蜜蜂と遠雷

著者 :
  • 幻冬舎
4.35
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本棚登録 : 10557
レビュー : 1398
  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030039

感想・レビュー・書評

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  • たいへん遅くなりましたが、
    直木賞受賞、おめでとうございます!
    『夜のピクニック』で出会って以来、ずっと追いかけて来た作家さん。
    うれしい。本当に。
    この作品で受賞するために、今までノミネートのみで終わっていたのかもしれませんね。

    「努力は天才に勝つ」それが通用しない世界があること、
    天賦の才を持つ人間ゆえの苦しみに、圧倒されました。

    悲しいかな、音感も無く、とくにクラシックには全くといっていいくらい疎い。
    それでも、たっぷりとこの素晴らしい音楽の世界を堪能させてもらえました。
    たとえへたでも、鍵盤にもう一度触れたくなる。
    自分の”音”を奏でたくなる。

    夢中で読みました。
    そして、ふと気付いたら「ピアノ」や「音」の文字を、
    「小説」や「言葉」に変換して読んでいました。

    本書より少し引用させてください。
    ちっぽけな短い人生のあいだにあたしはピアノに出会って。ピアノに人生の少なからぬ時間を費やし、こうして人に聴いてもらっている。
    そのこと自体がいったいどれくらい奇跡なのだろう。この一瞬一瞬、音の一粒一粒が、今たまたま同じ時代、今この場に居合わせた人々に届くとしたら、それはどれほどの奇跡なのか。そう考えると、あまりにも空恐ろしくなってきて、全身が震えてくる。

    この文章には、恩田さんの小説家としての想いもあるのではないかと感じました。
    同じ時代にたまたま居られたこと、届けてもらえたことに感謝です。

    <追記>
    これを書いているとき、「本屋大賞」受賞のニュースが!
    おめでとうございます!!

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      読んだんだね〜 凄いなぁ。
      私はたぶん読めないからうさちゃんの感想で堪能させてもらったわ。
      私もクラシッ...
      こんばんは(^-^)/

      読んだんだね〜 凄いなぁ。
      私はたぶん読めないからうさちゃんの感想で堪能させてもらったわ。
      私もクラシックは全然ダメだしきっとイメージに時間がかかって読めないと思うわ。
      本屋大賞、嬉しいなヾ(≧∪≦*)ノ〃

      うさちゃんは体調どうですか?無理しないでね。
      私は今保険に入るために色々考えて頭がプスプスしています。
      2017/04/13
    • 杜のうさこさん
      けいちゃん、こんばんにゃ~♪

      お返事遅くなってしまってごめんね。

      もうね~良かったよ~♪
      本屋大賞も、嬉しいね!!
      本当はゆ...
      けいちゃん、こんばんにゃ~♪

      お返事遅くなってしまってごめんね。

      もうね~良かったよ~♪
      本屋大賞も、嬉しいね!!
      本当はゆっくりぼちぼち読もうと思ってたんだけど、グイグイ引き込まれてしまってね。
      クラシックに詳しければ、もっと感動できただろうなぁと、それが残念で…。
      いつか作中の曲をBGMにして、再読しようと思ってるの。
      そんなぁ、私のこんな感想で満足してはいかん!(笑)

      いつも気遣ってくれて、本当にありがとう~!
      体調はもうだいぶ落ち着いたの。
      でも、ちょっと調子よくなるとすぐ無茶するからね。自重しないと。

      保険で頭がプスプス(笑)わかる!
      私も昨年だったかな、医療保険に入ったの。
      ずっとあきらめてたけど、最近は持病があっても入れる保険が増えたからね。
      数社のパンフレット相手に格闘したわ~
      もう何が何だかわけわからなくて、保険に入るために、ぐったりするというね。(笑)

      私は基本、通院や入院保障が充実してればいいけど、
      けいちゃんは愛娘ちゃんのことも考えてあげたいしね。
      悩むよね~。

      私は今、映画の「ねこあつめ」を観に行きたくてウズウズです♪
      2017/04/16
    • koshoujiさん
      うさこさん。こんにちは。今フェリーの中です。またまた名古屋往復0泊3日8,300円の旅に出て、仙台に帰る途中です。
      ブログは河北が閉鎖にな...
      うさこさん。こんにちは。今フェリーの中です。またまた名古屋往復0泊3日8,300円の旅に出て、仙台に帰る途中です。
      ブログは河北が閉鎖になったので、あらためてヤフーに戻して時折書いています。河北の分を戻しましたが、文章は移行できましたが、画像がリンクされず、画像だけ載ってないのは多々ありますが。
      https://blogs.yahoo.co.jp/koshouji
      「蜂蜜と遠雷」文庫になりましたよね。読んでみようかと。
      本は殆ど読めていません。特に小説は読めない。吉田健一の軽いエッセイは図書館から借りて来て今回の船旅にも持ち込みました。
      ※今回の船旅でもやらかしました。名古屋の一人カラオケに行き、結構良いのが収録できたと喜んだのに、常に持ち歩いている録音用CDが何故か名古屋のカラオケ館では録音できず失敗し、新しいCDを交わされる羽目になり、帰りのフェリーに遅れそうになって名古屋駅を全速力で走り回ったり、バスターミナルにぎりぎり到着し、慌てて買ったお弁当に箸がなく、手で食べるわけにも行かず、船内のレストランのお姉さんに懇願し、割り箸をもらったり、今、持って行ったバスタオルがないことに気づき、フロントに確認したら行きのフェリーに忘れてあったので名古屋港で降ろされ、それを戻してもらうには受取人払いで送ってもらうしかなく、送料が高くつくのでバスタオルは諦めたりと。
      何故に旅行に出る度にこんなハプニングが毎度起こるのでしょうね、不思議です。
      天気だけは行き返りとも青空ですこぶる良いのですが。
      ではまた。<(_ _)>
      2018/02/05
  • こんなに夢中で本を読んだの久しぶり。
    文句なしに面白かった。
    恩田さんに最初に出会ったころは運命の人かと思うくらい夢中になって、付き合いが長くなってくると裏切られることも数知れず・・・。
    そんな恩田さんと私の付き合いだけど、やっぱりついて来て良かった。
    ありがとう、そして直木賞おめでとう。

    「音楽を広いところに連れ出す」
    これがこの本の大きなテーマ。
    でもね、この本を読みながら恩田さんは私を私の狭い世界から広い世界へと連れ出してくれた。
    500ページの上下段組み。
    あまりの長さに最初はひるんだけど、最後はもう終わっちゃうの?って淋しくなっちゃった。
    もっともっとこの世界に浸っていたかった。

    最後に☆5つつけたのもう1年以上前の話。
    読んでも読んでもこれだ!って言う本に出会えなくて。
    最近は本を読むことも億劫になっていたけれど。
    この本を読んでいる最中は、まるで亜夜がピアノ演奏中に感じるような多幸感に包まれた気分になった。
    やっぱり読書はいいね!改めて再認識です。

    • 円軌道の外さん
      vilureefさん、ご無沙汰してすいません!
      お元気でいらっしゃいますか?

      久方ぶりにこちらの本棚見させてもらって、
      vilur...
      vilureefさん、ご無沙汰してすいません!
      お元気でいらっしゃいますか?

      久方ぶりにこちらの本棚見させてもらって、
      vilureefさんの、
      誠実で真摯で、ときに鋭いツッコミが入る(笑)良質なレビューの数々に
      ゲリラ的にいいねポチ押しまくってしまいました!
      (懐かしかったのです!ホンマ驚かせてすいません!)


      実は、プロボクサーを引退して教える側に回ったのと、
      新しい仕事が多忙だったのと、
      あとなぜか突然にしてレビューが書けなくなったことの三重苦で(笑)、
      気づけばな、な、なんと
      約2年もの間、ブクログを休んでおりました(汗)
      (そんなに休んでたとは、自分でもビックリでした!)

      この本、僕も読みました!
      vilureefさんがレビューでも書かれてるように、
      僕も恩田作品にはかなり裏切られてきたので(笑)
      不安な気持ちで読んだのですが、
      いやぁ~、ホンマ今回ばかりは良かったです!(笑)

      音楽で得られる特殊な感覚ほど、
      言葉にするのが難しいものはないと
      常々僕は思っているので、
      様々な比喩を巧みに使った美しい文章で、
      読む者に音楽が人にもたらすモノを提示していく恩田さんの書きっぷりには、
      もうホンマ脱帽でした(笑)

      読み終えたときはスランプの真っ只中だったので、
      この感動をレビューに真空パックすることができなくて
      ホンマ悔しかったッス!(>_<)

      また落ち着いたら再度読み返して
      レビュー書いてみたいなって思ってます。


      とまぁ、そんな感じで(笑)、
      まだ完全復帰とはいかないですが、
      まぁ、ボチボチやっていきたいと思います。
      こんなアホウですが、またよろしくお願いします!
      2018/01/20
    • vilureefさん
      Welcome back!
      お帰りなさい(*^_^*)
      古参のブク友さんの復活、本当にうれしいです♪
      思わず他のフォロアーさん達はどん...
      Welcome back!
      お帰りなさい(*^_^*)
      古参のブク友さんの復活、本当にうれしいです♪
      思わず他のフォロアーさん達はどんな反応しているんだろうってコメントのぞきまくっていました(笑)
      みなさん、大歓迎ですね。円軌道の外さん、愛されてるわー。

      お休みされている間も、ボクシングどうされてるのかなとか、まだ東京で頑張ってるのかなとか、円軌道の外さんに思いを馳せることもしばしばありましたよ(笑)

      私も長いこと休んでいたり、復活しても読書がままならなかったり・・・。
      ずいぶんペースは落ちました。
      でもふらっと帰ってきてもあたたかく迎えてくれるのがブクログの良いところ。

      お互い無理せずぼちぼちやって行きましょう!
      こちらことよろしくお願いします。

      あ、この作品、本当にいい作品でしたね。
      円軌道の外さんのレビューも是非読みたいです。
      のんびりお待ちしております♪
      2018/01/30
  • あ~読み終わっちゃった。まだずっと読んでいたい気分。
    長い長いピアノコンクールの話だし、最終的に結果が出るわけだし、終わりがあるんだけど。

    憎いね、結果が審査員の2人の会話でわかる趣向。素晴らしいと思った。私はあの子に1位になって欲しかったな~
    3人とも凄かった。演奏は聴こえてこないけど、恩田さんも最高。素晴らしい文章力。
    これって映像は難しそう。だって文章で充分伝わってきて完璧だもん。

    それにしてもピアノをやってる人って尊敬しちゃう。ず~~っと子供の頃から練習を重ねて、コンクールなんて重圧で押し潰されそうだし。
    素晴らしい本に出会えて大満足。

  • やっと読み終わった。
    なかなか読み進められず、えらく時間がかかってしまった。
    少し読むごとに、泣けて泣けて仕方なく。
    それで前に進まなくて。。

    正直言って、まるでコミック ....ライトノベルというのだろうか? ふんわりと明るく、現実的な力強さよりも、特殊な照明を当てた舞台のようにキラキラした面だけを浮かび上がらせている、そんな文章だ。

    なのに泣けるのは、ひとえに、冒頭に示されたコンテスタントたちのプログラムゆえ。
    風間塵の 夢のようなプログラム
    マサル・カルロスの これまたおとぎ話のようなプログラム
    栄伝亜矢の 弾けるんかこれ?な重厚なプログラム
    唯一 現実世界の人かと感じられる 高島明石のプログラム
    億万もの音符に、気の遠くなるような億万の時間を費やすピアニスト達。
    その辛い辛い道のりを支える、強靭な精神と素晴らしい音楽の一瞬のきらめき。
    凡庸な人間には決して手の届かない、私の人生には決して訪れない。
    でも確かに存在する。

    ”君の行く道は〜果てしなく遠い〜なのになぜ〜歯を食いしばり〜君は行くのか〜そんなにしてまで .....

    昔、こんな歌があった。
    個人的に、こんな気持ちを抱ける相手は音楽家のみ、かもしれない。
    本作でいえば、高島明石のみ。
    塵や亜矢やマサルの持つ力は超人としか思えず、コミックのそれでしかないのだけれど .......

    それでも、彼らの苦しみや喜びが 脳内に響く音とともに 体温を持って伝わってくる。
    それはプログラムが提示されているからだ。
    冒頭のプログラムこそが、この作品を際立ったものにしている。

    恩田さん、たぶん、この作品のために膨大なリサーチをし、たくさんの曲を聴かれたのだろう。
    聴き古したようには感じられない、音を伝える瑞々しい言葉をざくざくと踏みしめるような感覚を終始覚えながら、読み進めた。

    順位などない。
    最後のページをめくらずとも、いや 本選のコンツェルトを読まずとも、音楽が解き放たれた喜びを自分の耳で聴いてみたい、という願いを残してくれた。
    この世のすべての真摯な音楽と音楽家への敬意と愛を感じる作品だった。
    涙 涙

  • きらめく音の粒子に心が満たされてゆくのを感じて
    読みながら何度も泣いて、そして「しあわせだわ~」…って、つぶやきました。

    気がついたら本を開いたまま寝ている…寝落ちを何度も繰り返しました。久しぶりの素敵な徹夜本です。言葉やレビューなんて必要なくって、ずっとこの世界にひたっていたい気持ちでいっぱいになった。

    ずっと贅沢な読書タイムを味わうことができて最高にハッピーなひとときでした。
    もう神々しくて、ただただ感動した。恩田さん、ありがとう。


    (ただし開いた瞬間、心をへこます魔の二段組み本…笑)

  • すごく久しぶりに読書にはまったけど、こんなにも文章で五感を刺激されたと感じたのは初めてかもしれない。登場人物が「風が吹き抜けたような気がした」と思えば自分もそう思ったし、コンテスタントがピアノを弾き始める瞬間は息をつめて読んでしまいました。
    物語との関係も深い作品と言われていて、宮沢賢治の『春と修羅』も読んでみたくなりました。

    私自身が大学では文学部に所属していたからか、好きな一文も文学に関係するかなという部分。
    「曲はー物語は、さりげなく、謎めいた場所から始まる」
    なんて素敵な言葉なんだろうと思いました。
    また恩田陸さんの作品が読みたいです (*ฅ́˘ฅ̀*)♡

    タイトルの『蜜蜂と遠雷』について、
    「蜜蜂」はなんとなく解釈できたんだけど
    「遠雷」がわからない。
    だれか解釈してる人いたら教えてほしいー!!

  • ここ10年で読んだ小説の中で最高傑作。読みながら音が聞こえてくるというのは本当だった。普通の小説で3回も読みながら涙が流れたのは初めてかもしれない。栄伝亜夜の演奏シーンでは涙が止まらない。4人の主人公の中で完全に彼女に感情移入してしまった。

  • 各書評で激賞されており、実際に期待にそぐわぬ傑作。
    直木賞候補作筆頭と言っていいかも。
    今時珍しい二段組みの507頁と大作であるが、第一次、第二次、第三次予選と進むごとに作中に取り込まれ、本選までたちまち読み終えた。
    「天然でエキセントリックな天才」という異色の少年を中心に、彼の演奏に後押しされ完全復活するかつての天才少女、複数の民族の地を受け継ぎ人気抜群のハイブリット・チャイルドの「王子」、さらにサラリーマン演奏家が、ピアノコンテストで出会い、共鳴し高め合う。
    実力伯仲のコンテスタントたちの中で、誰が予選を通過し、誰が本選まで残るのか、第一位は誰がなるのか。作中人物同様に、読者もその行方に目が離せなくなる。
    そして最後、本選の結果はただその順位を列挙するだけ。この締めくくり方にも、作者の秀逸なテクニックを感じる。
    読後は、クラシックに疎遠な者でも、作中の曲を聴いてみたくなる。あるいはレコード店に走りこむ、あるいはコンテストのスケジュールを調べ始める、そんな読者がいるかも。

  • いつもながら装丁買い。
    しかし、中身も想定外だった。寝る時間を惜しんで読んだ。続けて2回読み返した。

    よい耳を持っている人がうらやましい。クラシックを聴くことは好きだけれど、音の違いには気づけない。でも、音楽を聴いて、情景や物語を想像することは少しできるかもしれない。

    ブラームス、ベートーベン、ショパン、リストなどなど過去の作曲家は本当にすごいなあと思う。今でも色あせない。現代も作曲家はたくさんいるのだろう。でも、彼らの創りだす音楽はどれほど後世に引き継がれていくのだろうか。

    そんなことをつらつら考えながら読んだ。読めば読むほど、深い味わいを感じられそう。

    そして「春と修羅」という曲がどんな曲なのか聴いてみたい。明石さんの宮沢賢治の思想に寄り添ったカデンツァを、亜夜のすべてを包みこむ大地を想わせるカデンツァを聴いてみたい。

    久しぶりに読み応えのある物語に出合った。

  • 「美しい」とか「輝かしい」や「眩い」などの言葉がぴったりな小説だと思いました。
    音楽って、、、文字で表現できたんですね。

    とにかく表現力がすごいです。←という私の語彙力のなさ

    それぞれのコンテスタントたちが、どのようなピアノを弾いているのか…
    聞こえるはずもないのに、この作品を読んでいると何故かイメージできてしまう気持ちになります。
    各章を読み終わった後、まるで私自身もコンクール会場で、数々のクラシックを鑑賞したかのような…何とも言えぬ充足感がありました。

    風間塵を始め、マサルや英伝亜夜のピアノ、、聞いてみたいなぁ〜
    音楽は一瞬で消えてしまうようにも思えるけれど、誰かの心に残り続ける限り、永遠なものにもなり得ますよね。
    そんな素晴らしい、心震わされるような音楽に、いつか私も出会いたいと思いました。

  • 素晴らしかった。本を開くとおもちゃ箱をひっくり返した様に楽しく美しい音が鳴っていて、音楽のうねりが見える様な、そんな本でした。
    3人の天才と1人の素晴らしい音楽家がコンクールという場で競い合う物語。けれど、それぞれ、闘っているというイメージではなくて、純粋に一生懸命、奏でている。駆け引きなんてなくて、蹴落とすなんてなくて、高め合っている場が、コンクールだという感じ。
    皆、天才なので、失敗なんてしないし、安定している。しかも皆良い人。これだけならとても平坦な物語になりそうなのに、すごい熱量を感じられたのは、恩田陸さんの音楽への憧れと表現力、これを描きたかったのかなぁ。すごかった。
    物語の展開にワクワクするというより、一人ひとりの音楽を文字で素晴らしく表現していて、音が聞こえてきそうで情景が想像出来る。そのオマケでストーリーがあるんじゃないかというくらい。本なのに音楽のうねりに飲まれる様な、そんな作品でした。

  • 本書に登場する曲を聴きながら時間をかけて読みました。
    日本音楽コンクール・ドキュメトのピアノ部門を鑑賞してから読むのもいいと思う。
    音楽は本能。リズムは快感。
    本書では、コンテスタントがライバル達の演奏に素直に感動している姿が清々しい。
    クラシックを聴いていると、テンポ、強弱、わずかな間の取り方の違いなどで好きな演奏が決まる。
    しかし同じ演奏者だから、どの作品も良いと感じるわけではない。
    音楽は正解のない世界。コンクールの審査結果の順位付けはあくまで参考だ。
    甲乙つけがたいものに優劣を付けるから、いろんな物語が生まれるのだけれど、、、
    この物語では、順位は重要視していない。
    優勝者でない亜夜と塵の演奏、どんな風に弾いたのか、どのように感じるのか、無性に聴いてみたい。

  • ピアノの国際コンクールに出場する4人の物語。
    世界的に有名なピアニストを師に持つ不思議な少年・風間塵。母を亡くした日からピアノを辞めてしまった栄伝亜夜。海外で修行を積み、日本で大切な人を探している天才ピアニスト・マサル。家庭を持ちながらピアノを諦めたくない明石。それぞれの物語を追いながら、長期にわたるコンクールが進んでいく。

    冒頭のシーンから引き込まれて、きれいだな、と感覚的に好きだった。映画を見ているように、自然に読めていく。クラシックが一つもわからないのに、こういう感覚なんだろうなーと空気を感じることができた。

    視点が多岐にわたるので、たくさんの人の思いが重なっていき、胸がいっぱいになって、次は?次は?と読むのがやめられなかった。

    演奏者にとどまらず、スタッフ、指導者、家族、審査員などの視点で描かれているので、会場のあらゆる部分を想像し、様々な人の立場になって楽しんだ。

    天才たちにも悩みがあり、その悩みから抜け出す、ベールが取られる瞬間が、なんと言ったら良いのだろう。美しいというか…

    理論ではなく、感覚的に読んで、心地よかった。

  • 図書館で半年待ちわびてやっと順番、一気に読了。直木賞はだてじゃない、噂に違わず面白かった。ピアノコンクールを舞台に登場人物のそれぞれが語られていく。カザマ ジンのサプライズ的な要素には少し目を瞑っても展開がワクワクしていて厭きない。クラシックに疎い我々にも十分楽しめる分かり易さで読み進められる。ピアノコンクールだけのネタでよくもここまで!オススメです。

  • あまりの感動に打ち震えた。この本を読めて本当によかった…
    読む途中途中、栞を挟み閉じる時、あまりの愛おしさに本の表紙を撫でてしまった。


    国際的なピアノコンクールに出場する4人のピアニストそれぞれの物語で、恐らく主役はこの人だろうという人はいるが、
    読む人によって真の「主人公」は異なってくると思う。
    様々な性格、立場、境遇…
    突如現れた「巨匠からのギフト」の鬼才の少年 塵、
    「元天才少女」で音楽に愛し愛される女性 亜夜、
    幾多の風土の雰囲気を併せ持つサラブレットプリンス マサル、
    音楽は天才だけのものではないと「生活者の音楽」を表明する 明石

    もうこの4者の立場の違いだけでも失神しそうになるほど良かった。プロローグともいえるコンクールが始まる前から夢中になった。
    とりわけ私は明石に感情移入をした。私も社会人で、趣味でものを作ったりするのが好きだからだと思う。
    私も学生の頃選べなかった、選ばなかった人生があって、
    それを今選んで生きる人への憧れのようなものがまったく無い訳ではなく
    でも自分の選択を間違っているとも思っていない。そういう、複雑な感情を抱えて生きる中で

    明石の「音楽は天才だけのものではない、生活するなかで音楽は共にあり、音楽を「聞ける」人は普通に暮らす人のなかでもたくさんいる。
    自分はそれを示したい…と、家庭を持ち働きながらもコンクールの準備を睡眠時間を削りながら行った。

    もう本当にわかりみが深い。働いてたら睡眠時間削るしかない。そしてなんと勇気が出る事だろう。
    わかる気がするから。私が「天才が天才として驀進しながら掴み取る世界」を一生理解できないように、
    天才にはこちらがわの「普通の生活をしてるからこその苦楽や感謝」がわからないであろう事が。


    彼が戦いを挑んでくれたことに本当に勇気をもらった。
    第二審査の時の課題曲に含まれるカデンツァは各自の解釈で自由に演奏していたが(クラッシックに詳しくないのでどういうものか正確にわからなかったけど、たぶんこれで良いんだと思う)
    「春と修羅」という日本人作曲家の曲で、詳しくはまぁ原作を読んでくれという感じなのですが
    (説明するのが面倒なのではなく原作が最高なのでいいから読んでほしい)
    明石は解釈を深めるために車で…縁の深いところへ視察にいってて…真面目か…!!!真面目かよ…!!!と本当に胸を打たれたし、
    他の天才達が「宇宙」とか「自然」とかそういった大きなテーマを感覚で表現しているのに対し、
    なんて真面目で平凡で平均で、そして丁寧で真摯なのだろう。
    めちゃくちゃ胸を打たれてしまったし、もう明石がコンクール優勝してスピーチで
    「生活者の音楽をこれからも世界に届けていきます」みたいなことを言うの想像して感極まった。

    なんでこんなに胸打たれるんだろうと考えた時、
    自分がプラネタリウムの漫画を描くにあたり、資料集めかねて3箇所くらい都内のプラネタリウムを巡ったりしたことを思い出して、そっかぁと思いなんだか泣けてしまった。

    自己陶酔かよといわれればまぁそうなんだけど、明石という登場人物はそういうポジションなんだと思う。
    異なる才能を持ち合わせた若き3人の天才は、ほんとうに魅力的だし音楽だけでなく人柄も愛らしい。とても好きだ。
    でも一般的な読者が感情移入するには難しい部分もあるかもしれない。
    前述した通り、読む人によって主人公がかわるので言い切るのは乱暴かもしれないし、亜夜は明石と違う種類の人がどうしようもなく惹かれる人かもしれない。
    でも明石という人は「共感」を担ってくれる人で、天才ではない人をこの物語の世界に優しく招きいれてくれている様に思えました。

    明石はそういう意味でも、音楽を愛する人と、音楽を日常に添えるように生きる人、音楽を知らない人全てを繋いでくれると思う。

    明石の話ばかりになってしまったけど、この蜜蜂と遠雷はあまりに出来がよく、完成されていて恩田さんの本をはじめて読む私にとって本当に衝撃的でした。
    最初手にとった時は分厚いし2段組だし読みきれるのか!?と不安になりましたが、不安に思う事などなにもなく、後半は終わりに近づいていくのが寂しかった。

    実写化しないのかな?と調べたところ「映像にしてしまうと音の正解を定めてしまうようで」みたいなこと書いてあってまた痺れた。最高。かっこいい。
    確かに文章だからこその演奏はあると思う。特に風間塵の演奏は読み手一人一人でまったく違いそうだ。

    映像化されないということはこの素晴らしい物語を知る人は読んだ人だけということになる。それは少し寂しい。
    どうにか一人でも多くの人に読んでほしいと思いました。長いけど!!頑張ってほしい!!!音楽は素晴らしい!!!

  • 読み応え十分の素晴らしい作品でした。直木賞、本屋大賞のダブル受賞は伊達ではありません。音楽はこんなにも文章で表現できるものなんですね。公立の学校教育以上の音楽教育を受けなかった私でも、その素晴らしさの片鱗に触れることができました。風間塵が音楽界へのギフトであったように、この作品は恩田さんから読者へのギフトのようです。登場人物すべてが主人公でしたが、個人的には奏の存在に大いに泣かされました。一握りの天才だけでなく、一つの世界に身を投じて突き進むことができる人たちの才能に感服しました。傑作です。

  • ずっと気になりつつも分厚いなあ、と何となく後回しにしてしまっていたのですが、読んでみたらあっという間でした。もっと早く読めばよかった。
    それぞれの人物に丁寧に焦点が当てられていてどんどん惹き込まれましたし、まるで読みながら自分もコンサートの観客になったかのように、音楽を聴いている気分になりました。
    クラシックって難しそう、と漠然と思っていましたが、今は作中に出てきた曲を聴きたくて仕方がないです。面白かったです!

  • 圧倒的な物量で読むのを躊躇していましたが、読み始めたらあっという間だった。はじまりは、スポーツものの漫画を読んでいるみたいな読み口で夢中になり、やがて、語り手の気持ちにリンクしながら自分も聴衆になっていく感覚が心地よくて新しかった。ライバルでありながらも友人という気持ちのほうが強いあたりも大物の風格を感じる。爽やかで素敵な作品でした。素晴らしかった。

  • 「一瞬も、一生も、美しく。一瞬というのは永遠なんだ。」

    音楽への愛、才能への言及、文章からピアノの音が聴こえてくるような表現力、登場人物の奥行き。ただただ凄いなぁ。栄伝亜夜 3次予選の演奏中の心境で思わず涙が溢れた。

    カバーを外したら光沢のある黒一色でピアノをイメージしていて、本当に愛せる一冊になりました。

  • 恩田陸さんの「蜂蜜と遠雷」をきっかけに読書体験の素敵さを感じ今の読書生活につながりました。

    生活雑誌で「まだ出会ってないんだろうね。この一冊って本に」という何気ないコメントを見て小学校の時の目標を思い出しました。その目標は「本を読める人になりたい」というものでした。

    それからどの本を読めばいいかわからず直木賞受賞のこの本から読み始めてみました。

    ピアノコンクールに挑戦する色々な年齢層の物語です。美しい文章に心がおどり涙がポロポロ。こんな読書体験始めてでした。楽しい。楽しい。楽しい。この感覚がなければ読書生活には戻れていませんでした。

    私の人生に大きなきっかけを作ってくれた素敵な本です。

  • とにかく面白かった!
    読みやすい文章の上、情景や心情の表現がとても豊かに感じた。
    わずか2週間足らずの限られた空間での出来事を書いているだけなのに、主人公たちがお互いに刺激され、成長していく姿がいい。
    心地よい読了感が残る一冊でした。

  • 少し前に 羊と鋼の森 を読んで
    とても感動したので
    暫くは ピアノ関係の本は いいかな…
    と、本屋さんに 高く積み上げられた本をみながらも
    素通りしていたのだけれど


    時間も 経ったことだし
    なんとなく 手に取ってみた


    びっくりした
    読み始めて すぐ
    私の中のなにかが グラリ動いた



    グラリ ザワザワ ドキドキ
    不安なような 期待のような
    わけわからない高揚感



    たぶん わたし 文字と音符の世界を
    気球みたいなのに乗って
    さまよってたんじゃないかな?



    最後は 明るい清々しい場所へ
    そっと下ろしてもらった





    蜜蜂と遠雷 でyoutube検索すると
    たくさん曲が 出てきた
    2回目 読む時は
    絶対 聴きながら 読むぞ!
    (๑و•̀Δ•́)و

  • 圧倒的音楽小説。前ふりなしでコンクールに突入。それでいてコンテスタントそれぞれの個性や、抱えているものがきちんと描き分けられている。専門用語ではなく、物語として、風景として、体験として、音楽性を描いているので、曲を知らない読み手にも感じられる。読み応えがあった。亜矢、マサル、塵の交流も魅力的。さわやかな成長物語。

  • 図書館で借りたもの。
    4ヶ月待ち。
    直木賞と本屋大賞のダブル受賞。

    507ページ!二段組!すごいボリューム。
    クラシックのことは何も知らないから、ちゃんと読めるか不安だったけど、ぐんぐん読めた!

    国際ピアノコンクールの、予選から本選までの人間ドラマ。
    ピアノの演奏を言葉で表すことが出来るなんて!

    ピアノってただ弾くだけじゃなく、曲を自分なりに解釈して、どう表現するのかが大切なんだね。

    読み終わったあと鳥肌が立った。
    この物語を読めて良かった。

  • 文字が音楽のように頭に入ってくる。
    風間塵の演奏シーンは頭の中の文字が飽和状態になって涙が自然と流れた。大げさかもしれないけれど、そう感じられた。たまらない。
    本を開くまでは分厚さに圧倒されたが、読み始めると一気に一次予選、二次予選、三次予選、本戦と時が流れる。2週間が1日で終わってしまうのは寂しく、むしろこの量は短いのだ。もっと彼らが弾く音をひとつひとつ楽しみたくなる。
    数年後の彼らに出逢うための本を待ち望みながら、観客の未来想像図を壊さないために、なにも蛇足のような裏話や続編は要らない気もする。

  • 2017年3月20日読了。こんな大作を読み上げたのは初めてといっていいくらい、読むのにも体力や能力が要ったようにも思います。でも読んだ後の清々しさったらない!マサルや塵やあやの若さ溢れる演奏に心打たれる連続で、本当に楽しかった。YouTubeでこの曲はどんな曲なんだろうと検索して、こんな曲をコンクールで弾いてるのかとビックリしました。曲を聴きながら読んだので、時間がさらにかかったのですが(ただでさえ読むの遅いのですが)、おかげでその曲の雰囲気がすぐに捉えることが出来て良かったと思っています。そしてその曲の形容の仕方の緻密さ幅広さには作者の力を感じました。その文章の凄さからこの作品がイキイキしてる。すごい作家さんなんだ・・・。力のある作家さんに出会えた気がします。マサルや塵やあやが実在の人物ならなー。会いに行きたいです。こんな情熱的な演奏会に行ってみたいですね。

  • 登場人物全員が、真摯に音楽・ピアノと向き合う物語。
    こういうコンクールものには必ずと言って良い程、嫌な役回りの登場人物がいるけれど本作ではそういう役は一切登場しない。
    純粋に、それぞれが美しく共鳴しながら、高みを目指していく。
    どの世界でも極めるということは、何らかの壁を越えていかなくてはならない。その壁は今の自分自身であったり、過去の自分だったり、ライバルだったり。
    壁を乗り越えなければならない者は、時にその壁を楽しみをもってして乗り越えていく位の度量を必要とされる。
    切磋琢磨という言葉が、これ程重く感じられたのは初めてであると同時に、これ程この四字熟語がぴったりハマる作品も他にない。

    二段構成で500ページ近い量でありながら、大きな事件や確執が起こるわけでもない。ましてやミステリーでもない。
    それなのに、ページをめくる手は止まらない。
    音楽の世界に疎い私であっても、情景描写だけで脳内に音楽が再生された様な錯覚に陥る。
    これこそ恩田陸の底力だ。圧巻の文章力。

    夜のピクニックも好きだったけど、恩田作品のこの系統が個人的にはすごくハマるし、本当に大好き。

    直木賞エントリーも大きく頷ける。是非受賞してもらいたい。

    今回は図書館で借りたけれど、文庫化されたら絶対に手元に置いておきたい名作の1つ。
    登場人物の真摯な姿に良い方向に感化されないかな、と。

  • 体験。これはまさに体験だ。彼の音楽は『体験』なのだ。

    一文一文が短くかつ、何度も、
    繰り返される表現が多かったように思う。
    読んでいて、歯切れがよく、テンポも心地いい。
    音楽を表現するのは、大変難しい
    何故ならば本は、耳を通さないから。
    イメージの世界をどれだけ伝えるか。共有できるか。
    ピアノの世界観は、分からないのだけれど、
    それぞれの人が実在するかのように、
    イメージ、共感できた。



    僕なりに感想を書いてみました!
    https://trick-neo.com/mitubatutoenrai-read/

  • めったに小説を読まない私がのめり込んでしまった本。風間塵が痛快。こういうギャップのある人生に憧れる。「え!実は・・・。」みたいな。予定調和が苦手な私としてはこの手のスタイルが大好きだ。

  •  今は亡き天才ピアニスト・ホフマン先生からのギフト(推薦状)は、素敵な包装紙に包まれ、そのプレゼントの箱の中には凄まじい破壊力がある爆弾が入っていた。(一部引用) こういう表現を書くと、この小説はバイオレンスものかと錯覚してしまう。しかし当たらずとも遠からじ、コンクールの審査員の苦悩を表現しているのです。
     その箱の中身は、ホフマン氏の意思を継ぐ無名のコンテスタント、世界最高峰への登竜門芳ヶ江ピアノコンクールにエントリーしている。派手な花火を見ることが出来るのか、そして期待するファンは少しずつ増えている。
     まるで推理小説のレビューを書いているように自分も興奮しながら読了しました。
     勿論コンクールの場に集まるコンテスタントは、粒揃いの天才が多く、或る人は勝つために敢えて難曲を弾き、演奏の戦略を立てたりするのです。それも二次予選終了までは…。
     著者の恩田陸氏の多彩な音や状況の表現は美しく感嘆するばかり。
     本書の主人公は、四人のコンテスタント、それぞれのキャラクターが面白い。
     読みどころについては、「全てです」と申し上げる。宝物を得た気がします。
     まさに圧巻の一冊だった

著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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