絶対正義

著者 :
  • 幻冬舎
3.64
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030251

感想・レビュー・書評

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  • 初めましての作家さん。
    図書館の新着図書コーナーで手にしました。

    『正義こそこの世で一番大切なもの』という高規範子。
    高校時代からの友人、和樹、由美子、理穂、麗香。
    範子の”正義感”に尊敬し、範子に救われたと信じていた高校時代。
    15年の時を経て再会した5人の関係は…
    ”100パーセント正しい、ということは、それだけですでに大きな欠点だ”
    そう感じるようになった4人が出した答え。

    ”正義”って…
    一つ間違えると恐ろしい…

  • 4人の女たちに届いた「思い出の会」への招待状。
    差出人は、5年前に殺したはずのあの女ー。

    和樹・由美子・理穂・麗香・範子は高校の同級生で友人。
    範子はいつも礼儀正しく、一つの間違いも犯さず、また決して許さない。
    なにより正義を愛していた。
    四人はそれぞれ範子に救われて感謝し、そしてのちに範子を殺した。
    しかし、死んだはずの範子からパーティへの招待状が届いたー。

    絶対正義を貫く範子の執念が怖すぎです。
    100%正しい正義のヒーロー。
    それはなんと、脅威的で暴力的な存在なのか。
    まるでサイボーグです。
    人間らしい感情や心の機微を解さず、ただひたすら正しいとプログラムされたことを遂行する。
    その過程で誰かが傷付こうが、破滅仕様が関係がない。
    範子の正義は相手を思っての正義ではなくあくまでも自己満足の為だけの正義。
    和樹達四人のそれぞれのエピソードが描かれていて、
    範子に対する気持ちが尊敬から感謝へ、そして違和感から恐怖・殺意にまで変化する様子が
    丁寧に詳細に描かれていて、気持ちが理解出来るだけに読んでて息苦しかった。

    範子はかなりヤバイ過ぎる人です。
    間違った事、法を犯した事は絶対に許さない正義の人
    確かに間違った事を言っていない。だからこそ怖い。
    こんな人が身近にいたらたまんない。
    絶対に耐えられない…本当にモンスターだ。
    どうしてこんなモンスターが産まれてしまったのだろうかって思っていたけど、
    エピローグで推測ですが語られている。
    そして娘…本当にゾワッとさせられました。
    また産まれてしまった…。

  • 正義とは。
    正しさがいつも正義とは限らないってのがヒシヒシと感じる本やった。
    それはそーやねんけど。。って何回も思ってしまった。
    大事にしなきゃいけない正しさってなんなんやろ。人によって違うんだろなと色々考えた。
    しかし…ただただ範子みたいな人とは友達にはなられへんと強く思った。

  • めっちゃこの嫌な関係性を堪能できた。さすが秋吉さん。

    範子は正義のヒーロー。和樹、由美子、理穂、麗香は一人だった転校生の範子を仲間に入れる。範子は強い正義感で、その友達を何らかの形で助けていた。大人になっても範子は同様に、確固たる正義感でみんなを助けていた。みんな範子を尊敬していた…と、思われていた。

    みんなを苦しめていたのも実は範子。絶対的な正義は時として相手を不快にさせる。正義の為なら誰が不幸になろうがお構いなし。無慈悲な正義。忖度や黙認、グレーゾーンは許されない。そして4人は範子を殺した…はずだったのだが。

    とまぁイヤミスの典型。範子の病的なまでに正義をふりかざす姿にはイラつかされる。しかし一気読みの面白さ!

  • この作家さんどんどん売れていくだろうな。湊かなえみたいに。面白くて、2時間くらいで読了。こんな友人いたら本当に嫌だ。

  • 山梨の高校で仲良しだった和樹、由美子、理穂、麗香。そんな4人は、ある日一人でお弁当を食べる範子に声をかけるが、範子は「正義」のためなら手段を選ばない人間で、そんな範子に4人それぞれが追い込まれていく…範子の「正義」は確かに正しいのかもしれない。でも、人の気持ちを考えない「正義」は「不愉快」とも隣り合わせあることを実感する。4人がそれぞれメインになって、それぞれが範子から受けた「正義」に苦しむ様子を描いて、物語は進む。彼女たちがこんなにも苦しんでいるのに、「正義」と言う言葉だけで、周囲の人物の理解を得られない苦しさが痛いほどだった。結局、範子は「正義」を盾にした自己中で私でも4人と同じことをしたと思う。とにかく不快感がすごい作品。

  • ⁡世にいう「イヤミス」というもの。⁡
    ⁡正義感の強さもここまで来ると…恐怖。⁡⁡
    ⁡頑固や融通が利かない、とはまた違う部類に入りそうな。
    ⁡でも、確かに間違ったことはしていないんですよね。⁡
    小説に出てくるこんな人物が近くにいたら⁡
    ⁡あまり関わりたくないのが正直なところ。
    正しさとは何か考えてしまいます。⁡⁡

  • 完全なる正義マンを友に持つ女性4人。
    学生時代はともかく、
    大人になってからは離れようと思えば離れられそうな気がするけれど…。
    範子はこの特技とも言える正義を
    上手くいかせる仕事とかに就けば良かったのになぁ。

  • 4.4
    →範子の「正義」のためなら手段を選ばない所にゾワッとしました…確かに、言っている1つ1つの事が間違っている訳ではないけど、正しさだけが全てでは無いと思います。
    翻弄される4人の女性が、ただただ可哀想でならなかったです。

  • +++
    範子はいつでも礼儀正しく、一つの間違いも犯さず、また決して罪を許さない。なにより正義を愛していた。和樹は、痴漢から助けてもらった。由美子は、働かない夫を説得してもらった。理穂は、無実の罪を証明してもらった。麗香は、ピンチを救われチャンスを手にした。彼女たちは大いに感謝し、そして、のちに範子を殺した。しかし、死んだはずの範子からパーティへの招待状が届いた。そこで、四人が見たものとは―?
    +++

    正義は悪いことのはずはない。それは確かなことだが、そこに絶対がつくと、いささか腑に落ちない場面も出てくるのである。高校の仲好し五人組、のはずだったが、ひとり、四角四面に正義を押し通す則子という存在があまりにも大きくて、ほかの四人の人生を大きく変えることになってしまう。法律に則っていないことは悪、ということは、裏を返せば法律を犯しさえしなければ何をしてもいい、ということにもなりかねない。正義についていろいろと考えさせられる物語である。そして、普段の生活の中で、厳密にいえば法を犯していることのなんと多いことか、ということにも驚かされるのである。身体の芯が冷たくなるような恐ろしさの一冊だった。

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著者プロフィール

兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ロヨラ・メリーマウント大学院で映画・TV製作の修士号を取得。2008年、短編「雪の花」で第3回「Yahoo!JAPAN文学賞」を受賞、翌年、同作を含む短編集『雪の花』で作家デビューを果たした。ダークミステリー『暗黒女子』は話題となり、映画化もされた。他の作品に『絶対正義』『サイレンス』『ジゼル』『眠れる美女』『婚活中毒』『灼熱』などがある。

「2021年 『息子のボーイフレンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

秋吉理香子の作品

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