蜜蜂と遠雷

著者 :
  • 幻冬舎
4.35
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本棚登録 : 20429
感想 : 2165
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  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030039

感想・レビュー・書評

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  • それぞれの奏者の気持ちやストーリーにのせて、文字だけでも音が伝わってくるような、読み応えのある一冊でした。

  • 面白かった。
    こんな世界がある事を知らなかった。
    実際にコンクールを見てみたいと思った。
    そんなに遠くない場所に有名なコンクールの会場があるが一度も行ったことは無かったがぜひ行ってみたい。

  • 優しい物語。
    良い作品だと思うが自分には合わなかったのでこの評価。

    以下、合わなかった点
    ・同じことの繰り返し
    天才が演奏する→他のピアニストが衝撃を受け、うわ凄いなあなどと思う→観客スタンディングオベーション。
    3回ある予選から終わりの本戦までずっとこれ。飽きる。

    ・いい人しかいないので予定調和な展開
    作中嫌な人が一人も出てこない、優しい世界。トラブルも起きない、優しい世界。

    ・コンテストなのに勝ち負けに拘ってない
    天才三人がそんな態度なので、最後の結果発表はどうでもよく感じてしまった。

    他に、明石が初めて登場する章がもの凄い読みづらかったり、このピアノコンクールやピアニスト達がいかに凄いかを繰り返し書かれていたりでけっこう冷めた。
    観客の喜び方がほとんど一緒なのも飽きた要因。悲鳴のような歓声、鳴り止まぬスタンディングオベーションなど。


    作者はこの作品にもの凄い情を込めてるのだと思う。それ故にキャラクターを誰も傷つけまいとし、なんのハプニングもない話になったのだと感じる。
    作者のキャラに対しての優しさが自分には過保護に感じたのが、作品にハマれなかった一番の理由だと思う。

  • 映画を見てから原作を読んだのでとても内容が入りやすかったです。

    亜夜のキャラクターが映画と原作では全く異なり、原作の音と向き合う亜夜の方が好きでした。

    天才って言葉で一括りするのはあまり良くないかもしれないですが、
    音の天才たちの考えていること、思っていることを覗き見出来た気分です。

  • 本屋大賞と直木賞を同時受賞!音が聞こえない文章の世界だからこそ、想像力で読ませることができて、逆に映画化は大変だったのではないかと思いました。(映画は観ていませんが)

  • 本の中で、音楽を旅したような感覚を味わったのは初めて。
    音楽の波がひいては寄せるような…
    素晴らしい。
    これは本なのか。
    本なのだけれど、音楽と向き合い、音楽を学んでいるよう。

    演奏する人も、聴く専門の人も、
    普段音楽に親しみがない人が、先に読んでから曲を聴いてみても面白いかも。

    「世界にはこんなにも音楽が溢れているのだ」
    まさにその通り。
    音楽を見つける日常は、きっと豊かだと思う。

  • 思っていた以上に、ピアノ伴奏のシーンが多いのだが、よくもまぁ文章だけでこれだけ「演奏」を表現できるものだと感心する、いや、感動する。
    実際にオーケストラやピアノを聞いても、もちろん上手だなとか、きれいだなとか、鳥肌が立つことはあるけれど、ここに描かれるような、瞬時に別世界に連れていかれたり、世界に音楽があふれていることを感じさせるようなことは、ない。ないからこそ、こんな風にピアノを聞くことができるんだなと、自分を錯覚させることができるような気がする。
    というのが魅力的だった。
    実際に聞いていないからこそ、その違いを分かり、演奏に感動している、気分になれる。

  • 専門分野を描いて、それに詳しかったら面白いんだろうな、ではなく、わたしも聴きたい!と思えた本は初めてだった。ものすごくよかった。

    とにかく面白かったんだけど、冷静に考えるといちばんこの本がすごいのは、音楽の素人をちゃんと音楽の深い世界まで連れて行きながら飽きさせないことだと思う。
    曲の解釈や演奏技術にまつわること、他人の演奏を聴いての技術的な感想とか、音楽にまつわる描写がものすごくたくさんある。わたしは本当に知識がない上に理解したい!という気持ちは強くないので、専門分野の用語の部分は流し読みみたいにしてしまって、それ以外の人間関係や感情があらわれる部分に力を入れよう、とはっきり分けて読んだことが何度もある。論の展開についていけない推理小説とかも。
    この本は違う。わたしでも、ずっと、語っている人に寄り添って読めた。風間塵の気持ちにすら同化した。素人が読んでも置いてけぼりにされず、それでいて、うんうんわかるわかる、コンクールのときってそうだよね、なんて、絶対わかるわけがない雰囲気や感情まで入り込めてしまうこと。恩田さんはもともと音楽にお詳しいんだろうか?作中にもあるように、コンクールの審査員や好んで聴きにきている観客、自分たちも演奏するコンテスタントですら聴いていて飽きや疲労感を感じるのに、クラシックを聴き慣れてない人間が何曲も何曲も曲の解釈の描写を読んでいて飽きないのは何でなんだろう。専門用語を入れながら、説明口調になりすぎず、実感を伴って、でも分かりやすいんだよな。奇跡。

    あとはキャラクター設定も絶妙すぎると思う。もしこれがありきたりな一冊だったら、風間塵をもっと奇妙で周りと相容れない存在にするし、栄伝亜夜をもっと悲劇のヒロインぶって唐突にいい子になるような女の子として描けるし、マサルなんてもっと傲慢にできるし、高島明石はもっと卑屈な人として書いてしまうほうが簡単だと思う。けれどそうではなくて、皆音楽には真摯で、善悪ではなくて、それぞれの生きてきた中で辛いことも幸せなことも恵まれたことも恵まれなかったこともあるというのが、それぞれでとても説得力がある。それから風間塵だけが唐突に投じられた一石ではなくて、「コンクール」という場で、審査員やスタッフの人も含めて、偶然と必然の関わり合いで音楽に対する姿勢が洗い出されるところがものすごい。

    ああー、続きが読みたいよ、と思ったら『祝祭と予感』もあるんですね。読みます。あと映画も観ます。それぞれのバージョンの「春と修羅」が楽曲として実際に聴けるのものすごい。iTunesで買ったので聴きながらまた読み返します。

  • 物語の世界に入り込む、登場人物になったかのようにのめり込み、一気に読み切るのは大好きなのだが、さすがのボリューム感に少し読み続けるのを躊躇ってしまう時もあった。

    もう少しあっさり...むしろ上下巻に分けた方が一般的に読んでもらいやすいのではないかと、勝手な考えをした


    ストーリーとしては、ピアノを弾けない私でも読んでいると音楽が流れているように感じ、同じコンテストに私も観客として参加しているような気分になりとても良かった。
    登場人物のこれからが気になり、続きを読みたいと感じている。
    そして読了後にはコンテストに参加していたようなどっと疲れた感じや重み、それを上回る気持ちよさや解放感を感じられた。むしろこれを感じるためにこのボリューム感はあって良かったのかもしれない。

    恩田陸さんの本は読んだことがなかったのだが(常々読みたいとは思っている)、今までの本とはまた少し違うタイプなのかなと勝手に想像している。
    他の本もぜひ読んでみたい。

  • ピアノコンクールを題材にした作品。一人の少年が、いつのまにか狭いところに閉じ込められてしまった音楽を「外に連れ出す」。塵が周りを巻き込んでいくところや、亜夜が成長していく過程には興奮させられる。音楽の文章による表現も上手い。自分もピアノを弾く身として共感できるところもあったり。厚いのに一日で一気読み。面白かった!

  • ピアノなんて全然弾けないけれど、ワクワクして仕方なかった。続きが気になって、久しぶりに夜更かしからの一気読み。

    「ピアノコンクール」を題材に、飽きさせないどころか、こんなわくわくする長編小説を色彩豊かに描き切ってしまう文才にひたすら感嘆。

    恩田陸の人物描写力は圧巻。映像がこれほどまでにリアルに浮かぶ小説はなかなかない。
    面白かった!

    映像化してほしいなーーー。
    続編も是非描いて欲しい。

  • タイトルからは想像できなかった、青春群像。素晴らしい景色が見れました。

    二段構えの長さすら、もったいないと思えるほどの心理描写、ピアノ&音楽への情熱。
    夢を見させてもらえたこと、天才の苦悩すらもキラキラしていました。

    本屋大賞と直木賞の二冠。
    納得です。

    【本文より】
    日系人社会に伝わる、「労働を尊ぶこと、約束を守ること、人には親切にすること、貯蓄をすること、勉強すること、規則正しく生活し、家や身の回りは常に清潔にしておくこと」などの十則を大事にしていた。/蜜蜂と遠雷 恩田陸

  • 音楽が聴こえてくるような表現が素晴らしい。

  • ピアノコンクールを舞台にした小説。ピアノの世界の奥深さを教えてくれる、感動の一冊。

  • ピアノコンクールを舞台に、音楽にに魅せられた4人の才能や苦悩、成長が紡がれ、彼らの想いが音となり響き合う。コンテストを通して、音楽と、そして自らと向き合った天才たちは何を奏でるのか。

    美しい文章と緻密な表現で、まるで演奏を聴いているかのような心地になれる。才気あふれるピアニストたちの心と音楽を余すことなく描き切った青春群像小説

  • 圧巻の一言

    ピアノで1曲も引けない自分でも引き込まれた。
    コンクールに臨む天才たちの苦悩や葛藤そして、成長。濃い2週間に駆け抜けていく姿は心が揺さぶられた。

    日々私たちは音楽を搾取しすぎているのかもしれないなと思った。自然あふれるとまでは言えないかもしれないが、耳に蓋をすることなくこの世という名の音楽を聴いていきたいと思った。
    素敵なギフトでした。

  • 曲を聴きながら読み進めてたけど、こんなにも読み終わりたくないなって思う物語に出あったのは久々だな
    めちゃくちゃよかった
    登場人物も話の展開もテーマも、とても好き

    物語の中に実在する曲が出てくるとつい聴きながら読んでしまうけど、これは1回文字だけで追ってから、2周目で曲聴きつつ、にしたほうがよかったかなぁと読み終わってから思っている。
    たしかに文字から音楽が聴こえたもんなぁ
    もったいないことしちゃったかもしれないね

    物語としての構成もすごく好きだなぁ
    審査員とか傍観者とか挑戦者とかで、ただの天才的な若者たちの成長物語でおわらなくなっててよかった
    特に審査員よかったな、あれの有る無しでだいぶ印象かわる気がする

    音楽の残酷さと素晴らしさに圧倒されるし、そうだ、この世界は音楽に満ちていたんだって、そう思えてほんとうによかった。

    音楽って、いいなぁぁぁぁ
    それとおんなじくらい、物語って、言葉って、いいなぁと思っている。
    言葉は、その制限そのものが美点なんだよな

  • 菜の花畑のような油絵風の表紙につられて購入。


    まるでその場にいるような臨場感あり。
    100人近いコンテスタントからいきなり24人に絞る1次予選。

    誰がこのコンクールで栄光をつかむのだろう、掴んだ後どうしていくのだろう。
    そのハラハラ感がたまらなかった。

    ショパンピアノコンクールをモデルとしていて
    浜松っぽい描写がいっぱい出てきて、そこも面白かった。

    この本は大好きで、もう3回は読んでると思う。

  • 天才ビアニストの復活なのか、音楽会へのアンチテーゼなのかはともかくとして、ビアノの旋律が悠然と語りかけてくる世界に居る人達の感性に少し触れられた気がする。所々で音源流しながら読んでるの俺だけじゃないよな、、、

  • いやぁ、素晴らしい物語でした!  そして
    作者の恩田陸さんは、凄い作家だと思いました。
    一番印象的だったのは、エイデンさんが、カザマジンに刺激されて覚醒するシーン、そして天才ぶりを復活させるシーンかな。鳥肌が立つ場面でした。
    ピアノコンクールに興味があるかたも無いかたも
    オススメ本です♪

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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