【第156回 直木賞受賞作】蜜蜂と遠雷

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 13891
レビュー : 1701
  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030039

作品紹介・あらすじ

私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。著者渾身、文句なしの最高傑作!

感想・レビュー・書評

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  • たいへん遅くなりましたが、
    直木賞受賞、おめでとうございます!
    『夜のピクニック』で出会って以来、ずっと追いかけて来た作家さん。
    うれしい。本当に。
    この作品で受賞するために、今までノミネートのみで終わっていたのかもしれませんね。

    「努力は天才に勝つ」それが通用しない世界があること、
    天賦の才を持つ人間ゆえの苦しみに、圧倒されました。

    悲しいかな、音感も無く、とくにクラシックには全くといっていいくらい疎い。
    それでも、たっぷりとこの素晴らしい音楽の世界を堪能させてもらえました。
    たとえへたでも、鍵盤にもう一度触れたくなる。
    自分の”音”を奏でたくなる。

    夢中で読みました。
    そして、ふと気付いたら「ピアノ」や「音」の文字を、
    「小説」や「言葉」に変換して読んでいました。

    本書より少し引用させてください。
    ちっぽけな短い人生のあいだにあたしはピアノに出会って。ピアノに人生の少なからぬ時間を費やし、こうして人に聴いてもらっている。
    そのこと自体がいったいどれくらい奇跡なのだろう。この一瞬一瞬、音の一粒一粒が、今たまたま同じ時代、今この場に居合わせた人々に届くとしたら、それはどれほどの奇跡なのか。そう考えると、あまりにも空恐ろしくなってきて、全身が震えてくる。

    この文章には、恩田さんの小説家としての想いもあるのではないかと感じました。
    同じ時代にたまたま居られたこと、届けてもらえたことに感謝です。

    <追記>
    これを書いているとき、「本屋大賞」受賞のニュースが!
    おめでとうございます!!

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      読んだんだね〜 凄いなぁ。
      私はたぶん読めないからうさちゃんの感想で堪能させてもらったわ。
      私もクラシッ...
      こんばんは(^-^)/

      読んだんだね〜 凄いなぁ。
      私はたぶん読めないからうさちゃんの感想で堪能させてもらったわ。
      私もクラシックは全然ダメだしきっとイメージに時間がかかって読めないと思うわ。
      本屋大賞、嬉しいなヾ(≧∪≦*)ノ〃

      うさちゃんは体調どうですか?無理しないでね。
      私は今保険に入るために色々考えて頭がプスプスしています。
      2017/04/13
    • 杜のうさこさん
      けいちゃん、こんばんにゃ~♪

      お返事遅くなってしまってごめんね。

      もうね~良かったよ~♪
      本屋大賞も、嬉しいね!!
      本当はゆ...
      けいちゃん、こんばんにゃ~♪

      お返事遅くなってしまってごめんね。

      もうね~良かったよ~♪
      本屋大賞も、嬉しいね!!
      本当はゆっくりぼちぼち読もうと思ってたんだけど、グイグイ引き込まれてしまってね。
      クラシックに詳しければ、もっと感動できただろうなぁと、それが残念で…。
      いつか作中の曲をBGMにして、再読しようと思ってるの。
      そんなぁ、私のこんな感想で満足してはいかん!(笑)

      いつも気遣ってくれて、本当にありがとう~!
      体調はもうだいぶ落ち着いたの。
      でも、ちょっと調子よくなるとすぐ無茶するからね。自重しないと。

      保険で頭がプスプス(笑)わかる!
      私も昨年だったかな、医療保険に入ったの。
      ずっとあきらめてたけど、最近は持病があっても入れる保険が増えたからね。
      数社のパンフレット相手に格闘したわ~
      もう何が何だかわけわからなくて、保険に入るために、ぐったりするというね。(笑)

      私は基本、通院や入院保障が充実してればいいけど、
      けいちゃんは愛娘ちゃんのことも考えてあげたいしね。
      悩むよね~。

      私は今、映画の「ねこあつめ」を観に行きたくてウズウズです♪
      2017/04/16
    • koshoujiさん
      うさこさん。こんにちは。今フェリーの中です。またまた名古屋往復0泊3日8,300円の旅に出て、仙台に帰る途中です。
      ブログは河北が閉鎖にな...
      うさこさん。こんにちは。今フェリーの中です。またまた名古屋往復0泊3日8,300円の旅に出て、仙台に帰る途中です。
      ブログは河北が閉鎖になったので、あらためてヤフーに戻して時折書いています。河北の分を戻しましたが、文章は移行できましたが、画像がリンクされず、画像だけ載ってないのは多々ありますが。
      https://blogs.yahoo.co.jp/koshouji
      「蜂蜜と遠雷」文庫になりましたよね。読んでみようかと。
      本は殆ど読めていません。特に小説は読めない。吉田健一の軽いエッセイは図書館から借りて来て今回の船旅にも持ち込みました。
      ※今回の船旅でもやらかしました。名古屋の一人カラオケに行き、結構良いのが収録できたと喜んだのに、常に持ち歩いている録音用CDが何故か名古屋のカラオケ館では録音できず失敗し、新しいCDを交わされる羽目になり、帰りのフェリーに遅れそうになって名古屋駅を全速力で走り回ったり、バスターミナルにぎりぎり到着し、慌てて買ったお弁当に箸がなく、手で食べるわけにも行かず、船内のレストランのお姉さんに懇願し、割り箸をもらったり、今、持って行ったバスタオルがないことに気づき、フロントに確認したら行きのフェリーに忘れてあったので名古屋港で降ろされ、それを戻してもらうには受取人払いで送ってもらうしかなく、送料が高くつくのでバスタオルは諦めたりと。
      何故に旅行に出る度にこんなハプニングが毎度起こるのでしょうね、不思議です。
      天気だけは行き返りとも青空ですこぶる良いのですが。
      ではまた。<(_ _)>
      2018/02/05
  • 読んでいる最中は、あぁ感想を書きたいと、読んで感じたことを文章にしたくてたまらなかったのに。
    いざ画面を開くのももどかしく真っ白なノートを目の前にしたら。

    何から書き始めればいいだろう。
    良かった。月並みな言葉だけれどとても良かった。

    読んでいる間、ずっとスピーカーで「蜜蜂と遠雷」のアルバムを流していたんです。物語の中で曲が始まると同時に同じ曲を再生して。
    普段は音楽やテレビは騒々しく感じるのに、この物語を読んでる時にはピアノの音が全然気にならなかった。


    自分がページをめくっていることも、目で文字を追っていることも忘れていた。そうだ、本を読むってこういうことだったんだ。
    心が物語を追体験すること。


    江國香織さんの「日のあたる白い壁」という絵にまつわるエッセイ集を読んだ時のことを思い出した。
    私は絵そのものに勝る文章はないし、音楽だって同じだと思っていた。
    でも江國さんの文章は絵そのものに負けていない。
    恩田さんの文章もそう。こんな風に、物語を通して音楽を体験できるし、それは実際に聴くのに劣らない。



    ふっと集中が切れたときに、窓の外を見やったら薄青い空が続いていて。柔らかな日光をカーテンが受け止めていた。
    ピアノの音色を聴きながら、あぁ生きてるなと。この時代に日本の小さな町の小さなアパートの1室でこうして過ごせていることが嬉しい。



    クラシックは気取っていて、それを好む人が自分達だけに分かることを誇っているように感じていたけれど。

    19世紀、あるいはもっと前の作曲家たちも、例えば晴れた日の空や風の気持ちよさを、音楽で表現していたのかも。
    新しいものも良いけど、古いものの中に自分に通ずるものを見つけることで、自分を俯瞰できる。自分もこれからも続くであろう歴史の中の1人に過ぎないこと。こんな風に音楽や物語を通じて既に亡くなった人と共感できること。

    クラシックの良いところを発見できた。


    ***********
    読んでいる最中やたら何か食べたくなって(お腹は空いてない)、休憩がてらちょこちょこ何かつまんでました。

    映画「蜜蜂と遠雷」のアルバムの中で、ラヴェルの水の戯れと高島明石(福間洸太朗)ver.の春と修羅が気に入った。
    映画も映画館で見たかったな。再上映しないかな。

  • 初めて読んだ恩田陸さんの作品でした。映画を先に観ましたが、題名の蜜蜂の意味、そして映画ではとても印象に残ったヌッとした黒い馬の意味が全く分からず、原作に解を求めました。手にしてパラパラと開いた時、あまりの分量に挫折しそうになりましたが、読み始めてビックリ。演奏している舞台が目に見えるような描写の連続、そして、4人のそれぞれの演奏の特徴が文章で見事に描き分けられているのにも驚きました。映画の場面が補足され、後から映画にも説得力が増しました。ただ、印象が大きく違ったのは亜夜とマサルの最終結果です。映画では、あの演出をしたからには亜夜が一位でないとおかしい、でもマサルが一位という消化不良感が残った一方で、原作では、マサルの一位に納得感がありました。
    それにしても本を読んで、いい音楽を聴いたかのような感覚になれるとは思いませんでした。素晴らしい作品に出会えて嬉しいです。
    また、もう一つ個人的にこの作品と出会えたことでの収穫は今までほぼ聞くことのなかったプロコフィエフの作品群を聴くきっかけとなったことです。ピアノ協奏曲第2番、第3番にはすっかり魅せられました。

  • 音楽への疎さでは自信がある。
    指がものすごい速さで動く超絶技巧は見ていて面白いけど、それで音楽としてどうなのかと言われたら、さぁ?となるし、今回出てきた音楽もほぼほぼ知らない曲だったし(聴いたら聞き覚えあるのかもしれないけど)。
    音楽の解釈やら背景やら何もわからない。そんな凡人の中でもヒドイ部類の私が、最初から最後までコンクールのこの本を楽しめるのか?と疑問あったけど、結論から言って、めっちゃ楽しめた。ぐいぐい読まされた。恩田陸の表現力は改めてすごいと思った。読む音楽だった。

    反省点は、細切れ時間に読んだので、音楽も中断してしまったこと。この本は丸々一冊、読む音楽なんだから、音楽がかかっている間は中断しちゃだめだ。静かな環境で、じっくり浸って読むのがよい。

    メインの4人はそれぞれに好き。でもいかんせん、天才が多すぎる。なんか多すぎて、風間塵の天才ぶりがやや霞む。
    そしてあんなにコッテリとコンクールを追ってきて、最後が「打ち切られちゃったの?」というくらいあっさり。他のコンテスタントとかどうでもいい(酷)から、その分メインの人たちを書いてよー。覚醒した4人のその後も知りたかったなぁ。
    途中までは星5だったんだけど…うーん。ちょっと物足りなさが残ったのは、私の読み込みが足りないのかな。

    ★4.5

    • ニコさん
      こんばんは、はじめまして。
      マリモさんの「この本は丸々一冊、読む音楽なんだから、音楽がかかっている間は中断しちゃだめだ」のコメントに、その通...
      こんばんは、はじめまして。
      マリモさんの「この本は丸々一冊、読む音楽なんだから、音楽がかかっている間は中断しちゃだめだ」のコメントに、その通りだ!と思いました。ありがとうございます。
      2019/12/28
    • マリモさん
      ニコさんこんにちは(^-^)
      共感してくださってありがとうございます。
      恩田さんの音楽の描写力は圧巻ですよね。音楽は聴くだけじゃないんだ!と...
      ニコさんこんにちは(^-^)
      共感してくださってありがとうございます。
      恩田さんの音楽の描写力は圧巻ですよね。音楽は聴くだけじゃないんだ!と目から鱗でした。
      2019/12/29
  • こんなに夢中で本を読んだの久しぶり。
    文句なしに面白かった。
    恩田さんに最初に出会ったころは運命の人かと思うくらい夢中になって、付き合いが長くなってくると裏切られることも数知れず・・・。
    そんな恩田さんと私の付き合いだけど、やっぱりついて来て良かった。
    ありがとう、そして直木賞おめでとう。

    「音楽を広いところに連れ出す」
    これがこの本の大きなテーマ。
    でもね、この本を読みながら恩田さんは私を私の狭い世界から広い世界へと連れ出してくれた。
    500ページの上下段組み。
    あまりの長さに最初はひるんだけど、最後はもう終わっちゃうの?って淋しくなっちゃった。
    もっともっとこの世界に浸っていたかった。

    最後に☆5つつけたのもう1年以上前の話。
    読んでも読んでもこれだ!って言う本に出会えなくて。
    最近は本を読むことも億劫になっていたけれど。
    この本を読んでいる最中は、まるで亜夜がピアノ演奏中に感じるような多幸感に包まれた気分になった。
    やっぱり読書はいいね!改めて再認識です。

    • 円軌道の外さん
      vilureefさん、ご無沙汰してすいません!
      お元気でいらっしゃいますか?

      久方ぶりにこちらの本棚見させてもらって、
      vilur...
      vilureefさん、ご無沙汰してすいません!
      お元気でいらっしゃいますか?

      久方ぶりにこちらの本棚見させてもらって、
      vilureefさんの、
      誠実で真摯で、ときに鋭いツッコミが入る(笑)良質なレビューの数々に
      ゲリラ的にいいねポチ押しまくってしまいました!
      (懐かしかったのです!ホンマ驚かせてすいません!)


      実は、プロボクサーを引退して教える側に回ったのと、
      新しい仕事が多忙だったのと、
      あとなぜか突然にしてレビューが書けなくなったことの三重苦で(笑)、
      気づけばな、な、なんと
      約2年もの間、ブクログを休んでおりました(汗)
      (そんなに休んでたとは、自分でもビックリでした!)

      この本、僕も読みました!
      vilureefさんがレビューでも書かれてるように、
      僕も恩田作品にはかなり裏切られてきたので(笑)
      不安な気持ちで読んだのですが、
      いやぁ~、ホンマ今回ばかりは良かったです!(笑)

      音楽で得られる特殊な感覚ほど、
      言葉にするのが難しいものはないと
      常々僕は思っているので、
      様々な比喩を巧みに使った美しい文章で、
      読む者に音楽が人にもたらすモノを提示していく恩田さんの書きっぷりには、
      もうホンマ脱帽でした(笑)

      読み終えたときはスランプの真っ只中だったので、
      この感動をレビューに真空パックすることができなくて
      ホンマ悔しかったッス!(>_<)

      また落ち着いたら再度読み返して
      レビュー書いてみたいなって思ってます。


      とまぁ、そんな感じで(笑)、
      まだ完全復帰とはいかないですが、
      まぁ、ボチボチやっていきたいと思います。
      こんなアホウですが、またよろしくお願いします!
      2018/01/20
    • vilureefさん
      Welcome back!
      お帰りなさい(*^_^*)
      古参のブク友さんの復活、本当にうれしいです♪
      思わず他のフォロアーさん達はどん...
      Welcome back!
      お帰りなさい(*^_^*)
      古参のブク友さんの復活、本当にうれしいです♪
      思わず他のフォロアーさん達はどんな反応しているんだろうってコメントのぞきまくっていました(笑)
      みなさん、大歓迎ですね。円軌道の外さん、愛されてるわー。

      お休みされている間も、ボクシングどうされてるのかなとか、まだ東京で頑張ってるのかなとか、円軌道の外さんに思いを馳せることもしばしばありましたよ(笑)

      私も長いこと休んでいたり、復活しても読書がままならなかったり・・・。
      ずいぶんペースは落ちました。
      でもふらっと帰ってきてもあたたかく迎えてくれるのがブクログの良いところ。

      お互い無理せずぼちぼちやって行きましょう!
      こちらことよろしくお願いします。

      あ、この作品、本当にいい作品でしたね。
      円軌道の外さんのレビューも是非読みたいです。
      のんびりお待ちしております♪
      2018/01/30
  • こんなにも文章を読んでワクワクしたのは初めてです。

    ピアニストを題材とした小説は何度か読みましたが、天才の苦悩、繊細すぎる情緒などイマイチ分かり難くてとっつきにくいイメージでした。
    しかしこの小説の登場人物はみんな魅力的で、音楽を通して彼らの見ている世界を共有してくれるから、すごく身近に感じられます。

    堅苦しくない文章からメロディー生まれて、それが胸に染み渡っていくのは、なんとも不思議な感覚です。
    まるでコンサートホールにいる観客の1人になった気分。
    これってすごいことですよね。
    自然な筆力に惹きこまれてしまいました。

    みんなピアノを弾いているのがすごく楽しそうで、
    習ったことないピアノを弾いてみたいと思ってしまいました。
    やってみたいと思えるほど、この小説はピアノの魅力が溢れかえっています。

    図書館で借りたのですが、自分でこの小説を買って身近に持っておこうと思います。
    それほどまでに、自分にはピッタリな一冊でした。

  • あ~読み終わっちゃった。まだずっと読んでいたい気分。
    長い長いピアノコンクールの話だし、最終的に結果が出るわけだし、終わりがあるんだけど。

    憎いね、結果が審査員の2人の会話でわかる趣向。素晴らしいと思った。私はあの子に1位になって欲しかったな~
    3人とも凄かった。演奏は聴こえてこないけど、恩田さんも最高。素晴らしい文章力。
    これって映像は難しそう。だって文章で充分伝わってきて完璧だもん。

    それにしてもピアノをやってる人って尊敬しちゃう。ず~~っと子供の頃から練習を重ねて、コンクールなんて重圧で押し潰されそうだし。
    素晴らしい本に出会えて大満足。

  • 2020/10/11読了
    #恩田陸作品

    最高に美しい作品に感動した。
    国際ピアノコンクールの
    予選から本線に臨む若きピアニストたちの
    葛藤や成長を描く。
    規格外の異端な天才少年に審査員も試される。

  • やっと読み終わった。
    なかなか読み進められず、えらく時間がかかってしまった。
    少し読むごとに、泣けて泣けて仕方なく。
    それで前に進まなくて。。

    正直言って、まるでコミック ....ライトノベルというのだろうか? ふんわりと明るく、現実的な力強さよりも、特殊な照明を当てた舞台のようにキラキラした面だけを浮かび上がらせている、そんな文章だ。

    なのに泣けるのは、ひとえに、冒頭に示されたコンテスタントたちのプログラムゆえ。
    風間塵の 夢のようなプログラム
    マサル・カルロスの これまたおとぎ話のようなプログラム
    栄伝亜矢の 弾けるんかこれ?な重厚なプログラム
    唯一 現実世界の人かと感じられる 高島明石のプログラム
    億万もの音符に、気の遠くなるような億万の時間を費やすピアニスト達。
    その辛い辛い道のりを支える、強靭な精神と素晴らしい音楽の一瞬のきらめき。
    凡庸な人間には決して手の届かない、私の人生には決して訪れない。
    でも確かに存在する。

    ”君の行く道は〜果てしなく遠い〜なのになぜ〜歯を食いしばり〜君は行くのか〜そんなにしてまで .....

    昔、こんな歌があった。
    個人的に、こんな気持ちを抱ける相手は音楽家のみ、かもしれない。
    本作でいえば、高島明石のみ。
    塵や亜矢やマサルの持つ力は超人としか思えず、コミックのそれでしかないのだけれど .......

    それでも、彼らの苦しみや喜びが 脳内に響く音とともに 体温を持って伝わってくる。
    それはプログラムが提示されているからだ。
    冒頭のプログラムこそが、この作品を際立ったものにしている。

    恩田さん、たぶん、この作品のために膨大なリサーチをし、たくさんの曲を聴かれたのだろう。
    聴き古したようには感じられない、音を伝える瑞々しい言葉をざくざくと踏みしめるような感覚を終始覚えながら、読み進めた。

    順位などない。
    最後のページをめくらずとも、いや 本選のコンツェルトを読まずとも、音楽が解き放たれた喜びを自分の耳で聴いてみたい、という願いを残してくれた。
    この世のすべての真摯な音楽と音楽家への敬意と愛を感じる作品だった。
    涙 涙

  • >本当に本当に、なんて不条理で残酷なイベントなんだろう。
    >なんて残酷で──なんて面白い、なんて魅力的なイベントなんだろう。

    ひとつのコンクールの始まりから終わりまで、ただそれだけの一冊。
    そこに関わる、コンテスタントたちと審査員たち、その他関係者たちの群像劇。
    漫画ではピアノの森とか、四月は君の嘘とか、素晴らしいピアノ演奏表現を見てきたけど、この本もまた素晴らしかった。

    さらに登場人物たちもすっごく魅力的でもう、みんな好きだ!って感じ。
    ページ数多めだったと思うけど、もっと彼らの背景を語ってくれ~という気持ちでいっぱい。それでいて不足するところを補えるだけの材料があるというか、それぞれが薄っぺらくはないという絶妙さ。

    目次がコンクールスケジュールになっていて、物語がコンクール時期のみという構成も好きだなー。
    予選で審査員に衝撃を与えるシーンから始まって、最終頁がアレなんですよ。素敵すぎる。
    二次予選後にコンテスタント主人公たちがつかの間の休息でお散歩にでる章「インターミッション」が挟まるのだけど、すべてにおいて緊張感マックスな本編の中にすごくリラックスした短章が、読んでいて気持ちよかった。
    あそこが一番好きかもしれない。
    ライバルでもある天才たちがふと見せる素顔を切り取った奇跡のような一瞬、を見ている非天才の視点、こんな光景は今だけでもう二度と見られないのではないかと思う気持ち。
    「ハチミツとクローバー」(お、蜜蜂つながり)の「なぜかただの1枚も写真が残っていない僕らには―」というシーンが思い浮かんで、奏が写真を撮ってくれたときは変にうれしかった。


    直木賞&本屋大賞に選ばれたのも納得な傑作。
    久しぶりに読むスピードに目が追い付かないという状況に陥った。
    つまり、面白すぎて読む気持ちは先へ先へと進んでいくのに、単語を読み取るのが追い付かずに読み落としながらページをめくってしまって、しぶしぶ戻るという。
    小説読むのに速読術はいらん。


    恩田陸の名前は以前から聞いていたし本屋さんでよく見ていたけど、今回初めて手に取った。いやー、これはいい作家さんだ。

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

恩田陸の作品

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