蜜蜂と遠雷

著者 :
  • 幻冬舎
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レビュー : 1448
  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030039

感想・レビュー・書評

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  • 本書に登場する曲を聴きながら時間をかけて読みました。
    日本音楽コンクール・ドキュメトのピアノ部門を鑑賞してから読むのもいいと思う。
    音楽は本能。リズムは快感。
    本書では、コンテスタントがライバル達の演奏に素直に感動している姿が清々しい。
    クラシックを聴いていると、テンポ、強弱、わずかな間の取り方の違いなどで好きな演奏が決まる。
    しかし同じ演奏者だから、どの作品も良いと感じるわけではない。
    音楽は正解のない世界。コンクールの審査結果の順位付けはあくまで参考だ。
    甲乙つけがたいものに優劣を付けるから、いろんな物語が生まれるのだけれど、、、
    この物語では、順位は重要視していない。
    優勝者でない亜夜と塵の演奏、どんな風に弾いたのか、どのように感じるのか、無性に聴いてみたい。

  • いつもながら装丁買い。
    しかし、中身も想定外だった。寝る時間を惜しんで読んだ。続けて2回読み返した。

    よい耳を持っている人がうらやましい。クラシックを聴くことは好きだけれど、音の違いには気づけない。でも、音楽を聴いて、情景や物語を想像することは少しできるかもしれない。

    ブラームス、ベートーベン、ショパン、リストなどなど過去の作曲家は本当にすごいなあと思う。今でも色あせない。現代も作曲家はたくさんいるのだろう。でも、彼らの創りだす音楽はどれほど後世に引き継がれていくのだろうか。

    そんなことをつらつら考えながら読んだ。読めば読むほど、深い味わいを感じられそう。

    そして「春と修羅」という曲がどんな曲なのか聴いてみたい。明石さんの宮沢賢治の思想に寄り添ったカデンツァを、亜夜のすべてを包みこむ大地を想わせるカデンツァを聴いてみたい。

    久しぶりに読み応えのある物語に出合った。

  • 「美しい」とか「輝かしい」や「眩い」などの言葉がぴったりな小説だと思いました。
    音楽って、、、文字で表現できたんですね。

    とにかく表現力がすごいです。←という私の語彙力のなさ

    それぞれのコンテスタントたちが、どのようなピアノを弾いているのか…
    聞こえるはずもないのに、この作品を読んでいると何故かイメージできてしまう気持ちになります。
    各章を読み終わった後、まるで私自身もコンクール会場で、数々のクラシックを鑑賞したかのような…何とも言えぬ充足感がありました。

    風間塵を始め、マサルや英伝亜夜のピアノ、、聞いてみたいなぁ〜
    音楽は一瞬で消えてしまうようにも思えるけれど、誰かの心に残り続ける限り、永遠なものにもなり得ますよね。
    そんな素晴らしい、心震わされるような音楽に、いつか私も出会いたいと思いました。

  • 素晴らしかった。本を開くとおもちゃ箱をひっくり返した様に楽しく美しい音が鳴っていて、音楽のうねりが見える様な、そんな本でした。
    3人の天才と1人の素晴らしい音楽家がコンクールという場で競い合う物語。けれど、それぞれ、闘っているというイメージではなくて、純粋に一生懸命、奏でている。駆け引きなんてなくて、蹴落とすなんてなくて、高め合っている場が、コンクールだという感じ。
    皆、天才なので、失敗なんてしないし、安定している。しかも皆良い人。これだけならとても平坦な物語になりそうなのに、すごい熱量を感じられたのは、恩田陸さんの音楽への憧れと表現力、これを描きたかったのかなぁ。すごかった。
    物語の展開にワクワクするというより、一人ひとりの音楽を文字で素晴らしく表現していて、音が聞こえてきそうで情景が想像出来る。そのオマケでストーリーがあるんじゃないかというくらい。本なのに音楽のうねりに飲まれる様な、そんな作品でした。

  • ピアノの国際コンクールに出場する4人の物語。
    世界的に有名なピアニストを師に持つ不思議な少年・風間塵。母を亡くした日からピアノを辞めてしまった栄伝亜夜。海外で修行を積み、日本で大切な人を探している天才ピアニスト・マサル。家庭を持ちながらピアノを諦めたくない明石。それぞれの物語を追いながら、長期にわたるコンクールが進んでいく。

    冒頭のシーンから引き込まれて、きれいだな、と感覚的に好きだった。映画を見ているように、自然に読めていく。クラシックが一つもわからないのに、こういう感覚なんだろうなーと空気を感じることができた。

    視点が多岐にわたるので、たくさんの人の思いが重なっていき、胸がいっぱいになって、次は?次は?と読むのがやめられなかった。

    演奏者にとどまらず、スタッフ、指導者、家族、審査員などの視点で描かれているので、会場のあらゆる部分を想像し、様々な人の立場になって楽しんだ。

    天才たちにも悩みがあり、その悩みから抜け出す、ベールが取られる瞬間が、なんと言ったら良いのだろう。美しいというか…

    理論ではなく、感覚的に読んで、心地よかった。

  • 面白かったし、音楽の素養がなくても伝わるものがあるし、キャラクターも魅力的。

    沢山の人が出てきても混乱することなく、興味を惹かれる流れるようなストーリー展開は流石です。
    中盤までは夢中で読んでたんですけど、2次予選辺りから演奏中の描写がくどく感じ始めて、3次予選では演奏の場面を読むのが面倒に…。終わりは良かったです。

    仕方ない事だけど、音楽を言葉で表現するとどうしても幻想的な景色になって、興味が続かない。
    これは自分の状態の問題で、小説としては、その表現力は素晴らしいと思います。
    音楽が聴こえるような文章だと思いました。

  • 図書館で半年待ちわびてやっと順番、一気に読了。直木賞はだてじゃない、噂に違わず面白かった。ピアノコンクールを舞台に登場人物のそれぞれが語られていく。カザマ ジンのサプライズ的な要素には少し目を瞑っても展開がワクワクしていて厭きない。クラシックに疎い我々にも十分楽しめる分かり易さで読み進められる。ピアノコンクールだけのネタでよくもここまで!オススメです。

  • 体験。これはまさに体験だ。彼の音楽は『体験』なのだ。

    一文一文が短くかつ、何度も、
    繰り返される表現が多かったように思う。
    読んでいて、歯切れがよく、テンポも心地いい。
    音楽を表現するのは、大変難しい
    何故ならば本は、耳を通さないから。
    イメージの世界をどれだけ伝えるか。共有できるか。
    ピアノの世界観は、分からないのだけれど、
    それぞれの人が実在するかのように、
    イメージ、共感できた。



    僕なりに感想を書いてみました!
    https://trick-neo.com/mitubatutoenrai-read/

  • ずっと気になりつつも分厚いなあ、と何となく後回しにしてしまっていたのですが、読んでみたらあっという間でした。もっと早く読めばよかった。
    それぞれの人物に丁寧に焦点が当てられていてどんどん惹き込まれましたし、まるで読みながら自分もコンサートの観客になったかのように、音楽を聴いている気分になりました。
    クラシックって難しそう、と漠然と思っていましたが、今は作中に出てきた曲を聴きたくて仕方がないです。面白かったです!

  • あまりの感動に打ち震えた。この本を読めて本当によかった…
    読む途中途中、栞を挟み閉じる時、あまりの愛おしさに本の表紙を撫でてしまった。


    国際的なピアノコンクールに出場する4人のピアニストそれぞれの物語で、恐らく主役はこの人だろうという人はいるが、
    読む人によって真の「主人公」は異なってくると思う。
    様々な性格、立場、境遇…
    突如現れた「巨匠からのギフト」の鬼才の少年 塵、
    「元天才少女」で音楽に愛し愛される女性 亜夜、
    幾多の風土の雰囲気を併せ持つサラブレットプリンス マサル、
    音楽は天才だけのものではないと「生活者の音楽」を表明する 明石

    もうこの4者の立場の違いだけでも失神しそうになるほど良かった。プロローグともいえるコンクールが始まる前から夢中になった。
    とりわけ私は明石に感情移入をした。私も社会人で、趣味でものを作ったりするのが好きだからだと思う。
    私も学生の頃選べなかった、選ばなかった人生があって、
    それを今選んで生きる人への憧れのようなものがまったく無い訳ではなく
    でも自分の選択を間違っているとも思っていない。そういう、複雑な感情を抱えて生きる中で

    明石の「音楽は天才だけのものではない、生活するなかで音楽は共にあり、音楽を「聞ける」人は普通に暮らす人のなかでもたくさんいる。
    自分はそれを示したい…と、家庭を持ち働きながらもコンクールの準備を睡眠時間を削りながら行った。

    もう本当にわかりみが深い。働いてたら睡眠時間削るしかない。そしてなんと勇気が出る事だろう。
    わかる気がするから。私が「天才が天才として驀進しながら掴み取る世界」を一生理解できないように、
    天才にはこちらがわの「普通の生活をしてるからこその苦楽や感謝」がわからないであろう事が。


    彼が戦いを挑んでくれたことに本当に勇気をもらった。
    第二審査の時の課題曲に含まれるカデンツァは各自の解釈で自由に演奏していたが(クラッシックに詳しくないのでどういうものか正確にわからなかったけど、たぶんこれで良いんだと思う)
    「春と修羅」という日本人作曲家の曲で、詳しくはまぁ原作を読んでくれという感じなのですが
    (説明するのが面倒なのではなく原作が最高なのでいいから読んでほしい)
    明石は解釈を深めるために車で…縁の深いところへ視察にいってて…真面目か…!!!真面目かよ…!!!と本当に胸を打たれたし、
    他の天才達が「宇宙」とか「自然」とかそういった大きなテーマを感覚で表現しているのに対し、
    なんて真面目で平凡で平均で、そして丁寧で真摯なのだろう。
    めちゃくちゃ胸を打たれてしまったし、もう明石がコンクール優勝してスピーチで
    「生活者の音楽をこれからも世界に届けていきます」みたいなことを言うの想像して感極まった。

    なんでこんなに胸打たれるんだろうと考えた時、
    自分がプラネタリウムの漫画を描くにあたり、資料集めかねて3箇所くらい都内のプラネタリウムを巡ったりしたことを思い出して、そっかぁと思いなんだか泣けてしまった。

    自己陶酔かよといわれればまぁそうなんだけど、明石という登場人物はそういうポジションなんだと思う。
    異なる才能を持ち合わせた若き3人の天才は、ほんとうに魅力的だし音楽だけでなく人柄も愛らしい。とても好きだ。
    でも一般的な読者が感情移入するには難しい部分もあるかもしれない。
    前述した通り、読む人によって主人公がかわるので言い切るのは乱暴かもしれないし、亜夜は明石と違う種類の人がどうしようもなく惹かれる人かもしれない。
    でも明石という人は「共感」を担ってくれる人で、天才ではない人をこの物語の世界に優しく招きいれてくれている様に思えました。

    明石はそういう意味でも、音楽を愛する人と、音楽を日常に添えるように生きる人、音楽を知らない人全てを繋いでくれると思う。

    明石の話ばかりになってしまったけど、この蜜蜂と遠雷はあまりに出来がよく、完成されていて恩田さんの本をはじめて読む私にとって本当に衝撃的でした。
    最初手にとった時は分厚いし2段組だし読みきれるのか!?と不安になりましたが、不安に思う事などなにもなく、後半は終わりに近づいていくのが寂しかった。

    実写化しないのかな?と調べたところ「映像にしてしまうと音の正解を定めてしまうようで」みたいなこと書いてあってまた痺れた。最高。かっこいい。
    確かに文章だからこその演奏はあると思う。特に風間塵の演奏は読み手一人一人でまったく違いそうだ。

    映像化されないということはこの素晴らしい物語を知る人は読んだ人だけということになる。それは少し寂しい。
    どうにか一人でも多くの人に読んでほしいと思いました。長いけど!!頑張ってほしい!!!音楽は素晴らしい!!!

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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