散歩してるような、ポカポカした本!
    まったりしたい方におすすめ

    巡り合わせを大切にした本
    先代から受け継いだ代筆屋を営む主人公と、仕事を通じて知り合った人や、ご近所さん、先代からの知り合い、鎌倉に住む人たちとの出会いの物語
    夏秋冬春と一年の中で出会った人との関わり合いで、主人公の心の変化や、季節の表現がすごく綺麗だった
    鎌倉にあるお店やマップはどれも行ってみたくなるものばかりだった
    バーバラ婦人のふんわりとした雰囲気が素敵
    厳しくすることでしたか愛情を表現できなかった先代
    それに甘えられなかった主人公
    文通の相手には自分の表現がうまくできるのに、、
    途中に挟まれる手書きの手紙が心の形を表現してるみたいですごく素敵だった!
    なくなったものは取り返せないけど、今を楽しむことはできる
    主人公がどうなるとか、大きな進展があるとかそういうところより、季節の雰囲気や街の雰囲気をイメージしながら読みふける楽しみ方の本は初めてかもしれない!
    手紙は人を表す鏡かもしれない
    今までの手紙の捉え方が変わった
    文字、ペン、便箋、切手、封筒にまでこだわった手紙を出したくなった

    心の中でキラキラって唱える、幸せのおまじない

    お雑煮を食べる
    七草を浸したお水で爪を切る

  • キーボードをいそいそと叩いてからポチッと送信ボタンを押せば用件は伝わる世の中になった。
    だからこそ、誰かのために時間をかけて筆記具を選び、紙や切手を選び、誠意を持って言葉を紡いでいくゆるやかな時間はなんて美しいんだろう。自然のまま自分に嘘をつかず、季節の移ろいを細やかに感じながら、さまざまな出会いや今、持っているものに感謝して、丁寧に暮らしていきたいものだと思う。

  • 自分のことは、自分が一番わかっているなんて
    きっと思い込みだ。
    何の取柄もないと思っていた自分が、
    他人から見たら憧れの存在だったり
    祖母から愛されなかったと思い込んでいたのに
    実は大切に大切に育まれていたことが後でわかったり。。。
    祖母の残した鎌倉の小さな文具店で、
    代書の仕事をしながら
    主人公は少しずつ少しずつ自分の姿を見つけて行きます。
    代書という仕事、
    誰かの代わりに手紙を書くなんて・・・と
    思ったけれど
    他人だからこそ本人以上に気持ちがわかって
    正確に言葉に綴ることができるということも
    あるのかもしれないね。
    手紙の持つ温かみと字を書くということの大切さを
    思い出させてくれた物語でした。

  • 先代から引き継いだ、
    古い家で営む文具店。そして代書屋。
    場所は鎌倉。

    観光客とは一線をひいた
    地元民の主人公ポッポちゃん。

    この感じはやや苦手なタイプだ、
    と読み始めは思ったのだ。

    主人公が完璧すぎる、
    お洒落過ぎる。

    参ったなぁと思っていると、
    ポッポちゃんは、
    元ガングロのコギャルで、
    祖母との折り合いが悪くて
    そのことを後悔していて、
    大人になって祖母にに叩き込まれた字を書くことで生きていて、
    祖母の心の中がつづられた手紙を見て
    いろいろ考えちゃう。

    いいなぁ、人間ぽいなぁ。

    全然由緒正しくないし。

    古い手紙を供養するときに焚火と勘違いしたバーバラ夫人といろんなものを
    アルミホイルに包んで焼いちゃう適当さ、好きです。
    大好きです。人間らしくて大好き。

    数々のお手紙も文具のお話も楽しかった。

    ポッポちゃんに幸多かれ!!!

  • 小川糸さんの本は『食堂かたつむり』をずっと以前に読んで、あまり好きになれなかったので、避けていました。

    この本は、おいしそうなもの、素敵な文房具のカタログのような本だと思いました。
    他人のかいた手紙を見ることなど、自分宛にきたものの他、ほとんどないので、興味深かったです。
    手紙はどれも素晴らしい文章で、自分がいつも友人等に出している手紙がちょっと恥ずかしくなってしまいました。

  • 「だから、後悔しないなんて、ありえないんです。ああしてあげればよかった、あの時あんなことを言わなければよかった、ってね。ボクも、ずっと思ってましたから。
    でも、ある日気づいたんですよ。気付いたっていうか、娘に教わったんです。
    失くしたものを追い求めるより、今、手のひらに残っているものを大事にすればいいんだって。」

    この本を予約したきっかけは、朝日新聞の広告にあった最後の一行でした。
    私にとって、思い出すと辛い、でも思い出さない日はない、ある人の存在。
    その思いがクリアできるかなと思ったから。

    読み終えてみると、そこの部分の占める割合は大変小さくて、ただただ面白い本でした。
    鎌倉は自分にとってとても大事な思い出がたくさんある場所。
    しかも読み進めていくと、私に共通のアイテムが次々登場で、びっくり!

    おそらく年明けに手に届くと思う続編『キラキラ共和国』を、首を長くして待っています♪

  • どうしていいのかわからないときは、まず、丁寧に暮らしてみよう――そう思える本です。

  • 小川 糸さんの本は、素敵な人生の歩み方を示していると思う。この本は、鎌倉に住む代筆屋の女性を中心とした1年に渡る日常を描いた物語。主人について、仕事を通しての心の機微、そして成長を感じた。私も仕事を通して、さらに成長したいと思った。その為には、仕事にのめり込み、苦しまないといけないと本文が言っているように思う。(プロの代筆屋として、その人に成り切って文章を書くことから。)
    相手に手紙で伝えると言う行為の深さを知った。相手に何か伝える時は、伝えるべき内容さえしっかりしていれば良いと思っていたが、相手のことを一歩深く考えれば、どの種類のペンで書くか(ボールペン、万年筆等。また、どのメーカーのもの等)どの紙に書くか、封筒は、切手は。想像は無限に広がり、考え抜いただけ、相手に想いは届くと言うことを。
    これは人生・仕事に通じることで、何処まで相手のことを考えて行動できるかによって、結果が違ってくると思う。今思うことは、相手を思う気持ちが浅いのではないか。もっと深く考えて行動出来れば、幸せな方向に持っていけるのではないかと言うことです。
    たくさん考えることが出来、さらに深い感動を得られる本でした。

  • 素敵なお話だった。
    語彙力が足りなかったり悪筆だったりする人のための代筆屋かと思ったら、怒りや悲しみの感情があふれて言葉にまとめられない人のためのものでもあって、それはありだなと思った。
    代筆をするときのシーンが好き。
    最適(と思われる)紙と筆記用具を選び、依頼者の背景や気持ちを思い浮かべて書くところが、緊張感と静寂とが伝わってくるよう。
    いろんな世代の、それぞれ何かを抱えて生きている人々が、心地よい距離感で暮らしている姿がほっこりするというか、うらやましい。

  • 鎌倉に住む、優しくて愉快な人たちに囲まれた文具屋 兼 代書屋のお話です。

    お祖母さんから代書屋を引き継いだ鳩子さん(通称:ポッポちゃん)。
    外国から鎌倉に戻ってきてすぐの頃には、お友達といえば隣に住むバーバラ婦人だけでしたが、代書屋での仕事をきっかけに、男爵や、パンティー、QPちゃんなど、、素敵な友達が増えていきます。

    鎌倉って、なんだか時間がゆっくり流れているようで、良いなぁと思います。
    少し前に一度行ったきりなので、いつかまた、私も大事な人と一緒に訪れたいなと思いました。

  • 字を書く機会は学生時代より減った。
    手紙を書く機会はさらに減った。
    唯一年賀状が、年に一回の美文字トレーニングの機会になっている。

    作中で主人公が持っていた、字が汚いのは心が美しくないという偏見が、自分の中にもどこか巣食っていたかもしれない。
    昔は書道はポピュラーな習い事だったけど、今は英会話やプログラミングなど、多様化している上に、電子端末で授業を受けて、ノートを取る必要も少ない。
    今では自分でさえほとんど字を書かないのに、新人の字が汚い!と一方的にイライラしていたのは間違いだったな、と反省した。

    厳しくすることでしか接することができなかった女性と、不良化した孫が反抗期から仲直りできずに死に目に会えなかったことを後悔しつつ前を向く話なんだけど、折々に出てくる食べ物や便箋や手紙に心惹かれる。

    小川さんの作品はなんというか情緒があって、読んでるといつも丁寧な暮らしというものに憧れる。会社勤めだと感じることが難しい、自営業ならではの自由さと責任の重さ。
    この作品のなかでは文具屋の経営状態、万引き対策とか、ご近所の付き合いとか、俗っぽいことは考えず、鎌倉のお寺や自然に五感を使いたくなる。

    とりあえず、年賀状は丁寧に書こうと再度思う。

  • いやちょっと驚いた。こんな作家いたのね。少し衝撃。こんなジャンルの小説って今まであったのだろうか?挿絵のかわりに手書きの手紙が並ぶ。どのストーリーを読んでも心が温まる。
    調べたらNHKでドラマ化されてるし、しかも多部ちゃんだし。ちょっと観たくなった。

  • じっくり丁寧に、手書きの手紙を書きたくなるお話だった。
    代筆屋をやっている鳩子さんがお仕事で書いた文や、そのほかの文、書き付け、ちっちゃな友達のQPちゃんが書いた手紙など、いろいろな手書き文字がそのまま印刷されている構成がとてもいい。
    きれいな字っていいものだ。
    字と同じく、きちんと丁寧に生きなくちゃ、としみじみ感じるような読後感だった。

  • 鎌倉が舞台の文具店というより「代筆屋」の物語。
    色んな人からの依頼を受けて、『手紙』を代筆する主人公の想いが伝わる。
    依頼者の代筆をする背景を思い、紙や筆記具の種類をも代えて文章を書く。
    その奥深さには驚愕させられる。

    自分も字が汚いどころか、最近ではパソコンの入力すらおぼつかないのが、恥ずかしい^^;

  • 小さい頃から手紙を書いたり、貰うのが好きで「代書屋のような仕事が今もあれば、私も向いているかも…」と思っていたところ、代書屋の話の本があることを知り、読んでみました。
    分厚い本ですが、興味のある話だからか、夕方から読み始め、その日中に読み終わりました。

    ストーリーはありきたりかもしれませんが、手紙好きの私にとっては、文房具や実際に書いたお手紙の描写を見るだけでも楽しめました。
    代書屋さんが、便箋や書くものにこだわるだけでなく、字も依頼者が書いたかのように書くということは知りませんでした。(代書屋さんによるのかもしれませんが)

    ひとつだけ素朴な疑問が出てきたのが、夕食は毎日外食とのことで、代書屋(+文房具屋)ってそんなに儲かるの?と… 
    まぁ、物語なのでいいのですが(笑)

    こんな文具屋が近くにあったら、面白そう。
    取りあえずは、便箋や切手にも凝って、手紙を書きたくなりました。

  • 小川糸さんって、ぶれないなぁ。と、改めて感じた本でした。

    日向ぼっこしているような、『平和ボケ』しているハッピーエンドに強引ささえ感じるストーリー。それは時に、冷めちゃいそうになる程。
    それでも、捻くれ者の私が冷めずに読めるのは、言葉の節々に、ハッとさせる現実感が織り込まれていて、きっとこれが彼女の結論なんだっていう潔さを毎回感じるから。

    -------

    鎌倉の代書屋さん、のお話。
    主人公は、自分の気持ちを文字を通して言葉にできない方たちの代わりに手紙を書く。
    手紙という物質、文字の形、紡ぐ言葉で、その人だけの手紙を作るという仕事は、魂が込められているなぁと感心した。

    言葉って、書くって、やっぱりすごいや。
    何よりも、魂が込められている、って表現が似合うと思う。

    私が1番好きだったのは、ただ生きていることを伝えたいという男性の手紙を代筆するエピソードで、

    『毎日、笑っていますか?
    きっとあなたのことだから、時々は楽しそうに
    歌をうたっていることでしょう』

    というこのフレーズ。

    生きているという事をただ伝えたいという純粋な気持ちは好感がとても持てたし、
    紛れも無い、相手を大切に思う気持ちがギュッと込められている透き通った言葉が素敵。

    -----

    気配りも出来ず、繊細さも持ち合わせない私なので、
    せめて優しい言葉をこの主人公のように紡げるようになりたいなぁと、本を閉じてボーッと考えてしまいました。

    ドラマチックでもなく、ただ淡々と、シンプルな言葉に魂を込められるような人になりたい。

  • ようやくツバキ文具店1巻を入手して読了。
    キラキラ共和国を先に読んでしまったので、こちらをよんでバックグラウンド入手の工程を処理できた。
    常日頃から、頭に浮かんできたものをそのまま言葉にして伝えることは誰でもできる、ただ、考えて相手を攻撃しないようにすることができるのは私たち人間のいいところの一つだと思う。理論的考察をし、双方ともに気持ちのいい終わり方ができる関係でいたい。
    そして、ポッポちゃんが後悔した先代との最後まで解かれなかった確執。お互いがコミュニケーションをとれていたらこんなことにはならなかったんじゃないか。後悔しても、すでに遅い。手紙という素晴らしいコミュニケーションを今このインターネット社会だからこそ、使わなければもったいないなと思わせてくれた。

  • とても出会えて良かったと思える小説でした。
    終わりに近づくにつれ、あー読み終わるの淋しいな…と思ってしまうほどで。本を閉じて心温まる気持ちになり、とても鎌倉に行きたくなってしまいました。

    書く、というプロの職人。思いを伝えるのに、文面だけにとどまらず、書く道具、紙、書体、封の仕方、切手、あれこれ…その世界がとても素敵で、そしてなるほどなぁってすごく勉強にもなりました。
    先代に向き合う自分の気持ちに揺れながら、最後の方はちゃんとプロになっていました。
    周りの人たちとの関わりも自然で良かったです。
    思えば、嫌な人が一人も出てこないお話は久しぶりに読みました。だから気持ちがほんわかなのでしょうか。
    小川糸さん、初読みでしたがこれからハマりそうです。
    そして近いうちに鎌倉、行って来ます!

  • 鎌倉の二階堂川に近い山の麓の一軒家に雨宮鳩子は住んでいる。近くの小学生相手の文具屋を開いているが、もう一つの仕事は代書屋である。小さいころから先代の祖母に仕込まれてきた。代書は字が上手いだけではない。依頼者の気持ちになって、それにふさわしいものを書かないといけない。鎌倉の風景の描写の中で、様々な依頼書の頼みを聞いて代書していく鳩子の心も変化していく。

  • 謎の先代に始まって、ポッポちゃんにバーバラ婦人、そしてパンティーに、男爵、そしてQPちゃん。
    登場人物のネーミングだけでちょっとうんざりしてしまう。

    それでも読み進めば心温まる感動を味わえる。

  • バーバラ婦人の「キラキラ」の下りがとても好き。
    バーバラ婦人の言葉に従っておなじようにした。
    キラキラと溢れて、涙が溢れた。

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著者プロフィール

小川 糸(おがわ いと)
1973年生まれ、山形県出身の小説家であり、作詞家・翻訳家でもある。作詞家の際の名義は、春嵐(しゅんらん)を使用。
2007年に初の絵本を上梓し、さらに翌2008年に小説『食堂かたつむり』を発表。同作は第1回ポプラ社小説大賞に応募し、最終選考にも残らなかった作品だったが、目に留めた編集者によって刊行され、ベストセラーとなり映画化された。同作は、2011年7月、イタリアの文学賞である、バンカレッラ賞料理部門賞も受賞している。
2017年、『ツバキ文具店』が「本屋大賞2017」で第4位にノミネート。ドラマ化もされた。続編『キラキラ共和国』も発行、代表的シリーズかつヒット作となっている。
その他代表作として、テレビドラマ化された『つるかめ助産院~南の島から~』。

小川糸の作品

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