東京二十三区女

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 209
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344029934

作品紹介・あらすじ

フリーライターの原田璃々子は、民俗学の講師だった先輩・島野仁と東京二十三区を巡り取材をしている。板橋区を訪れた二人は、自殺の名所、高島平団地に向かった。だが-「私が探している場所は、ここではありません」。彼女は"何を"探しているのか。

感想・レビュー・書評

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  • 続編に向けておさらいするつもりで読んだけれど前回よりもハマってしまった。

    東京二十三区、一度は耳にしたことがあるほどの有名なあの場所。
    かつての面影さえも葬り去られたかのように存在する場所。
    語られていく蘊蓄と、まるで過去の負の存在がもたらしたかのような数々の恐怖。
    この両方を楽しめるのがこの作品の魅力。

    ガイド役の先輩、璃々子の探し求めている場所、もの…こういうことだったのか、という驚きにも満足。
    続編も楽しみ。

  • フリーライターの原田璃々子は、民俗学の講師だった先輩・島野仁と東京二十三区を巡り取材をしていた…

    誰もが知っている場所の、誰も知らない人の過去。

    これはフィクションなのかな?じゃないとちょっと怖いな。

  • フリーライターの原田璃々子は、民俗学の講師だった先輩・島野仁と東京二十三区を巡り取材をしている。板橋区を訪れた二人は、自殺の名所、高島平団地に向かった。だがーー「私が探している場所は、ここではありません」。彼女は“何を"探しているのか。板橋の縁切神社、渋谷の暗渠、港区の外苑西通りを走るタクシー、江東区の埋め立て地「夢の島」、品川区の大森貝塚。誰もが知っている"あの場所"の誰も知らない過去を知るとき、璃々子は、「本当の秘密」を知ることになる。


    幽霊系苦手なので、明るいうちに読まなきゃいけないのが大変でしたが、とてもワクワクする本だった。
    大好きな歴史、地学、ミステリ、人間の愚かな部分がとても魅力的に書かれていて好み。
    板橋区がヒヤッとしたけど、江東区の話も好きだし、最後の終わらせ方は港区が好き。
    この本を読むと東京散歩に行きたくなります。
    呪われそうだけど。 

  • 軽い文体ではないのに、次の展開が気になってするする読める。
    どの話のオチも、そうきたか、!という感じ。
    東京の繁栄の裏に隠された、負の歴史は勉強になった。

    そして、見えてくるのは呪いや執念は恐ろしいけれど、その起点には“あい”があるという事実。愛しいからこそ、裏切りへの激しい憎悪、狂ったかのような執着心が生まれてくる、というのは皮肉だなあと思う。

    いつか先輩の謎も解明してほしい、!

  • フリーライターの原田璃々子と民俗学の元講師島田がいろいろな場所での過去をさぐっていく。この本にあるのは板橋区、渋谷区、港区、江東区、品川区のお話。
    東京に住んでなくてあまりイメージ湧かないけど、蘊蓄はすごく面白い。
    今の都会の下には過去の怨念が渦巻いてるのかな。

  • 東京二十三区に仕掛けられた罠に、あなたは何頁目で気づけるか?・・・だそうですw

    んー・・・いやいやいやいや、先輩!薀蓄語り過ぎだしね!www
    「ただ喋りたいだけですよね。こうやって、ずっとついてくるの」って!そんな言い方~、かわいそうじゃんっ!ww

    さて、と・・・表紙からコワイですw
    で、中身もまぁ、結構コワいかなw
    で、先輩は喋りすぎ、とねww

    板橋区の縁切神社、渋谷区の暗渠、港区を走るタクシー、江東区の夢の島、品川区の鈴ヶ森刑場・・・ほーら、読みたくなっちゃたでしょ?w

  • 東京の蘊蓄と併せて読み解くミステリー。
    蘊蓄とミステリーが交互に来るのでややこしさや読みづらさはあるもののそれがないと深みがないのでよかったかと。
    5つの区の短編。

    1.板橋区の女
    縁切榎。児童手当目的で養子の子供を受け入れ、すぐに殺す親から逃げ出し縁切を願掛け。それから厳しい人生を送るも結婚という幸せに巡り会う。
    しかし、旦那が早くも縁切榎に願掛けをする。旦那が見ていたものは、殺された弟の霊だった。

    2.渋谷区の女
    DVの父を母が殺人容疑で捕まり、出所後いどころがわからなかったが、突然何者からか母が会いたいとメール。渋谷の暗渠で待ち合わせ。真相は息子が父を殺し、母が庇う。出所後、母を拒否し、人間不信になり暗渠に住む。そして再開した母は、絶望的な姿に。

    3.港区の女
    若くして成功したIT社長。しかし、どこからか綻びがでて、首が回らなくなる。過去を遡りながら、タクシーは進む。未来から過去に進むストーリー。

    4.江東区の女
    平和島。別名『夢の島』の廃棄場に殺した妻を捨てる。しかし、妻は一命を取り留め愛人を殺す。愛人は末代まで呪いをかけていた。

    5.品川区の女
    交番勤務の巡査は謎の視線を感じる。それは、ストーカーからの目線で事件を起こしたらまた会えると考え、実行に移していた。

  • 島野のコトは早めに勘づいてしまったけれど、それをふまえても面白さは十分。
    長江俊和作品ならではなちょっと不気味な感じとこちらの想像&推理力も試されるお話もあって、“らしさ”があった。
    読み始めるとあっという間に読めて、続編や『検索禁止』も楽しみになった。

  • 東京の民俗学や歴史を、オカルトな題材と合わせて紹介している。世にも奇妙な物語にちょっと近い雰囲気。

    過去の歴史の出来事を、現代の人物と重ね合わせて比喩しているのがうまい。特に渋谷の川のおかげで人類の文明は発展したのに、醜いことを理由に暗渠に追いやった話は、自分の罪を被ってくれた母親のことを疎ましく思うこととうまくリンクしている。

  • 今は過去から続いてる。良いことも悪いことも全部
    すべての区の話、読みたいな

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著者プロフィール

1966年大阪府生まれ。映像作家、小説家。深夜番組「放送禁止」を制作、熱狂的なファンを生む。監督として映画化し、上映。2014年、小説『出版禁止』がヒット。著作に『ゴーストシステム』『出版禁止』『掲載禁止』『東京二十三区女』『検索禁止』などがある。

「2023年 『恋愛禁止』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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