宿命と真実の炎

著者 :
  • 幻冬舎
3.75
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本棚登録 : 632
感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (483ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344031081

作品紹介・あらすじ

幼い日に、警察沙汰で離れ離れになった誠也とレイ。大人になって再会したふたりは、警察への復讐を誓い、その計画を着実に遂行する。一方、事故か他殺か判然としない警察官の連続死に、捜査本部は緊迫する。事件を追う所轄刑事の高城理那は、かつて"名探偵"と呼ばれた西條の存在を気にしていた。スキャンダルで警察を去り、人生が暗転した男。彼だったらどう推理するのか-。

感想・レビュー・書評

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  • 「後悔と真実の色」の続編。
    前作ですっかりファンになってしまった西條のその後が書かれていて、一気読み。
    ただ、なんだか事件の内容は前作よりは大分荒削りな感じがしたかな。
    また続編が出るのを期待。

  • 「後悔と真実の色」続編。
    前作は警察官が犯人だったが、今回は被害者が警察官の連続殺人。所轄の女刑事が新しく登場するものの、登場人物は前作とほぼ同じなので、きちんと前作から読まないと、背景が分からない。
    前作で警察を辞めた西條だったが、敵対してたように見えた九係の村越や、機捜の綿引に引き込まれ、連続殺人事件の真相に迫っていく…真相に迫っていく過程は、面白かったし、犯人の正体も分かりそうで分からない、分かった時の衝撃もなかなか。そして、ラストの何とも救われない感じは、貫井作品ならでは。
    ただ、1つ、どうしても許せないことが…
    前半40ページぐらいで、刺殺された遺体の身元が指紋で照合できない件…警察官は指紋はデータベースに登録されてるんじゃないの???警察小説では定説だけど、それは風説???どうにも腑に落ちない感じが、最後まで続いてしまった。それ以外は前作より全然面白い!

  • 西条をとにかく応援したくなります。本屋の主人とのやりとりがいいです。

  • 読み応えのある本だった。
    途中、犯行動機がちょっとな・・・となったけど、それも最後の2ページで「なるほどな・・・」と腑に落ちたし。
    この本では警察官を連続で殺害する犯人目線と、それを追う警察側の人間目線と両方向から描かれている。
    それはただ、犯人、それを追う側の2つだけでなく、警察側の人間の話もいくつかのパートに分かれ、元刑事の男性の話もそれに加わっている。
    そのせいで、どうにも話がこまぎれの印象になり、面白くなってきた・・・と思ったら他のパートの話にうつってしまうので読んでいてどうも入りこめない・・・というのがあった。
    さらに、犯人が特定されているのに、追う立場からするとそれが何故だかしっくりと当てはまらない。
    それがもどかしくもあり、興味を惹かれ面白くもあった。

    最初に殺されたのは白バイ隊員の男性。
    最初、それはただの事故で処理されていたが、その後、警察官が殺されるという事件があいつぎ、それも事件扱いとなる。
    事件を追うのはまだ若い女性刑事。
    やがて、事件の容疑者は挙げられるも、彼女はそれは冤罪では・・・?と疑いをもつ。
    彼女は事件を追う内にいきづまり、それを打開するために元刑事の男性に協力を求める。
    そして、ある冤罪事件にいきあたる。

    事件の犯人は警察に恨みをもつ若い男女。
    十八年前の冤罪事件と彼らの行為の関連はー。

    個人的に、好ましく感じられる登場人物が多かった。
    ある事情により刑事の職を辞さないといけなかった男性は誠実な人だと思うし、彼の兄も完璧な人間でいながら嫌味がなく、素直に人格者だと思える。
    主人公の一人である若い女性も優秀で正義感にあふれている。
    それなのに、自分の容姿にコンプレックスを抱き、上下関係が厳しく、男尊女卑な警察という職場で悩み、人間的に成長していく。
    彼女とコンビを組んだセクハラ上司も実は優秀で憎めない人間だし、お笑い芸人のような容姿でいて実はキレ者というエリート刑事も外内の差が見ていて面白い。
    他にも人間味のある上司やどんだけ本読んでるの?という偏屈っぽい古本屋のオヤジもいい。
    登場人物が完璧に生きていて、この世界って実在しているんじゃないか?と勘違いするほど。
    ・・・というか、読んでいる時には完璧にそうだと思って読んでいた。
    まるで、本を開いたら絵が立ちあがる絵本を読んでいるような感じだった。

    前に書かれた本に比べて、あまりえぐい事は具体的に書かなくなってるな~とは思ったけど、それも物足りないではなくて、上品に感じられたし、そういうのはどうでもいいやって感じられた。

    ほとんどないに等しいような細い線から犯人を挙げる刑事の執念や熱意。
    己の出世のためだけならそこまでできないのでは?と思った。
    ここで登場する刑事たちからは刑事という仕事に対する矜持、自身に対する誠実さが伝わってきた。

    この話、まだ終わってないように思う。
    元刑事の男性のこれから、女性刑事の今後の様子を見てみたいと思った。

  • 読みたかったああああああ!!1


    前作『後悔と真実の色』を読んで、続きが出ていると知った時のあの気持ち……!!


    いつ読めるかいつ読めるかと心待ちにしていたのはしーなだけじゃないハズ

    もうね、西條さんがね、どうなってしまったのか
    綿引のオッサンがどうなってしまったのか
    九係がどうなってしまうのか

    続き読めるの!?ホントに!?
    と、大歓喜なのですよ

    救われない悲痛な底から少しでも救われてたら良いな……何だったら復帰してたら良いのに(良くないのですが)と思い読み始めたのですが

    西條登場には感動すら覚えたのです
    主人公が女性刑事になったのは、とっても読みやすくて
    しかも嫌な予感のする、無理矢理女子高生じゃないし、ロリ不思議ちゃんとかでもないし、コスプレとかもしないし、スーパー超絶なバックボーンとかも無いし、な現実的な女性!
    完全に貫井作品では要らない心配なのでしょうが……

    いえいえいえでもでも心配するような本も多いのですよね
    それで食傷気味になってしまうのです
    とんでも設定が飛び出してこなくて良かった……!!1


    男性社会で卑屈に伸し上がろうとする理那が西條に憧れる気持ち……!!
    分かるううウウウウうウ!!1
    すっごく分かるううう!

    余談なのですけど
    しーなが読んだ後、前作から同じく楽しみにしていたお友達がこの『
    宿命と真実の炎』を読んだのですが

    二人でとてもドラマ向きな本だと言う話になったのですよ

    読んでる最中から思っていたのですけど
    最初のシーズンの追い込まれ方と、次のシーズンでの再登場。
    しかもセカンドシーズンでは主人公は女性。

    めっちゃドラマ行けそう!!1

    と言う事で「西條の俳優さんは……」と二人でニヤニヤ

    しーなが即イメージしたのはイケメン俳優のNさん
    お友達は2次で見つけてきたのです

    お友達が見つけたイラストを見て一言。
    「この3次元バージョンを知ってるのです……!」
    と、俳優Nさんをぐぐったらもうそのまま

    二人とも同じ西條をイメージしてて笑ったのでした

    もしかしたら他の人がイメージする西條もあの人なのでは……!!1


    もし……と言うか、きっと3作目は出ると思うのですが
    西條がどう言う結末を辿るのか。
    嫌な予感しかしない……!!1
    けど、読みたい……!!1

  •  『後悔と真実の色』の続編。前作で警察を退職することとなった西條と連続殺人事件をどう繋げていくのか興味をもちながら読んだ。
     いやあ、面白かった。前作とほぼ同等のボリュームでありながら、読むスピードは格段に違った。著者は、前作は悩みながら書いたのかな?今回は楽しみながら書いたように感じた。それが読者にも伝わって、こちらもグングン進むのではないだろうか。

     さて、連続警察官殺しが発生する。今回の主人公は所轄刑事の高城理那。彼女は前回にも登場した9係の村越とコンビを組んで事件に立ち向かう。
     しかし、解決の手掛かりが掴めず八方塞がりになった理那はは『あの男』に手助けを求める・・・。

     今回は、フレッシュで正義感の強い理那と、やる気があるのだかないのだかわからないが、仕事はできる村越のコンビがいい味を出していて、また、理那の成長も逞しく感じる。そして西條。やはりこの男無しではこのシリーズは成り立たないのだと再確認させられる。
     もちろん警察官殺しの動機も面白いし、最後に明かされるトリックも見事。また、やはりこの著者は人物描写が実に丁寧だ。

     でもねぇ。やっぱり後味は悪いかなぁ。誠也の気持ちを思うと切なすぎる。

  • *人間の心を捨ててもずっと一緒にいたかった。何が“警察官連続殺人事件"を引き起こしたのか?山本周五郎賞受賞作『後悔と真実の色』続編。渾身のミステリ長編!!*

    前作が面白かったので、読む前から期待感MAXでしたが…これは期待以上の面白さでした!
    特筆すべきは、主役級であるべき西條の登場が少なかったにもかかわらず、他の九係の面々がしっかりとその世界観を引き継いで展開させていたところ。おまけに、ラスト5頁の「真実」と来たら…もう、お見事過ぎて、脱力しかありません。さすがです。

  • 自分が正しいと思う事を貫けば必ず誰かは見ていて認めてくれる。

    誰も人を批判する資格なんてない。でも、人は誰かに批判されないといけない。だから、それは批判できる者が資格で批判するんじゃない。批判できる者の義務である。

    誰しもが自分の善良な心と組織という枠組みでの板挟みに悩むことがある。でも、自分がしている事で救われる人がいる。その事を誇りに思って生きる事は大事。

  • 山本周五郎賞受賞作『後悔と真実の色』続編
    連続して起こる警察官の死。警察への復讐に燃える幼馴染の2人。事件を追う女刑事。スキャンダルで警察を追われた男。事件自体についてはわかっていたはずなのに、最後の最後に呆然。
    あぁ、そういうことだったのか、と目まぐるしく頭の中を今までのストーリーがかけめぐる。
    読んでる途中の「すごく面白い」が最後に「めっちゃくちゃ面白い」に変わる。

  • 貫井徳郎さんの作品「後悔と真実の色」の続編にあたる当作品。今回は連続警官殺人の犯人を追うという内容なのですが、個性的な登場人物、絡み合う複雑な人間関係、長年の恩讐と深い闇。。。読み終わった後の清々しくも何とも言えない読了感を味わいたい方は是非、手に取ってみて下さい♪

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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