絶対正義

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  • 幻冬舎 (2016年11月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784344030251

感想・レビュー・書評

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  • 限度が大事。に尽きるけど、その限度を決めてるのはそこにある社会とか空気感や各々の感情なので、同じ事象だとしても常に同じ限度が"もっともらしい"とはならないはず。そういう意味では法を絶対視してる範子が一番ブレない判断をしてることは間違いない。ただ、社会で生きていくためには、他人との空気感や感情のすり合わせが必要。
    範子のように法に厳密に従うことは、一切の他者を排除した思考停止の状態でしかなくて、何も正しいことじゃないと思った。
    どんな裁判でも時間をかけて審議を重ねて判決をくだす理由がなんとなく理解できた気がする。

    周囲の4人が実はそれぞれ範子を疎んでる構図もおもしろかった。読後いろいろ考えられて好きな小説でした。

  • 初めましての作家さん。
    図書館の新着図書コーナーで手にしました。

    『正義こそこの世で一番大切なもの』という高規範子。
    高校時代からの友人、和樹、由美子、理穂、麗香。
    範子の”正義感”に尊敬し、範子に救われたと信じていた高校時代。
    15年の時を経て再会した5人の関係は…
    ”100パーセント正しい、ということは、それだけですでに大きな欠点だ”
    そう感じるようになった4人が出した答え。

    ”正義”って…
    一つ間違えると恐ろしい…

  • 4人の女たちに届いた「思い出の会」への招待状。
    差出人は、5年前に殺したはずのあの女ー。

    和樹・由美子・理穂・麗香・範子は高校の同級生で友人。
    範子はいつも礼儀正しく、一つの間違いも犯さず、また決して許さない。
    なにより正義を愛していた。
    四人はそれぞれ範子に救われて感謝し、そしてのちに範子を殺した。
    しかし、死んだはずの範子からパーティへの招待状が届いたー。

    絶対正義を貫く範子の執念が怖すぎです。
    100%正しい正義のヒーロー。
    それはなんと、脅威的で暴力的な存在なのか。
    まるでサイボーグです。
    人間らしい感情や心の機微を解さず、ただひたすら正しいとプログラムされたことを遂行する。
    その過程で誰かが傷付こうが、破滅仕様が関係がない。
    範子の正義は相手を思っての正義ではなくあくまでも自己満足の為だけの正義。
    和樹達四人のそれぞれのエピソードが描かれていて、
    範子に対する気持ちが尊敬から感謝へ、そして違和感から恐怖・殺意にまで変化する様子が
    丁寧に詳細に描かれていて、気持ちが理解出来るだけに読んでて息苦しかった。

    範子はかなりヤバイ過ぎる人です。
    間違った事、法を犯した事は絶対に許さない正義の人
    確かに間違った事を言っていない。だからこそ怖い。
    こんな人が身近にいたらたまんない。
    絶対に耐えられない…本当にモンスターだ。
    どうしてこんなモンスターが産まれてしまったのだろうかって思っていたけど、
    エピローグで推測ですが語られている。
    そして娘…本当にゾワッとさせられました。
    また産まれてしまった…。

  • ⁡世にいう「イヤミス」というもの。⁡
    ⁡正義感の強さもここまで来ると…恐怖。⁡⁡
    ⁡頑固や融通が利かない、とはまた違う部類に入りそうな。
    ⁡でも、確かに間違ったことはしていないんですよね。⁡
    小説に出てくるこんな人物が近くにいたら⁡
    ⁡あまり関わりたくないのが正直なところ。
    正しさとは何か考えてしまいます。⁡⁡

  • うわー、いい意味でモヤモヤする!笑
    偽善よりは正義のほうが『正しい』気がする。例えば由美子のホームレスの話しかり、スーパーで窃盗をした男の子のことしかり…。その時「可哀想だから」と見逃すことが本当にその人たちや周りの人のためになるのか?ということを考えると。でも当人たち(正しくないことをした人たち)にとったら確かに正義なんてクソくらえだよなぁ…。
    結局は自分が当事者なのかそうじゃないのかなのかも。

    • れにさん
      読了お疲れ様です。自分はどちらかというと融通がきかず白か黒にしか分けられなくてグレーというものが自分の中に存在しないしグレーをつくってしまう...
      読了お疲れ様です。自分はどちらかというと融通がきかず白か黒にしか分けられなくてグレーというものが自分の中に存在しないしグレーをつくってしまうと白と黒の意味とか必要性がわからくなってしまう不器用人間なので(特に仕事となると尚更極端)かなり生きづらかったし周りにも融通きかない人って思われてたと思います。だから主人公の気持ち結構理解できちゃいます(笑)
      2024/05/03
  • 正義とは。
    正しさがいつも正義とは限らないってのがヒシヒシと感じる本やった。
    それはそーやねんけど。。って何回も思ってしまった。
    大事にしなきゃいけない正しさってなんなんやろ。人によって違うんだろなと色々考えた。
    しかし…ただただ範子みたいな人とは友達にはなられへんと強く思った。

  • めっちゃこの嫌な関係性を堪能できた。さすが秋吉さん。

    範子は正義のヒーロー。和樹、由美子、理穂、麗香は一人だった転校生の範子を仲間に入れる。範子は強い正義感で、その友達を何らかの形で助けていた。大人になっても範子は同様に、確固たる正義感でみんなを助けていた。みんな範子を尊敬していた…と、思われていた。

    みんなを苦しめていたのも実は範子。絶対的な正義は時として相手を不快にさせる。正義の為なら誰が不幸になろうがお構いなし。無慈悲な正義。忖度や黙認、グレーゾーンは許されない。そして4人は範子を殺した…はずだったのだが。

    とまぁイヤミスの典型。範子の病的なまでに正義をふりかざす姿にはイラつかされる。しかし一気読みの面白さ!

  • これはさすがに、正義の振り翳しすぎ笑
    と後半は笑いながら読んでしまいました。最後はやっぱり秋吉さんらしい終わり方ですね

  • 母親の影響から『正しいことをすることが正しい』と疑わない範子。正義を愛するが故に、友達、自分の子も法を犯すことをすれば迷わず警察に通報するような人物。
    本当にいたら、確かに感情を知らないサイボーグだなと思った。かなり厄介な人物。

  • 正しい事を主張するって、一見とても良い事だと思うけど、人には感情という物があるのだから、その辺は臨機応変に対応しないとね。範子みたいな子がまわりにいなくてよかった。ずっとイライラし通しでしんどかったけど、一気読みでした。

  • 完全なる正義マンを友に持つ女性4人。
    学生時代はともかく、
    大人になってからは離れようと思えば離れられそうな気がするけれど…。
    範子はこの特技とも言える正義を
    上手くいかせる仕事とかに就けば良かったのになぁ。

  • この作家さんどんどん売れていくだろうな。湊かなえみたいに。面白くて、2時間くらいで読了。こんな友人いたら本当に嫌だ。

  • 山梨の高校で仲良しだった和樹、由美子、理穂、麗香。そんな4人は、ある日一人でお弁当を食べる範子に声をかけるが、範子は「正義」のためなら手段を選ばない人間で、そんな範子に4人それぞれが追い込まれていく…範子の「正義」は確かに正しいのかもしれない。でも、人の気持ちを考えない「正義」は「不愉快」とも隣り合わせあることを実感する。4人がそれぞれメインになって、それぞれが範子から受けた「正義」に苦しむ様子を描いて、物語は進む。彼女たちがこんなにも苦しんでいるのに、「正義」と言う言葉だけで、周囲の人物の理解を得られない苦しさが痛いほどだった。結局、範子は「正義」を盾にした自己中で私でも4人と同じことをしたと思う。とにかく不快感がすごい作品。

  • 初の秋吉理香子さん。
    怖くて面白くて一気読み。
    最後もドヒャーってなった。
    2025.05.23

  • 範子の言うことは正しいのはわかるけど、なんて融通がきかん。読んでいてモヤモヤ、ムカムカ腹立たしく、それでいてページをめくる手を止められない。秋吉理香子さん2冊目だけど、他のも読んでみたい。

  • 範子の正義とは法や規則でガチガチに固められたもの。私たちが想像する社会通念上の倫理や道義的なものではないので、その正義のもとまわりにいる人間をじわじわと追いつめていく。本人に悪気がないだけに怖すぎる。読んでて「怖っ」となった。

  • 正義のためならばどんな手でも使う。相手が例え友人だとしても容赦しない。全く情の通用しない感じが恐ろしい。

  • −正義こそ、この世で1番大切なもの。
    −100%正しい、ということは、それだけですでに大きな欠点。
    正義、というかモラルとかマナーは必要なことだけれどそれを完璧にこなすのは難しい。正しいことは正しいことであるのだけれど、固執してしまったらそれは自己満足であり周囲は息苦しさや堅苦しさを感じてしまう。こう、なんというか、うまく折り合いを付けられたら、ね。

  • 読みやすいです。正しいことはいいことですが、確かにここまで正義に拘ると恨みを買いそうだなあと思いました。娘も実はそんな母親のことを恨んでいて、殺されて内心喜んでいたというのは想像できましたが、そんな娘さんの心にも悪を捌く正義の心が芽生えてたという締めくくりにわくわくしました。

  • 正しいこと、正なることの暴力性を考えさせられる。

    清濁併せ呑むみたいなことがみんな当たり前と思ってるけどどうなんだろ

    正しいことをするってことで反省的でないのは本当に正しいことなのかを考えさせられる

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著者プロフィール

兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ロヨラ・メリーマウント大学院で映画・TV製作の修士号を取得。2008年、短編「雪の花」で第3回「Yahoo!JAPAN文学賞」を受賞、翌年、同作を含む短編集『雪の花』で作家デビューを果たした。ダークミステリー『暗黒女子』は話題となり、映画化もされた。他の作品に『絶対正義』『サイレンス』『ジゼル』『眠れる美女』『婚活中毒』『灼熱』などがある。

「2021年 『息子のボーイフレンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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