蜜蜂と遠雷

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 10554
レビュー : 1397
  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030039

感想・レビュー・書評

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  • 文字が音楽のように頭に入ってくる。
    風間塵の演奏シーンは頭の中の文字が飽和状態になって涙が自然と流れた。大げさかもしれないけれど、そう感じられた。たまらない。
    本を開くまでは分厚さに圧倒されたが、読み始めると一気に一次予選、二次予選、三次予選、本戦と時が流れる。2週間が1日で終わってしまうのは寂しく、むしろこの量は短いのだ。もっと彼らが弾く音をひとつひとつ楽しみたくなる。
    数年後の彼らに出逢うための本を待ち望みながら、観客の未来想像図を壊さないために、なにも蛇足のような裏話や続編は要らない気もする。

  • 一見、分厚さにたじろぎましたが(しかも久々の2段組!)、一気に最後まで駆け抜けることが出来ました。コンクールの予選から本選までのタイムライン小説なので、箱根駅伝の往路を見ている時の感覚です。そう、スポーツではこういうタイプの物語で熱くなったことあったな、と振り返ってみると三浦しをんの「風が強く吹いている」を思い出しました。ただ何と言ってもこの小説のすごいところは「文字で楽しむ音楽」を実現したこと。登場人物が群像なのも(それがみんな日本語を解するのも)弾き手であり聞き手である、という仕掛けが上手く機能しているのに感心しました。AIが人間の能力を追い越すのではないか?と言われているシンギュラリティ時代に「神の恩寵」としての音楽を再確認しているのもこの小説が支持されている理由なのかもしれませんね。

  • 2017年3月20日読了。こんな大作を読み上げたのは初めてといっていいくらい、読むのにも体力や能力が要ったようにも思います。でも読んだ後の清々しさったらない!マサルや塵やあやの若さ溢れる演奏に心打たれる連続で、本当に楽しかった。YouTubeでこの曲はどんな曲なんだろうと検索して、こんな曲をコンクールで弾いてるのかとビックリしました。曲を聴きながら読んだので、時間がさらにかかったのですが(ただでさえ読むの遅いのですが)、おかげでその曲の雰囲気がすぐに捉えることが出来て良かったと思っています。そしてその曲の形容の仕方の緻密さ幅広さには作者の力を感じました。その文章の凄さからこの作品がイキイキしてる。すごい作家さんなんだ・・・。力のある作家さんに出会えた気がします。マサルや塵やあやが実在の人物ならなー。会いに行きたいです。こんな情熱的な演奏会に行ってみたいですね。

  •  まったく知らない世界のお話だったので興味深く読めた。
     世界的なピアノコンクールの仕組み、コンテスタント(出場者)の過ごし方、精神状態。さらには、審査委員、ピアノ調律師、ステージマネージャ、マスメディア、そのコンテストに携わる多くの関係者の多彩な視点、モノローグで立体的に作品が創り上げられていた。誰の視点からの表現が面白かったかと言えば、審査員かな。とにかく誰の視点に自分を置くかで作品の楽しみ方も変わってくるのかもしれない。それくらい多彩な登場人物たちだった。

     未知の領域なので、並行して予習(?)もしながら読み進む。著者恩田陸は3年に1度のリサイタルを4回に渡り取材、12年をかけて周到に準備をしたそうだ。その思い入れの大きさは、長編となった本作の文量によく表れている。
     主要登場人物の4人のピアニストの心情も、個々人につき具に語られる。実際のリサイタルを4回分、全部の演奏を聴いているうちに演奏者の気持ちも理解できるようになったと著者は言う。あとは描き分けの工夫と、曲ごとの解釈と味付け次第か。

     恩田陸の作品は『まひるの月を追いかけて』が最初。その時、人物の心の動きや行動を、思いもよらないハッとするような文章で表現していて感心した覚えがある。本作品も、音楽という聴覚で感じるものを、著者がどう文章で表現するかが楽しみであった。
     それが成功したかどうかの判断は人それぞれ、難しいところだ。それこそ、音楽を聴いての感じ方は千差万別。そもそも元の楽曲を分かっていないと、その文章表現が的を射ているのかどうかも判らないと来たもんだ(苦笑)
     なので、途中からYoutubeを聴きながら読んでみた。クラシック音楽と読書の相性は、すこぶるよろしく気持ちよく読み進められたが、果たしてその音楽を文章で言い表せていたかとなると「?」が浮かぶ。なにより、こりゃいかんと思ったのは、「鬼火」とか「雨の庭」と言ったタイトルの付いた曲。それを「まるで鬼火がチロチロと・・・」とか、「雨が降って温度が下がったように・・・」とか、それってタイトルから安易に想像しただけじゃないの? 音だけ聴いて本当にそう思える?鬼火が見える?私しゃそうは聴こえないよとか、いろいろ意に沿わない、共感できない誇張したかのような比喩が散見されて止めてしまった(後半、オケとの合奏では、作者も表現しきれなくなったか、曲にまつわる比喩が少なくなって聴きながら読めたけど)。

     ともかく各出演者の演奏ごとに、ライバル、審査委員、恩師、友人が、それぞれの視点で、曲解説(解釈?)や、演奏者の心情の推察、あるいは当人による感慨、回想などが織り込まれ、1次から3次までの予選、さらに本選と重厚に物語は展開していく(著者が取材した浜松国際音楽祭の構成の通りに進む)。
     神童、秀才、復活を賭けるかつての天才、努力の一般人。その4人を軸に話は進むが、最終的に誰を優勝させるかは著者自身も最後の最後まで分からなかったという。ならば、最後は、その演奏を文章で表現しきったとき、その表現の巧みさ、いかに描き切れたかで決まるのかなと楽しみに読み進む。
     その時、かつて漫画家水島新司が代表作『ドカベン』で明訓高校の初の負け試合となる弁慶高校戦を描いたときのエピソードを思い出していた。主人公山田太郎の第1打席は、敵の策略にハマりピッチャーゴロかフライの凡打とする予定だったそうだ。だが、その打席の打撃シーンを描いた時、腰の入った見事なフォームが描けてしまったのだとか。「これはもうホームランにするしかない」と筋書を変えてしまったというから面白い。
     本書も最後はそうした文章力の、誰の演奏をどう描けるかで決まるのかと楽しみにしていたが… (これから読む人は、果たしてどうだったか確かめてください)。

     スポーツ漫画の例を、つい思い出してしまったけど、私より先に読んだ読み友の感想も、「スポーツ試合のような気分で読んでました、終盤になるとキャプテン翼みたいな。」
    だった(笑)
     そうなんだよなー、ちょっと文学の香りはしなかった。表現、筋立て、結末含め、どこか漫画チック。努力の一般人の結果にしても、ライバル(憧れ人?)に「また、どこかで」と微笑んで語られ、「やはり、始まりだった。」と納得するだけで十分。今後、彼はその「また、どこかで(一緒に演奏しましょう)」という一言を糧に、飛躍成長してくのだろうと想像することが楽しいのであって、「はい、ほらね、彼にもご褒美を用意しましたよ」的な蛇足は要らなかったな~。 どこか感動を安売りしているようで「ったく、近頃の小説は!」って、ついつい愚痴りたくなる。

     そう、途中でヤな予感もしたのだ。ライバルの演奏を聴いた感想をこう述べる場面がある。

    「ふと、最近のハリウッド映画はエンターテイメントではなく、アトラクションである、と言った映画監督の言葉を思い出す。チャンの演奏は、なんとなくそれに近いような気がする。」

     映画だけじゃなく、最近の小説もそうだよ、この作品はそうならないよね、と一瞬そんな思いがよぎったのだったが、どうも「ハイ、ここ感動するところ」「ここで泣いてね」みたいな安易な展開が、あぁ今風の作品だなと思ってしまった。
     
     そんなことで、悪くない作品なんだけど、スポーツ漫画的な安易な感動とカタルシスを、お手軽に楽しめる(文量の割には驚くほどサクサク読める)、現代的には、一流のエンターテイメント作品であった(アトラクションとまでは言わないよ)。

  • 音楽の才能も素養もない私だけど、読みながらずっと音楽が身近にあった。
    聞いたことのない曲も言葉によって鮮やかな色となって押し寄せて来る。音楽が言葉で、そして色で私の中に染みわたるこの快感。
    塵が亜夜の世界を開いていく場面、私もその情動の中にいた。音楽の海でおぼれそうだ。音楽を奏でたい。音楽に愛されたい。世界はこんなにも音楽で満ちているのだから。

  • 登場人物全員が、真摯に音楽・ピアノと向き合う物語。
    こういうコンクールものには必ずと言って良い程、嫌な役回りの登場人物がいるけれど本作ではそういう役は一切登場しない。
    純粋に、それぞれが美しく共鳴しながら、高みを目指していく。
    どの世界でも極めるということは、何らかの壁を越えていかなくてはならない。その壁は今の自分自身であったり、過去の自分だったり、ライバルだったり。
    壁を乗り越えなければならない者は、時にその壁を楽しみをもってして乗り越えていく位の度量を必要とされる。
    切磋琢磨という言葉が、これ程重く感じられたのは初めてであると同時に、これ程この四字熟語がぴったりハマる作品も他にない。

    二段構成で500ページ近い量でありながら、大きな事件や確執が起こるわけでもない。ましてやミステリーでもない。
    それなのに、ページをめくる手は止まらない。
    音楽の世界に疎い私であっても、情景描写だけで脳内に音楽が再生された様な錯覚に陥る。
    これこそ恩田陸の底力だ。圧巻の文章力。

    夜のピクニックも好きだったけど、恩田作品のこの系統が個人的にはすごくハマるし、本当に大好き。

    直木賞エントリーも大きく頷ける。是非受賞してもらいたい。

    今回は図書館で借りたけれど、文庫化されたら絶対に手元に置いておきたい名作の1つ。
    登場人物の真摯な姿に良い方向に感化されないかな、と。

  • 体験。これはまさに体験だ。彼の音楽は『体験』なのだ。

    一文一文が短くかつ、何度も、
    繰り返される表現が多かったように思う。
    読んでいて、歯切れがよく、テンポも心地いい。
    音楽を表現するのは、大変難しい
    何故ならば本は、耳を通さないから。
    イメージの世界をどれだけ伝えるか。共有できるか。
    ピアノの世界観は、分からないのだけれど、
    それぞれの人が実在するかのように、
    イメージ、共感できた。



    僕なりに感想を書いてみました!
    https://trick-neo.com/mitubatutoenrai-read/

  • めったに小説を読まない私がのめり込んでしまった本。風間塵が痛快。こういうギャップのある人生に憧れる。「え!実は・・・。」みたいな。予定調和が苦手な私としてはこの手のスタイルが大好きだ。

  •  今は亡き天才ピアニスト・ホフマン先生からのギフト(推薦状)は、素敵な包装紙に包まれ、そのプレゼントの箱の中には凄まじい破壊力がある爆弾が入っていた。(一部引用) こういう表現を書くと、この小説はバイオレンスものかと錯覚してしまう。しかし当たらずとも遠からじ、コンクールの審査員の苦悩を表現しているのです。
     その箱の中身は、ホフマン氏の意思を継ぐ無名のコンテスタント、世界最高峰への登竜門芳ヶ江ピアノコンクールにエントリーしている。派手な花火を見ることが出来るのか、そして期待するファンは少しずつ増えている。
     まるで推理小説のレビューを書いているように自分も興奮しながら読了しました。
     勿論コンクールの場に集まるコンテスタントは、粒揃いの天才が多く、或る人は勝つために敢えて難曲を弾き、演奏の戦略を立てたりするのです。それも二次予選終了までは…。
     著者の恩田陸氏の多彩な音や状況の表現は美しく感嘆するばかり。
     本書の主人公は、四人のコンテスタント、それぞれのキャラクターが面白い。
     読みどころについては、「全てです」と申し上げる。宝物を得た気がします。
     まさに圧巻の一冊だった

  • 小説とピアノはどうしてこんなにも親和性が高いんだろう。
    私がはじめて買った文庫本は、教科書に載ってたいちご同盟で、そこでピアノの物語が好きになってしまったのだろうか?

    亜夜の、日毎に成長、覚醒する姿が読んでいてとても心地いい。

  • 読み終わった直後、スリラーなお話でもないのに鳥肌がゾワワっと立った。それから頰が熱かった。

    作中での表現が素晴らしくて感動した。特にピアノ演奏のシーンは本から音色、雰囲気、情景が自然と浮かぶほど感動的だった。

    ぜひ、ピアノが好きな人に読んで欲しい作品です。

  • 世界はこんなにも音楽に溢れている。
    私は音楽には詳しくないけど、音楽聴きたくなった!


  • 読み終わった瞬間 一つのコンサートが終わったような
    耳がじんじんとする感覚を覚えました

    作中にでてくる曲は名前を聞いてもわからないのに
    なぜか 身体中が音楽で溢れる そんな作品でした

    この感覚は初めてで
    心地よく 心臓がドキドキしていました

    次回読むときは 本の中で流れている曲を聴きながら
    読んでも 楽しいかと思いました

  • 図書館の順番待ち期間がものすごく長かった。
    しかし読み始めると2段組だし、なかなか手強いしで、いつも以上に遅読になりそうな気配。
    読むのやめちゃおうかな、せっかく回ってきたけど読まずに返却しちゃおうかな。
    これは返却して、買おうかな、でも買うと結局積読になっちゃうんだよな。
    と、ごちゃごちゃ考えながら読み進めた。

    クラシック音楽も結構好き。
    自分には好きな曲もいっぱいあるし、CDも何枚か持っている。
    昔はクラシックコンサートも結構行った。
    でも、誰々の何々と番号で言われても、覚えようとしたことがないから、わからない。
    どの作曲家がどこの国の人かもあんまりわからない。
    そういう程度の読者である。

    しかし今の時代は便利。
    読みながら、出てくる誰々の何々という曲を簡単に検索して聴きながら読んだ。

    音楽を文字で表現できるのは本当に凄いと思う。
    これ、本当に音楽に携わっているプロが読んでも納得し賛同するのかどうか、聞いてみたい。
    凡人の私は、亜夜と塵が「月の光」「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」「月光」「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」をセッションして月まで飛んで行ってしまったシーンにはゾクゾクしたけれど、「月の砂漠」も入れて欲しかったなと思っちゃったり、第三次予選の塵の演奏で観客全員がアジアやグラナダや北フランスやアフリカに飛んで行っちゃったけれど私には全くできなかったから。(塵の演奏じゃないから?)

    個人的には、「むつかしい」という言葉につっかかり、「あたし」という表現が気に障り、1ページの内に何ヶ所出てくるんだよ!と嫌気がさすほどの「コンテスタント」という単語の乱用が苦手だった。

    ただ、原作を先に読んだ後に映像を観ると大抵がっかりするタイプの自分が、これは映像を観てみたいと思う珍しいパターン。

  • 本選から曲を流しながら読んでいた。これはいい。もう一回最初から読まなくちゃ

  • 「あたしの音楽」

    舞台はピアノコンクール。出場者たちが己の才能、努力、情熱を競い合い、互いに影響しあい、進化していく過程に夢中になりました。

    その中でも、私が最も自己投影できたのは、ヒロイン・栄伝亜夜。表舞台から去り、自分の人生に迷っていた彼女が、周囲の出場者のピアノを聴き、自分のピアノ、道を見つけていく、その成長に感動してしまいました。私自身、新社会人として、色々と迷うこともあるのですが、いつか彼女のように羽ばたける道を見つけたいと心から思います。彼女が、「あたしの音楽」を見つけたように・・・。

    ストーリー自体は非常に面白いのですが、個人的にキャラ設定に少し不満があったため評価4としました。好みの問題だとは思いますが、個人的に、初めから何でも出来てしまう、ステレオタイプの「天才キャラ」というのがあまり好きではないのです。天才と呼ばれる人ほど、裏では誰よりも努力をしているものだと思うので・・・。そんな天性の「天才」が複数現れ、しかもコンクール上位を掻っ攫っていく・・・、という展開に少し虚しさを感じました。まあ、繰り返し言いますが好みの問題なので・・・。

    文章が明瞭でとても読みやすいので、中学生や高校生にもお勧めです。

  • これは本ではない音楽そのものだ。一つの曲を文字で表すのは大変難しい。それが見事に表現されている。演奏者の一人一人の癖や持つ雰囲気まで見事としか言いようがない。そして出てくる曲への認識と知識、見解はちょっとピアノをやった、クラッシク好きでは到底無理話だ。2週間。コンクール開催期間。読者は彼らと共に客席座る。そして緊張と字間から聞こえるピアノの音色に耳を傾けざるを得ない。曲を存じなければCDが出てるので是非併せて試聴頂きたい。 私の人生で出会った最高傑作!!最高の演奏でした!!

  • 分厚い上に二段組。猫ふんじゃったを譜面でみたら、意味わかんない、学校の授業程度の音楽の教養。こんな私じゃダメかと思ったけど、一気に引き込まれて、気づいたら読み終わってた。
    コンクールに関わる様々な人たちの立場や考え方を共有できただけでも、読んだ意味があると思う。曲をこれだけの言葉で表現できる著者の力量があるから、授賞も当然。
    もちろん、物語だからこんなにうまくいくことはないのだろうけれど、それでも引き込まれる。
    読書途中で、YouTubeで曲を探し始めてしまい、聴きながら演奏シーンを読み直しました。

  • 圧倒的な迫力。音楽には特に興味無いけど、ぐいぐい引きまれた。
    映像化も多分されるだろうな。期待。

  • ピアノの天下一武道会。
    全然ピアノの知識がなくても、手を変え品を変えた比喩で楽しめる。

  • 生音を聞きたい!
    人はそこに至る過程を、人々のドラマを見たいのだ。頂点を極めスポットライトを浴びる人を見たいのと同時に、スポットライトを浴びることなく消えていった人たちの涙を見たいのだ。
    明石さんよかった!

  • ☆5では足りないくらい!たっぷり読み応えのある作品だったけど、あんなに登場人物が出てくるのに、ひとりひとりにインパクトがあったので、話がこんがらがることはなかった。ピアノの好きな人も弾いたことがない人も、十分に楽しめる一冊だ。

  • 人気作だから私のように日本の作家を読むリテラシーに欠ける人が低評価つけてはいけないんだろうが、平坦だ。良くも悪くも漫画のようだ。天真爛漫な超・天才少年、天才美少女、イケメンピアノ王子がコンテストで競い合い、少女と王子は幼馴染で恋が芽生える。映画化必至。国際的なコンテストでコンテスタントのトップ集団も審査員もこぞって日本人または日本語を解するという都合の良さ。音楽を文字で表現する面白い試みだと思うが過剰な比喩が何度も何度も繰り返され食傷。コンテストにはメインキャラが残るのは明らかで、サブキャラがぞんざいに落選していくのも冗長。
    私はクラシック音楽のコンサートにいくが、こんなにエキサイティングであろうわけもない(笑)聴衆はこんなにリテラシーが高くもない。耳が良い人にはごくカラフルに聞こえているのだろうか?それは羨ましいけど。

  • ああ、面白かった!!
    ピアノコンクールだけで、こんなにドラマを書ききるなんてほんとにすごい力量!
    登場人物みんなに、優しさと人間性を感じる。
    芸術を評価するという戦いの場においても、相手への尊敬と共感を忘れない姿が美しい!
    ピアノのみならず、音楽とは何かを突きつけて読ませるので、ピアノ経験者でなくとも深く考えさせられると思う。
    ピアノ経験者はグリッサンドの痛そうなとことか、プロコフィエフのオケ映えとか、細かいところでくすぐられる。
    そして最後に思うのは、私もこんなピアノが弾けたらいいのになぁーーー。(ためいき)

  • 【情景が思い浮かぶ音楽】
    恩田さんの本を読んだのは『夜のピクニック』以来の二冊目。面白かったです。

    芳ヶ江国際ピアノコンクールに参加するコンテスタント達の成長を描いた作品で、コンクールとはこんなにもドラマがあるんだなあと感心しましたが、特に読んでいて引き込まれてしまったのはピアノ演奏時の描写です。

    音楽を言葉で表現するのは、素人ながら難しいのでは?と思っているのですが、曲を知らなくても演奏か想像できてしまいます。軽やかなのか、重厚なのか、壮大なのか、疾走感があるのか。

    そして、登場人物達がイメージしている演奏時の風景や曲の物語を鮮明に思い浮かべることができます。

    クラシックに詳しくないので、小説に出てくる曲はほぼ知らなかったのですが聴きたくなりました。サティの「あなたがほしい」とはどんな曲か聴きたくなって、聴いてしまいました。

    音楽が聴きたくなるし、これまでの人生で諦めてしまった何かにもう一度挑戦してみたくなる本でした。

  • ピアノコンクールを舞台とした若き天才達の物語。
    巨匠ホフマンの忘れ形見とも言える「ギフト」として送り込まれた純真無垢で自由な風間塵を中心に、様々なコンテスタント達がお互いに影響し合い予選を通過する度に進化していく姿は圧巻でした。
    個人的にのだめが好きなので、クラシックは詳しくはありませんが曲名なども目にしたことのあるものが多く、脳内再生しながら読み進められました。
    技術なども素人なのでさっぱりですが、きっと塵の奏でる音はよくのだめが「飛んだり跳ねたりする」と言われていたような軽やかで純粋な音なのだろうと想像し、様々な景色の元へ連れて行ってくれる彼はまさに爆弾で天使のような存在だと感じました。
    ライブハウス勤務をしていたこともありバンドの新曲は当たり前に体感していましたが、言われてみればクラシックは名だたる伝説の音楽家達が作った曲を何年も何百年もかけて理解し共感し演奏するというのはとんでもなく果てしないことだと痛感しました。
    確かに既存の難曲をより精密に解釈し技術を高めるイメージがあったので、塵のように音楽を解放する人、マサルのように新しい音楽を作る人、亜夜や明石のように共に解放し発信できる人、
    そんな音楽家がいても良いのではないかと思いつつ、まだ若い彼等が将来きっと新しい世界を創り上げているだろうなと希望の持てる物語でした。
    私達が活字を目で読み風景や音や匂いを想像するのと同じで、耳に届く音から風景や言葉を感じ取ることは
    人間が本来持って生まれた素直な感覚なんだと思うと、より純粋にクラシックを聴ける気がしました。

  • 塵の演奏は文章だけでもキラキラしているのが伝わってきたし、出場者同士が刺激し合って、それが相乗効果となってコンテスタントがいい演奏を出来るコンクールは超理想的。
    マサルが音楽を蓮の花に例えていた件は、意外だけどしっくりきた。

  • **の第*番とか言われてもピアノを習っていたわけじゃないので、さっぱりわからないのだが、文章を読んでいるだけで、いろいろな音が聞こえてくるような気がした。
    すごい表現力なんだな。文字から音が聞こえるって。
    外からは華やかに見えている世界も、その中に入れば過酷な世界なのね。ま、どの世界もそんなもんなんだろうと思う。
    それでも頑張れるって、本当に好きってことなんじゃないだろうか。

  • ピアノは二度と弾かないだろうと決意した私が
    もういちどピアノを弾きたいと思えるきっかけになった本です。
    趣味で続けていたピアノ、先生は優しくて、楽しくて、叱られても嬉しかった。
    もしかしたらこの道に進んでもいいかな…と思い、そのことを母から先生に伝えた途端に先生は態度を豹変させた。実力よりもかなり高いものを、ものすごいスピードで求めてきた。諦めさせようとしたんだと今は思う。
    「この子、頭わるいんですか?」と母に先生が言ったとき
    私(と母)は、ピアノから離れることにした。

    ピアノに限らずだが、芸術ってみんなそんな悲しみを経て技術をあげていくものなのかもしれない。天才は限りなくいる。天才のことは、見ている方は一瞬で分かる。
    コンクールに、それぞれの登場人物が人生をかけてのぞむ。この本からは、ちゃんと音楽が聞こえてくる。

  • すごい本を読んでしまった。
    興奮冷めやらない。
    他の人が言っているような、言葉で音楽が流れてくるというのは正直わたしにはなかったけれど、
    それでもイチ観客としてコンクールを楽しんでいたし何度も感激して涙が溢れた。

    恩田さんの本は初めて読んだけど、とにかく音楽の描写がすごい。音って言葉で言い表せるのか。
    途中からサントラを聴きながら読んでいたけど、「なるほどこういう風にこの人は捉えているのか」と分かるからおもしろい。
    これから読む人はぜひサントラ聴きながら読んでほしい。

    本の中なのに、各登場人物が「生きている」感じがすごくて、読み終わってネットでピアノコンサートを検索したとき、「あっあの人たちは実在しないのか」って気づいた。
    登場人物たちのピアノ演奏を聴きたい。

    そして、長編なのに途中でだらけることなくずっと読みたくなってしまう。
    最後の方はそれこそ演奏しているかのようなテンポで、どんどん音が大きくなるような感覚で読み進めていた。
    すごい本を読んだとおもう。とても好きです。

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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