「小池劇場」が日本を滅ぼす

  • 幻冬舎 (2017年6月9日発売)
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本 ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784344031289

感想・レビュー・書評

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  • 「小池さんは、なんで嘘をつくんだろう」と思い、友好的ではない心持ちで読ませていただきました。

    主に豊洲問題を中心に、小池知事の批判に徹して書かれていますが、私が恐るべきと思ったのはマスコミの報道の仕方でした。テレビは話半分で良いかもしれません。

    個人的に申し訳無いと感じたのが石原慎太郎氏の事です。私も同じく悪く言っていました。体調も脳梗塞の予後も、築地の方に宛てた手紙も知りませんでした。
    何も知らないくせに悪口を言うものではないと、人間の勉強をさせていただきました。

  • やや感情的な記述が多いし重複もあるが、個人でも裏が取れる情報が充実。敢えて、築地のガバナンスを取り上げ、関係者に苦言を呈している部分は評価。久しぶりに政治の本を読んだ。市場移転よりもオリンピックが心配。

  • 再読。
    小池さんの「酷さ」を一番端的に読める本だと思ってる。
    権力をパフォーマンスだと思ってらっしゃる、自己実現だと思ってらっしゃる、詭弁強弁面の皮のポピュリスト。
    しかも、言いっぱなしと実現不可で、ポピュリストにすらなりきれない、言葉の魔術師。

    問題は、それに力を与えるマスコミと、それに同意する有権者たち。

    本当に、日本の最高権力者は、マスコミ様のような気がしてしょうがない。
    (20230410)

    うーん、ここまで酷い話だとは思っていなかった。
    本当に、メディアの伝え方、メディア映りを意識したパフォーマーの恐ろしさがはっきりと浮き出る。

    小池さんも怖いが、メディアが怖い。
    (20180826)

  • 二か月ほど前(2017.4)になりますが、長女の入学式に、小池知事が祝辞を述べに会場に来られておりまして、とても華やかでした。祝辞の内容、話し方共に上手で、私も含めて周りの人たちもスマホで、動画や写真を撮るのに忙しくしていたのを記憶しています。

    昨年、もと在籍していた自民党からの応援無しで知事選に臨み見事当選された小池氏ですが、ニュース報道を見る限り、色々と活躍されているようです。であると、東京の横に住んでいる私が持っていた印象でした。

    この本では、小池女史はテレビのワイドショーネタに受けるようなことばかりやっていて、何代にも渡って関係者の合意を取り付けて進めてきた、豊洲への市場移転や、国際公約とまでなっている、2020年東京五輪の当初予定したイメージでの開催が難しくなっていると警鐘を鳴らしています。

    依然、小池知事の支持率は高いようで、このような本を今の時点で書くのは勇気のいることだと思いましたが、自分で調べた内容に基づき、ジャーナリストとしてのお仕事を完遂されている姿勢に、この本を読んで感銘を受けました。

    現在の築地市場の不都合な事実をこの本を初めて知りました。複雑な思いとなりました、全ての人(特に今までの既得権者も含めて)を満足させるのは難しいと思いますので、都民ひいては築地市場で取り扱われた具材を食べる全ての人のことを考慮して、知事には決断してもらいたいと思いました。また、築地市場移転についても、議会との連携が上手くいっていないという問題があることも知りました。記憶に残る本となりました。

    以下は気になったポイントです。

    ・小泉氏と橋下氏の「劇場」には、賛否は別として、はっきりとした「演目=実現したい政策」があった、小泉の場合は「郵政民営化」に代表される構造改革、橋下には「大阪都構想」と銘打った大阪再編であった、しかし小池の場合には無い、強いて言えば「黒い頭のネズミ探し」(p5)

    ・小泉、橋下両氏は、既得権益をぶっ潰すと訴えていたが、日本の民主主義システムをぶっ壊すことはしなかった、小池氏は、築地から豊洲への市場移転という大事業を、鶴の一声で、議会に諮ることなく延期すると独断した(p6)

    ・2月に着工予定であった環状二号線の工事は今もストップのまま、小池が決めた市場移転の延期は、すでに東京五輪の破壊につながっている(p16)

    ・都知事選の公約として、1)都議会冒頭解散、2)利権追及チーム、3)舛添問題の第三者委員会設置、東京をどんな街にしたいのか、というビジョンがなかった(p17)

    ・我が国は、国政は「議院内閣制」、地方は「二元代表制」をとっている、国政では、首相は国民有権者から直接選ばれるのではなく、選挙の結果、議会の多数を占めた与党のトップが首班指名をうけて内閣総理大臣となり政権をつくる。これに対して、地方政治では、行政の長と議会がそれぞれ別の選挙により、直接、有権者から選ばれる。首長と議会は独立しており、これを二元代表制という(p20)

    ・平成28年12月28日に、東京都が豊洲新市場の建物の安全性確保と建築基準法に適合することを証明する「検査済証」を発行した、これを東京都は2月下旬まで公表しなかった(p39、58)

    ・石原都政の貢献として、財政再建団体への転落一歩手前の東京都政を黒字化した、ディーゼル規制で東京の空を綺麗にした、市場の件でも移転を前提として関係者をまとめたこと(p49)

    ・土地の売買契約成立から土壌汚染対策へと進む平成22-23年、都議会の最大会派は民主党であり、自民党ではなかった。石原都知事は民主党の提案を飲む形で、多額の金はかかるが、皆の「安心」のために厳しい環境基準での土壌汚染対策を行うことを決断した(p83)

    ・用地取得、建設までの6000億円は、独立採算事業として運営されるため「市場会計」というなかに独自のお金を持っていて、一般会計からの支出はゼロである(p84)

    ・小池が引き継ぐべきは、東京都が対策を実施し、専門家のチェックを受けた、前舛添知事がだした「安全宣言」である、この安全宣言は意外なほど知られていない。彼の金銭問題はタチの悪いものであったが、その存在をなかったかのようにするのは誤り(p87、89)

    ・小池と側近が目指しているのは、二元代表制という日本の地方自治システムの破壊といってよいだろう(p119)

    ・地方議員の場合は顔で投票する人は多いが、1年で人口の4分の1が入れ替わる東京は、地域共同体の結びつきが希薄で、政治的にも無党派層が多い。付き合いよりも、自分の意志で投票したいと考える、意識高い、人が最も多い選挙区である(p134)

    ・石原は都庁の職員に対して、「あなたたちの今までの仕事はダメ」と見下すことはなかった、ワンマンに見えるが、職員の提言を非常によく取り入れていた評価がある。財政健全化、ディーゼル車規制も、都庁幹部があげた懸案事項を、石原がうまく世間に投げて話題にして実現させている(p141)

    ・メディア対策の有効な方法は、1)頻度高く情報を頻繁に出す(Frequency)、2)わかりやすく親しみやすい調子で説明(Friendly)、3)他に先んじて情報を出す、自身が一番優位な点を発信する(First)(p146)

    ・地下六メートルの手の届かないところの土壌、地下水にヒステリックになる人たちが、なぜ、魚をそれを扱う人が雨風・排気ガスにさらされていることは平気なのか、築地市場には、多くのネズミ、猫、カラス、カモメ、ウミネコなど、多種多様な生き物が住んでいる(p158)

    ・築地か豊洲か、2つを同等であるかのように考えたり、限界に達している超老朽化している施設である築地をどうしようかと検討していること自体が馬鹿げている(p163)

    ・卸売市場には、築地市場のような中央卸売市場と、地方卸売市場がある。中央卸売市場とは、国(農林水産省)が認可監督する、地方卸売市場は、地方(知事)が認可・監督する施設である。小池が今更豊洲に移転しないといいだせば、国がすでに交付した補助金208億円は利息と共に返還すべき(p165)

    ・今もいる一部の強硬は移転反対派の言い分として、移転に際して、自分たちの財産である「営業権」を東京都に高く補償させようというものであった、そこへ共産党などが入り、土壌汚染の問題を炎上させて論点がすり替わって闘争化した(p167)

    ・不都合な真実として、1)築地市場の駐車場はなぜ転貸されているか、2)公共スペースがなぜ占拠されているか、3)廃業する人も多い仲卸に、新規参入者がなぜいないのか、4)東京都はなぜこれを放置しているか(p171)

    2017年7月2日作成

  • 小池都知事が実は何もやっていないだけではなく、数々の不作為によって日本を沈没させかねないことを実に的確に丁寧に解説していてお見事。一体狙いは何なのかな。

  • 昨今メディアの報道の仕方の酷さが言われているけど、「小池劇場」の裏にもこんな事があったのかと呆れ果てた。正義のヒロインとして、毎日TVで顔を見ない日はなかったけど、最近は静かなものだ。当時、悪役に仕立てられていた都議会自民党や石原氏、都議会のドンが、至ってまともな方達だと言う事がわかる。築地市場の不都合な真実が明かされていたりして、東京都民でもなく、市場に関心がある訳でもないけど、文章も分かりやすく、面白く読めた。

  • この本は、ほとんどを豊洲市場の話に費やしています(一部、オリンピック)。
    豊洲の地下の水を飲むわけじゃないのに、アホくさって見ていたが、その認識がより強固になりました(怒りを覚えるまでに)。
    あの、前舛添要一都知事も含め、安全だと言っていたが、共産党が騒いだので仕方なく不要な対策をした後に
    小池都知事に引き継がれたが、あのようになってしまったと。
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/476070862.html

  • 読み終わって自分も小池百合子・マスメディアに踊らされ騙されていた事に、怒り心頭です!勉強が足らなかった自分にも腹がたっています・・・
    結局小池さんは「バチ」があたったのか?今、どうなっているの?全然大人しくなってしまって・・・。

  • ジャーナリスト有本香の著作。小池都政の本質は、論理破綻している政策を意味不明な横文字で塗り固め、都民・国民をけむにまくものだということがよく分かる。刺激的な言葉を使うことしか考えていないから、衆院選のときは「排除」という自らの言葉に足元をすくわれて惨敗した。つくづく世の中はよくできていると思った。

    石原慎太郎への無慈悲な攻撃と、築地移転のドタバタの末の折衷案。これだけ見ても信用ならない政治家だとわかる。確かに風を読むのは天才的だが、それまでの人材。付いてきていたのが自民党でほぼ力のない若狭勝議員だけというのが悲しい。遠巻きにみている分には楽しい人物かもしれないが、血税を使って働かせる意義はまったくないだろう。ただただ個人的な野心のためだけに、問題のでっち上げとすり替えが続くのだ。

    と、小池都知事への攻撃に終始したが、有本香を全面的に肯定するわけでもない。作中に登場する、日本維新の会の国会議員はその能力を絶賛されていたが、この人物は非常に問題の多い政治家。これを持ち上げては本の思想的立ち位置がバレてしまう。

  • 小池さんが政争しかしておらず、東京都に混乱をもたらすばかりであることを指摘した本。最近の国政に進出撤退も合わせると、実務を任せてはいけない人なのかとも思う。

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