ウエディングドレス

著者 :
  • 幻冬舎
3.29
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本棚登録 : 90
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344029637

感想・レビュー・書評

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  • 激動の時代を乗り越えた2人の女性の物語。「ウエディングドレス」のデザイナーは桂由美氏がモデル、貸衣装業を展開した実業家は架空の人物とのこと。対照的な人生であると、語っているが、自分の親のことを思えば、どちらも恵まれた環境、才能を土台として花を開かせたのだと感じる。羨望の目を向ける読者も少なくないだろう。

    本書の特徴の一つは書体の使い方である。会話文は段を下げて柔らかな書体を使っている。これをはさむように現在の2人の様子、過去の述懐が展開される。最初から最後まで同じ文体だったら挫折しかねない。サクセスストーリーは、ただの自慢話(ある実業家の話がそうだった)と思えることが多いから、この変化に富む作りは成功と言えよう。

    互いの人生を褒め称えることができるのは、満足感、成功の証、そして何より人徳がある、一握りの人たちだと思った次第。

  • 「花嫁衣装という切り口上の上で近代史を生きた」との一文がこの作品を表している。
    ブライダルデザイナーとして名声を得た玖美と婚礼着物の貸衣装を手広く手掛けた窓子、着物とドレスという対極でありながら共に輝かしい一日を演出する衣服に人生を賭けた二人の女性の会話による回想話。
    戦争に振り回された女学生の頃、結婚し或いは女の身一つで困難を抱え、事業を手掛け展開してゆく日々が正に生きた昭和史といった趣です。
    移ろう時代も変わりゆく価値観も、全てを受け止め道を切り開いた女性の強さは、眩しくも美しい。

  • 2021年12月5日
    佐倉玖美って桂ゆみ⁉️
    半分伝記を読んでいるような気持ちでいた。
    時代に翻弄され、活路を見つける逞しさ。
    幼い頃の夢は持ち続けていくものだなぁ。
    人との出会いも逆境も肥やしにできるもの。人生に無駄はない。
    お仕組みなんだと思う。

  • 女学校の友達 関西の窓子と東京の玖美が、久しぶりに会い、レストランで昔話をする。女学校の洋裁科で過ごした二人の歴史、戦前戦後を通して、花嫁衣装を通して時代を語る。ラヴィソン!とクリスタランという言葉を覚えた、ワクワクするような言葉。

  • 913

  • sg

    合わなかった

  • 久方ぶりの玉岡さんの本。
    キレイなものにあこがれる前に見るのが恥ずかしくって、敬遠してきたことを思い出した。

  • 初読。図書館。戦前戦中戦後、昭和から平成へ激動の時代を闘い抜いた二人の女性の物語。玉岡さん得意の分野。婚礼衣装の変遷を描くために二人の対比を和装と洋装という単純な構成にしたせいか、障害に立ち向かっていく苦しみの部分が結構あっさりと流されたせいか、二人を支える男性の描写が薄いせいか、いつもの玉岡さんより深みに欠ける気がした。一代で女性の価値観がここまで変わる時代はもうやって来ないかもなあ。そういう意味ではドラマティックな物語。

  • 桂由美さんの伝記かしら?と読み進め、終わってから調べたところモデルになっているとのこと。実話も含まれているらしいです。こんな女性たちが時代を支えてきたんだなぁと感じました。

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著者プロフィール

◎玉岡 かおる(たまおか・かおる)作家、大阪芸術大学教授。兵庫県三木市生まれ、神戸女学院大学卒業。15万部のベストセラーとなった『夢食い魚のブルー・グッドバイ』(新潮社)で‘89年、文壇デビュー。著書には『銀のみち一条』、『負けんとき ヴォーリズ満喜子の種蒔く日々』(以上新潮社)、『虹うどうべし 別所一族ご無念御留』(幻冬舎)などの歴史大河小説をはじめ、現代小説、紀行など。舞台化、ドラマ化された『お家さん』(新潮社)で第25回織田作之助賞受賞。『姫君の賦 千姫流流』(PHP研究所)は、2021年、兵庫県姫路市文化コンベンションセンター記念オペラ「千姫」として上演。2022年5月『帆神』で新田次郎文学賞受賞。

「2022年 『春いちばん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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