蜜蜂と遠雷

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 10338
レビュー : 1364
  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030039

感想・レビュー・書評

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  • 頭の中でピアノの旋律が奏でられるかのような読後感。

    モデルとなった浜松のピアノコンテストを聴いてみたくなった。

    若き才能がぶつかり合う、その輝きの眩しさといったら。

    誰を応援したくなるか、それもまた興味深い。

  • 小説なのに音の粒が光ってみえた。映画化楽しみでならない。

  • 自分にとっての特別な本がまた増えた。
    それがこの
    「蜜蜂と遠雷」だ。

    音楽表現の素晴らしさは前評判の通りだったので、
    今回は特別語ることはしないけれど
    今まで読んできた音楽を題材にした小説の中では
    群を抜いて素晴らしい。

    今まで恩田さんの小説は何冊か読んできたけれど
    まさに最高傑作。
    この本を書いてくれてありがとう。
    たくさんの人がきっとそう思ったに違いない。


    音楽、コンクール、天才――
    この物語には様々なテーマが含まれているけれど
    私はその中でも「ギフト」というキーワードが
    気に入った。そして考えさせられた。

    人間にはそれぞれに、神様からギフトが与えられていて
    誰もがそれを持っている。
    音楽や絵なんかは最も分かりやすいギフトの形だけれど
    努力とか、好奇心とか、感受性とか
    いろんな形のギフトがある。
    そう思うと
    自分も、街ですれ違う話したことものない人たちも、
    家族も
    皆「唯一無二の存在」であると思えた。

    ギフト。
    まだ1歳の私の息子は、神様からどんなギフトを貰ったんだろう。
    寝顔を見ながら、そんなこともぼんやりと考えた。


    登場人物で最も印象的だったのは、高島明石。
    天才の中に埋もれる、いわゆる「凡人」で
    登場した当初から、「あぁ、きっと本選には行けないん
    だろうな」という雰囲気が漂っていて
    正直、最初は哀れむように見ていた。
    けれども明石がいたからこそ、私たち読者は
    この物語に入れたし、感情移入できた。
    実際、自分が泣いた箇所はほとんど明石のエピソード。

    ベタだけど、努力して、挫折して、
    もがいて、苦しんで、でも報われる瞬間がある。
    そういう姿はやっぱり好感が持てるし
    自分も頑張ろうと思えた。
    まったく、本当に精巧に作られた物語だ。

  • ピアノコンクールを舞台とした若き天才達の物語。
    巨匠ホフマンの忘れ形見とも言える「ギフト」として送り込まれた純真無垢で自由な風間塵を中心に、様々なコンテスタント達がお互いに影響し合い予選を通過する度に進化していく姿は圧巻でした。
    個人的にのだめが好きなので、クラシックは詳しくはありませんが曲名なども目にしたことのあるものが多く、脳内再生しながら読み進められました。
    技術なども素人なのでさっぱりですが、きっと塵の奏でる音はよくのだめが「飛んだり跳ねたりする」と言われていたような軽やかで純粋な音なのだろうと想像し、様々な景色の元へ連れて行ってくれる彼はまさに爆弾で天使のような存在だと感じました。
    ライブハウス勤務をしていたこともありバンドの新曲は当たり前に体感していましたが、言われてみればクラシックは名だたる伝説の音楽家達が作った曲を何年も何百年もかけて理解し共感し演奏するというのはとんでもなく果てしないことだと痛感しました。
    確かに既存の難曲をより精密に解釈し技術を高めるイメージがあったので、塵のように音楽を解放する人、マサルのように新しい音楽を作る人、亜夜や明石のように共に解放し発信できる人、
    そんな音楽家がいても良いのではないかと思いつつ、まだ若い彼等が将来きっと新しい世界を創り上げているだろうなと希望の持てる物語でした。
    私達が活字を目で読み風景や音や匂いを想像するのと同じで、耳に届く音から風景や言葉を感じ取ることは
    人間が本来持って生まれた素直な感覚なんだと思うと、より純粋にクラシックを聴ける気がしました。

  • 幕が上がった。そこは異世界。金色に輝くステージに、漆黒の艶を光らせるグランドピアノ。ただ、それだけ。それだけなのに、そこは選ばれし者だけが足を踏み入れることの許される世界。そう、ここは世界であり宇宙なのだ。
    観客は目に入らない。私は私。私にしか見えぬ詩の世界へ、思い出へ、花畑へ、師の元へ旅立つ限られた数分間。霧。至福。美。
    音楽の神など此処には居ない、ただ私の音を聴くがいい!
    空っぽになり走り去った天才少女は蘇る。
    もう後がない者は誰が為に鍵盤を鳴らす?
    何も無かった少年は、ちゃんと道を定め待っていた、再会の時を。
    泥だらけの蜜蜂少年は...何も求めない、ただ、
    大好きなのだ、ピアノが。
    貴方はそこに何が見える?私は宙が、海が、草原が。
    地球の叫び、怒号が聴こえて来るよ。
    生の歓びと悲しみが聴こえて来るよ。
    偶然からの必然。出会いが、君が私を音楽に連れ戻してくれた。
    大喝采!笑った!泣いた!前へ、先へ、進むのみ。もうこの指がちぎれようとも!
    波。風。鳥。虹色の鳥が音に乗り、高く高く上り詰めていくのが見えた。それは上へ行くほど金色に変わっていく。ああ...よく見るとそれは蜜蜂の集団ではないか!
    蜜蜂が音階に変わり、拍手の雨が優しく横頬を濡らす。世界は音楽に満ちている。
    そう!そこが頂点だ。
    私は君を、待っていた。

  • 読み始めたら止められず二日間で読了。大変面白かったです。タイトルだけであの曲だ!と分かる曲がエリック・サティの「あなたが欲しい」一曲しか無いのにすごく面白かった。恩田さんはピアノを弾く人なのだろうか。映画化するそうです。サントラ盤を聴いてみたい。読み終わるのが惜しかったです。

  • 久々に、数少ない心動く小説に出会えた。素晴らしい。世界は音楽に満ちている。この小説との出会いが、これからの人生が豊かなものになるといい。

  • とても読み応えのある507ページだった。

    これはピアノコンクールを舞台にした話だったので、読んでいる途中は「誰が本選へ進めるんだろう?」「誰が優勝するんだろう?」とコンクールの勝敗に気を取られていた。
    しかし、3次予選までとは打って変わってあっさりと描かれる本選に差し掛かったところで、3次予選までで物語はほぼ完結していて、本選はいわばエピローグのようなものだと分かった。
    ピアノコンクールの話ではあるけれど、勝敗が問題なのではなくて「どう音楽と向き合うか」という自己の戦いが重要であり、それは3次予選の段階でほぼ解決している。
    それぞれが、自分はどうあるべきか?どう音楽をするべきなのか?を見出し、納得した上で演奏される本選は、とても爽やかだった。

    風間塵が言う「音楽を外へ出す」は、音楽に造詣の浅い私にも魅力的に感じる言葉だった。
    あるべき自然に還元された音楽はどんなのだろう?
    文字ではそれを聴くことができない。それが少し寂しい点だった。

    このピアノコンクールの舞台となった浜松国際ピアノコンクールは3年に1度開催され、今年はそのラッキーな年だ。
    ぜひ、蜜蜂と遠雷のような、ドラマティックで青々としたドラマを体験したいと思う。

  • ‪蜜蜂と遠雷読了。

    魅力的な登場人物。ジャンプ漫画の主人公各種取り揃えといった感じで、華があり毒のないきらびやかなキャラクター達でした。リアリティはなかったですが、普段から漫画アニメなど大好きなので想像しやすかったです。

    ストーリーの軸は音楽にかけるそれぞれの青春。登場人物の苦悩と音楽の背景を語りながら物語は進みます。

    驚いたのは音楽自体を文章で表現していること。
    文章で充分曲の情報が語られますがピアノの技法など知識がなかったので調べながら読みました。

    クラシックは有名なCM起用された曲を聴けばああこれかと思う程度。まったく知識がなかったので、これは聴かないともったいない!と思い、読みながら登場する音楽の動画を再生。クラシックを聴きながら本を読む、その時間に贅沢な非現実感が得られました。

    サーチしたところ、蜜蜂と遠雷のアルバムがリリースされている様ですね。興味ある方は合わせて購入できます。

    各章で人物の説明、ドラマを展開しつつ、キーワードとか曲のイメージになるものが散りばめられていて最終章でそれら全部ひろって登場人物の心情やドラマをより分かりやすいものにしてくれていました。読んでる時にはまったく気づかなかったが伏線になっていたのか!と回収されてはじめておどろくことも多々ありました。

    時間を空けて読んでしまうと気づかないことも多いと思います。

    最後まで優勝者が読めず、結果発表時には登場人物たちとともにハラハラ。

    誰が優勝するか予想しながら読むのは、ミステリーを読んでいるときの感覚に近くて不思議な面白さがありました。

    これを読む前に羊と鋼の森を読んでてよかった。

    これを読んだ後に、もう一度四月は君の嘘を読みたくなった。

  • 紙面で音楽が奏でられている様な印象も受けます。「なんでこんなに音楽に詳しいんだろう?」と思って、インターネット上の巨大辞書サイトを覗いてみたら、著者本人もピアノを習っていることがあるようで、その経験が、この作品の登場人物にも投影されているような気がします。

    いやぁ、それにしても、冒頭にも記しましたが、書面で音楽を奏でているって、中々凄い。結構な分量のある作品なのですが、それだからなのか、読み始めると一気に物語の中に引き込まれ、あっという間に読み終わっていました。直木賞と本屋大賞をダブル受賞するだけの事はありますね。

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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