サイレント・ブレス

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344029996

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  • ーサイレント・ブレスー
     静けさに満ちた日常の中で、穏やかな終末期を迎える事をイメージする言葉。

    新宿医大の総合診療科の医師・水戸倫子37歳。
    総診に入局して十年目のタイミングで大河内教授にいきなり異動を言い渡された。
    「むさし訪問クリニック」…これは左遷だ。いや、それ以下だ…。
    そこは在宅で「最期」を迎える患者専門のクリニックだった。
    倫子はそこで死を待つだけの患者と向き合う事で、いくつもの死と、
    そこに秘められた切な過ぎる〝謎〟を通して、人生の最後の日々を
    穏やかに送る手助けをする医療の大切さに気付く。
    そして、脳こうそくの後遺症でもう意志の疎通がはかれない父の最後について
    静かな決断を下す…。

    倫子は左遷されたと思い込んでる女医。
    そこで出会った患者や家族との触れ合いを描いた6篇の連作短編集。
    死を前にした時の医療に対する姿勢を深く考えさせられた。
    出来るだけ延命治療をしてもらうのか、それとも一切の延命治療を拒否するのか?
    そして、どこからが延命治療になるんだろう?
    家族としては、一日でも長く生きて欲しいって願っていたしけれども、
    果たして、それは患者の為になっているのか?
    苦痛を与えているだけではないのか…?患者の気持ちとは…?
    自己満足なんじゃないか…?
    元気な時に軽くじゃなくって深く深く家族で話し合うって大切だと思った。
    でも心が乱れ、冷静な判断が出来ない時にどこまで守れるのだろう。

    一人一人の生き方や生き様が違う様に死も違っていて、死生観も違う。
    しかし、人生の最後であるからこそ生きる事を楽しんで欲しい。
    いつか巡りくる死をどんなものにしたいか考えて欲しい。
    漠然と思う自分の命の最後…。
    もう助からないとわかったら、積極的な延命治療はして欲しくない。
    出来るだけ痛みや苦しみが無く、安らかに眠る様に死にたいなぁ。
    人によって異なると思うけど、多くの人がそう思っているのでは…。
    そんな事を考えさせられました。
    主人公の倫子を始め、大河内教授・コースケ・亀ちゃん…登場人物がとっても良かったです。
    続編が描かれると良いなあ♪
    とっても素晴らしい、考えさせられた本でした(*´∇`*)

  •   サイレント・ブレス
     静けさに満ちた日常の中で、穏やかな終末期を迎えることをイメージする言葉です。
     多くの死を見届けてきた私は、患者や家族に寄り添う医療とは何か、自分が受けたい医療とはどんなものかを考え続けてきました。
     人生の最終章を大切にするために医療は、ひとりひとりのサイレント・ブレスを守る医療だと思うのです。
                           筆者
    と本の前書きにありますが、「穏やかな終末期」を本当に考えさせられる内容でした。

  • 訪問医療とそれに伴う終末医療現場の担当医の奮闘…というより、もう少し静かに考え理解していく物語と感じました。

    巻頭にあった
    サイレント・ブレス:
    静けさに満ちた日常の中で、穏やかな終末期を迎えることをイメージする言葉…
    というのが心に残りましたね。

    どんな最期が「理想」とは決められないけど、個人的には自分の最期を自覚して受け入れる状況であったらありがたいなぁって。

    看護士のコースケをはじめ、訪問医療スタッフたちの和やかさのおかげで、重くなりがちなストーリーを一気に読み進めるめることできたかも。

    でも今後も考えていきたいテーマです。

  • 家で最期を看取る」ということの大切さと困難さ。そしてその意義が深く深く心の刺さりました。
    身内が治癒困難な状態になったとしても、多分どんなことをしてでもその命を長らえさせたいと思うでしょう。一日でも一分でも一秒でも長く生きていて欲しい、と。
    けれど「、それってだれのため?看取る側のエゴじゃないの?
    もちろん最善の手を尽くす必要はあるけれど、本人が望まない延命は家族の自己満足であるだけで、本人にとっては苦痛でしかない場合もある。
    じゃぁ、どこで線を引くのか。どの時点で諦めるのか。難しい選択だと思う。多分、正解なんてない。
    「患者の意思に沿わない医療は不遜である」穏やかで安らぎに満ちたサイレントブレスを守る医療、患者の思いに愚直に寄り添う医療、それを求め続ける倫子たちの姿にきっとそう遠くない将来自分も直面するんだろうと思うと、不安と共に哀しみも覚えます。
    けれど、見送るものとしてそのときに患者本人の意思を尊重してよりよき最期を迎えさせなければ、そう強く思いました

  • 大学病院の総合診療科から、クリニックへの左遷人事を受けた医師、37歳の倫子は医療の在り方の違いに戸惑いをおぼえるが、次第に終末医療について考え始める。

    ガンに侵されたジャーナリストの前に現れる謎のスキンヘッド男、若き筋ジス患者の青年はなぜ一人でイブを過ごしていたのか、延命治療をこばんだ84歳の母親は思い通りの最期を迎えられたのか、言葉を話せない少女の病名と原因は。
    がん治療の権威である教授ががんになった時、すべての治療を拒否する。

    倫子は意識のない父と看護する母を見て、生きているだけで母の支えになっているのではという気持ちと父に意識があればどう考えたろう、、と迷う。

    人が最期をどのように迎えるか、過ごしたいかを考えることは病を治療することと同じくらい大事なことです。
    問題を考えつつ、ストーリー性もあって、いい本でした。

  • 今までたくさん、在宅診療をされている医師の方が書かれた本を読んだが、フィクションであるこの本が一番本当のことが書かれていると思った。もちろん、著者が現役の終末期医療専門病院の医師であるからこそ書ける小説なんだろうけど、きれいごとでもなく、感動的でもなく、ありのまま等身大のことが書かれていると感じた。次作も読んでみたい。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    「死んでいく患者も、愛してあげてよ」
    命の終りを真摯に見つめる現役医師による、感涙のデビューミステリ。
    現代の終末期医療の在り方を問う、渾身の書き下ろし。

    大学病院の総合診療科から、「むさし訪問クリニック」への“左遷"を命じられた37歳の水戸倫子。そこは、在宅で「最期」を迎える患者専門の訪問診療クリニックだった。命を助けるために医師になった倫子は、そこで様々な患者と出会い、治らない、死を待つだけの患者と向き合うことの無力感に苛まれる。けれども、いくつもの死と、その死に秘められた切なすぎる“謎"を通して、人生の最期の日々を穏やかに送れるよう手助けすることも、大切な医療ではないかと気づいていく。そして、脳梗塞の後遺症で、もう意志の疎通がはかれない父の最期について考え、苦しみ、逡巡しながらも、静かな決断を下す――。その「時」を、倫子と母親は、どう迎えるのか……?

  • 913
    卒業生オススメ

  • 終末期医療専門病院に内科医として勤務している現役医師のデビュー作。
    6人それぞれの病状の患者さんの最期を看取る話なのだけど読後感はスッキリしていると感じました。
    年老いた親や自分の老後を考える事が現実味を帯び始めた今日この頃、いろんな本を読んで自分なりに考えてた事がこの本を読んでさらに強く心にあります。
    こんなお医者さんに最期をお願いしたいと思った。

    「サイレント・ブレス」とは
    静けさに満ちた日常の中で、穏やかな終末期を迎えることをイメージする言葉です。多くの方の死を見届けてきた私は、患者や家族に寄り添う医療とは何か、自分が受けたい医療とはどんなものかを考え続けてきました。人生の最終末を大切にするための医療は、ひとりひとりのサイレント・ブレスを守る医療だと思うのです。 著者


  • 在宅で迎える終末医療を、
    感情よりも現実的な医療面で描いてあって、
    確実に死に向かう人たちなのに、こんなにも生命力に溢れている事に感動する。
    筋ジストロフィーの青年の章は、
    読み終わった後に何度思い出しても胸に来て、悔し涙がこぼれた。

    倫子先生と共に、医療の倫理を学ぶ思いでした。

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