蜜蜂と遠雷

著者 :
  • 幻冬舎
4.35
  • (1638)
  • (1037)
  • (366)
  • (66)
  • (13)
本棚登録 : 10510
レビュー : 1394
  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030039

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 余りにも面白い。一気に読了。

    ああ、小説とはなんと素晴らしいのか!
    読みながら音楽が鳴り響く。音楽の素晴らしさよ!

    「俺は音楽家なのだ。音楽家だったのだ。何というリアル。」
    明石の魂の叫び。

    そして亜夜ちゃんがもう好きすぎる!!!
    心に残ったシーンは亜夜ちゃんが塵の演奏に、勇気をもらうシーンと、明石と2人で泣いているシーン。

    ていうか浜松やん!!!アクトやん!!!

  • 恩田さんは、たぶんこのテーマで書こうと思えば、いくらでも衒学的に耽美に書くことも全然出来たんだと思うのですが、
    でもそれを極力封印して、彩度高く透明度高く、爽やかに書いたんだと思うし、まじめに慎重に書いた…という印象もありました。

    ピアノコンクールだけを最初から最後まで書いた話ってすごいと思うし、根性貫いた小説だと思いました。正面から直球勝負みたいな構成の小説をこんなに面白く書ける作家さんは多くないと思います。
    恩田さんは、うっかりすると自分の感性に振り回されてしまいかねないくらい感性の豊かな作家さんだと思います。でも、それを言葉に整理する能力がべらぼうに高いおかげで、その感性を処理できている…みたいなイメージです。
    音楽という非言語の言語を、文字として目に見える触れられる形でエンタメしてくれる、こんな作家さんに出会えてラッキーだと思いました。

    恩田さんのエッセイとかインタビューをあんまり読んだことないので勝手な印象なのですが、恩田陸っぽさがあまりない小説というか、書きやすいことを気持ち良く書いた小説ではなくて、気持ちいいラインをぐっと堪えて書いた、という印象を受けました。
    獲りに行くというのを念頭に置いて書いたのかなぁ?と思うほど普段のちょっと陰鬱な耽美なテイストが封印されて、持ち味の透明度はそのままに書かれた小説だったと思います。
    またこんな面白い小説に出会えるかも知れないと思うだけで明日からの未来が楽しみになる、みたいな、読んで良かったと思える小説でした。

  • 音楽が文字になっている。
    文字から音楽があふれ、聴こえてくる。

    表紙も内容と完ぺきに合っている。

    クラシックやピアノにまったく興味がないし、知識もないけれど、本当におもしろかった。

    どんどん引き込まれて
    清々しい気持ちになれる、超傑作。

  • 皆さんのレビュー通り、音楽が聴こえてくるから不思議。恩田陸さんの小説は何冊か読んでどれも好きだけど、これはもう圧巻。

  • とある有名な国際ピアノコンクールが舞台。
    そこに集うコンテスタント達が一次予選、二次予選、三次予選を経て、本選に進む様を描く。再起を狙う亜夜。その幼馴染でもあるアメリカ国籍のマサル。そして、伝説のピアニストの弟子として送り込まれた、養蜂家の息子である塵。彼らコンテスタントの他、そのコンクールの審査員、記者、など、そこに関わる様々な立場の登場人物達の目線で物語は進んでいく。
    とにかく、ピアノを弾く描写の表現が豊か!!本当に音色が聴こえてくるかのような。特に塵の演奏のシーンは神秘的で魅力に溢れてる。本当に聴きたくなってくる。
    作中に出てくる多くのクラシック音楽にも惹かれた。今度調べてゆっくり聴いてみよう。
    私もピアノを始めた身なので、こういう音楽小説は大好物。そして、恩田陸さん、こんな作品も描くんだ、と。
    改めて作風の広さに驚く。

  • クラシックのピアノコンクールが舞台。
    芳ヶ江国際ピアノコンクール。パリのオーディション会場に、無名の日本人が参加、弱冠16歳の飾るところの無い少年が、伝説的ピアニスト・ユウジ・フォン=ホフマンの弟子として登場する。
    少年、風間塵の演奏は審査員三枝子の憎悪を搔き立てた。だが、それこそがホフマンからの推薦状に予言されていたことでもあったのだ。──彼はギフト、天から我々への。彼はけして甘い恩寵などではなく、劇薬なのだ。中には彼を嫌悪し、憎悪し、拒絶する者もいるだろう。彼を本物のギフトとするか、災厄にしてしまうのかは、皆さん、いや、我々にかかっている──(途中意訳省略)
    他の二人の審査員は絶賛し、三枝子は恥ずかしさにショックを受け、ふて腐れた。
    現在、クラシック界には楽譜を作曲家の意図を正確に再現するのがいい、という風潮がある。流通がしやすい方に曲の傾向が流れる問題もある。そして権威がものを言う、コネがなければどうにもならない閉塞感。
    コンテスタントの一人、マサルも大阪では実力を発揮したにも拘わらず、日本での音楽会に全く知り合いがいない(審査員やその関係者にコネがない)という理由で、つまらない難癖を付けられて失格扱いをされた。
    物語は、コンクールで勝ち上がり、プロとして成功する難しさと、クラシック界の閉塞感──音楽が一部の権威や商業主義のために決まった型へ押し込められている問題、それでも個性が求められる矛盾とどのように表現してくかという問題を浮き彫りにしながら、沢山の曲を小題としてテンポ良く進んでいく。
    各自のピアノを、情感豊かに様々な風景を思わせる描写で巧みに表現。曲を知らなくても、感じさせてくれる。
    沢山の曲、沢山の演奏者での書き分けが見事すぎて、舌を巻きまくり。
    妻子が居て就職もしていて、仕事の合間に練習をするしかない28歳の高島明石、彼を取材する雅美(と、明石の妻満智子)、天才少女としてプロの舞台活動もしていた栄伝亜夜の本心では望まぬ復帰戦、審査員三枝子の葛藤、マサルの師ナサニエル、亜夜の友である浜崎湊の審美眼(耳?)…多層構造のテーマを、これ以上無いくらいすっきりとしかし充分な描写でまとめ上げている。

    場面転換(主人公転換)が多く、2行空けで、視点を変えて各人の心情を交えて、どんどん語られていくので、とんでもないボリュームでも一日で読めてしまう。
    基本的に3人称だが、うまい具合に、あたしが──とか、僕が──と、地の文で心情の吐露がある。
    音楽用語であるリタルダンド(曲想の変わり目などを強調する手法)トゥッティ(全員が同時に演奏すること)など、余り知られていないだろう単語でも作中では一切解説しないので、むしろ冗長すぎない。
    専門用語を敢えてスッパリ説明しないのは、こんなに心地いいものかと驚いた。この小説の命題は音楽用語の解説ではないのだし、読者が知らなくて気になったのならスマホなどですぐ調べられる時代だから、これでいいのだと思う。

    各キャラの内面描写、過剰すぎない外見描写も心地良い。ラストのページは、読み終わるまでけして捲ってはいけません。これも良かった。スッキリした終わり方。

    久し振りに2段組のこんなに分厚い小説を読んだが、二段組みは精神的に圧がある。読み始めるまで気合いをためてしまった。それだけが難点だったが、一冊に纏めようと思えば、これがベストだっただろう。

    P402~403抜粋
    「──ちっぽけな自尊心、音楽をしている、音楽を分かっているといううぬぼれだけが肥大していただけだったのに。
     なんて馬鹿なんだろう。小さい時のほうがよっぽど賢かったし、きちんと世界を理解していた。
     あたしは、全く成長しないまま、おのれの見たいものだけを見て、おのれの聞きたいものだけを聞いて生きてきた。鏡の中に、自分の都合のいいものだけを映してきたのだ。
     きちんと音楽を聴けてさえもいなかった。
     苦いものが込み上げてくる。
     音楽は素晴しい、あたしは音楽に一生関わっていくのだとうそぶきながらも、実際にやっていることはその逆だった。音楽に甘え、音楽を舐め切り、ぬるま湯のような音楽に浸かっていた。ここにいれば楽だとばかりに、音楽と馴れ合っていたのだ。自分は違うと思いながら、音楽を楽しむことすらしていなかった。──」
    ここが凄く刺さりました。

  • ピアノを弾いたことはないしクラシック好きという訳ではない素人だけど、本当に弾いてるのではないかと思わせるほど情景描写が美しかった
    実際に音がない小説であるからこそ各々が違った捉え方で曲に感情移入できると思います

  • オムニバス形式でそれぞれの登場人物に丁寧に焦点が当てられていて、全員に共感できるポイントがある。
    それぞれの演奏する音楽について、ちゃんとそれぞれの個性が被ることなく描かれている。
    音の文章表現がとても綺麗だと感じた。
    音楽に関する小説は映像や音がないと伝わりづらいと思っていたけど、これは逆に小説でないとそれぞれの音の違いを表現できないと感じた。

  • とても綺麗で純粋な小説。永遠と一瞬。天才とはなにか。自然を相手にするということ。世界を知るということ。こういった主題をこの小説から読み取った。

  •  なんか、やたら評判がよくて、よく売れた。その頃、とある高校の司書もどきの仕事をしていて、図書館で購入した本を生徒さんたちに閲覧する前に、職権乱用だか、役得だか、ともかく、人間ドックの退屈な一日に持参してみると、500ページを超える大作なのに、一気に読めてしまった。おもしろかったんだ

     ぼくの好きなコミックの「スラムダンク」に似てるなというのが、読みながらの感想。読むスピードも、「スラムダンク」と似た感じだった。ドンドン読めるいい話という感じ。ピアニスト君たちを群像化したのがアイデアね。だからウソっぽいんだけど。
     
     というわけで、ぼくには「スラムダンク」の天才少年桜木花道はリアルな奴なんだけれど、ここに出てくる主人公たちは「嘘じゃねーか」というのが感想だった。

     その理由っていうのは、もう一つあって、それは、多分、安西先生がうなる場面、あれがないんだよね。安西先生の役を振られている登場人物たちはいるんだけど、それが、なんかめんどくさい。だからというわけでもないんだけど、この作品は手放しでほめる気にはなれない。

    ブログに書いてるので読んでね。
    https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201905210000/

     https://www.freeml.com/bl/12798349/954749/

全1394件中 91 - 100件を表示

著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

蜜蜂と遠雷のその他の作品

恩田陸の作品

ツイートする