蜜蜂と遠雷

著者 :
  • 幻冬舎
4.35
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本棚登録 : 10571
レビュー : 1398
  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030039

感想・レビュー・書評

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  • 舞台は日本で開催される国際的なピアノコンクール。一次、二次、三次、本選と進んでいく舞台で音楽と向き合うコンテスタントたち。

    養蜂家の父を持ち各地を転々と旅する、ピアノを持たず音楽教育も受けていない天才、風間塵。かつては天才少女としてジュニアコンクールを制覇してきたが、母親の死去とともに音楽の日なたから消えた栄伝亜夜。楽器店勤務のサラリーマンで、働きながらコンクールに挑戦する高島明石。技術も音楽性もスター性も兼ね備えた優勝候補のマサル・C・レヴィ=アナトール。

    作品は4人のコンテスタントに審査員の三枝子や、亜夜に付き添う音大の友人 奏、明石に密着取材する級友の雅美、ステージマネージャーの田久保、調律師の浅野と目まぐるしく視点を変えて進んでいく。

    才能を持ったコンテスタントたちが一堂に会するコンクールで、本選に選ばれるのは、そして優勝するのは誰なのか--。


    天才は、才能の形は一種類ではない。この作品から感じたのはこれかもしれない。物語の主軸となる4人のコンテスタントはそれぞれに才能があり、音楽を愛している。

    世の中にある多くの天才を描いた物語は、幼少期から天才と呼ばれた人間がときに挫折を味わいながらも確固たる地位を確立していったり、絶え間なく努力を重ねていき才能を磨いた結果天の才が表出したりする。そんなとき天才は孤高だ。

    しかし、この作品の天才たちはそれぞれが異なる才能を持つ。そして彼らは孤高ではなく、互いに共鳴し合う。

    ただ天才を描くのではない、努力を描くのではない。一人ひとりが才能を手に入れるまでの物語はできるだけ排除し、コンクール本番に焦点を当てることによって、ライバルの演奏に影響を受けてさらなる成長を遂げる「天才」を読者にみせる。

    ただ、「音楽を文学で表現する」という点では、前に読んだ『羊と鋼の森』の私の中での評価が高すぎて、この作品に感動することはなかった。多くの読者レビューを覗いてみると第一に「文字で音楽を感じる」などと書かれているので、きっとそこに魅力を感じる人も多いのだろう。

  • 「蜜蜂と遠雷」が小説でよかった、と思った。私はしばしば本を読んだ後でこれが小説でよかったなと思うことがある。ドラマや、映画や、漫画では味わえない何かがあると信じていて、それがこれだ、と思ったとき、どう言葉にしていいかわからなくなってしまう。
    面白いという言葉で片付けるにはあまりにも高尚な気がするし、高尚などという表現からはかけ離れている気もするし、とにかく、この話に出てくる風間塵の存在そのもののような本だと思う。読んだ人にしか分からないものがあると感じた。本当は違うかもしれない。私は凡人だし、感受性もそう豊かでもないし、特に目立った個性を持っているわけでもない。だから、だれもが納得できる表現を思いつかない。
    読まない人に分かってたまるか、とも、思ってしまったりする。

  • コンテスタント同士が互いの演奏を聴くことによって成長していくのが面白かった。クラシックを聴きたくなった。

  • 芳ヶ江国際ピアノコンクール予選に彗星の如く現れた、コンクール実績のない少年。彼は巨匠ユウジ・フォン =ホフマンに師事し、亡き巨匠の推薦状を携えてきた。
    彼は<ギフト>なのか<厄災>なのか。

    コンクール予選から本戦までをさまざまな人物の目線で語られるが、語り手の移り変わりに混乱することなく、予選結果にハラハラしながらどんどん読み進むことができる。
    三次予選のマサルの世界があまりに超越・熱弁すぎて疲労を感じ斜め読みをしてしまい、本戦はあまりに何もなかったのでもう少し丁寧に読めば良かったと若干後悔。
    本戦でも栄伝亜夜の世界も見せて欲しかった。

    順位はさておき、風間塵が多くの音楽家を共鳴させ進化させる<ギフト>であったという結果には納得した。

  • 日本で開催されるピアノコンクールが舞台。
    4名の出場者(作中では「コンテスタント」)の立場から描かれる、青春群像劇。
    エントリー▶︎一次予選▶︎二次予選▶︎三次予選▶︎本選 と、実際のコンクールの時系列に沿って展開していくので、自分も傍で見守っているような感覚になり、夢中になってしまった。誰が優勝するのか?!と、ドキドキした〜!

    読みおわったあとは、清々しく充実した気分になる。
    ページ数というか、文章量が単純に多いので、読み終わるまでに時間はかかる。(5時間くらい?)
    だが、書き方というか言葉の選び方が上手なので、読んでいて疲れるということはない。すぅーっと景色や心情が浮かび上がってくるし、説得力がある。
    これからの音楽界を背負って立つ若い人たちが、コンクールを通して一歩ずつ確実に成長していく様子は、読んでいてとても気持ち良い。
    彼らの心の動きを、ひとつひとつ細やかに汲み取って描ききった恩田さん、素晴らしい…。
    音楽に明るくない方にとっても、青春小説として十分読み応えのある内容だと思う。

    クラシック音楽が分かれば、もっと楽しめただろうなぁ(私は全然詳しくないので)。
    でも、目次の前に、各人の演奏曲目が書かれていたので(まるでコンクールのパンフレットをそのまま抜粋したみたい!)、ネットで該当曲を聴きながら読むのが楽しかった。そんな細かいところまで丁寧に作られていてありがたい。物語に現実感を与えてくれる。

    実は、三次予選あたりは正直ちょっとくどくて読み飛ばした部分もあったけど、全体を通してとっても楽しく読めました。
    コンテスタントも、長いコンクールの中でモチベーション維持に苦労するとのことだったので、同じ感覚を少しだけでも味わえたってことかな?笑


    いつかまたどこかで、彼らに会えたらいいな。
    楽しい時間をありがとう。

  • ずっと積んでいたのですがようやく読めました。
    好きな作家はつい積んで後回しにしてしまったり、音楽のコンクールだけの長編はだれそう、と、つい…。
    しかし読み始めたら早かった。のめりこんでしまった。
    やっぱり恩田陸が好きだ。
    こんなに美しい小説だとは。
    形容ばかりの文章って飽きたりだれたりしやすいんですけど、それもない。同じ曲の色々な人の感想が並んでいるだけでも読み応えがある。
    書きたくて長い間構想を練っていたんだろうな。
    初めて三月は深き~を読んだときのような興奮と愛しさを感じました。

    音楽業界と言いながら文筆業界もあてこすってる恩田陸さんのシニカルさもまた大好きです。

    気持ちのいい美しい小説でした。
    クラシックは興味があまりなかったのだけれど、聴きながら読みたくなります。
    そしてコンクールを聴きに感じに行きたくなります。

  • 登場曲鑑賞中。

  • 100人以上が競う国際ピアノコンクールに参加した4人のピアニストの活躍を描く、上下2段組で500ページを超える長編です。
    子供時代にすれ違った長身でカッコいい男子と目の大きな少女(作品中にそう表現されてるけど二十歳になっても少女と呼ぶのかな)のコンテスタントとしての再会。彗星のように現れた無垢な少年ピアニスト。そして家族持ちの町のピアニスト。彼らはコンクールの中でお互いに触発され、易々と(何せ天才なので)それぞれの高みに登り詰めて行きます。
    極めてシンプルでどこか一昔前の少女漫画を思わせるストーリーであり、人物配置です。
    一回のピアノコンクールの期間だけを描き、シンプルなストーリーでありながらこれだけの分量になったのか。
    恩田さんは音楽/演奏を言葉で表すという困難に対して、それを正面から、右から左から、上から下から、背後から、これでもかと饒舌に言葉を尽くしたのです。作品中にある課題曲の解釈として「余白」というキーワードが出てきますが、恩田さんの文章にそんなものは有りません。全てを埋め尽くし、とにかく全方位からの濃密な言葉の洪水でコンテスタント達の演奏/音楽を表現しようとしています。それが成功と見るか失敗と見るかで、評価が分かれる作品の様に思われます。

    面白かったので、そこに対する直木賞選考委員の評価を抜き出してみました。
    北方謙三;意味を把握する暇もないほど、言葉が畳みかけられてくる。音楽を小説の中で表現するのは至難であろうが、言葉の洪水の中でそれがなし得ているというのは、新鮮な驚きでもあった。
    高村薫;数十曲もの楽曲とその演奏を言語化する困難にも、作者は力業で挑んでいるが、どんなに大量の比喩が重ねられても、そこから音楽は立ち上がってこなかった。これは端的に、言葉の連なりが音楽の響きをもってくるような文章には仕上がっていないということだろう。
    林真理子;ピアノのコンテストが主題であるから、複数のピアニストがそれぞれ複数の曲を弾く。しかし同じ描写がまるでないのである。これは本当にすごいことだ。
    東野圭吾;音楽を文章で表現するのは難しいが、作者はありとあらゆる手を使い、いたるところから言葉をかき集め、その素晴らしさを伝えようとしている。それがこの小説の読みどころであり、作者の挑戦だと解釈した。
    浅田次郎、宮城谷昌光、宮部みゆき、桐野夏生、伊集院静;言及なし

    ちなみに私は高村さんに近いかな。頑張っているのは良く判るのだけど、どうも途中から目が滑り始めました。
    とは言え力作、面白かった。

  • キャラクターの作りや物語の運び方で、最後までほぼ一気に読まされた。
    面白い漫画を読んでいるよう。
    今までに諦めてきたもの、手を尽くさなかったもの、でも今でも好きなものや心に引っ掛かっているものに、もう一度真摯に向き合ってもいいんじゃないかと思わされた。
    明るい前向きなエネルギーいっぱいの作品でした。

  • とても良かった。素晴らしい読書体験ができた。途中、少し飽きそうになったけど、結末は思った通りだったけど、それでも。

  • 直木賞受賞おめでとう御座います。
    受賞総なめの感がございますよね。
    表現描写が非常に上手というかスゴイですよね。
    超常能力とか本来目に見えない動作とか映像であるなら
    3Dの力を借りなければ無理です。
    それを文章で「独特の」読ませ方をさせる才能がすばらい
    と思います。
    音楽との付き合いも深い作家さんなんでしょうね。
    人生が豊かにナルト読書はありがたい限りです。

  • この分厚さでその分厚さを感じられない物語。たった数日間のコンクールの間の出来事なのに飽きずに、コンテクスト達の成長が見られる。よくも間延びしないで最後まで突き進んだなぁ。
    出てきた音楽のどれも多分知らないけど、なんだか楽しく音楽をわかっちゃうような気分になる作品です。
    3人の関係性もすごくよかったなぁ。本当はコンクールならもっとピリピするんだろうけど、ひたすら純粋だった。

    2019.1.3
    1

  • 音楽コンクールを通した話。音楽を通した風景が見えるような気がします。それぞれの人間模様が丁寧に描かれています。音楽に人生を捧げる覚悟。読んでいて引き込まれます。

  • 結構前に買って積んでた本。500ページ超、二段組の超大作にもかかわらず一気読み。文句なしに面白かった。前評判に違わぬ傑作。読み終えて、思わずスタンディングオーベーションで万雷の拍手を送りたくなる極上のエンターテイメント作品。ピアノコンクールという、自分には縁もないし、クラシック音楽なんて全然興味がないのに、行間から音楽がこぼれ落ちてくる気配を感じる。優れた読み物は、題材に興味がなくたって、素晴らしいと感じられるし、その題材への興味もわいてくるのである。実際に作中で演奏されている曲目を聴きたくなってしまうこと必至。直木賞&本屋大賞のW受賞なんて、どうなんだか……と思っていた私の邪悪な心を見事に打ち砕いてくれる作品でした。久々に人にすすめたくなる小説を読みました。

  • さすが恩田陸という感じで、ぐいぐい興味を引っ張って読ませる力はさすがと思った。さらに、コンテスタント、審査員、作曲者、スタッフ、聴衆、とあらゆる登場人物に必要な知性と行動力を伴わせる筆力と、その的確さ、さらにドラマ性に感嘆した。
    その一方、音楽をあまりに饒舌に文章で表現することが、やや過剰で、逆に必然性が失われてしまう気がした。音楽の感じ方は人それぞれなのに、描きすぎることでそれを否定してしまう。いろいろな読み手がいることを想定しているからこそ、というかクラシック音楽に不慣れな人のために、という読者サービスとして機能しているのは重々承知の上、自分には違和感が残ってしまった。
    でも、ピアノコンクールという舞台を多くの人に広めた功績は大きいと思う。

  • とても気持ちいい読後感です。

    自分がピアノの音が好きだったと思い出した。
    ピアノコンクールに触れたい、そう思った。

    ズッシリとしたページ数なんだけど読み終えたら軽くなっている気がした。

    どんどんと引き込まれていくテンポに、未来が開かれていく希望に、人の本質に戻っていく純粋さに、気持ち良さが積み重ねられていった。

    ピアノが奏でる滴に耳を澄ましたくなった。

  • すごいなー。これだけのボリュームを一気に読ませる筆力、圧巻でした。妹がずっとピアノをやっているので、臨場感とか場面とか想像しやすかった。
    図書館で2年待っただけあった。

  • ピアノが格別詳しいわけではないが、すごく演奏の世界観が鮮明にイメージでき、ピアニスト達のその世界に自然と入り込んでしまった。
    ピアノは30分ほどの限られた少ない時間でステージに立ち演奏する。たったそれだけの為に毎日何時間も、何十時間もの時間を費やす。たったそれだけの為に。たったそれだけの為にどうして頑張れるのか。人生を費やせるのか。それはきっと自分の中にある音楽を最大限表現でき、そしてステージという大きな空間で解放でき、そこにこの上ない快感を覚えるからなんだと思う。

    永遠は一瞬で、一瞬は永遠なんだ。
    この本に書いてあった言葉だ。
    まだこの意味がわからない。

  • 音楽をやってる身として、共感するところがたくさんあった。
    曲を聴きたくなるし、コンサートにも行きたくなる。
    音楽って本当にすばらしいな、すごいなと改めて思わせてくれた作品。

  • 文句なし。面白い!一気読み。
    恩田陸さんの、瑞々しさとスピード感はいつもながら。

    国際ピアノコンクールの一次予選から最終選考までの物語。
    この手の物語だと、選考が進むにつれて描写が長〜くなってきがちだと思うけれど、この作品ではむしろ逆。
    コンクールを誰が勝ち抜くのかということより、コンクールという特別な日々の中で、4人のピアニストたちが、お互いの音楽にふれあい、急激に、鮮やかに花開いてゆく過程の物語だから。

    亜夜。
    マサル。
    明石。
    そして、塵。

    亜夜は、自然も人の営みも全てを楽しむ鳥のよう。
    マサルは、山の頂にあって、力強く揺るぎない。
    明石は、地上の普通の人々の隣に。
    塵は、まさに神の視点から。
    世界は音楽に満ちている、と作中にあるけれど、世界から音楽を引き出し、楽譜に表現し、奏でるという、関わったひとそれぞれの在り方によって、また音楽は無限に広がっていくんだと、4人が教えてくれる。


    凡人の身では、彼らのようには音楽を受け取る事は出来ないとしても、音楽は特別な力を持つ、素晴らしいもの。
    クラシック音楽の知識がないことが、こんなに残念だった事はないかも。

    巻末のオマケにでも、4人の選んだ曲のリストがあったら、曲を聴きながらもう一度味わいたいと思う。
    もちろん、できることならぜひ、恩田さんの脳内イメージで選んだ演奏で!

    それにしても不思議なタイトル。
    私は、塵が、地上にあって人の間で音楽を奏でて生きていくためにある両極のもの、と感じた。
    人のささやかな営みに愛を感じさせる「蜜蜂」と、神が自然を通して無慈悲な運命を告げる「遠雷」。
    どちらにもふれているから、塵の演奏は天上と人の間をつなぐことができるのではないかなぁ。

  • 正に大作。長らく恩田作品愛好していたけど、どちらかというと異色なのでは。
    代表作にして、異色作。
    でも読み終えてふと振り返ると、始まり方、終わり方、登場人物の色合い、音という形ないものの表し方、恩田さんだなぁと思って安心したり。
    長い重量級の物語だけど、3日ほどであっという間に読めた。
    音楽という潮流のなかで自分も流されてていく感じ。
    亜夜という人物の開けっぴろげで底知れぬ感、マサルは王子さまなのにむしろ安定感あるし、塵は終始危うくてワクワクするし。
    明石のエピソードはほっとするね。
    良かったって思ったよ。
    浜辺で戯れて、街中を散策する4人のシーンでは、奏とともにはっとした。
    ハチクロのごとく青春の綺羅綺羅しい一瞬を切り取ったようで。
    とても切なかったな。
    最近ワールドトリガーハマってたんだけど、なんとなくイメージ上の風間塵の風貌が遊真に笑
    イメージできる音楽、文字の上では表わしきれないようでいて、聴こえるような、手に取れるようなきもちになる。
    物語って素晴らしい。

  • 情報量が多く圧倒されました。
    「ギフト」の意味がわかった時にはゾワッとしました。
    それぞれの曲を聴きながらもう一度読みたいです。

  • 美しい。その一言に尽きる。ピアノの演奏の描写ひたすらに美しい。大好きです。

  • ずっと読みたいと思っていた、恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」、読み終わりました。

    数年前から話題になってたり、読んだ人の感想を聞く限り良い本だろうとは思ってました。

    思うだけで読まず終いだったわけですが、最近読んだ知人から音楽の話だと聞き、直ぐに買いました。

    先ず、他の本と違うところは1ページ2段落構成なところ。

    読み始めは違和感がありましたが、話にのめり込むにつれ気にならなくなりました。

    内容はピアノコンクールの話。コンテストを評価する審査員の話から始まり、それぞれのコンテスタントの話が始まっていく。

    この本を読むまでは、僕は音楽好きで楽器も弾きますが、良い曲に出会った時やコンサートで感動した時なと、ただただ「良い曲だな」とか「鳥肌立った」とか「素晴らしい」など、語彙力に乏しいというか、寧ろ音楽は感性で表現するもので、言語的なものでは無いという位置付けでした。

    ですが、この本を読んでその固定概念は見事に覆えられました。

    音を例える言葉の表現が正に雷に打たれたかの如く衝撃的でした。

    これまで、音楽を聞いてきて「森羅万象」という言葉を思い浮かべた事があっただろうか。

    音楽とは山の物でもなく、海の物でもない、一瞬の光のような、掴みたくても掴めない、流れる河の様な物だと思ってました。

    この本を読み、今まで色々な曲を聴いてきてどう例えていいのか分からなかった表現を恩田陸は見事に言葉に昇華していた。

    素晴らしい演奏とはこの世の全てでそれは宇宙的なものであり、小鳥のさえずりや自然界の歌声であったりする。

    言葉から登場人物達の音を想像するのが楽しくて仕方ありませんでした。

    練習は過酷だが、選ばれるのはほんの一握り...
    そんな世界を生き抜き、挑戦するコンテスタント達。

    登場人物にそれぞれの背景があり、一次予選、二次予選、三次、本選と話が進んでいくにつれどの登場人物も賞を取って欲しいという気持ちになりました。

    それぞれの登場人物が背負う運命と戦い、葛藤し、互いの演奏に感化され切磋琢磨していく姿勢に自分も開花され、今まで逃げていた事からもう一度向かい合おうという思いました。

  • クラシックの知識がなくても爽やかに読みきれる作品。頭の中で映像が流れ続け、アッという間に読み終えた。
    長編を読んだぞ!という満足感もあり、イイ気分になれます。

    うっかり最後のページを読まないように注意は必須です。

  • ピアノが聴きたくなった&弾きたくなった!天才すぎるコンテスタントの中にいて、明石さんの気迫、謙虚さ、堅実さがすごく心に残った。音楽って、たんなるBGMじゃなくてこんなにも豊かに楽しむことができるんだ、と目を覚まさせてくれました。うずうず!

  • ピアノコンクール。努力型や天才型、参加者、審査員などそれぞれのものがたり。

    C0093

  • 期待して読んだ、面白かったけど、極上の作品に出会った読後に味わうあー終わっちゃった・・感はなかった。

    登場人物は魅力的だし、演奏の描写も良く、時々演奏シーンでジーンと来た。ただ、やっぱり演奏描写多すぎて飽きる。多いのに、最後の決勝の演奏はあっさりだし・・。読者も飽きるが作者も飽きたのか?と思ってしまった笑。決勝もクドクド書かれたらそれはつらいけど、だったら始めか途中をあっさりさせて、最後厚めに描写しても良かったんじゃないの・・ブツブツブツ。

    音楽を外に連れ出す、面白い表現だし言いたい事は分かりそう(で分からないが笑)だが、実際どうするの?というすっきり感は結局なく。

    ピアノの天才にも色々いるんだな、良く描き分けたな、とは思った。別世界過ぎてリアルには感じられなかったが、でも彼らの音楽を愛する気持ちは味わってみたいと思った。きっと世界がまるきり違うものに感じられるんだろうね。というか、この世への執着がなくなりそう。

  • 音楽活動をしたことのある方々なら特に、きっと共感する部分がたくさんあると思います。趣味として楽しむ愛好家と、プロの音楽家と、天才アーティストとの境目。天才を評価できる人の存在。優劣を付けられるような世界ではないけれども付けなくてはならないコンクールの矛盾と残酷さが胸を刺します。
    出場者それぞれの演奏曲と作曲家についての詳細も書かれ興味が湧いてきて、聴きながらまた読んでみたい。
    一音一音の持つ力や音の流れがこんなふうに文章に表されるとは、圧倒されました。
    劇中劇のように奏者それぞれが創り出す物語が深く描かれるのも恩田さんぽくて、引き込まれていきます。
    明石君が必ず正しく評価されると信じて読んでいたので、最後に本当に幸せな気持ちになりました。あの3人のその後もまた見たいです。

  • 読み終わった後に思わず「素晴らしかった」と呟いてしまった作品。
    溢れ出てくるような音楽と世界観の表現。文字だけでは聴こえないはずの音がどこかから聴こえてくるような感覚。
    想像の域を越えた彼らの奏でる音を聴いてみたいと思った。

    正直コンクールの優勝者は予想通りってとこだったかな

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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