蜜蜂と遠雷

著者 :
  • 幻冬舎
4.35
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本棚登録 : 10547
レビュー : 1397
  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030039

感想・レビュー・書評

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  • 長い長いピアノの国際コンクールを一緒に観てきた感じです。
    こうした生きた音楽を、文章だけで表現するのは、圧倒的な筆力が必要だろうし、自分も含め、ピアノが弾けない&クラッシックに詳しくない大半の読者に届くものでなければいけないので、本当に難しいことだと思います。それをわかりやすく噛み砕いている表現に感心しました。後半少しくどいところ(上位者の演奏を褒めるハイテンションが続く表現など)や、観客の感動パターンが同じ、音楽表現なのに比喩が突飛なところ(屋敷の掃除をはじめたところなど)が少し残念です。
    ただ、全体的なボリューム感さえも、いい音楽を聴き続けた疲労感のようなものを感じ、読後感はよかったです。
    驚異的な天才だけでなく、高島明石というちょっとだけ身近に感じる存在がいてよかったなと思います。ピアノの森という漫画とかぶるところがあり、途中までずっと風間塵が主役だと思っていたので、いつ爆発するのかと思っていたら、最後まで何から何まで中途半端な存在でビックリしました。

    映画化決定らしいですが、これを映画化するのは俳優さんが大変だなと思います。

  • クラシック音楽に一気に興味が出た。いい言葉もたくさんあったな。読み終えた後に心地よい疲れがあったのは、久しぶり。

  • もともとこの作家さんは苦手なこともあり独断と偏見に満ち満ちた感想になってしまうのだが…
    それでも今回はお得意の音楽小説だからか変に羽目を外したりなどの悪癖もなく丁寧に伸びやかにまさに彼女のいいとこ取りの出来映えになっておりこれならばダブル受賞もごもっとも。
    だがしかしだ、ピアノコンクールの予選までをここまで壮大なファンタジーに仕立てておきながら最大級ドラマチックに描かれるべき本戦をなぜ端折る?
    これでは順位付けも曖昧で銀の衣装のコンテスタントを応援していた読者が納得出来ないじゃないか!…
    嗚呼やっぱりあなたは恩田陸でした

  • めちゃくちゃ面白かった。

  • 頭の中でピアノの旋律が奏でられるかのような読後感。

    モデルとなった浜松のピアノコンテストを聴いてみたくなった。

    若き才能がぶつかり合う、その輝きの眩しさといったら。

    誰を応援したくなるか、それもまた興味深い。

  • 小説なのに音の粒が光ってみえた。映画化楽しみでならない。

  • 自分にとっての特別な本がまた増えた。
    それがこの
    「蜜蜂と遠雷」だ。

    音楽表現の素晴らしさは前評判の通りだったので、
    今回は特別語ることはしないけれど
    今まで読んできた音楽を題材にした小説の中では
    群を抜いて素晴らしい。

    今まで恩田さんの小説は何冊か読んできたけれど
    まさに最高傑作。
    この本を書いてくれてありがとう。
    たくさんの人がきっとそう思ったに違いない。


    音楽、コンクール、天才――
    この物語には様々なテーマが含まれているけれど
    私はその中でも「ギフト」というキーワードが
    気に入った。そして考えさせられた。

    人間にはそれぞれに、神様からギフトが与えられていて
    誰もがそれを持っている。
    音楽や絵なんかは最も分かりやすいギフトの形だけれど
    努力とか、好奇心とか、感受性とか
    いろんな形のギフトがある。
    そう思うと
    自分も、街ですれ違う話したことものない人たちも、
    家族も
    皆「唯一無二の存在」であると思えた。

    ギフト。
    まだ1歳の私の息子は、神様からどんなギフトを貰ったんだろう。
    寝顔を見ながら、そんなこともぼんやりと考えた。


    登場人物で最も印象的だったのは、高島明石。
    天才の中に埋もれる、いわゆる「凡人」で
    登場した当初から、「あぁ、きっと本選には行けないん
    だろうな」という雰囲気が漂っていて
    正直、最初は哀れむように見ていた。
    けれども明石がいたからこそ、私たち読者は
    この物語に入れたし、感情移入できた。
    実際、自分が泣いた箇所はほとんど明石のエピソード。

    ベタだけど、努力して、挫折して、
    もがいて、苦しんで、でも報われる瞬間がある。
    そういう姿はやっぱり好感が持てるし
    自分も頑張ろうと思えた。
    まったく、本当に精巧に作られた物語だ。

  • 幕が上がった。そこは異世界。金色に輝くステージに、漆黒の艶を光らせるグランドピアノ。ただ、それだけ。それだけなのに、そこは選ばれし者だけが足を踏み入れることの許される世界。そう、ここは世界であり宇宙なのだ。
    観客は目に入らない。私は私。私にしか見えぬ詩の世界へ、思い出へ、花畑へ、師の元へ旅立つ限られた数分間。霧。至福。美。
    音楽の神など此処には居ない、ただ私の音を聴くがいい!
    空っぽになり走り去った天才少女は蘇る。
    もう後がない者は誰が為に鍵盤を鳴らす?
    何も無かった少年は、ちゃんと道を定め待っていた、再会の時を。
    泥だらけの蜜蜂少年は...何も求めない、ただ、
    大好きなのだ、ピアノが。
    貴方はそこに何が見える?私は宙が、海が、草原が。
    地球の叫び、怒号が聴こえて来るよ。
    生の歓びと悲しみが聴こえて来るよ。
    偶然からの必然。出会いが、君が私を音楽に連れ戻してくれた。
    大喝采!笑った!泣いた!前へ、先へ、進むのみ。もうこの指がちぎれようとも!
    波。風。鳥。虹色の鳥が音に乗り、高く高く上り詰めていくのが見えた。それは上へ行くほど金色に変わっていく。ああ...よく見るとそれは蜜蜂の集団ではないか!
    蜜蜂が音階に変わり、拍手の雨が優しく横頬を濡らす。世界は音楽に満ちている。
    そう!そこが頂点だ。
    私は君を、待っていた。

  • 読み始めたら止められず二日間で読了。大変面白かったです。タイトルだけであの曲だ!と分かる曲がエリック・サティの「あなたが欲しい」一曲しか無いのにすごく面白かった。恩田さんはピアノを弾く人なのだろうか。映画化するそうです。サントラ盤を聴いてみたい。読み終わるのが惜しかったです。

  • 久々に、数少ない心動く小説に出会えた。素晴らしい。世界は音楽に満ちている。この小説との出会いが、これからの人生が豊かなものになるといい。

  • とても読み応えのある507ページだった。

    これはピアノコンクールを舞台にした話だったので、読んでいる途中は「誰が本選へ進めるんだろう?」「誰が優勝するんだろう?」とコンクールの勝敗に気を取られていた。
    しかし、3次予選までとは打って変わってあっさりと描かれる本選に差し掛かったところで、3次予選までで物語はほぼ完結していて、本選はいわばエピローグのようなものだと分かった。
    ピアノコンクールの話ではあるけれど、勝敗が問題なのではなくて「どう音楽と向き合うか」という自己の戦いが重要であり、それは3次予選の段階でほぼ解決している。
    それぞれが、自分はどうあるべきか?どう音楽をするべきなのか?を見出し、納得した上で演奏される本選は、とても爽やかだった。

    風間塵が言う「音楽を外へ出す」は、音楽に造詣の浅い私にも魅力的に感じる言葉だった。
    あるべき自然に還元された音楽はどんなのだろう?
    文字ではそれを聴くことができない。それが少し寂しい点だった。

    このピアノコンクールの舞台となった浜松国際ピアノコンクールは3年に1度開催され、今年はそのラッキーな年だ。
    ぜひ、蜜蜂と遠雷のような、ドラマティックで青々としたドラマを体験したいと思う。

  • ‪蜜蜂と遠雷読了。

    魅力的な登場人物。ジャンプ漫画の主人公各種取り揃えといった感じで、華があり毒のないきらびやかなキャラクター達でした。リアリティはなかったですが、普段から漫画アニメなど大好きなので想像しやすかったです。

    ストーリーの軸は音楽にかけるそれぞれの青春。登場人物の苦悩と音楽の背景を語りながら物語は進みます。

    驚いたのは音楽自体を文章で表現していること。
    文章で充分曲の情報が語られますがピアノの技法など知識がなかったので調べながら読みました。

    クラシックは有名なCM起用された曲を聴けばああこれかと思う程度。まったく知識がなかったので、これは聴かないともったいない!と思い、読みながら登場する音楽の動画を再生。クラシックを聴きながら本を読む、その時間に贅沢な非現実感が得られました。

    サーチしたところ、蜜蜂と遠雷のアルバムがリリースされている様ですね。興味ある方は合わせて購入できます。

    各章で人物の説明、ドラマを展開しつつ、キーワードとか曲のイメージになるものが散りばめられていて最終章でそれら全部ひろって登場人物の心情やドラマをより分かりやすいものにしてくれていました。読んでる時にはまったく気づかなかったが伏線になっていたのか!と回収されてはじめておどろくことも多々ありました。

    時間を空けて読んでしまうと気づかないことも多いと思います。

    最後まで優勝者が読めず、結果発表時には登場人物たちとともにハラハラ。

    誰が優勝するか予想しながら読むのは、ミステリーを読んでいるときの感覚に近くて不思議な面白さがありました。

    これを読む前に羊と鋼の森を読んでてよかった。

    これを読んだ後に、もう一度四月は君の嘘を読みたくなった。

  • 紙面で音楽が奏でられている様な印象も受けます。「なんでこんなに音楽に詳しいんだろう?」と思って、インターネット上の巨大辞書サイトを覗いてみたら、著者本人もピアノを習っていることがあるようで、その経験が、この作品の登場人物にも投影されているような気がします。

    いやぁ、それにしても、冒頭にも記しましたが、書面で音楽を奏でているって、中々凄い。結構な分量のある作品なのですが、それだからなのか、読み始めると一気に物語の中に引き込まれ、あっという間に読み終わっていました。直木賞と本屋大賞をダブル受賞するだけの事はありますね。

  • 小説の中が、コンサートホールだった。
    独特の雰囲気と緊張感。
    迫ってくるピアノの音色。

    今までに体験したことの無い、
    不思議な作品だった。

  • 「音楽を広い世界に連れ出す」ように、小説という閉じられた空間から音楽という広い世界に連れ出してくれるような小説。読んでいて楽しくて、ピアノの演奏が聴きたくなった。この臨場感に興奮してしまう。また一つ、好きな小説を見つけました。

  • 恩田作品の中でもかなり読みやすく、四時間で読み終わりました。
    四人のコンクール出場者それぞれの目線で描かれる作品でした。
    途中からかなり亜夜推ししてるな〜と感じたのですが
    復活までの伏線として作者は意図的にやっていたんでしょうか…!

    塵のような存在は各界隈にもいて、異端とされるけど
    きっとホフマン先生の言うところのギフトなんだなと
    感じました。そもそも、音楽を題材にした小説はたくさんありますけど、こんなにも豊富な表現を思いつけるのは素晴らしいなと思いそっちに感動しました。
    曲を知らないけど、聞いてみたい気持ちがわかります。
    どんな曲かを表す表現だけでも情景や心情が
    伝わってくるのは見事としか思えません。
    そして、映画や漫画にしやすいなぁ。映画化も時間の問題でしょうね。原作の熱量や1選ずつ進化していくコンテスタント達の葛藤と表現を損なわないで欲しいです。
    久々にいい小説読みました!

  • おもしろかったが、自分がピアノ等経験があり内容に馴染みがあるせいか、コンクールや演奏などの描写が至って普通に感じられ、予選ごとに各人の演奏解説が繰り返されるのが最後の方は飽きた。リアリティがあったということか。

  • 音楽がページの隙間から溢れてきた!
    ドビュッシーにバルトーク、メンデルスゾーン、リスト…
    大好きな曲達を「読む」のがこんなに楽しいなんて!

    音符で描かれた物語
    曲から聞こえてくる物語

    日常が、自然が、いかに物語(=音)で溢れているか、改めて気付かされた。

  • さすが!すっごい面白かった。音楽を知る人ピアノを弾く人が読んだらさらに面白いのだろうな。。。表現や描写がわくわくします。

  • 賞を総ナメにしていたので、敬遠してた。のが、もったいなかった。クラシックにまるで興味なくても、勝負が面白くのめり込んだ。コンテスト参加者同様、読者も楽しい時間をいただいた。

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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