貘の耳たぶ

著者 :
  • 幻冬舎
3.49
  • (15)
  • (82)
  • (81)
  • (11)
  • (3)
本棚登録 : 475
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030992

作品紹介・あらすじ

自ら産んだ子を自らの手で「取り替え」た、繭子。常に発覚に怯え、うまくいかない育児に悩みながらも、息子・航太への愛情が深まる。一方、郁絵は「取り違えられた」子と知らず、保育士として働きながら、息子・璃空を愛情深く育ててきた。それぞれの子が4歳を過ぎたころ、「取り違え」が発覚。元に戻すことを拒む郁絵、沈黙を続ける繭子、そして一心に「母」を慕う幼子たちの行方は…。切なすぎる「事件」の慟哭の結末。渾身の書き下ろし!

感想・レビュー・書評

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  • 実の母親が帝王切開で産んだ我が子をちゃんと育てられないのではないか...と同じ日に自然分娩で産まれた子と取り替えてしまう話。4年間バレずに育てていくのですが、自分の子だと信じて育ててきた繭子の旦那さんや取り替えられたことを知らずに育ててきた郁絵たち夫婦のことを思うと切なかったです。

    血の繋がりのある子か、育ててきた子か...。

    私自身、保育士でしたが、他人の子より自分の子と一緒にいたくて仕事は、アッサリ辞めてしまいました。だから、郁絵とはまた考え方が違ったかもしれません。でも、保育士としての気持ちはわかるし、繭子のように1日中子どもと向き合ってきたので繭子の気持ちもわからなくもなく読んでいてもどかしく感じました。
    涙も止まらずひき込まれるようにして読んだけど結末は、本当にこれでよかったのか...正解がわからないだけにモヤモヤが残りました。

  • ★3.5

    あの子は、私の子だ。
    知の繋がりなんて、
    なんだというのだろう。

    新生児を取り替えたのは、
    出産直後の実の母親だった…。

    帝王切開で出産した繭子は、異様な衝動に突き動かされ、新生児室の我が子を
    同じ日に生まれた母親学級で一緒だった郁絵が産んだ子供と取り替えてしまう。
    とんでもないことをしてしまった、正直に告白しなければ、いや、すぐに発覚するに違いない…。
    逡巡するが、発覚することなく退院の日を迎える。
    そして、その子は「航太」と名付けられ、繭子の子として育っていく。
    一方、郁絵は「璃空」と名付けた子を自分の子と疑わず、保育士の仕事を続けながらも、
    愛情深く育てて来た。しかし、突然、璃空は産院で取り違えられた子で、
    その相手は繭子の子だと知らされる。
    璃空と過ごした愛しい四年を思うと、血の繋がりがなんだというのだと思うのだが、
    周囲はだんだん元に戻す方へ話進める…。

    読んでいて、終始とにかく息苦しかった。
    第一章は、繭子の視点で語られていますが、何故実の子を取り替えてしまったのか、
    という事に全く納得が出来ず、理解も出来なかった。
    そして「今、言わなくては」という焦りや葛藤、逡巡に全く共感できず、
    モヤモヤとした暗い気持ちに覆われてしまった。
    しかし、中盤に子供の取り違えが発覚してからは、どうなっていくのか
    と引き込まれました。
    取り違えられた子と知らずに育てた、郁絵夫婦の視点で語られとっても切なかった。
    ラスト、何故ここで…。
    それも唐突過ぎて…う~ん。
    とっても深いテーマでしたが、実の母親が犯人だと共感出来なかった。
    何よりも一番の被害者は子供達です。
    こんな事は、絶対に起こってはいけないですね。
    血の繋がりについて深く考えさせられました。
    タイトルの意味が解った時、とっても切なかったです。

  • (故意による)赤ちゃん取り違えにまつわる、二つの家族の物語。

    どうしても繭子という人物に共感できず、またその罪を許せず、序盤からは中々読み進められず。
    しかし、ひょんなことから取り違いが明るみに出てきた後は一気読み。

    胸を抉られ、涙も出た。
    こどもの幸せをただただ祈るばかり。
    なんだかんだ、やっぱりこの人の小説が好きなんだと実感。

  • 辛くて読むのをやめようかと何度も手をとめる。
    誰も頼る人がいない中での育児の不安、子どもが産まれたからとらいって、突然母親になれるわけではない。でも、自分の子と他人の子を取り替える、その子を育てる、理解ができない。子どもがかわいそうだった。

  • 初めて読む作家さん。

    母との関係がうまく行っていなかったことから、極端に自己肯定力が低い繭子。自然分娩ができなかったことを気に病み、今後きちんと子供を育てられるのかという不安にかられる。
    同じ日に出産をした保育士、郁絵の子供と自分の子供を突発的に入れ替えてしまう。

    すぐに後悔するも、発覚しないまま時は経ち...

    繭子とその母に終始イライラした。
    そして帝王切開で産むことになんの問題があるのか。
    繭子の義母も、「帝王切開は出産のリスクを母体が全て背負って赤ちゃんを守ろうとする方法」って言ってるし。
    でもこの負の思考は育ってきた環境の中でできてしまったものなんだよなー。

    子供たちがとてもかわいそう。

  • 産院で起こった新生児の取り換え事件。
    それぞれの母の目線で語られる4年間の話。

    前半の章の繭子の行動が理解できないままでした。
    初めての出産で、こんな小さな子をちゃんと育てることが出来るのかという不安を感じることは、自分にも思い当たる節がありましたが、そこからのあの行動はやはり理解出来ませんでした。
    後半の郁絵の章、実の子と信じて育てた子を手放さないとならくなった母親の気持ちが辛かった。
    そして、親から離されることになってしまった子供を思うと、ただただ不憫で仕方がなかったです。
    何が正解かはわからないと思える物語。
    フィクションで良かったと思わずにはいられません。

  • 何と切ないストーリー。前半部分は繭子への腹立たしさばかりで嫌な本を読んでしまったと思っていたが、後半部分の実のこと育ての子に対する親の想いにはぐいぐいと引き込まれてしまった。ただ…誰にも幸せが。

  • 前半は取り替えた側の繭子視点,後半は取り替えられた方の保育士郁絵視点.どちらも子育てという点でとても面白かったが,つい出来心のような取り替えがなぜ起きたのかという闇があまり理解できなかった.どちらかというと繭子の家の方が金持ちのようにみえるし子育ての不安の産後鬱だったとしてもそこまでするかな,また,最後の結末にも不満が残った.

  • 1年前に帝王切開を経験した自分としては考えさせられることも多かった。
    自分の場合は一人目に普通分娩、二人目で帝王切開とどちらも経験しているからどちらでも大差無いことは知ってるけど、一人目で帝王切開だったら周りの人や子どもに負い目や申し訳ない気持ちを持つこともあったかもしれない。
    とはいえ、繭子に共感は出来ないし、衝動的とはいえ子どもを捨てた行動も擁護は出来ない。
    前半はイライラする部分が多くてなかなか読み進める事が出来なかった。

    初めての授乳のシーン、イヤイヤ期を迎えた子どもとの会話などの描写はとてもリアルで「そうそう、こんな感じだった」と頷いた。

    取り違えが発覚した後の後半は読むのがつらくて、でも読まずにはいられない…といった感じ。
    対照的な二人の子ども、でもどちらもお母さんが大好きなことは一緒で、そのひたむきさや健気さに泣きそうになった。

    ラストは「まぁそうなるよね」という感じ。繭子のしたことが明るみに出ないで交換することは許されないだろうし、バレたらそのまま繭子が育てられる訳もない。
    でも自分だったらどういう選択をするんだろうなぁ…。

    お母さんと引き離された航太。璃空だってこれまでと同じで居られる訳じゃない。いつか真実を知るときが来るだろうけど、ただそれでも二人が幸せであればと…。

    蛇足だが読み終わって自分の耳たぶとおっぱいを触り比べたのは私だけじゃないと思う。

  • 2020.05.読了
    早く文庫にならないかなぁー。とずっと楽しみに待っていた作品。
    芦沢央作品、ぞくっとしちゃう内容でいつもさむ〜くさせてもらっているので今回も。。。
    と凄い期待で手に取りました。
    確かにおそろしい題材です。大問題です!
    でも、いつものサァーーー〜って感じに欠けるというかキレがないというか。。。
    読み始めは、ぜったい星5ツだもんねーと思っておりましたが結果は3ツ。
    まったく面白くないとかつまらないとかいうわけでもなく。
    でも、なんか物足りなさを感じてしまいました

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著者プロフィール

芦沢央(あしざわ よう)
1984年生まれの作家。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。『罪の余白』は2015年に映画化された。その他代表作に、2016年版「週刊文春ミステリーベスト10」第7位、「このミステリーがすごい!」2017年版第5位、第38回吉川英治文学新人賞候補『許されようとは思いません』、そして第32回山本周五郎賞候補および本屋大賞ノミネート作となった『火のないところに煙は』など。2019年8月28日、『カインは言わなかった』を刊行。

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